ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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第十六話 チャンピオンの実力

 

 

 

 突然襲撃された科学博物館。その場に向かったリーリエ達の目の前に現れた謎の集団。二手に別れてリーリエとサトルとジロウは主犯である青年を追っていく。奴の目的は化石復活マシンの強奪。それを防ぐべくリーリエ達はその青年に戦いを挑む。

 だが、行く手をフシデ達に阻まれてしまい、なんとか切り抜けることが出来たサトルはただ一人青年と戦う。途中、クルマユの進化もあり、サトルの有利に見えたのだがドラピオンの猛攻によりサトルのポケモン達は皆、戦闘不能寸前にまでに追いやられてしまった。

 絶対絶命だったその時、てつあしポケモンメタグロスを連れたトレーナーがリーリエ達の前に現れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サトル!大丈夫でしたか⁉︎」

 

「うん!大丈夫だよ!」

 

 サトルの元へと駆け寄るリーリエとジロウにサトルは大きく返事を返した。サトルの手を取るとリーリエ達はそのメタグロスのトレーナーに目をやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本で読んだことがあります。まさか、お会いすることができるなんて…」

 

「コーン‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リーリエだけではない。サトルもジロウもそして、敵である青年も目の前の人物に唖然としていた。冷や汗を掻きながらも、青年は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダイゴだと…‼︎ ホウエンのチャンピオンがなぜここに…」

 

 なんと、サトルをドラピオンの攻撃から護ってくれたメタグロスのトレーナーはホウエン地方の最強トレーナー。

 チャンピオントレーナーダイゴであったのだ。

 

「君が何者なのかは聞かないが、これ以上続けるのなら僕が相手になろう!」

 

「メーター!!!」

 

 ダイゴの言葉に反応してメタグロスは四つの鉄足から貯めたパワーを一気にエネルギー波として周りに放った。

 そのエネルギー波がリーリエ達の肌に走る。一瞬、微力な痺れが身体中を駆け巡ったような感じがしたリーリエ達は、メタグロスから放つそのエネルギーからそのレベルの高さを肌で感じた。

 そのエネルギーはその青年にも伝わっているはずだが、身を持って知ったのにも関わらず、そいつは逃げ出すどころか、まるで幼児のような無邪気に狂気に満ちた笑顔を浮かべていた。

 

「チャンピオンが直々に相手をしてくださるとは…ポケモンバトル好きの俺にとっては有難いことじゃねぇか!」

 

 そう言い放った青年は再度自分のモンスターボールからドラピオン以外のポケモンを繰り出した。

 

「タッタタタタタ‼︎」

 

ボールから飛び出したそのポケモンは口に縫いつけられているジッパーを外しては、自分の主人と同じく不気味な表情で笑い始めた。

 

「あの…ポケモンは⁉︎」

 

『任せるロト!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジュペッタ ぬいぐるみポケモン

 ゴーストタイプ

強い怨念がぬいぐるみに宿りポケモンになった姿。口を開けると呪いのエネルギーが逃げてしまう』

 

 

 

 

 

 ドラピオンとジュペッタ。その二体でダイゴのメタグロスに受けて立とうとする。すぐに青年からの攻撃の指示が入った。

 

「ドラピオン!【ミサイルばり】‼︎」

 

「ジュペッタ!【おにび】‼︎」

 

「ドーラァァァ‼︎」

 

「ペッタァァァ‼︎」

 

 ドラピオンとジュペッタによる攻撃がメタグロスに向けて放たれる。だが、迫り来る無数のエネルギー波と火の玉の攻撃に対し、ダイゴは動じる様子がなかった。

 

「メタグロス!【サイコキネシス】‼︎」

 

「メーター‼︎」

 

 サイコパワーでメタグロスは、不規則に襲いかかる相手の攻撃エネルギーを一瞬にして空中で停止させたのだ。

 

「す…すごいです!!!」

 

『全弾止めたロト!!!』

 

 【サイコキネシス】のパワーにリーリエ達は驚きを隠せないでいた。すると、メタグロスはそのままサイコエネルギーを相手のエネルギー波にコーティングさせると、全弾相手に目掛けて跳ね返したのだ。

 

 

「【クロスポイズン】‼︎」

 

「【シャドーパンチ】‼︎」

 

 跳ね返された自身の技をドラピオンとジュペッタは打ち消そうとした。だが、メタグロスの【サイコキネシス】の威力も重ね合わされていることにより、通常よりも威力が倍になっていたのか。凄まじい衝撃波が周りに錯乱しそのままドラピオンとジュペッタは後の方へと押し返されてしまった。

 力の差が歴然だ。誰から見ても勝敗の行く末は何方になるのかは言うまでもない。

 だが、ダイゴはチャンピオンとして一度取り行われたバトルに気を緩めてしまうような事はない。その目は相手を全力で倒すという鋭い眼光を尖らせていた。

 

「悪いが舐めてかかったりはしない!全力で行かせてもらうよ!」

 

 空かさずダイゴは自分の胸元に飾した宝石を手にする。その宝石はダイゴの意志に反応したかのように輝きを放ち始めた。

 すると同時に、メタグロスの足に装着されていた宝石も光輝きだした。

 

「あ…あれは!」

 

 目の前で起きている光景に三人は釘付になっている。ただ一人、リーリエはそのパワーエネルギーを何処か懐かしくも感じていた。

 エーテル財団との戦いで見せてくれたサトシとゲッコウガの力と似ていると…

 

「虹の煌めきよ、絆となれ」

 

 ダイゴの持つ宝石とメタグロスの持つ宝石から放たれた光は一筋の線となり、お互いを結び合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるでトレーナーとポケモン。互いの絆が一つになるかのように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メタグロス!メガシンカ!!!」

 

 

 

 

 

「メェェェェェタァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 メガシンカエネルギーに包まれたメタグロスはメガメタグロスへとメガ進化した。

 

「スクールで教わったから知ってるよ。あれが…メガシンカ」

 

「ピカ…」

 

 サトルは初めてみたメガシンカ現象に思わず感動してしまった。さっきよりも遥かにレベルアップしたメタグロスはダイゴの次の指示を分かっているかのように、次の行動に移した。

 四本の足を前へと重ねるとエネルギーを一点に集中させ始めた。銀色に輝き始めたパワーエネルギーが周りを照らし始める。

 

「メタグロス!【コメットパンチ】‼︎」

 

 そのパワーと共にメタグロスは二体目掛けて突進して行く。ドラピオンとジュペッタは青年の指示を聞かずともその技を避けようとするのだが、二体はその場から動けなかった。回避することは頭の中では分かっている。だが、迫ってくるメタグロスのパワーに圧倒されてしまい、不思議と体が動かなくなってしまったのだ。

 気がついた頃には二体はメタグロスの攻撃に吹き飛ばされてしまった。そのまま二体は戦闘不能となる。

 

「戻れ!」

 

 ドラピオンとジュペッタをボールに戻した青年はそのまま顔を伏せてしまった。

 

「勝負はあったみたいだね」

 

 メタグロスを前に一歩一歩と青年の元へとダイゴは歩み寄って行く。だが、顔を上げたその青年の顔は誇らしげた表情をしていた。

 

「バーカ!チャンピオン相手に全力で戦って勝ってると思う訳ねぇだろうがよ!!!」

 

 すると、青年は一つのUSBメモリーを取り出すと、遠くの方にいるリーリエ達にも見える高さにまで上げた。

 

「化石復元マシンの本体の入手には至らなかったが、このマシンの設計図のコピーは取れたし、まぁ、任務成功だな!」

 

 迂闊だった。青年は最初っからダイゴと真正面に戦う気などなかったのだ。ドラピオンとジュペッタはデータをコピーするまでのただの囮だったのだ。

 目的を果たした青年は別のモンスターボールを取ると少し後ろへと下がっていく。

 

「つうわけで、ここらでとんずらかせて貰うぜ!フリージオ!【くろいきり】‼︎」

 

 ボールから解き放たれたフリージオは黒い冷気を青年を取り囲みながら膨張させていく。膨張された黒い霧はやがて辺りに散りばっていくと、そこにいるはずの青年の影は煙のように消えてしまっていた。

 

「逃げられたか…」

 

 戦いを終えたメタグロスはメガシンカエネルギーを解き、通常の姿へと戻った。

 リーリエ達はダイゴと共に博物館の外にいるカノンとタケシと合流するべく研究所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外へ出るとジュンサーの増援も駆けつけており、青年の仲間だったゴロツキのトレーナー達は一人残らず確保されていた。科学博物館から出てくるリーリエ達に気づいたカノンとタケシは三人の元へと駆け寄った。

 

 

「リーリエ!サトル!」

 

「カノン!」

 

「二人とも大丈夫だった?」

 

「うん。平気だよ!カノンも無事でよかったよ」

 

「ジロウ。あいつは」

 

「逃げられたよ。化石復元マシンの設計データを持ってね…」

 

「そうか、だけどマシンの本体は取られずに済んだんだ。頑張ったな。ジロウ!」

 

 正直、ジムリーダーとしてまんまと設計データを目の前で盗まれてしまったことに対してジロウは自分の無力さに情けなかった。

 だが、そんなジロウにタケシは被害を最小限に押さえることが出来たことはジムリーダーとして立派だったと、タケシはジロウの両肩に優しく手を置いた。

 

「ああ、だけど兄さん!その…化石復元マシンを守ってくれたのは…」

 

 ジロウがそう言いかけると、科学博物館からもう一人の影が見えたことに気がついた。その人物の影を見たタケシに緊張が走った。

 

「久しぶりだね。タケシくん!」

 

「貴方はダイゴさん!!!ど…どうもご無沙汰しております」

 

 昔、一度だけホウエン地方の石の洞窟で互いに顔合わせしているタケシとダイゴは再開を分かち合い、お互いに握手を交わした。

 

「えええ!!!ダイゴさん‼︎あのホウエン地方のチャンピオンの‼︎」

 

 カノンに至っては目の前にいる別の地方のチャンピオントレーナーを目の前にして歓喜している。

 

「しかし、ダイゴさん!なぜこちらに…」

 

「バトルピラミッドのジンダイさんに会いにね。ちょうど珍しい石も見つかったから、それを診てもらおうと思ってニビシティを訪れたんだが…とんだ災難にあってしまったようだ」

 

 博物館の方へと目を散らつかせながら話すダイゴにリーリエとサトルはダイゴの元へと駆け寄った。

 

「ダイゴさん」

 

 リーリエの言葉にダイゴはリーリエ達の方へと目をやった。

 

「初めまして、わたくしはリーリエと申します。先程は危ない所を助けて頂いてありがとうございました」

 

「僕はサトルです。あの…本当にありがとうございました」

 

 リーリエに続いてサトルも助けてもらったお礼を述べ、お辞儀を交わした。その二人につられてカノンも会釈する。

 

「みんなに怪我はなくてよかったよ。だけど、あまりこういった無茶はしないようにね」

 

「「「はい…」」」

 

 実力をつけたとはいえ、考えてみれば犯罪者に立ち向かうのはあまりにも無謀すぎたことだ。

 もし、ダイゴが助けに来なかったら今頃どうなっていたかと思うとリーリエ達はダイゴに注意された事を、染み染みと自分達の行いに反省した。

 

「それにしても、あいつらは何者だったんだ。ロケット団…でもなさそうだったし…」

 

 タケシの言葉を聞いたこの場にいる全員が一斉に考察し始めた。

 あの青年は最後まで自分達の正体を明かすことはなかった。仮にロケット団としてもカントー地方を拠点としている犯罪組織をカントーの人達で知らぬ者はいないはずだ。ロケット団であることを隠す必要性も全くもってない。

 それに青年が連れていたゴロツキ達にもロケット団の象徴である【R】のマークも見当たらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後に、其奴らによってカントー地方全体がある大事件に巻き込まれてしまうとは、その時のリーリエ達には知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちらグロット!化石復活マシンの設計データはちゃんと頂いてきたぜ!』

 

『データって…あんた奪ってきたのは本体じゃないの⁉︎』

 

『仕方ねぇだろが!あいつらだけならまだしも…チャンピオンに来られちゃ勝ち目なんてねぇーだろ!』

 

『うわぁ!逃げた!逃げた!おじげづいて逃げたんだ〜!』

 

『…黙れ、猿が…』

 

『はぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』

 

『いいではありませんか。化石復活マシンの入手には成功したのだから…グロットの判断は正しかったと私は思いますよ』

 

『流石は姉ぇーさん!どっかの野生人とは違うぜ!!!』

 

『誰が!野生人よ!!!』

 

『お前ら通信機で大声だすなって。耳痛ぇだろうが!それからグロットは早く戻ってこい。ボスさんも首をトロピウスのように長くして待ってるぜ』

 

『あいさー!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 その夜、回復し終えたポケモン達をジョーイから受け取ったリーリエ達は各自のポケモン達のケアへと回った。カノンもサトルも無事に元気になったポケモン達を見ては安心している。サトルに関してはボールから飛び出したクルマユにいきなり体当たりを諸に食らった所だった。進化して姿が変わったクルマユであったが、クルミルの時からのそのやんちゃな性格は変わっていないようであった。

 

「シロン。気持ちいいですか?」

 

「コーン‼︎」

 

 同じく自分のポケモン達の元気な姿を確認したリーリエはシロン達のブラッシングを始めていた。

 

「ちょっと貸してみてくれないか?」

 

 声がした方へと向くとそこにはタケシが立っていた。タケシにブラシを渡すと、リーリエに代わってシロンの毛並みを整え始めた。

 気品で主人であるリーリエにしか触られることを許されなかったシロンであったが、タケシのブラッシングが気持ちいいのか、抵抗する素振りを見せなかった。そのシロンの姿にリーリエも驚いている。

 

「流石ですね。タケシさん!」

 

「昔、俺もロコンを手持ちに加えていたことがあったんだ。その時、こうして良くブラッシングをしたもんさぁ」

 

 タケシがシロン達のブラッシングをしている時、クルマユの攻撃(じゃれあい)から解放されたサトルはフラつきながらソファーへと腰を下ろしていた。

 

「サトルさん」

 

「ジロウさん」

 

 疲れ果てたサトルの元にジロウがやって来た。ジロウはポケットからケースを取り出すと、サトルの目の前にそのケースを開いた。

 

「えっ…これは…」

 

 その中からはニビジムバッジのグレーバッジが光輝いていた。

 

「サトルさんに差し上げます」

 

 突然のジロウの言葉にサトルは目を丸くする。

 

「いや…でも…ちゃんとしたジムバトルを受けさせてもらってもないのに……」

 

 公式戦のルール以外でバッジを受け取ることに疑念を感じるサトルにジロウは話を進めた。

 

「復元マシンを守ってくれたお礼なんかではありません。博物館での戦いをみればもう再戦しなくてもサトルさんとポケモン達の実力は確かめることができました。それにあのジムでチャレンジャーのレベル規定外のドサイドンを繰り出してしまったわけでもある。ジムのルール上で僕がサトルさんに負けたのは事実です」

 

 再度、ジロウはサトルにグレーバッジを差し出した。

 

「受け取って下さい。ジムリーダとしてサトルさんはこのジムバッジを授かるのに相応しいトレーナーです!」

 

 その力強い言葉を聴いたサトルは静かに首を立てに振った。そのままサトルはバッジをすぐには受け取らず、バッジを持っていない反対の手でジロウに握手を交わした。

 

「ありがとう。ジロウさん!このバッジに誓って胸を張っていけるように頑張るよ!」

 

 そう言いサトルはグレーバッジを受け取った。そのあと、感謝とこれからのトレーナーとしての決意表明と共にもう一度ジロウと握手を交わした。

 これによりリーリエ、カノン、そしてサトルは一個目のジムバッジを手に入れた。三人は自分たちのグレーバッジをバッジケースから取り出すと、お互いに見せ合うとその喜びを共有し合った。

 

「それじゃあ、僕はここで失礼させてもらうよ」

 

 メタグロスの回復を終えたダイゴはこのままポケモンセンターに泊まることなく、ニビシティを跡にしようとしていた。ダイゴの声に反応したリーリエ達は急いでダイゴの元へと向かうともう一度、ダイゴにお礼を言った。

 

「ダイゴさん!本当にありがとうございました。」

 

「そんな…。礼ならもういいよ」

 

「リーリエとサトルから聞きました!あーあ、私も見たかったなぁ。メガメタグロス!!」

 

「僕も初めて見たけど、凄い力ですねよね!」

 

「えぇ!メガシンカはトレーナーとポケモンとの絆の力で進化する進化を超えた進化であるとわたくしもスクールで習いました。能力値だけでなくポケモンによってはタイプや特性も変わるポケモンがいるとも聞きます。わたくしも生でメガシンカを見るのは…初めてです!」

 

「ん?リーリエなんか言葉を濁さなかった?」

 

 少し言葉を詰まらせたリーリエに不思議に思ったカノンはリーリエに語りかけた。すると、リーリエはエーテル財団との戦いを思い出しながら話し始めた。

 

「実は…メガシンカではないのですが、それと同じような現象を見た事があるのです」

 

「似たような…現象?」

 

 続けて不思議に思ったサトルにリーリエは少し頷きながら話を進めた。

 

「はい。本来メガシンカにはキーストンと特定のポケモンが持つメガストーンが必要となるのですが、それを必要としなくても絆の力でパワーアップする現象です」

 

 その話を聴いたダイゴはある人物の像を思い浮かべた。丁度、リーリエ達と同い年。各地を旅している彼ならと、ダイゴはその人物の名をリーリエに解いた。

 

「もしかして…サトシ君の事かい⁉︎」

 

 ダイゴの口から出たその人物の名にリーリエは瞬時に反応した。

 

「ダイゴさん!サトシの事をご存知なのですか!」

 

「うん。ホウエンとカロスと二度ね」

 

「もしかして…カロスリーグの中継で観たあれ⁉︎」

 

 カノンとサトルはテレビで観たカロスリーグの事を思い出した。

 その場面があったのは一回戦でのVSチルタリス戦でのことだ。チルタリスの技【りゅうせいぐん】を躱したゲッコウガの身体が水泡によって包み込まれたその時、一瞬にしてゲッコウガの姿が変化したのだ。その衝撃的な瞬間を今でも二人は覚えている。その時も二人はメガシンカとばかり思っていたが、やはりメガシンカではないのか…

 三人にダイゴは今の時点でわかっている所までリーリエ達に説明を始めた。

 

「僕らもサトシ君とゲッコウガのあの力は一体何なのかはまだ分かってはいないが、間違いなくメガシンカと同等の力であることは確かだ。メガシンカエネルギーも専門に調べているカロス地方のプラターヌ博士と一緒に僕らはそれを《キズナ現象》と呼んでいるんだ」

 

「キズナ…現象」

 

 新たに追加されたワードに三人は狐に包まれたような感じが走った。それと同時にスクールでも教わっていないポケモンの新たな力を知ることが出来たことに高揚した。

 

「さて、そろそろ僕は行くよ。君達もこれからのジム戦頑張ってね!」

 

 リーリエ達の今後の旅のエールを送ると、ふと目線をリーリエ達のポケモンの方へと下ろした。その内のポケモン達に目を向けたダイゴの顔の表情筋が少し上がっているように見えた。

 

「あの…何か?」

 

 ダイゴの表情に不思議に思ったリーリエはダイゴに問いかけた。

 

「ふふっ!また何処かで会おう。」

 

 その一言だけを交わした後、ダイゴはポケモンセンターを跡にした。ダイゴはリーリエ達のポケモンを見て何を感じていたのか。その理由は分からなかったが、また旅の何処かで会えることを願い、去るダイゴに手を振った。

 

「あぁぁぁぁ!!!!!」

 

「うわぁ!どうしたの…カノン?」

 

 突然のカノンの叫びにリーリエ達はカノンの方へと目をやる。カノンは少し身体を小刻みに震わせながら、リーリエ達の方へと目をやった。カノンの表情は何かに後悔したような感じだった。

 

「サイン…貰っとけばよかった…」

 

「「あっ‼︎ 」」

 

 カノンのその一言にリーリエとサトルも軽く後悔したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「次にここから近いジムはハナダシティにあるハナダジムですね。ポケモンリーグに出るにはあと七個のジムバッジが必要です。頑張って下さい!」

 

「ありがとうございます」

 

「それじゃあ…」

 

 翌日、次の目的地をハナダシティと決めたリーリエ達はジロウに別れを告げ、出発しようとしていた。その矢先…

 

「おーい!待ってくれ!!!」

 

 一人の人物が慌ててリーリエ達を呼び止めようとしていた。

 

「「「タケシさん!!!」」」

 

 急いでこっちに向かってくるタケシとジョーイの姿を見たリーリエ達は足を止めた。タケシは大きなリュックサックを背負っていることに気づいたリーリエはタケシに問いかけた。

 

「タケシさんも何方か向かわれるのですか?」

 

「実はクチバシティでこれが開催されるらしいんだ」

 

 タケシは質問に答えるべく、一枚のチラシをリーリエ達に見せた。そこには【アローラ祭】という文字が大きく書かれていた。

 

「アローラって、たしかリーリエの出身だよね?」

 

「ええ…」

 

 アローラの文字に反応したカノンにリーリエは戸惑いながらも返事を返した。暫くチラシに書かれている【アローラ祭】という文字を眺めていると、リーリエはトキワシティのポケモンセンターでマオが言っていたことを思い出した。

 

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

「うん!そっちに行ったとき、私にもリーリエの友達を紹介してよね!」

 

「はい!……って………紹介ですか?」

 

「時期に分かるよ!それじゃあ」

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

「もしかして…マオはこのことを」

 

 マオの言葉を理解したリーリエは一人そっと頷いた。

 

「この祭りにはアローラのポケモン達とふれあうことも出来るらしいんだ。俺はまだアローラのポケモンと接したことがないから、これはポケモンドクターを目指すものとしてアローラのポケモン達の生態も見ておきたかったんだ。 

それで、俺はクチバシティへと向かうんだが、なんにせ開催は一ヶ月後。それまでどうするか考えているのだが…」

 

 そう言いかけたタケシにリーリエとカノンとサトルは同時に声に上げた。

 

「それだったら、一緒に行こうよ!タケシさん」

 

「うん!一緒に旅した方が楽しいもんね」

 

「はい!もちろんです!」

 

「あぁ、クチバシティまでよろしく!」

 

「此方こそ宜しくお願いします!」

 

  リーリエ達との承諾を得たタケシはその後にジョーイさんの方へと振り向いた。

 

「すいませんジョーイさん!少しの間だけお暇を取らせてもらって…」

 

「そんなこと気にしないで下さい。タケシ君には本当に助かって貰ってるし、立派なポケモンドクターになるためですもの、私はいつでもタケシ君の味方よ」

 

「ジョーイさん!!!」

 

 タケシは周りの人達の気には止めず、そっとジョーイの手を取った。

 

「暫しのお別れですが、自分とジョーイさんの愛の糸はイトマルの糸のように固く結ばれておりま…」

 

ドシュッッッッ!!!!!

 

 

 

「し・び・れ・び・れ〜」

 

「ケーケケケケ!!!」

 

 

 

 

 

 ………………。

 

 

 

 

 

 

「みなさん、に…兄さんのことよろしくお願いします」

 

「「「あ…はい…」」」

 

 タケシを引きずながら歩いているグレッグルを先頭にリーリエ達も旅立つことにした。

 

「それではわたくし達はこれで!」

 

「「さようなら」」

 

 ジロウと別れたリーリエ達は新たにタケシをメンバーに加えて、次の目的地であるハナダシティへと向かうのであった。




《2》登場人物

 カノン  16歳
出身:シンオウ地方
性別:女性

シンオウからカントーへと引越して来た女の子。
天真爛漫で、何事にも積極的に向かっていく性格である。

手持ちポケモン

 ヒコザル
タイプ:ほのお
性別 :♂
性格 :せっかち

 フシギダネ
タイプ:くさ どく
性別 :♂
性格 :おだやか


 サトル
出身 :カントー地方
性別 :男性

カノンとはポケモンスクールの同期。カノンとは違って何事にも用心深い性格である。ポケモンに好かれやすい体質でもある。

手持ちポケモン

 ピカチュウ
タイプ :でんき
性別  :♂
性格  :ゆうかん

 ヒトカゲ
タイプ :ほのお
性別  :♂
性格  :すなお

 クルマユ
タイプ :むし:くさ
性別  :♂
性格  :やんちゃ
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