ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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 今回はトキワの森でのお話です。
サトシがキャタピーのゲット回てのもあって、いまでもバイバイバタフリーのお話は思い出すだけでも涙が出ます。


第十二話 森の怪物

    

   トキワの森

 

 トキワシティとニビシティの境にあるカントー最大の森。ここにはたくさんの草や虫タイプのポケモンが多く生息している。多くのトレーナーはニビジムに挑むために修行の場として利用されている。

 そんな中、リーリエ達もニビシティに挑むためのトレーニングを兼ねてトキワの森に足を踏み入れていた。何やら、技の練習をしているようだ。

 

「「ヒコザル!ヒトカゲ!

   【あなをほる】!!!!」」

 

 ヒコザルとヒトカゲはキモリから【あなをほる】を教わっていた。ニビシティは岩タイプのジムなため、それに有効な地面タイプの技はどうしても覚えて置きたいのだ。そんな二匹もキモリの指導もあってか、徐々にコツが掴めてきたようで少しずつ形にはなってきている。

 

『だいぶ出来てきてはいるロトね』

 

「はい!二匹ともかなりいい感じですよ」

 

「そうだね。少し休憩を入れようか」

 

 二匹の疲れを癒すために、サトルは近くで採取したオレンの実を取り出し二匹にそれぞれ手渡してあげた。ここの森は色々な木の実もなっていて野生のポケモン達にとってはとても住みやすい環境のようだ。

 主に森を住処にしているムックルやキモリ、フシギダネやピカチュウはとても気持ち良さそうにしている。

 

「ピカチュウはとても嬉しそうですね」

 

「うん。実は僕のピカチュウはここトキワの森で出会ったんだ。」

 

「そうだったんですか」

 

「まだ、進化前のピチューだった頃にね」

 

 そう言うと、ピカチュウの方を目にやるとピカチュウは木の実を見つけ出しそれを美味しそうに食べていた。久しぶりに帰ってきた故郷にピカチュウはとても機嫌いいようだ。

 

「ニビシティに着くまでには【あなをほる】は完璧にマスターして置きたいね」

 

「でも、ヒコザル達もだんだんと出来てきてはいるし!もう一踏ん張りすればいけるよ!これも指導してくれるポケモンがいるおかげだね。付き合ってくれてありがとね。キモリ!」

 

 お礼を言うとキモリは軽く頷いた。トキワシティから一緒に旅に出たばかりであったが、もうすっかりキモリはみんなとも馴染めてはきたようだ。クールな性格でもあって、あまり笑うことは無いがシロンを初めとした他のポケモン達との輪の中には入っていけているようで、その様子をみたリーリエは少しばかり安心している。

 

「ですが、サトルは大丈夫でしょうか?」

 

「えっ、何が?」

 

「いえ、変なつもりで言ったわけではないのですが…。ニビシティは岩タイプのジムだとお聞きしましたので、今のサトルの手持ちポケモンでは少し厳しいのではないかと思うのです」

 

 リーリエの言っていることは最もであった。岩タイプのジムであるなら炎タイプのヒトカゲは相性的に不利。相手はジムリーダー。【あなをほる】をマスターしたところでそう簡単に勝てる相手ではない。

 さらには岩タイプには地面タイプを持っているポケモンが多いため電気タイプのピカチュウも相当不利である。リーリエにはキモリ、カノンにはフシギダネとみたいに、この時点でサトルは相性からして有利なポケモンが手持ちにいないのだ。

 

「この際サトルはここで草タイプのポケモンを仲間にした方がいいんじゃない?」

 

『そういうことなら、草タイプのポケモンがどこに潜んでいるかサーチしてみるロトよ』

 

 すぐにロトムはこの辺りに生息しているポケモンの情報をかき集めた。

 

『この森に草タイプのポケモンが生息している確率は80%ロト!かなりの数のポケモンが多く生息しているロト!…だけど、どんなポケモンがいるかまではわからないロト〜』

 

「それなら任せて!え…っと…」

 

 新人トレーナーのサポートナビとして有能なロトム図鑑だが、自己学習型のため生息しているポケモンの出現率は分かるが、どんなポケモンが生息しているかまでは分からないのが欠点なところである。自分のポケモン図鑑を取り出したカノンはすぐにトキワの森に生息している草タイプのポケモンを調べ始めた。

 

「ここにいる草タイプのポケモンは……ナゾノクサ、ハネッコ、キノココ、スボミー、マスキッパ、それと…」

 

 すると、何処からともなく木の上から一体のポケモンが飛び掛かってきた。そのポケモンは丁度、真下にいたサトルの頭めがけて飛び込んできた。

 

「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 サトルに飛び込んできたそのポケモンは自分も相当痛かったのであろう、頭の痛みに耐えながらもすぐに三人の前に飛び出した。

 

「くっ‼︎一体何なんだよ〜」

 

「このポケモンは?」

 

 リーリエ達に現れたのは葉っぱの帽子を被った芋虫のようなポケモンだった。だが、それはキャタピーではない。ロトムはいつものようにそのポケモンの解説を始めた。

 

 

 

 

 

 

『クルミル さいほうポケモン

 虫・草タイプ

葉っぱを噛み切り口から出す粘着糸で縫い合わせる。自分で服を作るポケモン』

 

 

 

「クルミルって言うのですね。わたくし始めて見ました」

 

「私もだよ。たしかこのポケモンも元々は……ホウエンのポケモンだった気が!」

 

「イッシュ地方だよ。いてて…本来クルミルはイッシュのヤグルマの森に生息しているポケモンなんだ」

 

「そうなのですね。それにしても、くすっ…。凄く元気な子ですね‼︎」

 

 クルミルはリーリエ達を見るなり、その場でジャンプを繰り返していた。野生にしては珍しくトレーナーを見ても何処かへ逃げ出したりしないポケモンであり、むしろただらない愛着を見せていた。

 

「そうだ!サトル。この子ゲットしたら!」

 

「え?」

 

「この子なんか人懐っこそうだしいいと思うよ。それに結構可愛いし」

 

 カノンの提案に少し考えたサトルだが、リーリエに言われたこともある。空のモンスターボールを手に取るとヒトカゲを自分の前に出す。

 

「よし!やってみるか。頼むヒトカゲ!」

 

 サトルの掛け声とともにヒトカゲも小さな火の玉を口から出し、やる気の表情を見せた。それをみたクルミルは逃げることはなかった。どうやらヒトカゲとの勝負を受けてくれるようだ。

 

「ヒトカゲ!【ひのこ】‼︎」

 

 無数の火の粉がクルミルに向かっていく。クルミルは口から糸を出し、近くの木の枝に糸をくっつけると、そのまま吐き出した糸を辿るようにして移動しヒトカゲの攻撃を躱した。攻撃を躱したクルミルは今度はヒトカゲに向かって糸を放射した。

 

「次は【ひっかく】だ‼︎」

 

 その糸をヒトカゲは鋭い爪で糸を切りさく。だがクルミルは怯むことなくヒトカゲの頭上から糸と【はっぱカッター】を交互に繰り出しながら攻撃する。

 

「やるね。あのクルミル」

 

「えぇ、やはりフィールドがクルミルとって戦いやすいてのもあると思います」

 

 サトルがクルミルとバトルしている中ピカチュウは何かの気配を感じたのか、辺りを見渡し始めた。ちょくちょくピカチュウの頬袋に電気が流れると、さらに気になり出したピカチュウは近くの木へと駆け登った。そんなピカチュウの行動にリーリエは不思議に思った。

 

「ピカチュウ、どうしたのですか?」

 

 リーリエの呼びかけに気づいていないのか、ピカチュウは辺りを見渡し始める。すると気配を感じたピカチュウの目に止まった木の影から電撃が放たれ、それがヒトカゲに直撃してしまった。

 

「ヒトカゲ!!!」

 

 あまりにも突然なことにサトルはすぐにヒトカゲの元へ駆け寄った。

 

「大丈夫か?ヒトカゲ」

 

「えっ、いまの電撃は?」

 

『クルミルが放ったものではないロト。それにこの近くに別のポケモンの気配がするロトよ』

 

 その犯人はすぐに分かることになる。その木の影から一体のポケモンがクルミルと同じように飛び出してきた。そのポケモンはピカチュウよりも体が小さい、ピカチュウに似ているポケモンだった。

 

 

 

 

 

 

 

『デデンネ アンテナポケモン

 電気・フェアリータイプ

ヒゲがアンテナの役割。電波を送受信して遠くの仲間と連絡を取り合うのだ』

 

 

 

 カロス地方に生息しているポケモン、デデンネ。どうやらピカチュウはデデンネから発生された電気の帯を感じとっていたようであった。初めて見るその愛くるしい姿にリーリエとカノンは惚れ惚れしてしまった。

 

「わぁぁ、可愛い!!!」

 

「電気タイプだけでなくフェアリータイプも併せ持っているのですね!それにしても可愛いです!」

 

『二人はすっかりメロメロ状態ロトね〜』

 

 見惚れている二人には気にも留めず、デデンネはクルミルの元へ駆け寄ると少し慌てた様子でクルミルに訴えかけていた。デデンネの話に何のことやらと、思っているクルミルにデデンネは呆れた様子でクルミルの背中を軽く叩く。どうやら、この二体は仲間であることはこの二体のやり取りから何となく察しがついた。

 今度はリーリエ達の方へ向いたデデンネは同じ電気タイプのピカチュウの元へ向かうと何やらピカチュウに話始めた。デデンネの話を聞いて慌てた様子になったピカチュウはすぐにサトルの方を向くと必死に鳴き始めた。

 

「何かを知らせたい?」

 

「「えっ??」」

 

「ピカチュウのこの様子から見るとデデンネは僕達に何か伝えたいことがあるみたいだよ。もしかして…クルミルも何かを伝えるために僕達の前に現れたんじゃないかな」

 

 すると、デデンネは何処かへ駆け出しに行くとその後に続いてピカチュウとクルミルも走り出す。少し離れたところで足を止めると、リーリエ達に振り向いたデデンネは手でこちらに招く仕草を始めた。

 

『付いて来い。そう言ってるみたいロト』

 

「とにかく行ってみましょう!」

 

 デデンネの仕草を見て、瞬時に理解したリーリエ達も急いでデデンネの後を追いかけに行った。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 暫く走っていくと、前から一軒のツリーハウスが見えてきた。その中に入っていくデデンネ。続けてクルミルとピカチュウもその建物の中に入って行った。

 ピカチュウの後を追うようにその建物の中に入るとサトルに気づいたピカチュウはサトル元へ戻って行った。ピカチュウが手元に帰って来てくれて安心したリーリエ達は目を前にやると、一人の人物の影が見えてきた。そこに居たのは甲冑の鎧を身にまとっている戦国時代にいる侍の格好をした一人の青年であった。

 

「むっ、お主達は?」

 

「えっと…勝手に上がりこんでしまってすいません。僕達は別に怪しい者ではありません。さっき知り合ったクルミルとデデンネに連れられてここまで来たのです」

 

「旅の途中のトレーナーでござるな。しかしここは拙者が入り口の前に立ち入り禁止の立札を立てたはずなのでござるが……どうやら、虫ポケモン達に食べられたようでござるな」

 

 よく周りを見てみると、デデンネやクルミル以外にもたくさんのポケモン達がこの家の中にいた。その様子は何かに怯えている感じなのか、お互いに身を寄せ合いながら端の方で震えていた。この様子からやはり何かあったに違いない。

 

「あの…おサムライさん。立ち入り禁止と言いますと、やはりこの森で何かあったのですか?」

 

「そうでござる。」

 

 そういうと甲冑の青年はリーリエ達を木で出来たソファーに座らせると、説明し始めた。

 

「拙者はここを拠点として、訪れにくるトレーナーに出会ってはバトルを申し込み、ポケモン修行を育んできたでござる。まぁ…それは昔の話で、今はここトキワの森のポケモン管理官を務めているでござる」

 

「おおっ!リーリエのキモリと一緒か!」

 

「カノン…。話を晒させないで……」

 

「……本題に入ろう。カントーの環境の変化により様々な多くのポケモンが住み着いてきているのはお主達も知っていると思う。それにより他のポケモン達との縄張り争いが絶え間なく続き、本来住んでいたポケモン達が追い出されてしまうケースが出てきたのでござる。」

 

 その問題はたしかに深刻な物である。今まで生息確認がされていなかったポケモンが出てくることで、縄張り争いにより闘争心が強くなりすぎたポケモンが容赦なく訪れたトレーナーを四方八方から襲いかかったり、行き場を無くした野生のポケモンが近くの街に住み着くケースも度々増えてきてしまっている。

 いろんなポケモンに出会えることはトレーナーとしてはメリットではあると思うが、その分デメリットの方が大きいのである。

 

「本来、拙者はトキワの森の主でもありここら辺の鳥ポケモンの群れのリーダーであるピジョットと一緒にここを護って来たのでござるが、最近になって別の地方からやってきたポケモンにこの森の半分ぐらいが征服されてしまったのでござる。しかもそのポケモンのレベルがとても高く何よりも拙者はまだ全てのポケモンの情報に関してはまだ無知な部分もあるためお手上げの状態なのでござるよ」

 

「そのピジョットはいまどちらに?」

 

「いま、鳥ポケモンの群れを連れて進化の儀式のためにここを空けているのでござるよ。いつこっちに戻ってくるかわからないでいるのでござる」

 

「そのピジョットはおサムライさんのポケモンではないのですか?」

 

「拙者のポケモンでもないが、野生のポケモンでもない」

 

「「「???」」」

 

「まぁ、それはおいといて。ピジョットが留守をしている間に別のポケモンがここトキワの森を縄張りにしようとしている奴が出て来たのでござる」

 

「そっか、クルミル達はそれを私達に伝えたかったのね」

 

 等の本人はと言うとそんなことも忘れてサトルに対して闘志をあらわにしていただけであったが、クルミルが攻撃的になっていたのも今回のことが影響しているのではないかと思う。

 それに自分の手持ちであるピカチュウの故郷が大変なことになっているのであれば見過ごすわけにはいかない、何に力になりたいと思ったサトルはサムライ青年に情報を教えて貰おうとした。

 

「サムライさん。その今トキワの森を征服しているのはどんなポケモンなんですか?特徴とか何でもいいから知っていることを教えてくれませんか?」

 

 サトルの問いにサムライ青年は答えた。

 

「うむ。全体が紫色で体の大きい割にはとても素早いポケモンでござる。タイプは【どくばり】や【メガホーン】といった技を使ってくることから毒と虫タイプだと思うでござるよ。」

 

 すぐにサトルはポケモン図鑑を取り出すと毒と虫ポケモンに絞って、該当するポケモンを探した。

 

「このポケモンですか?」

 

「おお!其奴でござる!」

 

 そのポケモンはやはりカントーに生息していないはずのポケモンだった。その見た目から獰猛なイメージが強いポケモンでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ペンドラー メガムカデポケモン

 虫・毒タイプ

素早い動きで敵を追い詰め頭のツノで攻撃する。とどめを刺すまで容赦しないとても攻撃的なポケモン』

 

 

 

 

「ペンドラーか。これは厄介なポケモンだね」

 

「こんなポケモンに出会ったら、私達みたいに旅に出たばかりのトレーナーには無理だよ!」

 

 ペンドラーの図鑑データを確認したサムライ青年は今度はあるポケモンを調べて欲しいとサトルに注文する。

 

「このペンドラーとやらの進化前のポケモンはいるのでござるか?居たら其奴も調べて貰いたい」

 

「わかりました」

 

 すぐにサトルはペンドラーの進化前に値するポケモンであるフシデとホイーガをサムライ青年に見せた。その二体を見た彼の表情は次第に固くなり、眉間にしわを寄せながら首を少し横に傾けた。

 

「…やはり、可笑しいでござる」

 

「可笑しいとはなんですか?」

 

「拙者はここに生息しているポケモン達のことは全て把握しているでござる。しかし其奴の進化前であるそのポケモン達の姿は確認していないでござる」

 

「つまり、ペンドラーの進化前のポケモンをここには生息していないということ?」

 

「ここには何年も住んでいる拙者が言うのだ間違いない。つまり進化して現れたポケモンではないということでござる」

 

 これほどの他方からのポケモンがカントーにいるのでそのポケモンもトキワの森にいると考えても不思議ではないと思ったが、その進化前のポケモン達はこの森に住み着いていないことが判明された。

 なのにペンドラーが突然として現れた理由。それは……

 

 

 

「誰かに捨てられたポケモン?」

 

 それはカントーの生態を変えた原因の一つでもあり、人間の身勝手さが巻き起こした最も卑劣な行いであった。

 

「そうだとしか考えられないと思うよ。進化前のポケモンもいない、それなのに突然としてこの森に現れたポケモンってことからね」

 

「それが本当なら酷いよ。だってせっかく仲間になってくれたポケモンにそんなことするなんて!許されることじゃないよ…」

 

 トレーナーとして旅に出たばかりのリーリエ達にはとても考えにくいことだ。リーリエ達と同じくポケモントレーナーを夢に見た者がなぜそんなことを平気でやれるものなのかと、静かな怒りと胸の痛みがこみ上げてくる。

 すると、何処からかデデンネは慌てた様子でサムライ青年の元へと向かった。髭に少しばかり電流を発していたその様子をみて、サムライ青年もすぐにその場を立ち上がる。

 

「どうしたんですか?」

 

「おそらく奴が現れたでござるよ」

 

「奴ってペンドラーのこと?」

 

「デデンネの髭はアンテナの役割になっていいて、電気を使って他の電気タイプのポケモンと交信をすることができるのでござるよ。たぶん、野生のピカチュウからのSOSをいま受け取ったのでござるな!デデンネ!案内するでござるよ」

 

 家の外に飛び出したデデンネの跡を追うようにサムライ青年もすぐに外に出た。

 

「私達も行ってみよう!」

 

 カノンの一言に真っ先にサトルのピカチュウは外へと飛び出して行った。同じ電気タイプのピカチュウならデデンネが行った場所までわかっているのであろう、ピカチュウを先頭にリーリエ達もペンドラーが現れたという場所へと向かった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 見渡す限り木々が生い茂っている。一回でも方向を間違えると、一瞬で迷い込んでしまうであろうトキワの森。だが、いまのリーリエ達はそんな心配はなかった。同じく繰り返される光景には気には止めず、ピカチュウは木から木へと走りぬく。それを追うようにリーリエ達も無事に目的である場所にたどり着いた。そこには先ほど先に向かっていたサムライ青年とデデンネ。そして、すっかり怯えきっているピチューとピカチュウ達が身を寄せ合っている。

 

「野生のピチューとピカチュウだ!」

 

 サムライ青年の隠れろとの合図ですぐにリーリエ達は茂みに身を隠した。サムライ青年が指指した向こうにはポケモン図鑑で調べた通りであった、ペンドラーの姿を確認した。

 

『いたロト!あれがペンドラーロト!』

 

「大きい……」

 

「また、他のポケモン達の住処を奪っているのでござるか。慣れない環境に放り出されイラつく気持ちは分かるが、これ以上はもう好きにはさせられないでござるよ!」

 

 茂みから身を乗り出したサムライ青年はペンドラーの前にと立ちふさがった。突然現れた人間にペンドラーは威嚇を始めた。リーリエ達は自分達が今まで見てきたポケモンとは違う迫力差に一瞬、身ぶるいをしてしまった。だが、そんな中サムライ青年は震え上がるどころか一歩と前にと進むとペンドラーを説得しにかかる。

 

「ペンドラー殿!お主が辛い気持ちは分かる!だがここで暮らすには他のポケモン達の事も考えるでござるよ!お主には協調性というものを持たねば……」

 

 説得は虚しく、ペンドラーはすぐさま毒液をサムライ青年の少し前に向けて放たれた。当たらないように攻撃を仕掛けたというと次はこのままで済まさないというペンドラーからの忠告であろう。

 

「おサムライさん!!!」

 

「くっ、ならば仕方ないでござる!出陣でござるよ!」

 

 放たれたモンスターボールからは一体のポケモンが出現した。もうこうなれば戦うしかペンドラーを大人しくさせる手段がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『カイロス くわがたポケモン

 虫タイプ

自分の体重の二倍もある相手をツノで挟み軽々と持ち上げる。寒い場所では体の動きが鈍る』

 

 

 

 カイロスの出現にさらに興奮したペンドラーは頭の上の角を身ぶるいさせ、攻撃体勢に入る。

 

「覚悟するでござる!カイロス!【はさむ】攻撃‼︎」

 

 カイロスは自慢の鋏を大きく広げ、ペンドラーに向かって走り出す。それに対抗するようにペンドラーは角を前に出し、虫タイプ最強クラスの技【メガホーン】を繰り出す。

 

「受け止めるでござる!」

 

 ペンドラーの猛攻をカイロスは自慢のパワーで受け止めた。さらに鋏でペンドラーの体を掴むとそのまま自分の体重の倍以上もあるペンドラーを軽々と持ち上げた。

 

「すごい!」

 

「そのまま投げ飛ばすでござる!」

 

 投げ飛ばされたペンドラーは木に叩きつけられてしまった。ダメージを負ったペンドラーに攻撃の手を緩めることなくカイロスはすぐ様次の攻撃を仕掛けに行く。

 だが、もうすでにペンドラーは次の攻撃を繰り出していたことにサムライ青年もカイロスも気づいていなかった。毒エネルギーが帯びた長い尻尾がそのままカイロスを横に大きく振り払ったのだ。それなりに距離はあったのだが、胴体が長いペンドラーには関係のないことであった。

 

「カイロス!!!」

 

『今のは【ポイズンテール】だロト!』

 

「しっかりするでござる。カイロス!」

 

 勝利を確信したのか、笑みを浮かべるペンドラーはさらに【どくばり】で追い討ちを掛けた。

 

「「【ひのこ】!!」」

 

 無数に放たれた毒針は何処からか放たれた火の粉よって消されてしまった。ペンドラーは知らなかったのだ、自分が戦っている相手がサムライ青年のカイロスだけではなかったのだと…火の粉が放たれた方角に目を向けるとそこには三人のトレーナーが立っていた。

 

「お主達!!!」

 

「私達にも手伝わせて下さい!」

 

「あのペンドラー相当強いけどみんなで力を合わせれば倒せない相手じゃないね」

 

「うん!それじゃ行ってみますか!」

 

 さらにイラつきが増したペンドラーは唸り声を上げトキワの森全体を轟かせた。その威圧は辺りの野生ポケモン達が一斉にして逃げ出してしまうほどである。だがそんなものに負けるかと、リーリエ達もそのポケモン達もバトルの体勢を取り始める。

 

「シロン!【こなゆき】‼︎ キモリ!【タネマシンガン】‼︎」

 

「「ヒコザル!ヒトカゲ!【ひのこ】!!」」

 

 シロン達の攻撃が一斉に放たれた。しかしペンドラーはその巨体に似合わず、物凄いスピードでシロン達の攻撃を意図も簡単に躱したのだ。

 さらに攻撃を続けるのだが当てることができない。何を隠そう、ペンドラーは自身のステータスの中でも攻撃よりも素早さが最も高いポケモンなのだ。

 

「ダメ!早すぎるよ〜」

 

「あの素早い動きを封じない限り、わたくしたちの攻撃が当りません。どうすれば…」

 

 素早さを封じるにもシロンの【こごえるかぜ】も当たらなければ意味がない。頭を悩ませる中、サトルはクルミルの方へ目をやるとある策を思いついた。

 

「そうだクルミル!君の粘着性が高い糸ならペンドラーの動きを封じることができるかもしれない!」

 

 自分の帽子を縫い合わせるほどの粘着性の高いクルミルの糸なら、あのペンドラーの動きを少しばかりか止めることが出来るかもしれない。サトルの一言にクルミルを打ってくれるように、小刻みにジャンプしながらそれを表していた。

 

「ですが、攻撃が当たらなければ意味がないのでは……」

 

「……僕に考えがある。いいみんな!」

 

 すぐにサトルは簡潔に自分が考えた作戦をリーリエとカノンに伝えた。リーリエはさらにモンスターボールからムックルを取り出すと、二人はすぐにサトルの指示のもと自分達のポケモンに指示を出す。

 

「お願いします。ムックル!キモリ!」

 

「ヒコザルもお願いね!Go‼︎」

 

「ピカチュウも頼む!」

 

 ムックルはペンドラーの周りを飛び、他三体は木から木へとつたって同じようにペンドラーの周りを駆け回り始めた。

 振り払おうとペンドラーは攻撃を仕掛けるがキモリ達は反撃することなくその攻撃を躱し続ける。すると攻撃を続けるペンドラーの動きが急ブレーキがかかったようにその場で止まってしまった。キモリ達の動きに気を取られすぎたのか、足元に目をやるとそこら中に糸が張り巡らせておりそれに足を取られてしまったようだ。

 

「よし、上手くいった!」

 

 キモリ達がペンドラーの気を引いているうちにクルミルは糸をペンドラーの行動範囲に張り巡らせていたのだ。それに気づかないペンドラーがその糸を絡ませて動きを封じる。これがサトルが考えた作戦だったのだ。

 ペンドラーは必死にその糸から逃れようとするが、へばりつく糸から中々脱出できないでいた。

 

「フシギダネ!【つるのムチ】‼︎」

 

 さらに動きが止まったペンドラーにフシギダネはつるでがっちりと拘束し、暴れないようにペンドラーを押さえつけた。

 

「シロン!【こごえるかぜ】‼︎」

 

 さらにリーリエはシロンの技で攻撃を仕掛ける。

 

『糸が切れるロト!!!』

 

 更新の力でなんとか糸の呪縛から解き放たれたペンドラーはシロンの方を目にやると、毒針を放射する体勢を取った。だが、もうすでにリーリエ達は次の攻撃の指示を送っていたことにペンドラーは気づいていなかった。

 先程までペンドラーの周りを駆け回っていたキモリとヒコザルの姿はもうなかった。毒針を放射しようと頭を前に乗り出したペンドラーに向かって、地中から三体のポケモンが飛び出した。【こごえるかぜ】の追加効果もあったと思うが、判断が遅れたペンドラーはその攻撃を躱すことが出来なかった。

 

「「「【あなをほる】!!!」」」

 

 練習していた技が成功した。キモリとヒコザルとヒトカゲのトリプル攻撃は見事にペンドラーに決まった。虫タイプも加わっているので効果は抜群までにはいかなかったが、放とうとした毒針エネルギーも暴発し、そのダメージも合わさったこともあり十分なダメージを与えることができた。

 フラつくペンドラー。キモリ達を呼び戻すとサムライ青年は最後の一撃をペンドラーに食らわせた。

 

「いまでござる!カイロス【ギガインパクト】‼︎」

 

 ノーマルタイプ最強の物理技が決まる。衝撃波が辺りに広がりその威力は凄まじいものであった。流石のペンドラーもこの攻撃を食らってしまったとなればもう戦う力が残されていない。カイロスに吹き飛ばされた後、その場で気絶してしまった。

 

「行けっ、モンスターボール!」

 

 サムライ青年が投げたモンスターボールはペンドラーに向かって投げ出される。そのままペンドラーは吸い込まれていき、モンスターボールの開閉スイッチはしっかりと閉められた。

 

「ペンドラー捕獲完了でござる」

 

 ペンドラーの捕獲が無事に完了されたことを知った野生のポケモン達は安心した様子でリーリエ達の周りに集まっていく。

 

「やりましたね」

 

「あぁ…お主達が協力してくれたおかげでござる。忝ないでござる」

 

 サムライ青年は深々とリーリエ達に頭を下げた。それに続くかのように野生のポケモン達もありがとうと言わんばかりに一斉にリーリエ達の周りで騒ぎ始めた。さっきまで静かだったトキワの森が急に騒がしくなり、リーリエ達はトキワの森にはこんなに多くのポケモン達が住んでいたのだと、改めて知ることが出来た。

 

「そのペンドラーはどうするのですか?」

 

「そのまま保護施設に預けるでござるよ。ペンドラーの侵入経路についても調べないと行けないでござるからな」

 

 悪いようにはされないようで安心するリーリエ達。ペンドラーは好き勝手に暴れていたのではなく慣れない土地での生活によるストレスによって引き起こされた物であることは分かっている。一番辛かったのはペンドラーであったことは忘れてはいけないのだ。

 

「これもすべてサトルのおかげだよね」

 

「えっ…僕が?」

 

「そうですよ。サトルの適切な作戦のおかげで無事にペンドラーを保護することができたのですから。とてもカッコ良かったですよ」

 

「そ…そんなことは…」

 

「あ〜サトル、リーリエにカッコ良いって言われて照れちゃたのかな〜♪」

 

 

 

「っっ‼︎ だけどみんなが力を合わせてくれたからこそ、この問題を解決できたんだし僕一人のおかげではないよ!それにクルミル達のおかげでもあるんだから、ありがとうクルミル!」

 

 赤面した顔を誤魔化すようにサトルはクルミルに目をやる。クルミルもその場で小刻みにジャンプしていると、いきなりサトルの胸に向かって体当たりしてきた。

 

「いてて…いきなりどうしたんだよ。クルミル?」

 

 痛がるサトルに御構い無しにクルミルはサトルに笑顔を向けている。問題が解決したのにも関わらずクルミルはサトルの元を離れようとしないでいた。その様子を見たサムライ青年は笑いながらサトルに話かけた。

 

「はははっ!どうやら、クルミルはお主のことを気に入ったようでござるよ。」

 

「えっ?」

 

「お主の戦いぶりを見て、自らお主のことを主人として認めたということでござるな」

 

「そうか…クルミル。もしよかったら僕と一緒に旅をしてみないかな?」

 

 サトルの問いにクルミルは大きく返事をする。どうやら、サトルの手持ちに加わってくれるようだ。

 

「やったね!サトル!」

 

 すぐにサトルは空のモンスターボールを取り出すとそれを見たクルミルはサトルから少し離れて行った。クルミルの目つきは鋭くなり体をウズウズさせながらサトルを睨みつけている。

 

「どうやら、バトルはして欲しいようでござるな」

 

 その様子から悟ったサムライ青年はサトルに言い放った。その挑戦を受けてあげるようにヒトカゲも小さく鳴き始めた。

 

「よし分かった。バトルしよう。クルミル!」

 

 合図とともにヒトカゲとクルミルはお互いを睨め付けあった。先手を繰り出したのはヒトカゲだ。

 

「ヒトカゲ!【ひのこ】‼︎」

 

 ヒトカゲの火の粉がクルミルに繰り出されると、クルミルは自分の糸を木の枝に貼り付けそのまま上へと登っていく。木々の茂みに隠れるとそのままヒトカゲに攻撃を繰り出していく。

 

『木々に身を隠して【はっぱカッター】を決める。良い作戦ロト!』

 

「これじゃあ、最初に戦ったときと同じだよ〜」

 

 身を潜めるならこっちだって、サトルはヒトカゲを後ずさりさせると次の攻撃の指示を言い放つ。

 

「それなら…ヒトカゲ!【あなをほる】‼︎」

 

 ヒトカゲも地中に潜って身を隠す。ヒトカゲの姿も見えなくなったと同時にクルミルも攻撃の手を休めた。ヒトカゲの様子を確認しようと茂みから姿を現わすクルミル。すぐにサトルはヒトカゲに指示を送った。

 

「【ひのこ】‼︎」

 

 地中から飛び出したヒトカゲはクルミルに火の粉を放った。咄嗟の判断でそれを躱したクルミルはすぐにヒトカゲに糸を放射した。

 

「もう一度【あなをほる】‼︎」

 

 すぐにまた地中に身を隠すヒトカゲ。出てきては攻撃をし躱されば地中に潜るの繰り返し、周りはヒトカゲが掘ったいくつものの穴が広がっている。ヒトカゲのヒットアンドウェイ戦法が暫く続く中、再び地中へと潜るがそのまま姿を見せなくなった。

 

「ヒトカゲ、出て来ませんね」

 

「サトル。何考えてるんだろ?」

 

 ヒトカゲの攻撃が止んだ事に気になるクルミルは木から降りると、ヒトカゲが掘った穴を覗き込みヒトカゲの様子を伺おうとしていた。

 

「今だ、ヒトカゲ!そのまま【ひのこ】‼︎」

 

 ヒトカゲは地中に潜ったまま火の粉を放つ。火の粉は地中を掘り進む事で出来た通り道を通って、無数の穴から次々と火柱が立ち上がるようにして放射された。すぐに木へと移って躱そうとしたクルミルだが、近くの穴から放射された火柱によって空中へ吹き飛ばされてしまった。

 

「【ひっかく】だ‼︎」

 

 地中から飛び出したヒトカゲはそのまま空中で身動きが取れないクルミルに攻撃を決めた。火柱のダメージも負っているクルミルはそのまま地面へと倒れ込む。

 

『クルミル捕獲率82%ロト!』

 

「今だよ!サトル!」

 

「うん!よし、行け!モンスターボール!」

 

 モンスターボールに吸い込まれていくクルミル。開閉スイッチが閉まるまでのカウントダウンが始まった。左右に大きく揺れていたモンスターボールは開閉スイッチが完全に閉まると一緒に止んだ。

 

「よし、クルミルゲットだ!お疲れ様ヒトカゲ!よく頑張ったね!」

 

「うむ!見事なゲットだったでござるよ」

 

「おめでとうございます。サトル!」

 

「ありがとう!よし、出てこいクルミル!」

 

 モンスターボールが出てきたクルミルにサトルは腰を下ろし、改めてクルミルに挨拶を交わした。

 

「クルミル!これから宜しくねって…わぁ‼︎」

 

 サトルがクルミルの頭を撫でようとした瞬間、クルミルは糸でサトルの体をグルグル巻きにした。クルミルは身動きが取れずそのまま倒れこんでしまったサトルに寄り添った。その顔はとても満足気であった。

 

『なるほど、これがこのクルミルの愛情表現みたいロトね』

 

「う〜、誰か…助けてくれないか?」

 

 こうしてサトルは新たにやんちゃで元気一杯なクルミルを新たに自分の手持ちに迎えいれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

「この道を真っ直ぐに行けばニビシティに着くでござるよ」

 

「はい!ありがとうございます」

 

 サムライ青年の案内により無事にリーリエ達はトキワの森を抜けることが出来た。次の街ニビシティに迎うとしたその時、茂みから現れたデデンネは三人にそれぞれオレンの実をプレゼントした。

 

「森を護ってくれたお礼のようでござるな」

 

 デデンネからオレンの実をリーリエは満面の笑みで受け取った。

 

「ありがとうございます。デデンネ」

 

 リーリエはそうお礼をいうと、デデンネはそのまま木をつたって森の奥へと消えてしまった。

 正直なところデデンネをゲットして置きたかったなぁという気持ちもあったが、また安心して森に住めるようになり嬉しそうだったデデンネに森から離れさせることが出来なかった。リーリエに続いてカノンとサトルも森の中へ消えて行ったデデンネにありがとうと、伝え大きく手を振った。

 

「本当にお主達には感謝しているでござるよ。ありがとうでござる。ジム戦頑張るでござるよ。」

 

「はい!それじゃあ、僕達はこれで!」

 

「うむ、達者で!」

 

 サムライ青年に別れを告げたリーリエ達はニビシティへと旅立って行った。

 さぁ、ジム戦の日はもうすぐだ!




 サトシの初ゲットがキャタピーなので、サトルのゲット回もそれを意識してクルミルにして見ました。
 次回ははジム戦回です。長年サトシの旅に連れ添ってくれたあの男も登場します。
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