ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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 今回はちょっとしたシリアスな回となっています。


第十四話 暴走

 午前中のリーリエのジム戦を終えてから、午後からの試合はカノンが挑戦することになった。リーリエと同様、白熱としたバトルが続いていき、そして遂に勝負が終えようとしていた。

 

「ゴローン戦闘不能!フシギダネの勝ち!

よって勝者はチャレンジャー、カノン!」

 

「やったぁぁ!お疲れフシギダネ♪」

 

「おめでとうございます!カノン」

 

「やったね。カノン!」

 

「うん!」

 

 無事にカノンは勝利を収めることが出来た。流石に緊張していたのか、バトルが終わったと同時にカノンはその場で崩れ落ちてしまった。

 

「ニビジムを降した証、グレーバッチです」

 

「ありがとうございます♪」

 

 バッチを受け取ったカノンはヒコザルとフシギダネと一緒に喜び合っていた。さぁ、最後はサトルの出番だ。改めてサトルはジムリーダのジロウに挑戦をお願いしようとしたが、ジロウは申し訳なさそうにサトルに答えた。

 

「それでサトル君はなんだけど…回復させているとはいえ連続のバトルはヨーギラス達には負担が大きすぎる。ですからサトル君のジム戦は明日に回してもいいですか?」

 

 確かにこうも連戦が続いてしまうとジロウのポケモン達は普段通りの力を発揮出せない可能性がある。

 

「分かりました。それでしたら明日また伺います」

 

 了承したサトルは改めて明日の朝一番に挑戦させて貰う約束をジロウと交わすと、リーリエ達はポケモンセンターへと帰っていった。リーリエ達がジムを跡にした後、今回の反省点を含めてタケシはジロウに今日のバトルの事について話しかけた。

 

「お前もどうだったジロウ?二人のバトルは」

 

「僕の方こそいろいろと勉強になったよ。特にリーリエさんのバトルスタイルは何となくサトシさんと似ていましたね」

 

 それはタケシも感じでいた。ポケモン達の力を信じ、ポケモン達の特徴を生かした臨機応変なバトルスタイルをして戦うリーリエの姿は何となくサトシと重なって見えていた。

 

「そうだったな。あいつ…いま何処で何してるんだろうな」

 

 何処か懐かしそうにタケシは、ジムの天井に設置されているスプリンクラーを見ながらそう思っていた。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 ポケモン達を回復し終えたリーリエ達は夕食を取っていた。ポケモンセンター内のレストランはバイキング形式であり、各々自分達が食べたい分だけ持っていけるのである。

 自分のを取り終えたカノンは席の方へと目をやるとサトルの姿がない事に気付いた。カノンはすぐに先にテーブルについているリーリエに聞いて見た。

 

「リーリエ。サトルは何処行ったか知ってる?」

 

「サトルなら明日の調整しに行ってくると言ってました。お手伝いしようと思ったのですが、様子を見るだけだから大丈夫だと」

 

「そっか♪サトルもあんなに頑張るとは感心!感心!」

 

 サトルは明日のためにポケモン達の再調整を行なっている事を知ったリーリエとカノンは先に食事を済ませて置くことにした。

 

「それにリーリエは最初はどうなっちゃうかと心配したよ。急にまた緊張しだしたりするんだもの」

 

「本当にご心配をお掛けしました」

 

「だけど、バトル前に目を瞑ってからは気持ちに余裕が生まれたよね!あの時は何を思ってたの?」

 

 今日のジム戦の事を話そうとしたカノンは真っ先にその話題を切り出した。正直、緊張して今にも倒れそうだったリーリエはどう立ち直ったのか、バトルとは関係ないが少し気になっていた。質問されたリーリエは少し頬を赤らめながら答えた。

 

「今までの旅とアローラにいた時の自分を振り返ったのです。特にアローラにいた頃はポケモンバトルの楽しさをサトシから教わっていました。それで彼の事を思い浮かべたら急に安心することが出来たんです。」

 

 仲間達との思い出が今のリーリエの力の源になっているのかもしれない。そう嬉しそうなリーリエを見ていたカノンは確信めいたようにリーリエにもう一つの疑問をぶつけた。ぶっちゃけ、これが一番聞きたかったことかもしれない。

 

「……ねぇ、リーリエ」

 

「はい?」

 

「前から気になっていたんだけどさぁ…」

 

 

 カノンの目が真剣ですね。何なのでしょうか。そう思いながらリーリエはカノンの質問に耳を傾けた。そして…カノンはご飯を口に頬張りながらリーリエに聞いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リーリエってサトシのこと好きなの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーリエの思考が停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リ…リーリエ?」

 

 魂が抜けたように目を丸くしながら固まっているリーリエをカノンは恐る恐るリーリエの肩を揺らし始めた。すると…

 

 

 

 

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 突然の如くにリーリエの断末魔がポケモンセンター内に響き渡った。

 

「うわぁぁ!!!ちょっとリーリエ‼︎」

 

 突然の事に驚いたカノンはリーリエを落ち着かせ始めた。もう答えを聞く余裕がなくなった。リーリエはただいま混乱状態だ。おそらくリーリエの頭にはたくさんのアチャモが輪になって回っているであろう。

 

 

「きゅ…き…急に…何を言い出すのですか‼︎カノン!」

 

「いやいやいや、だって何となくそう思えるもん!サトシの事を話すリーリエ。なんだか楽しそうだし、少し顔を赤らめたりするもん‼︎」

 

 

 

 

 

 

 わたくしが…サトシのことを…

 

 そんな事考えたことも…

 

 

 

 混乱する中、サトシの顔を浮かべるリーリエ。カノンに言われたからということもあったのか、浮かべるだけでも熱が出るぐらいに

さらに顔が赤く染まってしまった。

 

「そ…それは、で…でもサトシはわたくしのあ…憧れでもありまして、一人の…お…お友達というわけ…で…ありまひてぇ〜そ…そんな」

 

「わかった!リーリエ落ち着こう」

 

 流石にここまで動揺するとは思わなかったカノンはリーリエをさらに落ち着かせる。何よりも周りの視線が気になって仕方がない。そして、さらにヒートアップしているリーリエにロトムがとどめを刺す。

 

『リーリエの心拍数が急激に上がりだしたロト。これが恋する人間の特徴ロトね!』

 

 

 

 恋…恋…

恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋恋…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーリエは壊れた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「計測しないで下さい!!!」

 

『あれぇぇぇぇぇ!!!』

 

「ロ…ロトム!!!」

 

 リーリエの【はたく】攻撃がロトムに決まった。叩かれたロトムはそのままおもいっきり遠くの壁に叩きつけられてしまった。もう手に負えない…さらに混乱するリーリエを冷やして落ち着かせようと思ったシロンは冷気を放つ。

 

「えっ⁉︎」

 

 マイナス五十度の冷気がリーリエに包み込まれる。シロンもこんなに取り乱すリーリエを見たことがなかったため相当焦っていたのであろうか、力の加減が出来ずそのままリーリエは氷漬けになってしまった。

 

「わぁぁぁ!リーリエがぁぁぁ!!!」

 

 ひとまず騒ぎが収まったが、また別の問題が起きてしまった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 バトル施設でサトルはポケモン達の技の調整を行っていた。三体ともコンディションは良く明日のジム戦に気合が入っている。その気合が新たな成長の糧となったのか、その内の一体のヒトカゲは新たな技を覚えたようだ。

 

「このタイミングにこの技を…すごいよヒトカゲ!」

 

 明日のジム戦に対抗できる技を覚えてくれたようで、ヒトカゲも嬉しくその場を小刻みにジャンプを繰り返している。

 すると、サトルはピカチュウの方へと目をやると少し不安げな表情を浮かべる。

 

「ピカチュウ。やっぱり僕は…」

 

 あることを気に欠けているサトルは自信無さそうに呟くと、ピカチュウは頬の電気袋から発生させた静電気をサトルの指に放つ。ピリッとした感覚に驚いたサトルはピカチュウに目をやる。ピカチュウの真剣な目を見たサトルは決心した表情でピカチュウの頭を撫でる。

 

「ごめんピカチュウ。トレーナーである僕が信じてあげないといけないよね」

 

 ピカチュウと同じようにヒトカゲとクルミルもサトルに寄り添うようにして近づいてきた。頼りになる自分のポケモン達を見たサトルは胸を張って立ち上がると、改めて自分の決意を固めた。

 

「明日は僕達の初めてのジム戦だ。トレーナーとしてまだ未熟だし、頼りない所もあると思うけど、それでも僕と一緒に戦って欲しい。だから…明日はみんなでが…がんばリーリエして行こう!!!」

 

 サトルなりに和ませようと必死にボケをかました。恥ずかしがるサトルに三体は笑いだす。その光景を見たサトルも一緒になって笑い出した。暫く笑いあってからサトルは三体ともにポケモンセンターへと戻っていく。

 

「なんか、騒がしいね」

 

 ポケモンセンターでは少しレストランの方で騒つく様子が見られた。その原因が自分の知り合いが引き起こしていたことは今のサトルは知るよしもなかった。

 

 

 ちなみにリーリエは無事に人口冬眠(コールドスリープ)から目覚めたようだ…

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「待ってましたよ。サトル君」

 

「おはようございますジロウさん。今日はよろしくお願いします」

 

 翌日、再びリーリエ達はニビジムに訪れた。気合が入っているのかサトルはポケモン達をモンスターボールに入れずにいた。

 リーリエとカノンは観戦席へと移動し、サトルとジロウは向かい合うようにしてトレーナーサイドへと立った。

 

「これにより、ジムリーダーのジロウとチャレンジャーのサトルとのニビジムのジム戦を開始します。使用ポケモンは三体。どちらかのポケモンが全て戦闘不能となりますとバトル終了となります。また、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます。まずはジムリーダー、ポケモンをバトルフィールドに!」

 

 審判の合図と共にジロウは最初のポケモンを繰り出した。

 

「行けっ!イシツブテ‼︎」

 

「最初はイシツブテか。よし」

 

 リーリエ戦では【ステルスロック】などを使いかなり手強そうだったポケモン、イシツブテが今回のジロウの一番手らしい

 

「頼むぞ!クルミル‼︎」

 

 サトルの戦法は草タイプを持つクルミルだ。イシツブテに対して相性はいいが、虫タイプも備わっているため岩タイプの技もクルミルには効果は抜群だ。最初は互いに弱点がつかれている者同士のバトルとなった。

 

   「それではバトル開始!!!」

 

 

 

➖サトルvsジロウ➖

 

 

「イシツブテ!【ロックブラスト】‼︎」

 

「クルミル!【いとをはく】‼︎」

 

 イシツブテによる岩の弾丸がクルミルに向かって打ち出される。その攻撃をクルミルは口から発射した糸をフィールドに設置されている岩にくっつけ、自分の体ごとその岩に向かって糸を辿るようにしてイシツブテの攻撃を躱した。これは初めてサトルがクルミルと戦った時に見せた戦法だ。

 

「今度は相手に向かって【いとをはく】‼︎」

 

 今度はイシツブテに向けて糸を発射し、イシツブテの体を縛り上げた。

 

「そのまま投げ飛ばせ!!!」

 

 そのままクルミルはイシツブテを糸で縛り上げたまま、遠心力を使って勢いよく投げ飛ばした。投げ飛ばされたイシツブテは勢いよく岩に叩きつけられた。

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

「す…すごい」

 

『あれがクルミルのパワーロトか!』

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 クルミルのフルパワーにより岩に叩きつけられたイシツブテは結構なダメージを負っていた。その様子を見たクルミルは自慢げに胸を張っている。

 

「いいね。イシツブテ!【ころがる】攻撃‼︎」

 

「【はっぱカッター】で迎え撃て‼︎」

 

 体を高速縦回転でクルミルに向かって走り出すイシツブテ。そのイシツブテに向かってクルミルは無数の葉の刃で応戦する。だが、そのクルミルの攻撃をパワーで弾き返されてしまい、イシツブテによる攻撃はそのままクルミルに決まってしまった。

 

「クルミル!!!」

 

 イシツブテの転がるを食らったクルミルは岩におもいっきり叩きつけられてしまい、その衝撃で崩れ落ちる岩の瓦礫の下敷きになってしまった。焦り始めたサトルに追い打ちをかけるようにジロウはあの技を繰り出す指示をイシツブテに送った。

 

「イシツブテ!【ステルスロック】‼︎」

 

 交代して出てきたポケモンを襲う技。クルミルがすぐに攻撃する事が出来ないこのタイミングにジロウはこの戦いを有利な方へと進めるために仕掛けようとしていた。

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

「えっ?ここで【ステルスロック】?」

 

「トラップを仕掛けることでさらにサトルにプレッシャーを与えに行っているようです」

 

 あの攻撃の恐ろしさを身を持って体験はしたリーリエとカノンはお互いに冷や汗を流していた。

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 岩のトラップを仕掛けようとイシツブテは光の線をクルミルの周りに打ち出した。【ステルスロック】を貼られたら厄介だ、サトルはクルミルの根性を信じて技の指示を送った。

 

「クルミル!【はっぱカッター】‼︎」

 

 サトルの想いが届いたのか。クルミルは【はっぱカッター】で瓦礫ごと弾くと、そのままイシツブテの【ステルスロック】を仕掛けようと打ち出された光の線を打ち消した。そして、阻止するだけでもなくそのままクルミルの攻撃はイシツブテにも決まったのだ。

 

「今だ!【いとをはく】で縛り上げろ‼︎」

 

「イシツブテ!【ほのおのパンチ】‼︎」

 

 ふらつくイシツブテに糸で縛り上げようとしたが、イシツブテは炎を纏った拳でクルミルの糸を燃え消した。イシツブテは苦しい表情を浮かべていながらも、根性で【ほのおのパンチ】で攻撃をしようとクルミルに向かって突進していく。

 

「【はっぱカッター】‼︎」

 

 そんなイシツブテを止めるようにクルミルは再びを攻撃を始めた。クルミルの攻撃はイシツブテに当たったが、怯むことなくそのままクルミルに【ほのおのパンチ】を食らわせた。この攻撃により四倍ダメージを負ったクルミルはその場で倒されてしまった。イシツブテも攻撃を決めた途端、全ての力を出し尽くしたようであり、ふらつきながらその場で倒れてしまった。両者が再び立ち上がる様子はなかった。

 

「イシツブテ!クルミル!共に戦闘不能!」

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

 先鋒から激しい戦いを見せた二匹のバトルは同時に戦闘不能となった。その息詰まる戦いをリーリエとカノンは固唾を飲んで見ていた。

 

「相打ち…ですか」

 

「息が詰まるバトルだったね」

 

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 サトルとジロウはそれぞれのポケモンをモンスターボールへと戻した。

 

「戻れイシツブテ!ご苦労様でした」

 

「戻れクルミル!ありがとう!ゆっくり休んでくれ」

 

 戦ってくれたポケモンにお礼の一言を述べた後、ジロウは二体目のポケモンをバトルフィールドへと放った。

 

「行けっ!イワーク‼︎」

 

 その大きさに圧倒されながらもサトルは二体目を放った。

 

「頼むぞ!ヒトカゲ‼︎」

 

 サトルの合図と一緒にヒトカゲは小さな火の玉を口から放ち、気合いをあげた。両者のポケモンが出揃った所で審判よる開始のコールが入った。

 

「ヒトカゲ!【あなをほる】‼︎」

 

「イワーク!地面に向かって【たたきつける】‼︎」

 

 弱点を突こうとヒトカゲは相性の良い地面タイプの技を仕掛けた。するとイワークは大きな尻尾でフィールドに向かって叩きつけた。フィールド全体に地鳴りが起こった。それによって生まれた衝撃波でヒトカゲは地面の中から叩き出されてしまった。

 

「ヒトカゲ!!!」

 

「今だ!【たいあたり】‼︎」

 

 空中へと放り出されたヒトカゲにイワークは体当たりを仕掛けた。

 

「ヒトカゲ!【メタルクロー】‼︎」

 

 負けじとヒトカゲは鋼のように硬化させた爪でイワークの体当たりを受け流すようにして躱した。さらに躱した先にある岩を蹴り上げてイワークの方へと飛び出すと、そのまま硬化させた爪でイワークは切り裂いた。硬い岩をも切り裂いてしまうほどの爪に引っ掻かれたイワークには十分なダメージが入った。

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

「えっ!【メタルクロー】⁉︎」

 

「ヒトカゲ!【メタルクロー】を覚えたのですか!」

 

 見たことがない技を決めたサトルのヒトカゲを見たリーリエとカノンは驚いた様子であった。

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 

「イワーク!!!」

 

 鋼タイプの技を受けたイワークはジロウの呼びかけが聞こえると、頭を左右に大きく振った。これにより気を取り直したイワークは再びヒトカゲを見つめ始めた。

 

「ヒトカゲ!【あなをほる】だ‼︎」

 

「イワーク!【がんせきふうじ】‼︎」

 

 穴を掘って身を隠して、近づいた所で【メタルクロー】決めようと考えたサトルはヒトカゲに【あなをほる】を指示したのだが、イワークは岩石をヒトカゲの前後左右に打ち込むとそのままヒトカゲを挟み込んだ。

 

「あっ!ヒトカゲ!!!」

 

 岩石に挟み込まれてしまったヒトカゲは身動きが取れないでいる。

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

 

『捕まってしまったロト!』

 

「あれじゃあ、逃げられないよ」

 

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 

「ヒトカゲ!脱出するんだ!」

 

 脱出するにも岩石によってがっしりと体を固定されてしまっている。脱出しようともがけばもがうほど岩石が体に食い込んでいく。

 

「イワーク!【たいあたり】‼︎」

 

 身動きが取れないヒトカゲに攻撃の手を止めるジムリーダではない。大きな体を捻じ曲げイワークは勢いよくヒトカゲの方へと向かって行く。もう、この攻撃を防ぐ手がない。イワークの攻撃がヒトカゲに決まるのを黙って見てるしかなかった。

 凄まじい破壊音とともに、イワークの体当たりは岩石に捕まっているヒトカゲに撃墜する。何も出来なかった、目の前で岩石が崩れ落ちていく。まるで自分の無力さを痛感させるように…

 

「ヒトカゲ戦闘不能!イワークの勝ち!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も…出来なかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ごめんヒトカゲ。ゆっくり休んでくれ」

 

 静かにサトルはヒトカゲをモンスターボールへと戻した。

 まだジム戦に負けた訳でもないが、何とも言えない敗北感がサトルを襲う。さらには自分のポケモンを見捨てるような罪悪感も感じるようになり、自分の無力さがサトルの自信をコップに徐々に罅が入るようにだんだんとへし倒されて行く。気力が無くなりつつあるサトルはそのまま呆然と立ち尽くしてしまった。

 

「チャレンジャー!次のポケモンを」

 

 審判の声に反応したピカチュウは自分からバトルフィールドへと立った。そんなピカチュウの様子をみたサトルは自然と我に帰った。ピカチュウも頬の電気袋から電気を発しながら真剣な目でサトルを見ている。

 反省はバトルが終わってから、サトルは一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。

 

「全力でやろう!ピカチュウ‼︎」

 

 ピカチュウの気持ちに応えてからバトルを少し中断させてしまった事に対してジロウに深々とお辞儀返した。

 気力が戻ったサトルであったが、リーリエとカノンとロトムは何処と無く心配で仕方がなかった。

 

「うん!それじゃ、行くよ!イワーク【りゅうのいぶき】‼︎」

 

「ピカチュウ!【でんこうせっか】‼︎」

 

 イワークは息吹をピカチュウへとおもいっきり吐き出した。それをピカチュウは自慢のスピードで攻撃を躱すと一直線にイワークの元へと向かった。だが【でんこうせっか】はイワークには効果が薄い。だが、サトルの狙いはこの後だ。

 

「そのまま!【アイアンテール】‼︎」

 

 【でんこうせっか】のスピードで一気にイワークに近づいたピカチュウは鋼のように硬化させた尻尾でイワークの頭を叩きつけた。これはリーリエがやった時の戦法だ。

 鉄のように硬い一撃はとても大きいものであり、イワークはその勢いに負け地面へと叩きつけられた。

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

 

「決まった!」

 

『効果は抜群だロト!』

 

 カノンとロトムはさっきの心配が一気に無くなったように声をあげた。

 

「………。」

 

「リーリエ!心配ないって!さぁ、応援しよ!」

 

 さっきのサトルの様子が心配になってしまったんだろうと、思ったカノンは軽くリーリエの肩を叩いた。それに反応したリーリエはカノンに軽く笑みを浮かべた。だけど、リーリエが少し黙り込んでいたのはカノンが思っていたのとは違う。

 

「あっ…いえ、ここまで一緒に旅をして来たのですが、こうしてサトルとピカチュウが一緒に戦っているの初めて観たなぁと思いまして…」

 

『そういえば、そうロトね!』

 

 そう、オーキド研究所から一緒に旅をしてからここまでサトルがピカチュウと一緒にポケモンバトルをしているのは、今見ている試合がリーリエにとって初めてだった。

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 

「もう一度!【アイアンテール】‼︎」

 

「イワーク!【たたきつける】攻撃‼︎」

 

 両者とも、自身の尻尾を使った攻撃をぶつけ合う。パワー互角で二体はそのままぶつけ合った反動で後ろに下がる。

 

「イワーク!【りゅうのいぶき】‼︎」

 

「ピカチュウ!【10万ボルト】でガード‼︎」

 

 空中に飛び出していて回避が出来ないピカチュウは電撃でイワークの攻撃を相殺させた。だが、爆風に吹き飛ばされてしまいピカチュウはおもいっきり地面に叩きつけられてしまった。

 

「【がんせきふうじ】だ‼︎」

 

 さらにイワークはヒトカゲの時と同じよう岩石でピカチュウの体を拘束した。

 

「【たいあたり】‼︎」

 

 イワークはピカチュウを捕らえている岩ごと体当たりで粉砕した。ピカチュウはそのまま瓦礫の下敷きとなってしまった。

 

 

 

 

《観戦席》

 

 

「そ…そんな」

 

『残念だけど、勝負は…決したみたいロトね』

 

「………。」

 

 この絶望的な状況にリーリエとカノンとロトムは悪しからずサトルの敗北を考えてしまった。

 電気技も効かず、さらに控えのポケモンがあと一体いる。イワークを倒せたところでピカチュウの体力が十分に残っている確証がない。

 

 考えたくないが…考えてしまうのだ

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

「ピカチュウ!戦闘ふ…⁉︎」

 

 審判によるピカチュウの戦闘不能の判断が下されようとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然の地鳴りとともにフィールド全体が大きく揺れ始めた。

 

「なんだ⁉︎」

 

 突如のことに周りを見渡し原因の元を探そうとするジロウ。するとピカチュウが埋まっている瓦礫から凄まじい電撃が発しられた。その電撃により吹き飛ばされた瓦礫の中からボロボロになりながらも、立ち上がるピカチュウの姿があった。ピカチュウの姿に安心したリーリエ達であったが、ピカチュウの様子を目を凝らしてよく見てみると何かが可笑しいと悟った。

 ピカチュウの目は血走っていており、雄叫びを上げながら、電気袋から溢れ出る電気を大きく周りに放っていた。

 

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

 

『ピピピピピ!!!信じられないロト!ピカチュウの電圧が一気に上昇しているロト!』

 

「それよりも、ピカチュウの様子がなんか変ですよ!」

 

 電撃を垂れ流しに発しているピカチュウ。その電撃によってリーリエとカノンの髪は静電気によって上へと浮かび上がってしまう。つまりピカチュウの電撃は観戦席までに影響をもたらすぐらいに強いということが分かるのだ。

 

「やぁ、どうだい?サトル君のジム戦は」

 

 固唾を飲んでジム戦を見ているリーリエ達の後ろから仕事の休憩の合間をとってジムの様子を観にきたタケシの姿があった。

 

「タケシさん!!!それが…」

 

「これは…一体」

 

 リーリエ達の不安げな顔から察したタケシはバトルフィールドに目をやると、電撃を発しながら雄叫びを上げているピカチュウの姿に驚愕していた。

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

 

「ピカチュウ!!!落ち着くだ!ピカチュウ!!!!!!」

 

 サトルは必死にピカチュウを呼ぶものもピカチュウはそれに応えてくれない。それどころかピカチュウはサトルの指示を聞かずに電撃を自分の身に纏うとそのままイワークに向かって突進していく。

 凄まじい電気エネルギーと一緒にピカチュウはイワークへと向かっていく、空かさずジロウはイワークに攻撃の指示を出した。

 

「あれは…【ボルテッカー】⁉︎ イワーク【たいあたり】だ!」

 

 地面タイプのイワークに電気技は効果がない。弾き返すぐらいはためジロウはピカチュウと同じようなに物理攻撃をイワークに命じた。

 ピカチュウとイワークがぶつかり合うと大きな衝撃波が会場全体に鳴り響いた。それによって吹き飛ばされた二体。煙がはれるとそこにはさらに闘争心を先立てている一体と目を回して戦意喪失している一体の姿があった。

 

「イ…イワーク戦闘不能!ピカチュウの勝ち 」

 

 なんと、勝ったのはピカチュウだった。

 

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

 

『理解不能ロト!!!!イワークに電気タイプの技が効いたロトか!!!』

 

 予想もしない出来事にロトムも目を回していた。この状況にリーリエとカノンも驚きを隠せないでいた。

 

「いや、効いてないよ」

 

「えっ?」

 

 その謎を解明するようにタケシは徐ろに口を開いた。

 

「ピカチュウの【ボルテッカー】の威力が強すぎて、その衝撃でイワークが吹き飛んだんだ。その証拠にピカチュウは反動ダメージを負っていない。【ボルテッカー】が決まったのであれば、与えた分のダメージが自分に跳ね返ってくるはずだ」

 

 ピカチュウの技が決まったのではなく、二体が生んだ衝撃波によって吹き飛ばされたことによってやられた。それだけピカチュウの電撃の威力が上がっていることを意味していた。だが、なぜピカチュウの電撃がここまで高くなったのか。何か知っているのではないか、リーリエは長年サトルと連れ添っているある人物に聞いてみた。

 

「カノン…何か知っていますか?サトルのピカチュウのこと!」

 

 リーリエの問いにカノンは引きつった顔で横にゆっくりと首を振った。

 

「知らないの…それにサトルとピカチュウが戦っている所を見るのも私も初めてなんだ」

 

「どういうことです?」

 

「トレーナーズスクールでのポケモンバトルの実技の時も、サトルはピカチュウを使わず私のヒコザルを借りて、授業を受けてたんだ。その時はピカチュウがバトルすることが怖いからと聞いただけだったけど…まさか、あれが原因なの…」

 

 この表情からカノンは何も知らなかったのであろう。だけど…カノンの話からサトルはピカチュウを使ってバトルをしようとはしなかった。

 

 

 

 

 

つまり…サトルはピカチュウがこうなることを知っていたことになる

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

「…よし」

 

 呼吸を整えたジロウは最後のポケモンを繰り出した。

 

「なぁ!ジロウ…」

 

「あのポケモンは?」

 

 そのポケモンの登場に驚くタケシと新たに繰り出された大きなドリル頭につけたポケモンに首をかしげるリーリエ。ロトムの図鑑説明が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドサイドン ドリルポケモン

地面・岩タイプ

岩を手のひらの穴に詰めて筋肉の力で発射する。稀にイシツブテを発射することもある』

 

 

 

 

 

「切り札はリーリエと戦ったヨーギラスと私と戦ったゴローンを繰り出してくると思ったけど…」

 

「ですが、あのドサイドンというポケモン。なんだか、とても強い力を感じます」

 

 

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 

「落ち着くんだ!ピカチュウ!!!」

 

 何度もピカチュウを呼びかけるサトルであったが、サトルの声には気にも止めずに暴走し続けるピカチュウは地面のタイプのドサイドンには全く効かない【10万ボルト】を連続で浴びさせていた。

 必死に呼び止めようとするサトルと暴走し続けるピカチュウ。その様子をジロウは黙って見ていた。ジム戦に挑戦してくるトレーナーの中には今の自分のレベルに合っていないポケモンを繰り出してくることもある。そのため、主人として認めていないポケモンが好き勝手にバトルをして強引にジム戦に勝とうとしようとすることは珍しいことではない。

サトルはそのトレーナーとは違うことはわかっている。この状況は突然に起きてしまった事故と変わりないと。だが、一度始まってしまったジム戦を終わらせることは出来ないのも事実だ。

 

「ドサイドン!【ロックブラスト】‼︎」

 

 ドサイドンが動きだす。掌から岩石をピカチュウに発射していくとピカチュウは【10万ボルト】で相殺する。さらに【ボルテッカー】でドサイドンに向かっていく。

 

「【メガホーン】で迎え撃て‼︎」

 

 それを自慢の角でピカチュウに迎え撃つ。電気技は効かないがドサイドンは少しずつ押し出されていた。ドサイドンのパワーが押し負けていることにジロウは驚いていた。

 

「ドサイドン!【がんせきほう】‼︎」

 

 力一杯にピカチュウは振り払うと、両手の掌を重ねると、大きな岩石を形成し出した。【がんせきほう】は岩タイプの中でトップクラスの技。その技がピカチュウへと放たれる。だが、そのドサイドンの切り札とも言える技をピカチュウは【10万ボルト】で再び消し飛ばしたのだ。

 

 

 

 

 

 

《観戦席》

 

『信じられないロト!【がんせきほう】を【10万ボルト】で相殺したロトか!!!』

 

 ピカチュウのとてつもない力に圧倒されるリーリエ達。だが、ピカチュウが度々息を切らしている様子も一緒になって表れていた。

 

「ピカチュウ!なんだが苦しそうですよ」

 

「それにさっきから自分勝手に攻撃しているだけで、サトルの声が聞こえていないみたい」

 

 もう見ていられないこの状況。リーリエは苦しそうなピカチュウを見ていられず下を向いてしまった。

 

 

 

 

 

《ジム戦》

 

 苦しそうに冷や汗も掻いているピカチュウ。さらに雄叫びを上げるとドサイドンに向かって飛び出そうとしていた。

 このままだとピカチュウの状態が危ない。ピカチュウが飛び出した直後にサトルは…

 

「戻れ!!!ピカチュウ‼︎」

 

 空かさずフレンドボールにピカチュウを戻した。ピカチュウを戻したサトルを見て、まだジム戦終了ではないが、真っ先にカノンはサトルの方へと駆けて行った。カノンを見てリーリエとロトム。そして、タケシもバトルフィールドへと駆けて行った。

 真っ先にサトルの元へと向かったカノン。彼の顔を覗き込もうとするが、深々と被った帽子のせいでその表情は見れないが、その体は震えていて、口元に目をやると軽く下唇を噛み締めていた。

 

「サトル…」

 

 カノンはそっとサトルの腕を掴むと、それに気づいたサトルはカノンに目をやる。涙目になっているその目を拭うとゆっくりと頷くと、ジロウに目をやり深々と頭を下げた。

 

「すいません。き…棄権します」

 

「…分かりました」

 

 ジロウはゆっくりと審判に合図を送る。

それを見た審判はこの勝負の判決を述べた。

だが、それは予想だにしていなかったことだった。

 

「このバトル!ジムリーダー、ジロウはチャレンジャーのレベル規定外のポケモンを使用したことによる反則負けとみなす!よって、このバトルの勝者はチャレンジャー、サトルとする!」

 

「「「えっ!!!」」」

 

 思いもしなかった結果にサトルとカノン、そしてリーリエも声を揃えて声をあげた。

 

「一体…どういうことなのですか?」

 

「言葉通りの意味だ。ドサイドンを繰り出した時点でジロウの負けが決まっていたんだ」

 

 訳がわからないサトルに元ニビジムのジムリーダであるタケシが説明した。

 

「ジムリーダーが使用するポケモンのレベルは、現時点で挑戦者の所持しているバッチの数によって決められているんだ。だが、ジロウが最後に出したドサイドンはバッチ数が六個以上持った挑戦者に使用されるポケモン。まだ、バッチを持っていないサトル君を相手に戦わせるポケモンではないんだ」

 

 つまりジロウは今のサトルと戦わせるべきではないポケモンを繰り出して来たということだ。それじゃ、なんでこんなことをしたのか。悩むサトルにトレーナーサイドへとジロウはゆっくりと歩み寄って来た。

 

「サトル君のピカチュウがそれ以上に強い力を感じたからです。おそらくドサイドンでなければ、間違いなく他のポケモン達は一撃で倒されていたと思います。」

 

 そう言うとジロウはサトルの前にジムバッチを差し出した。

 

「グレーバッチ?」

 

「力を制御できずに暴走していたとはいえ、自分の反則負けには変わりありません」

 

「いや、それでは実力で手にしたという意味にはならないはずです!個人的にはそれで勝利を得ることが出来たとは思えません。バッチを受け取る資格は…僕にはないです!」

 

 ジムリーダの反則負け。だがサトルはこの勝敗に納得いかない。この難しい状況にタケシはある提案を二人に述べた。

 

「それなら、また後日に再試合をしたらどうだ?ピカチュウを抜かして、二対二のシングルバトルで、どうだろジムリーダー」

 

 タケシの案に考えこむジロウであったが、その案にサトルは空かさず答えた。

 

「僕はそれでも大丈夫ですが、いいですか?」

 

「はい。俺もそれで構いません」

 

 これにより、サトルのジム戦は仕切り直しという形になった。

 サトルの再試合の日程を合わせたリーリエ達はジムを後にした。昼食の時間になりそうであったためポケモンセンターへと向かった。

 

「ごめん二人とも。本当なら今日にでも次の街に向かえたのに、僕のせいで足止めを食らってしまって…」

 

 サトルは弱り切った声でリーリエとカノンに謝罪した。そんな様子を見た二人は優しく笑顔を向けていた。

 

「わたくし達はそんなこと思ってませんよ!サトル‼︎謝ることはありません」

 

「そうだよ!気を落とさない♪落とさない♪」

 

「あ…ありがとう。二人とも」

 

「それよりもサトルのお身体が心配ですよ。ポケモンセンターに着きましたら、まずはゆっくり休みましょう」

 

 何よりもサトルのことが心配で仕方がなかった、リーリエとカノンは少し笑顔が戻ったサトルの顔を見て安心した。

 ポケモンセンターに着くなり、すぐに三人はサトルのポケモン達をジョーイさんに預けるとレストランへと向かった。朝食を終えたと同時にサトルのポケモン達の回復が終わっていた。ボールから飛び出したヒトカゲとクルミル。そして、ピカチュウも元気よくサトルに飛びついて来た。

 

「よかったです。みんな元気になって!」

 

「それにピカチュウも落ち着きを取り戻したみたいだね」

 

「うん」

 

 そういうと、サトルはピカチュウの頭を優しく撫でた。気持ちよさそうにしているピカチュウを見たサトルはゆっくりと立ち上がると二人の前に立った。

 

「さっきのピカチュウを見て二人ともびっくりしたよね…」

 

 申し訳なさそうに言うサトルにカノンは口を開いた。

 

「サトル…トレーナーズスクールの時からピカチュウを戦わせたくなかったのはさっきのが理由なの?」

 

 そう言うとサトルはゆっくりと頷いた。

 

『ピカチュウが電気エネルギーを両方の頬袋で貯めるように、電気タイプのポケモンは電気エネルギーを貯蔵できる場所があるロトよ!ピカチュウが暴走したのは電気エネルギーをうまく体に貯めることが出来なかったのが原因だと思うロトね!』

 

「いや…それだけでは無いと思うんだ」

 

 その言い方からサトルはピカチュウが暴走することは分かっていたが、なぜそうなるかはサトルにも分かっていないようだった。ピカチュウを優しく抱き抱えながらサトルは意を決した表情をリーリエとカノンに向けた。

 

「さっきの事も含めてみんなに話しておくよ。僕と…ピカチュウとの出会いを…」

 

 サトルとピカチュウとの出会い。

それは、まだサトルがトレーナーズスクールに通う前の話。心安らぐトキワの森での出逢いから始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『了解!さぁ、始めようとするか』

 

 同時刻、不敵な笑みを浮かべながらその人物はポケモン博物館の中へと入って行った。




 多くの感想とお気に入り登録。誠にありがとうございます!

 次回はサトルとピカチュウの過去編から始まります。
さらに、怪しい影も出て来たようですが、果たして…
これからもよろしくお願いします。
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