ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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第十七話 細くも樫の木

 新たにタケシをメンバーに加え、次の街であるハナダシティへと向かっているリーリエ達は見晴らしのいい草原でランチを楽しんでいた。

 

「タケシの作ってくれた料理どれもとても美味しいです!」

 

「うん!これは絶品だよ!」

 

「サンキュー!こんなにも喜んで食べて貰えたら、これからも作り甲斐があるな」

 

 タケシ特性のシチューを頬張りながら、リーリエ達は味の感想を述べていた。ポケモン達もそれぞれの好みに合わせたタケシ特性のオリジナルブレンドを含んだポケモンフーズを食べている。それぞれのランチを楽しんでいる中…

 

「・・・・・・」

 

 カノンはご機嫌ななめのようだ。

 

「ど…どうしたのカノン?」

 

「どこか調子でも悪いのですか?」

 

「何か嫌いなものでもあったか?」

 

 様子がおかしいと感じた三人はそれぞれカノンに声をかける。すると…

 

「…たい…」

 

「え?」

 

 それからカノンはいきなり席から立ち上がると、大きな声で抱えている不満を爆発させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私も新しい仲間増やしたぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声に木影で休んでいたポッポ達の群れが一斉に飛び出した。突然のことにみんなも腰を抜かしてしまった。

 

「急にどうしたんだよ!」

 

 突然のことにびっくりしたサトルにカノンは自分の顔を寄せては、ジト目でサトルを睨みつけた。

 

「どうこうもないよ〜!サトルもリーリエも着々と仲間を増やしているのに、私だけ野生のポケモンゲットしてないんだよ!これってどう思うよ!!!」

 

「どう思うって言われましても…」

 

 カノンの危機迫る表情にサトルは固まってしまった。まさにアーボに睨まれたニョロモ状態。【へびにらみ】ってこんな感じなのかなぁ…

 

『たしかにこの旅の中でまだ新しいポケモンをゲットしていないのはカノンだけロト』

 

 リーリエはムックルとキモリ。サトルはトキワの森でクルミルをゲットしている。二人は初めてゲットした喜びを知っているが、カノンはその現場を見ているだけで自分がゲットした喜びをまだ感じていないのであった。そんなカノンの様子を見たタケシはある提案を提示した。

 

「なら、まだ日が暮れるまで時間はある。ここらでフィールドワークしてみるのもいいかもな」

 

 タケシのその案にリーリエとサトルも賛成した。

 

「僕とリーリエのゲットもカノンの協力のおかげでもあるからね。今度は僕たちがカノンのゲットをサポートする番だよ!」

 

「そうですね!そうしましょう。ねぇ!カノン」

 

 三人の言葉にカノンの顔から笑顔が戻った。

 

「ありがとう!みんな♪よーし捕まえに行くぞ!!!」

 

 一気に元気を取り戻したカノンはすぐに野生ポケモンエリアへと向かおうとする。だが、今はまだ食事の時間。食事が済んでから探しに行けばいいと言うサトルにカノンはごめんと、照れ笑いしながら自分の席へと戻って行った。

 自分たちの食事を食べながらポケモン達の美味しそうに食べる様子を見ていた。すると、何かに気づいたサトルはリーリエに声をかけた。

 

「リーリエ、ムックルとキモリは?」

 

「えっ⁉︎」

 

 サトルの言葉に気づいたリーリエはシロン達の方へと向くと、誰も口につけていないポケモンフーズがのった皿が二つあったことに気がついた。

 

「シロン。ムックルとキモリは何処にいるか知ってる?」

 

「コ……ン?」

 

 シロンも首を傾げては困った表情を浮かべる。

 

「ムックル!キモリ!何処にいるのですか⁉︎」

 

 リーリエはムックルとキモリの名を呼ぶが、二体からの返事はなかった。

 

「ムックル!キモリ!」

 

「クルッ‼︎」

 

 鳴き声に気づいたリーリエは見上げて見るとムックルの姿があった。上空から舞い降りてきたムックルはリーリエの肩へと停まった。

 

「どうしたんですか?ムックル?」

 

 リーリエの質問にムックルは少しリーリエの元を離れると、【はがねのつばさ】を発動させ、空を切るかのように架空し始めた。その様子からリーリエはムックルのやりたい事が分かった。

 

「もしかして…バトルの練習がしたいのですか?」

 

「クル‼︎」

 

 ムックルは大きく頷いた。

 

「おぉ!気合い入ってるな。ムックル!」

 

「やっぱ、この前のジム戦を気にしてるのかな。ムックルはジロウさんのポケモンを一体も倒せなかったし…」

 

「ク…クル〜」

 

 サトルの一言にムックルはがっくりと肩の力を落としてしまった。

 

「ちょっと、サトル!」

 

「あっ‼︎ご…ごめん、ムックル!」

 

 急いでサトルはムックルに対し自分の失言を謝罪した。

 ニビジム戦はムックルにとっては相性からにしても厳しい戦いであった。それでもリーリエはムックルが頑張ってくれたことにはとても感謝しているし、数にキリがあったからという理由で苦手な相手と戦わせた事に対してムックルには申し訳なかったとも思っている。

 だが、ムックルも同じように自分はリーリエのために戦えていたのか、気にしていたようであった。

 

「それならムックル!わたくし達はバトルの練習を致しましょう。次のジム戦に備えて力をつけましょう!」

 

「クルッ!!!」

 

『だったら、ポケモンゲットしに行く人とポケモンバトルの練習をする人と二手に別れるロト』

 

「それなら、カノンの方は僕がつくよ」

 

「じゃあ、俺がリーリエの練習に付き合うとするか」

 

「はい、宜しくお願いします!」

 

 それぞれのペアーは決まったが、リーリエはまだ自分の元へと戻ってこないキモリの事が気になり辺りを見渡し始める。

 

「だけど、ムックルは見つかったのですが、キモリは一体何処へ…」

 

「ん〜、この辺りは木々はキモリにとってはいいのかもしれないな」

 

「もしかしたら、野生のポケモンを見つける途中に見かけるかもしれないね」

 

「まぁ、あのキモリなら心配いらないと思うし♪任せてよリーリエ!」

 

「そ…そうですか。それでしたら、宜しくお願い致します」

 

「よっし、行くぞ!ポケモンゲットだぜ〜♪」

 

「あっ、待ってよ!」

 

 こうして、カノンにはサトル。リーリエにはタケシとそれぞれペアーを組んで、ポケモンの捕獲とポケモンの育成へと別れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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「ヒココ‼︎」

 

「ピッカァ‼︎」

 

 カノンとサトルは林の中へと探検していると、外れに大きな湖を発見した。底が見えるぐらい澄んでいるその水は野生のポケモン達には最適な水飲場であろう。

 

「ヒココ!」

 

「どうしたの?ヒコザル」

 

 ヒコザルが指差す湖の方へと見ると、一体のポケモンがカノンとサトルの前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マリル みずねずみポケモン

 水・フェアリータイプ

ルリリの進化系。伸び縮みする尻尾を浮き袋にして水中へと潜る。流れの速い川でも平気に泳ぐことができる』

 

 

 

 

 

 図鑑の説明通りマリルは自分の尻尾を両手で掴むと、その尻尾の浮力で水面に浮きながら気持ちよさそうに泳いでいた。

 

「マリルか!水タイプのポケモンを加えるのもいいんじゃないかな」

 

「うん!よしあの子に決めた!」

 

 カノンはモンスターボールからマリルと相性のいいフシギダネを繰り出した。

 

「フシギダネ!【はっぱカッター】‼︎」

 

「ダネッ‼︎」

 

 いきなり飛んできたフシギダネの攻撃に即座に反応できなかったマリルに【はっぱカッター】を決めることができた。

 

「行っけー‼︎【たいあたり】‼︎」

 

「ダネッダァ‼︎」

 

 【はっぱカッター】を受けて、ふらつくマリルにフシギダネの体当たりも決まった。吹き飛ばされたマリルはそのまま目を回してしまった。

 

「カノンいまだよ!」

 

「うん!マリルゲットよ!」

 

 カノンは勢いよく空のモンスターボールをマリルに向かって投げ入れた。

 

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ドォォン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「「えっ!!!」」

 

 マリルに投げたモンスターボールは何者かによって弾き返されてしまった。

 

「あれは⁉︎」

 

 マリルの前に現れた一体のポケモンにサトルは空かさずポケモン図鑑を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブイゼル うみイタチポケモン

 水タイプ

首の浮き袋を膨らませて、水面から顔を出しながら辺りを警戒している。尻尾をスクリューのように回して泳ぐ』

 

 

 

 

 ブイゼルはそのまま【ソニックブーム】でフシギダネに攻撃を仕掛けた。ブイゼルの攻撃を受けたフシギダネはカノンの方へと吹き飛ばされてしまった。

 

「フシギダネ!!!」

 

 ブイゼルに押し倒されたフシギダネをカノンは抱きかかえた。

 ブイゼルはマリルの方へと向くと、マリルに無事の確認を取った。その後、ブイゼルはマリルを自分の後ろへと下げて、サトル達に威嚇し始めた。

 

「どうやら、あの二体仲間みたいだね」

 

 ブイゼルは頬を大きく膨らませるとそのままサトル達の手前に【みずてっぽう】を放った。水しぶきにサトル達はブイゼルの攻撃に圧倒されてしまった。

 

「くっ‼︎頼む、クルマユ!!!」

 

「マユ‼︎」

 

「クルマユ!【くさぶえ】だ‼︎」

 

 クルマユの草笛の音色がブイゼル達の方へと奏でる。それと同時にブイゼルとマリルは水中へと潜っていった。

 水中へと潜ったとしても完全に外からの音が聞こえなくなる訳ではないが、音だけでも小さくすることができる。これにより【くさぶえ】の効力を薄くさせる事が出来たため、二体は眠り状態を回避することができたのだ。

 

「潜って躱された!」

 

「そんなのあり!!!」

 

 そしてブイゼルは尻尾の尾をスクリューのように回し始めると、そのまま水中へと飛び出した。水を自分の身体に纏わせながらクルマユに体当たりを仕掛けた。

 

「クルマユ!!!」

 

 ブイゼルの【アクアジェット】に吹き飛ばされたクルマユをサトルは自分の胸で受け止めた。マリルも水面から飛び出すと、ブイゼルと同時に【みずてっぽう】を放った。

 二体の攻撃がサトル達に当たると思ったその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

   バシュュュュュュ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 【タネマシンガン】による攻撃が二体の攻撃をかき消したのだ。【タネマシンガン】が放たれた茂みからキモリがサトル達の前へと飛び出した。

 

「キモリ!」

 

「助かったよ。ありがとう!」

 

「キャモ‼︎」

 

 二人の声にキモリは頷いて返事を返す。すぐにキモリはブイゼル達に目をやると、そのまま前屈みになって戦闘態勢に入った。

 ブイゼルも突然飛び出して来たキモリを睨みつけた。今にも二体は次の攻撃に入ろうとしたのだが…

 

「リル!」

 

「ブイ?」

 

「リルリル!!!」

 

「ブ…ブイ」

 

 そんなブイゼルを見かねたマリルはブイゼルを止めようと説得に入った。マリルの言葉にブイゼルも戸惑いながらも次の攻撃を繰り出すのを辞めた。

 

「なんか…様子が」

 

「うん、なんかソワソワしてるよね」

 

 マリルの止め方にどこか慌ただしく感じたサトル達もフシギダネとクルマユをモンスターボールへと戻した。

 ブイゼルはマリルに説得させられると、何かを渋った表情でキモリの方へと歩いて行った。戦う意思をブイゼルから感じなくなったキモリも警戒することを辞めた。キモリの前へと近づいたブイゼルはキモリにゆっくりと話しかけた。ポケモンの言葉はサトル達には分からないが、ブイゼルの話を聞いているキモリの表情がだんだんと曇っていく所から、何かまずいことが起きていることが分かった。

 ブイゼルの話を聞いたキモリはサトル達の方へと向く。それを見たサトル達はキモリの元へと駆け寄った。

 

「キモリ、ブイゼル達の身に何かあったの?」

 

 サトルの言葉にキモリは静かに首を立てに振った。

 

「ブィ!」

 

 すると、ブイゼルはサトル達にこちらに招く仕草を行なった。

 

「ついて来て、って言ってるのかな…」

 

「たぶんそうだと思う」

 

 ブイゼルはそのまま深く頷くと、マリルを連れて水端に沿って泳ぎ始めた。事情を悟ったサトル達もブイゼル達の跡を追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

『録画準備完了!いつでも良いロトよ!』

 

「コーン‼︎」

 

 リーリエとタケシは、ムックルの新しい技の練習をしていた。

 

「行きますよムックル!【つばめがえし】です‼︎」

 

「クル!!!」

 

「受け止めろ!ウソッキー‼︎」

 

「ウソッキー‼︎」

 

 一気に急降下したムックルはそのままエネルギーを溜め込んだ嘴でウソッキーに突進する。そのムックルの攻撃をウソッキーは両腕を前にクロスしてガードした。

 

「よし!だんだんと様になってきたんじゃないか」

 

「はい!タケシのアドバイスのおかげです」

 

 少しだけ後退りされたウソッキーの様子からムックルのパワーに関しては申し分はない。 

 だが、【つばめがえし】は一気に急降下して相手の死角に入ってから攻撃を繰り出すという必中技である。つまりウソッキーが攻撃を受け止めることができたということは、ウソッキーにはムックルの姿が視覚に入っていたことになる。

 

「リーリエ!タケシ!」

 

「サトル、カノン⁉︎、それにキモリも!」

 

 ロトムが録画したバトルビデオを見ながら再度リーリエとタケシはもう一度練習に入ろとすると、遠くの方から湖で出会ったブイゼルとマリルを連れて急いでリーリエとタケシの元へと走ってくるサトル達の影が見えて来た。

 

「さっき、あの辺りの水辺でこのマリルとブイゼルに出会ったんだけど…」

 

「そしたら、この子が…」

 

「これは大変だ。急いで治療をしよう!」

 

 サトルの腕に抱きかかえられていたのは全身傷だらけのポケモンだった。その様子を見たタケシは急いでそのポケモンの治療へと移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『コイキング さかなポケモン

 水タイプ

跳ねることしか出来ず、全ポケモンの中で一番弱いポケモンとして分類されている。なぜ跳ねているのかは研究者にも分からない』

 

 

 

 

 

 傷ついたコイキングをタケシは素早く丁寧に治療していく。ブイゼルとマリルは心配そうにコイキングを見守っている。

 

「よし、あとはラッキーの【たまごうみ】で体力を回復させてあげれば終わりだ。頼んだぞ、ラッキー」

 

「ラッキー‼︎」

 

 ラッキーはタケシの指示の元に【たまごうみ】を発動する。ラッキーの回復技によりコイキングの傷は見る見るうち消えていく。あれだけ傷だらけになっていたコイキングの身体には擦り傷も一つも無くなっていた。

 

「コイキングは大丈夫でしょうか?」

 

「あぁ…もう大丈夫だ!暫くしたら元気になるだろ」

 

「よかったね。もう安心しても大丈夫だよ!」

 

「コン‼︎」

 

「キャモ‼︎」

 

「リル‼︎」

 

「ブィ‼︎」

 

 コイキングの治療を終えたタケシは一瞬キモリの方へと向くと、すぐに鞄から別の傷薬を取り出した。

 

「キモリ、お前もなんかゲガしてるみたいだな」

 

 三人もキモリの方へと目をやると確かに腕や足首に擦り傷がついていた。カノンの話からもブイゼルとは直接戦ったわけでもないため、その時についた傷でもないと証言する。リーリエはキモリから訳を聞こうとしたのだがキモリはリーリエと目を合わせようとはせずその質問に答えようとはしなかった。

 

「コ…ココ‼︎」

 

「見て!コイキングが」

 

 カノンの言葉にリーリエ達はコイキングの方へと振り向いた。目を覚ましたコイキングはゆっくりと静かに起き上がった。その後、ブイゼル達を見つけると元気よくその場で飛び跳ね始めた。その様子をみたブイゼルとマリルも急いでコイキングの元へと向かった。

 

「これならもう心配しなくて大丈夫だ」

 

 元気になったコイキングを見て、ブイゼルとマリルはリーリエ達に頭を下げた。

 

「いいって!お礼なんて〜」

 

「治療したのはタケシなんだけどね…」

 

 誇らしげに言うカノンにサトルは静かにツッコミを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「じゃあね!!!」

 

 ブイゼル達はもう一度リーリエ達にお礼を言った後、水路を渡って行ってしまった。

 

「カノン、よかったのゲットしておかなくて」

 

「いいよ。あの三匹の仲を引き裂くようなことなんて私には出来ないからね」

 

 ちょっと残念そうにカノンは首を傾げながらサトルに返事を返す。リーリエ達はそれぞれの荷物を手に取ると、目的地であるハナダシティに向かう準備をした。

 

「それでは行きましょうか」

 

 リーリエの合図で歩き出そうとしたが、ただ一人タケシは難しい表情でブイゼル達と別れた方へと目をやっていた。

 

「タケシ?」

 

 リーリエはタケシに問いかけた。タケシはリーリエ達の方へと振り返ると、自分が思った疑問を話し始めた。

 

「あのコイキング相当なダメージを負っていたから、なんか気になってな」

 

「確かに、いたるところ傷だらけだったもんね」

 

 どうやら、タケシはコイキングの怪我が何があって負ったものか気になっているようだ。あの怪我からリーリエ達はブイゼル達に何かの事件に巻き込まれたのではないかと考え始める。すると、何かを思い出したサトルはゆっくりと口を開いた。

 

「あの…もしトキワの森のペンドラーみたいに他方から来たポケモンがまたこうして暴れていたとして、ブイゼル達は元いた場所を追い出されていたとしたら…」

 

 トキワの森での出来事、もしそうだとしたら大変なことだ。

 

「あの三匹の跡をつけていこうよ」

 

 行ってもたってもいられなくなったリーリエ達はブイゼル達の跡を追って行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 ブイゼル達の跡を追って、暫く水路を沿って歩いて行くと大きな川岸に辿り着いた。そこには数多くの水系ポケモン達が集まっていた。

 

「ここは…」

 

 リーリエ達は茂みの影からその様子を伺っていた。すると、水ポケモン達は一対一にバトルをし始めた。その中にはさっきリーリエ達と別れたブイゼル達の姿もあった。ブイゼルも自分より体の大きいポケモンシザリガーとバトルを始めていた。

 そんな中、ポケモン達のバトルが繰り広げられている奥に岩場に腰を下ろして座っている一体のポケモンの姿がリーリエ達の目に止まった。

 

「あのポケモンは」

 

 ロトムは素早くそのポケモンの写真を撮って解説を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ニョロボン おたまポケモン

 水・格闘タイプ

強靭な筋肉を持つ。太平洋を休むことなく泳ぎ続けることが出来る。ニョロボンの真似で泳ぎを学ぶ子供も多い』

 

 

 

 ニョロボンの合図にバトルは始まり、バトルは終え、その繰り返しである。それを見たタケシはここがどのような場所なのかが分かった。

 

「わかったぞ。ここはこの辺りに住む水系ポケモン達の道場みたいなところだ」

 

「それじゃあ、ここでお互いに強さを磨きあっているってことなんんですね」

 

「すごい。私こんなの初めて見たよ」

 

 人間が立ち入ることは決して許されないこの野生ポケモン達の緊迫とした雰囲気の中でリーリエ達はブイゼル達の方へと視線を変えてみると…

 

「ブイブイブ‼︎」

 

「ココッ‼︎」

 

「ブイブゥ‼︎」

 

 ブイゼルとコイキングは何やら揉めているように見えた。どうやら、組手に参加しようとしているコイキングをブイゼルとマリルが止めているようであった。

 

「当たり前だ。まだ回復しきってないのに…」

 

「コイキング!!!」

 

「コーン!」

 

「ちょっ!リーリエ!!!」

 

 見ていられず、その場を飛び出したリーリエはコイキングの元へと駆け寄った。だが、いきなり人間が侵入してきたことに驚いたニョロボンは鳴き声で周りのポケモン達を集めた。ニョロボンの司令に気づいたポケモン達は各々の訓練を一時中断すると、リーリエに対して威嚇し始めた。それを見たタケシ達も慌ててリーリエの元へと駆け寄った。

 

「違うんだニョロボン!俺たちはここを荒らしにきたんじゃないんだ」

 

 タケシの言葉に耳を貸そうとしないポケモン達。だが、ブイゼルとマリルとコイキングは必死にリーリエ達は危害を加えるような人達ではないことを伝え始めた。コイキングの治療の痕跡も見せてはニョロボン達を説得させる。事の状況が分かったニョロボンは威嚇しているポケモン達を引き下げた。

 

「分かってもらえたみたいだな」

 

「リーリエも!コイキングが心配なのは分かるけど」

 

「ご…ごめんなさい」

 

「コーン…」

 

 先走った行動に反省するリーリエを前にそれでもコイキングは組手に参加しようとしている。

 

「ダメですよコイキング!まだ怪我は完全に治っていないのですから!」

 

「なんで、そんなになるまで…」

 

『ここは、このロトムにお任せロト!』

 

 事情を聞こうとロトムはコイキングに話しかける。ロトムもまたポケモン。それをヒントにロトム図鑑には新たにポケモン翻訳機能が内蔵されたのだ。

 

『そういうことロトね』

 

「ロトム。コイキングは何て言ってるの?」

 

『コイキングはここを通りかかるトレーナーに何度も出会すことがあるロト。だけどコイキングだからという理由だけで誰にも相手にされない。それが悔しくて何としても強くなるためにここで必死にトレーニングしているみたいなんだけど…』

 

「ブイブイ」

 

『張り切りすぎて、大怪我をすることがただ絶えないとブイゼルは言っているロト』

 

 年々、ポケモン研究員は新たに発見されたデータによって今まで図鑑に明記されていたポケモンの生態文の変更もいろいろと行なってきてはいるが、コイキングの最弱という肩書きはいまだに消えないでいる。実際、新型のポケモン図鑑として開発されたロトム図鑑にもその説明が記載されているぐらいだ。

 

「まぁ、見た目の判断で弱いと決めつけられて傷つくのは分かるんだけど…」

 

「こんなトレーニングを続けると強くなるどころか身体を壊しちゃうよ」

 

「ココッ…」

 

 そんなコイキングの様子をみたリーリエはある提案をみんなに提示した。

 

「それでしたら、わたくし達も修行のお手伝いをさしてあげたらどうでしょうか?」

 

「リーリエ?」

 

「わたくし…なんだかこの子の事ほっておけなくなってしまいましたし…ど…どうでしょうか?」

 

 少し自信なさげに応えるリーリエであったが、彼女の意見に反対する者はいなかった。それどころかここにいるニョロボン含む野生のポケモン達もみな賛同していた。

 

「リーリエ!それ、ナイスアイディアだよ!」

 

「そうだな。ちょうど、リーリエのムックルも特訓中だったわけだし。傷ついたポケモンの治療は俺に任せてくれ」

 

「ラッキー‼︎」

 

「キャモ‼︎」

 

「キ…キモリ⁉︎」

 

「クルッ‼︎」

 

「ムックルも⁉︎」

 

「あはは!リーリエのポケモン達はみんなバトル好きだよね♪」

 

 キモリもムックルも体を大きく動かしてはいつでもバトルができるようにストレッチを始めた。すると、その様子を見たブイゼルはキモリに近づくと拳をキモリの前に突き出した。

 

「ブイッ‼︎」

 

「キャモ…」

 

 二人はやる気満々だ。キモリのトレーナーとしてリーリエもブイゼルに勝負を申し出た。

 

「分かりました。ブイゼル!手合わせお願いしてもいいですか?」

 

 もちろんと、ブイゼルは首を縦に振った。思いっきりバトルができるようにリーリエ達は河岸へと移動した。さっきまで組手を取っていた野生のポケモン達もキモリとブイゼルの戦いを見学しようと周りの木に腰を下ろしていた。

 

「よく見ておくんだぞ。他のポケモンのバトルをみるのも立派な修行だからな」

 

「ココッ‼︎」

 

 タケシの教えをしっかりと聞いたコイキングも今から始まるバトルを目を凝らしてみようとする。

 

「キモリ!【タネマジンガンです】‼︎」

 

「キャモ‼︎」

 

「ブー!」

 

 先制攻撃を繰り出したキモリの【タネマシンガン】がブイゼルに向かって放たれた。無数に迫ってくる種の弾丸をブイゼルは【みずてっぽう】で全て撃ち落とした。その後、すぐさまブイゼルは尻尾をスクリューのように回し始めると周りの川水を自分の周りに纏わせ、キモリに向かって突進する。ブイゼルの【アクアジェット】が炸裂した。

 

「キャモ!」

 

「大丈夫ですか⁉︎」

 

「キャモ」

 

 効果はいまひとつなため何とか耐えたキモリであったが、すでに頬袋を膨らませてパワーを貯めていたブイゼルの【みずてっぽう】がキモリに目掛けて放たれた。

 

『凄いパワーの【みずてっぽう】だロト!』

 

「【でんこうせっか】‼︎」

 

 キモリは【でんこうせっか】のスピードに乗ってブイゼルの攻撃を瞬時に躱した。そのままブイゼルに突っ込んでいくキモリに、ブイゼルは同じ先制技【アクアジェット】で迎え撃つ。迎え撃った両者の攻撃は爆風の反動とともに後退する。

 

「はい!そこまで!」

 

 タケシの合図により、キモリとブイゼルのバトルは引き分けに終わった。

 

「頑張りましたねキモリ。ありがとうございました。ブイゼル!」

 

 バトルによって、互いの力を認め合ったブイゼルとキモリは握手を交わした。力を出し切った二体はとても満足気な表情をしていた。

 

「よし!次は…」

 

 次の練習を始めようとしたその時…

 

 

 

     ガッシャャャャ!!!!!!

 

 

 

「なんだ!」

 

 音がした方へと振り返ると、木々を薙ぎ払いながらこちらに進んでくるサイホーンの形をしたメカが現れた。

 そのメカはリーリエ達の前に停車する。コックピットが開き出すとその中からは見覚えのある二人組が現れた。

 

「なんだかんだと聞かれたら」

 

「答えないのが普通だが」

 

「「まぁ!特別に答えてやろう」」

 

「地球の破壊を防ぐため」

 

「地球の平和を守るため」

 

「愛と切実な悪を貫く」

 

「キュートでお茶目な敵役」

 

「ヤマト!」

 

「コサブロウ!」

 

「宇宙を駆けるロケット団の二人には」

 

「ショッキングピンク桃色の明日が待ってるぜ」

 

「なーんてな!」

 

「ボッツ‼︎」

 

 現れた二人組にリーリエとカノンは

 

「「ヤマト!!」」

 

 そしてサトルとタケシも

 

「「コサンジ!!」」

 

 声を揃えて二人の名を叫んだ。

 

「違うコサブロウだ!!!名乗っているだろ!!!」

 

 いつものように名前を間違えられたコサンジ…いやいやコサブロウはリーリエ達にツッコミを入れた。

 

「お前達!まだこんなことやっているのか!」

 

「あら、久々にみる顔もあるわね」

 

「何を言いだすかと思えば、我々はロケット団!滅ばぬ限り悪事の道を突き進むのは当然であろう」

 

『それよりも何ロト!そのメカは!!!』

 

「これか!これはルンバ博士が…」

 

 

ピリッッ

 

 突如、無線が鳴る。

 

ピッ

 

「もしもし」

 

『ナンバである!!!』

 

「……。」

 

「ナンバ博士に作ってもらったんだよ」

 

「それよりも何しにここへ来たんだ!」

 

「それはサンバ博士が…」

 

ピリッッ

 

 再び鳴る。

 

ピッ

 

『ナンバである!』

 

「……。」

 

「ナンバ博士が水ポケモン達の生態について調べたいと頼まれたから、ここの水ポケモンを全部いただきにきたんだよ」

 

 今回のロケット団の目的はここのポケモン達の捕獲と聞いたリーリエはシロン達を前に出して身構えた。

 

「そんなことさせません!」

 

「な〜に言ってるの?今回私たちが狙っているのは野生のポケモンよ!人のポケモンじゃないわよ」

 

 トレーナーの資格を得た者が野生のポケモンを捕獲するのは保護施設エリア以外でなら許されている。だが、ポケモンを悪事として扱っているロケット団となれば意味が違ってくる。

 

「だけど、ロケット団みたいな悪い人達に渡ってしまうのであれば話しは別だね」

 

「そうよ!それにそのボンバ博士に何を言われたとしても…」

 

ピリッッ

 

 鳴る。

 

ピッ

 

「パープルジャリガール!あんたによ!」

 

 カノンはヤマトから無線機を受け取った。

 

『ナンバである』

 

「……。」

 

 ナンバ博士はどんな耳をしているのだろう。ここにいる全員がそう思っているに違いない。

 

「その…ナンバ博士に頼まれたからって、ここのポケモン達がロケット団なんかに悪用されてたまるものですか!」

 

 カノンはヤマトから渡された無線機をヤマトに投げつけながらそう言い放った。

 

「そうか!なら、力づくで止めてみろ!」

 

「「とぉう!!」」

 

 メカの中へと入ったロケット団は水ポケモン達の捕獲に掛かった。メカの口から大きな網が発射されニョロボンを含む他の水ポケモン達はその網に捕らえられてしまった。

 

「あぁ!ポケモン達が!!!」

 

「ブィィィ!!!」

 

 みんなを助けるべくブイゼルは【アクアジェット】でメカに突進する。だが、頑丈なメカにそのパワーは跳ね返されてしまい後ろへと後退する。

 

「ブッ!!!」

 

「ダメだよブイゼル!」

 

「ブイ?」

 

 もう一度、向かって行こうとしたブイゼルをサトルは呼び止めた。

 

「相手はポケモンじゃないメカなんだ。力任せに行った所で勝算はない。ここはみんなで協力し合わないとダメだ!」

 

「ブイ…」

 

 サトルの言葉にブイゼルは攻撃しに行く事をやめた。ロケット団はリーリエ達のポケモンも奪おうとリーリエ達に向かって前進してやってくる。すると、足元に目をやったサトルはある策を思い浮かべた。

 

「ブイゼル!マリル!あのメカの足元に【みずてっぽう】だ!」

 

『ピピッ‼︎一体どうするつもりロトか?』

 

「お願いだ!」

 

 サトルを信じてマリルとブイゼルは【みずてっぽう】をメカの足元に目掛けて放った。水の勢いだけであのメカは止めることは出来ず、メカはそのまま一直線に向かって行く。

 

「そんな攻撃効くわけないでしょ」

 

「無駄な抵抗はもう辞めるんだなぁ…っと!」

 

 するとメカは地響きを鳴らしながら空回りし始めた。いきなりの事にロケット団は慌ただしくなる。

 

「なになに!どうなってるのよ!」

 

「ダメだ!操縦がきかない!」

 

 メカに乗っているため足元に目をやれないロケット団には何が起きたかわからないが、リーリエ達にはその原因をしっかりと目で捕らえていた。

 ここの土は水辺に近いこともあって湿った柔らかい土で出来ている。そこに水をかけてやることで水を多く吸収してしまったことに泥が生まれて、メカはそのぬかるみにはまって動けなくなってしまったのだ。

 

「そうか!これが狙いだったのか!」

 

「流石!サトル♪よっし!フシギダネ!【はっぱカッター】でロープを切るのよ!」

 

「ダネ‼︎」

 

 ロケット団が動けない隙にカノンはフシギダネに網を切るよう指示を出す。この葉の刃で網を切り、ニョロボン達は急いで脱出する。全員の無事を確認したニョロボンは全エネルギーを集中させた拳をロケット団のメカに向かって強烈な一撃を食らわした

 

『ニョロボンの【きあいパンチ】ロト!』

 

 ニョロボンの一撃でロケット団のメカは操縦不能となってしまった。動かないメカを捨ててロケット団はコックピットから姿を現わす。

 

「よくもやってくれたわね!」

 

「こうなったらポケモンバトルだ!」

 

「出てこい!グランブル‼︎」

 

「ツボツボ‼︎お前も行け!」

 

「グラ‼︎」

 

「ボッツ‼︎」

 

 メカが壊れたぐらいで引き下がる二人ではなかった。ロケット団は意地でも水ポケモン達を根こそぎ奪う気だ。

 

「シロン!行きますよ」

 

「コーン‼︎」

 

「ココッ‼︎」

 

「コイキング?」

 

 ロケット団と戦おうと前に出たリーリエとシロンにコイキングは自分が行くと跳ねてはアピールする。自分達の住処を荒らそうとしたロケット団を許せないのであろう。コイキングの想いを知ったシロンもここはコイキングに任せると後ろへと後退する。リーリエはコイキングとコンタクトを交わすとコイキングを前に出して戦闘体勢へと入った。

 

「一緒に戦いましょう!コイキング!」

 

「ココッ‼︎」

 

「コイキングに何が出来るって言うのよ!グランブル!【たいあたり】‼︎」

 

「グラッ‼︎」

 

「ココッ!!!」

 

「続けて【かみつく】攻撃よ‼︎」

 

「グラァァ!!!」

 

 グランブルの体当たりを受けてコイキングは後ろへと吹き飛ばされてしまった。陸地に跳ねられ身動きがうまくとれないコイキングにグランブルは強靭な顎でコイキングを噛みつきにかかった。

 

「コイキング!【はねる】です‼︎」

 

「ココッ‼︎」

 

「「アッハハハ!!!」」

 

「【はねる】をした所で!」

 

「何が起きるわけでも…」

 

 何かを思いついたリーリエの指示でコイキングは【はねる】を繰り出した。【はねる】はダメージも与えられないし、何の効力もないという技ではあったのだが…

 

「やったぁ!!!」

 

「「何が起きたぁぁぁ!!!」」

 

 噛みつこうと前乗めりになったグランブルの顎下に向かってコイキングは力一杯跳ねると、そのままグランブルを空中へと吹き飛ばしたのだ。吹き飛ばされたグランブルはコイキングと共に空高くにまで昇っていく。跳ねることしか出来ないと言われ続けていたコイキングのジャンプ力に驚愕した瞬間であった。

 

『リーリエ!あのコイキング【とびはねる】が使えるロトよ!』

 

「わかりました!コイキング【とびはねる】‼︎」

 

「ココッ‼︎」

 

 ロトムがスキャンしたコイキングのデータからリーリエはコイキングに技の指示を送った。空中で身動きがとれないグランブルに向かって、コイキングは一気に急降下して体当たりを食らわせた。技が入ったグランブルはそのまま地面へと叩きつけられた。

 

「グランブル!!!」

 

 考えもしなかったことにヤマトは動揺を隠せないでいた。

 

「ツボツボ【ヘドロばくだん】だ‼︎」

 

「フシギダネ!!!」

 

 状況がまずいと感じたコサブロウはツボツボにフシギダネに向かって攻撃の指示を出す。ツボツボの攻撃がフシギダネに向かっていくと、何処からか放たれた【みずてっぽう】がツボツボの【ヘドロばくだん】を打ち消しフシギダネを守った。【みずてっぽう】が放たれた方へと振り向くと、そこにはマリルがいた。

 

「ありがとうマリル!」

 

「リル!」

 

 お礼を言われたマリルはカノンに向かって笑顔で返事を返した。

 

「ツボツボ!【ジャイロボール】だ‼︎」

 

「ボッツ‼︎」

 

「ブイゼル!【アクアジェット】だ‼︎」

 

「ブゥゥ‼︎」

 

 ツボツボの【ジャイロボール】とブイゼルの【アクアジェット】がぶつかり合う。押し合いはブイゼルに軍配が上がり、ツボツボはそのままぬかるんだ泥へと飛ばされた。

 

「マリル!【みずてっぽう】‼︎」

 

「リル‼︎」

 

「だぁぁ!!!ツボツボ!!!」

 

 メカと同じように水を浴びたツボツボの体はぬかるんだ泥にはまって身動きが取れなくなってしまった。

 

「グランブル!【かみつく】攻撃‼︎」

 

「グラ…」

 

「どうした?グランブル!」

 

『グランブルは【とびはねる】の追加効果で麻痺して動けないロト!』

 

「コイキング!ツボツボに【たいあたり】です‼︎」

 

「コォォォ!!!」

 

 コイキングの行進の体当たりをツボツボに食らわせるとそのまま吹き飛ばされたツボツボは後方にいたグランブルと衝突した。硬い殻を持つツボツボとぶつかったグランブルは目を回してしまった。

 

「マリル!」

 

「ブイゼル!」

 

「「【みずてっぽう】!!!」」

 

 目を回している二体に向かってマリルとブイゼルの両方の【みずてっぽう】が炸裂した。二体はそのままロケット団に向かって吹き飛ばされた。

 

「今だラッキー!【たまごばくだん】‼︎」

 

「ラッキー!!!」

 

 ロケット団のメカに向かって、ラッキーの光り輝く大きなたまごが迫っていく。

 

「「うわぁぁぁぁぁ」」

 

 ラッキーの【たまごばくだん】を撃ち込められたメカはそのまま爆発した。爆発に巻き込まれたロケット団はそのまま空高く吹き飛ばされて行った。

 

「くっっ!またしてもか!」

 

「覚えておきなさいよ!!!」

 

「「やなきもちぃぃ!!!」」

 

 

 

 

キラッ

 

 

 

 

 水平の彼方へと飛ばされたロケット団を見送ったリーリエ達はみんなの無事を確認する。

 

「みんな無事のようでよかったです」

 

 バトルを終えたコイキングはリーリエの近くの岸まで泳いで渡ってきた。

 

「ココッ‼︎」

 

「凄かったですよコイキング!貴方はもっと自信を持っていけば大丈夫ですよ」

 

「コーン‼︎」

 

「クル‼︎」

 

「キャモ‼︎」

 

「コッココ‼︎」

 

 初めて言われたその言葉にコイキングの目からは涙が滲んでいた。その後、コイキングは何度もリーリエにお礼を言い続けた。

 

「マリル。さっきは助けてくれてありがとね」

 

「ダネッ‼︎」

 

「リルル‼︎」

 

「もうくすぐったいよ♪」

 

 カノンとマリルもすっかりと仲良くなったようだ。その光景をリーリエ達は微笑ましく見ていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「それじゃあ、行こうか」

 

 ポケモン達に別れを告げたリーリエ達は荷物を持って出発しようとしていた。

 

「リルル‼︎」

 

「マリル?」

 

 そんなリーリエ達の跡を追いかけるようにマリルはカノンの元へと駆け出して行った。急な別れに寂しく感じたのか。マリルはカノンの足にしがみついたまま動こうとしない。 そんなマリルの様子にカノンはしゃがみこんで、視点をマリルの目線の高さに合わせた。

 

「だったら私と一緒に来ない?マリル?」

 

「リルル‼︎」

 

 マリルはその場に飛び跳ねながら元気にカノンに返事を返した。

 

「ブイブイ‼︎」

 

「ブイゼル?」

 

「ブイ‼︎」

 

「もしかして、僕に?」

 

 すると、ブイゼルもまたサトルの元へといくと、自分も連れて行って欲しいとアピールする。

 さらなる強さを求めて、いろいろなポケモン達と戦ってみたくなったブイゼルはロケット団で的確な判断力で指示を出したサトルを見て、サトルの元についていくことを決めていたようだ。

 

「よっし!わかった!」

 

「ピッカァ‼︎」

 

 カノンとサトルはモンスターボールを取り出すと、マリルとブイゼルはそのまま開閉スイッチを押して、自らボールの中へと入って行った。

 

「マリル!ゲットだぜ♪」

 

「ヒココッ‼︎」

 

「宜しく!ブイゼル!」

 

「ピッカァ‼︎」

 

「カノン!サトル!おめでとうこざいます」

 

「やったな!二人とも」

 

 二人はモンスターボールからマリルとブイゼルを出して、もう一度顔合わせをした。すると、二体はコイキングの元へと駆け寄ると、一緒に行こうと言っているのか。二体はコイキングに手を伸ばしていた。それを見たリーリエもシロンと一緒にコイキングの元へと駆け寄った。

 

「コイキング。良ければ貴方の強くなりたいという願いわたくしと一緒に叶えて行きませんか?」

 

「ココッ‼︎」

 

「どうでしょうか」

 

「コーン‼︎」

 

「ココッ!!!」

 

「ありがとうございます。一緒に頑張りましょう!」

 

 リーリエもモンスターボールを取り出すと、コイキングの額に開閉スイッチを押した。コイキングもそのままモンスターボールの中へと入って行った。

 

「コイキング!ゲットです!」

 

「コーン!」

 

「リーリエもおめでとう!」

 

「一気に仲間が増えたな」

 

「はい!」

 

 コイキングもモンスターボールから出すと、リーリエ達はコイキング達と共にニョロボン達が住む川岸と別れを告げた。

 

「さようなら!みんな」

 

「元気でね!」

 

「ココッ!!!」

 

「リルル!!!」

 

「ブイブゥ!!!」

 

 ニョロボン達も手を振りながらコイキング達の旅立ちを見送った。新たな仲間と共にリーリエ達はハナダシティへと旅立ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

•細くも樫の木

みかけは貧弱そうに見えるけど強靭な意志を持つ。

 




意味はあってるとおもいます…多分

次回はオツキミ山を舞台とした話です。
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