ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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 お久しぶりです。
それではどうぞ!


第十八話 オツキミ山の独裁者

 次の街ハナダシティに向かっているリーリエ達。今日はもう夕暮れ時、オツキミ山付近のポケモンセンターで宿を取ることになった。

 

「もうすぐポケモンセンターに着く頃だ」

 

「やっとか〜。僕はもうクタクタだよ」

 

「サトルはもう少し体力つけたほうがいいと思うよ」

 

 いつも通りカノンはサトルを茶化していると…

 

「コーン?」

 

 何かの気配に気づいたシロンは辺りを見渡し始めた。

 

「どうしたのですか、シロン?」

 

「ヒッコ」

 

「ピカ?」

 

「ヒコザル?」

 

「ピカチュウもどうしたんだ?」

 

 シロンに続いてヒコザルとピカチュウも辺りを見渡し始める。三匹はリーリエ達から離れると、茂みの奥の方へと入って行った。

 不思議に思いながらもリーリエ達もシロン達の跡を追いかけては茂みの奥へと入って行った。すると、そこには二体のポケモンが身を寄せていた。

 

「ピィとピッピだ!」

 

『これは、さっそくデータアップロードだロト!』

 

 サトルがそのポケモン達の名前を言うと、すかさずロトムはそのポケモン達の解説に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ピィ ほしがたポケモン

 フェアリータイプ

そのシルエットからお星様の生まれ変わりだと信じられている。ピィをよく見た場所には流れ星が落ちてくると噂されている』

 

『ピッピ ようせいポケモン

 フェアリータイプ

ピィの進化系、満月の夜には仲間を集めてダンスを踊る。月の光を浴びて浮かぶこともできる』

 

 

 

 

 

「だが、なんでピィとピッピがこんな所に?」

 

『たしかに、ピィとピッピは主にこの先にあるオツキミ山の周辺を住処にしているはずだ。でも、ここからオツキミ山までまだ少し離れてるロト!』

 

 そう、ピィとピッピは滅多に人前に姿を現さないとされている珍しいポケモンだ。だから、タケシとロトムは自分たちの住処から離れた場所にいるピィとピッピに対して疑問を浮かべているのだ。

 

「コーン?」

 

「ピィ…」

 

「ピッピ…」

 

「ねぇ、なんか元気がないみたいだよ」

 

「これはオツキミ山で何かあったのかもしれないな」

 

「ポケモンセンターに着きましたら、ジョーイさんに聞いてみましょうか?」

 

「そうだね。ジョーイさんなら何か知っているかもしれない」

 

「ジョーイさんには俺が聞く!」

 

「はい…はい…」

 

 シロン達に付き添ってもらいながらピィとピッピを連れてリーリエ達はオツキミ山のポケモンセンターへと急いで向かった。

 

「見えてきました!」

 

「おお!!!あの方は!」

 

 ポケモンセンターの近くまで行くと、急にタケシは何かを見つけたかのようにポケモンセンターの方へと全速力で走り出した。リーリエ達も目を凝らしてみると、ポケモンセンターの前にはジュンサーさんの姿があった。

 

「ジュンサーさーん!!!」

 

 いつも通り、タケシはジュンサーに口説きにはいる。

 

「もう自分の心は貴方に逮捕されてしまいました」

 

ズシャン!!!

 

「しびれびれ〜」

 

「ケッケケケケ♪」

 

『全く懲りないロト』

 

 グレッグルに引きづられるタケシを置いといて、リーリエ達はジュンサーのもとへと向かう。

 

「こんにちは、ジュンサーさん。あの…何かあったのですか?」

 

「それが、じつはね…」

 

「「ジュンサーさん!!」」

 

 声がした方へ向くと、オツキミ山から二人のトレーナーが慌ただしくオツキミ山から走ってきた。

 

「あいつ強すぎて俺たちの手に負えないですよ」

 

「すみませんが、他をあたって下さい」

 

 そう言い残してトレーナー達は急いでポケモンセンターの中へと入って行った。

 あの二人の様子を見てオツキミ山で何かあったことは確かなようだ。ジュンサーは改めてリーリエの質問に応えた。

 

「それがね。オツキミ山を独占しているポケモンが出て来たの」

 

「オツキミ山を!!!」

 

「そうか…それでピィやピッピはそいつに恐れてオツキミ山から降りて来たのか」

 

「タケシ!復活はやっ!!」

 

「やぁ!」

 

 毒の痺れから解放されたタケシも加わった所でジュンサーはさらに説明し始める。

 

「それでね。腕の立つトレーナーにそのポケモンの捕獲をお願いしているのだけど、そのポケモンがなかなか強くてね。それに他のポケモンと群れを成しているからゲットしに行ったトレーナーたちはみんな返り討ちにあってしまうの」

 

「そのポケモンはどんなポケモンなのですか?」

 

 ジュンサーから聞いたそのポケモン達の名前をカノンとサトルはポケモン図鑑で調べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ズルッグ だっぴポケモン

 悪・格闘タイプ

視線が合った相手にいきなり頭突き攻撃を仕掛ける。皮を首まで上げて防御の体勢を取る。ゴムのような弾力でダメージを減らす』

 

『ズルズキン あくとうポケモン

 悪・格闘タイプ

ズルッグの進化系。縄張りに入って来た相手を集団で叩きのめす。キック攻撃でコンクリートブロックを破壊する』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ズルッグにその進化系のズルズキンか」

 

「怖そうなポケモンですね」

 

「グループを作っているのなら、おそらくこの進化系のズルズキンがリーダーであることは間違いないな」

 

「じゃあ、この親玉を倒せばいいってこと?」

 

「そうだね」

 

 ポケモン図鑑から目を離したリーリエ達はオツキミ山の方へと振り向いた。

 さっきのトレーナー達の様子からズルッグとズルズキンのレベルは相当なものであることが分かった。ジュンサーからの話でも何人者のトレーナーが逃げ帰ってると聞いている。そんなポケモンに勝てるであろうか。もし、また無暗に突っ走ってニビシティでの科学博物館の時みたいに太刀打ちできなかったらどうしようとリーリエ達は考えてしまった。

 

「コーン…」

 

「シロン」

 

 シロンは寂しげな表情でリーリエを見つめている。ふと、ピィとピッピの方にも目をやると二匹とも身体を震わせながら怯えていた。

 

「やはり…放っておくわけには行きません」

 

 そう呟くとリーリエはカノン、サトル、タケシと目を合わせる。三人もリーリエと同じ気持ちのようだ。リーリエの考えに賛同し、ゆっくりと頷いた。

 

「ジュンサーさん!わたくし達に任せて貰えないでしょうか!このまま見過ごすわけには行きませんから」

 

『そうロトよ!これはカントーを巻き込むほどの大事件ロトよ!引き下がるわけにはいかないロト!』

 

「いや、そこまでにはなってないでしょ♪」

 

 これから強敵と戦うというのにロトムとボケとカノンのツッコミで一気に緊張感が抜けてしまった。だけど、逆にみんなの気持ちが軽くなったのでよかったと思う。

 

「分かりました。みなさんご協力感謝致します」

 

 リーリエ達は一度ポケモンセンターでポケモン達を回復させ、最低限の準備を整えたうえでオツキミ山の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 オツキミ山は流れ星が頻繁に観測される山と言われ、ポケモンの進化に必要とされる月の石がよく発掘されることでも有名である。

 内部には何処にあるか分からないがおつきみ広場と呼ばれる空間がある。そこには巨大月の石が供えられており、満月の夜になるとその周りをピィやピッピ、ピクシー達が神様を祀る踊りが行われるのだ。その様子からピッピ達は宇宙から来たポケモンではないかという説が出回ったのだ。

 

「まずはズルズキン達の生態や弱点をしっかりと分かっておかないといけないよね」

 

「ロトム。先ほどの図鑑のデータからズルズキン達について調べてもらえませんか?」

 

『お安いことだロト!』

 

 リーリエ達はまずオツキミ山を探索しながらズルズキン達の情報を集めた。

 

『ズルッグとズルズキンは何方とも悪・格闘タイプ。この二体に有効なタイプは共通しているロト!つまり、飛行タイプ。格闘タイプ。フェアリータイプが有効ロト!』

 

「ありがとうございます。ロトム!それでしたら、わたくしは飛行タイプのムックルですね」

 

「俺は格闘タイプのグレッグルだ」

 

「私はフェアリータイプのマリルがいるよ♪」

 

「僕には有利なタイプはいないけど、サポートするぐらいなら大丈夫だよ」

 

「お願いねサトル!トキワの森の時みたいに頼りにしてるんだから!」

 

 それぞれが繰り出すポケモン。そして各々の役割を決めながら、リーリエ達は洞窟内を探索して行く。

 

「コン?」

 

「どうしたのですかシロン?」

 

「ねぇ!何か聞こえないか?」

 

 すると、いきなり真上から空気を切る音が聞こえて来た。その音に気づいたリーリエ達は見上げると、何がこちらに飛んでくる影が見えた。その影はもうスピードでリーリエ達の手前へと落ちると、その衝撃でリーリエ達は思わず尻餅をついてしまった。

 

「きゃあぁぁ!!!」

 

「何だ!!!」

 

「何かが飛んできました!」

 

 ゆっくりとその場に立ち上がると、目を凝らして一面に舞う砂煙の中に浮かび上がる影を凝視する。その影の正体はリーリエ達が探していたポケモンだった。

 

『ビビッッ!!!ズルッグだロト!』

 

 飛んで来た正体はズルッグだった。突然の事に驚いてしまったが、驚いている暇などリーリエ達にはなかった。見ると彼方此方にそびえ立つ岩山の後ろから、次々にズルッグ達が顔を見せていた。そしてリーリエ達の方へと一斉に睨みつけてきた。

 

「早速、囲まれたか」

 

「「「ズキィィィィィ!!!」」」

 

 数十匹はいるであろう。あまりの数の多さにサトルはあらかじめこの場合の対策として一体のポケモンをモンスターボールから繰り出した。

 

「クルマユ!【くさぶえ】だ‼︎」

 

「マユ‼︎」

 

 真っ向から攻めるのは勝算は低いと判断したサトルはクルマユの草笛で眠らせることにした。クルマユの草笛によりズルッグ達は次々と眠っていく。

 

「おお!!!困った時の草笛だ♪」

 

「これでしたら、心配要りませんね」

 

 安心したリーリエ達であったが、右端の岩陰の方から飛び出したズルッグがクルマユに向かって頭突きを仕掛けた。

 

「クルマユ!!!」

 

「えっ!ちょっと起きるの早くない⁉︎」

 

 攻撃を仕掛けてきたズルッグの方へと目を向けてみると、目を覚ましていたのは一体だけではなかった。草笛によってまだ眠っているズルッグもいれば、すぐに目を覚ましては攻撃の体勢をとるズルッグもいた。それを見たタケシは何かを思い出したようだ。

 

「そうか!《だっぴ》か‼︎」

 

「だっぴ?」

 

「ズルッグの特性だ。暫く経つと自身の状態異常を自力で回復させることが出来るんだ」

 

「それって…つまり…」

 

「ズルッグに対して眠り攻撃は余り期待できないということになります!」

 

「そんな〜!!!頼みの草笛が!!!」

 

 その言葉通りズルッグ達は一斉にリーリエ達に向かって突進していく。

 

「「ピィィ!!!」」

 

「あっ!ピィ!ピッピ!」

 

 ズルッグ達の攻撃に恐怖を感じてしまったピィとピッピはその場から一目散に逃げてしまった。

 

「ダメだ!いったん引こう!!!」

 

 マシンガンのように続けざまに飛んでくるズルッグ達の頭突き攻撃に為すすべがなく、リーリエ達は一旦その場からすぐさま退散することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ハア…ハア」

 

「なんとか…振り切ったね」

 

ズルッグ達が追いかけてこないことを確認した後、岩山を背にして休息を取ることにした。ズルッグ達の攻撃を切り抜けたリーリエ達はもう一度体制を立て直すべく作戦を考え直すことにした。

 

「どうしましょう。あんなに数のズルッグ達を一度に相手にするのには、相当厳しいと思います」

 

「これは…親玉のズルズキンを倒すしか手がないな」

 

「だけど、それこそズルズキンと対峙している時に仲間を呼ばれたら。それこそ大変だと思うよ」

 

「くっ〜!!!せめてズルッグ達の考えていることが分かれば苦労しないんだけどなぁ〜」

 

「まぁ、それが出来たら確かに苦労はしないと思うけど…」

 

 サトルのその言葉にリーリエ達は全員一斉にロトムの方へと振り返る。

 

『えっ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

『いや〜♪いい天気ロトね〜』

 

 再びロトムは愛想良く振舞いながらズルッグ達の方へと近づいていく。その様子を岩山の影からリーリエ達は覗いていた。

 どうやら、ポケモンの言葉の通訳機を内蔵されているロトムならズルッグ達がオツキミ山を潜伏した理由を聞けるかもしれないと考えたようだ。

 

「ロトム…大丈夫でしょうか」

 

「コ〜ン…」

 

「わ…分からないけど、もしロトムがズルッグ達から暴れまわっている理由を聞き出すことができたら、すぐに解決できそうだけどね」

 

「まぁ、そこはロトムに任せるしかないな」

 

「頑張れ。ポケモン通訳機♪」

 

 その言葉通り、だいぶわざとらしいのであるが、ロトムはズルッグ達に近づくと、すぐさま計画を実行に移した。

 

『君たちが好き好んで暴れまわるようなポケモンではないことは君たちのその純粋さに満ちた目を見れば分かるロト。さぁ、何か困ったことがあればボクに遠慮なく話してみるロトよ』

 

 すると、先ほどまで目を細めて警戒心を先立てていたズルッグ達であったが、ロトムのその言葉に落ち着きを取り戻したみたいだ。警戒するのをやめた一体のズルッグがロトムの方へと近づいて行った。

 

「あれ⁉︎なんか良い感じじゃない?」

 

 透き通ったその目には邪神はいない。作戦は成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…かのように見えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

「「「「ロ…ロトム!!!」」」」

 

 野生の脅威は…そんなに甘くはなかった。

 

「大丈夫ですか!ロトム!」

 

『ピピッ‼︎ボ…ボクの手には…負えないロト…』

 

 ロトムの元へと駆けつけた途端、さっきと同じようにズルッグ達はリーリエ達の周囲を取り囲んだ。もう、話合いの余地はない。リーリエはシロンを前に出すと、すぐさま攻撃を仕掛けた。

 

「シロン!【こなゆき】‼︎」

 

「コーン!!!」

 

 格闘タイプのズルッグには効果はいまひとつであるが、今までのバトルの経験からパワーアップしたシロンの粉雪はズルッグ達を一斉に吹き飛ばすぐらいの威力にまで誇っていた。

 シロンの人吹だけでも前方を数十体で固めていたズルッグ達は後方へと吹き飛ばすことができた。

 この調子なら大丈夫だと安堵した。その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  !!!ズキィィィィィィン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 洞窟内に突然として響き渡る鳴き声にリーリエ達は思わず身震いしてしまった。だが、それはリーリエ達だけではない。さっきまで敵意を表していたズルッグ達も互いの顔を見合わせながら焦り始めた。山彦のように響き渡った声は徐々に止んで行くと同時に、その声の主がリーリエ達の前に姿を現した。

 

『出たロト!!!』

 

 リーリエ達の前に現れたのは、オツキミ山に入る前に図鑑で確認したもう一体。ズルッグ達を率いるそのポケモンであった。

 

「親玉の…ズルズキンだ!」

 

 再び雄叫び上げたズルズキン。それと同時に主ポケモンのように吹き上げられたオーラに押されてしまい、リーリエ達は思わず後ずさりしてしまった。しかし、押されながらもすぐにサトルはピカチュウを前にカノンとタケシもそれぞれのモンスターボールを片手に取ると、一斉にポケモンを繰り出した。

 

「頼むぞ!ピカチュウ!」

 

「ピッカァ‼︎」

 

「お願い!マリル!」

 

「出てこい!グレッグル!」

 

「リル‼︎」

 

「グー‼︎」

 

「シロン!【こなゆき】です‼︎」

 

「ピカチュウ!【10万ボルト】‼︎」

 

「マリル!【みずてっぽう】よ‼︎」

 

「グレッグル!【どくばり】だ‼︎」

 

 一斉攻撃を繰り出すシロン達にズルッグ達はその攻撃を躱すのに精一杯だった。変則的に向かってくる攻撃に、ズルズキンも自分の攻撃に移せないでいた。さっきとは打って変わってリーリエ達が優先し出している。

 

「いいぞ!みんな!」

 

 次々に攻撃が決まって行くが

 

「ズキィィィィ!」

 

 図に乗るなぁ。と言わんばかりにズルズキンは再度雄叫び上げると、一瞬にしてシロン達の猛攻撃を一瞬にして腕を使って大きく一振りに打ち消したのだ。

 やはり進化系であるズルズキンは他のズルッグ達よりも明らかにパワーが違っていた。さっきよりも鋭い目つきで前のめりに顔を突き出してきたその表情にリーリエ達に緊張が走る。

 

「えっ?」

 

 そのズルズキンの表情に何かを感じたのか。リーリエの顔は徐々に雲がかかったのかのように青ざめていく。

 

「どうしたのリーリエ!」

 

 それに気づいたカノンはリーリエの肩に手を置いた。

 

「はい。あのズルズキンから…」

 

「ズキィィィィ!」

 

 だが、リーリエの言葉を遮るようにズルズキンはシロン達に向かって攻撃を繰り出すべく猛烈な威圧を漂わせながら飛びかかってきた。

 

『来るロト!』

 

 ドス黒いエネルギーを拳に纏うとズルズキンはシロン達にその拳を振りかざさした。

 

「グレッグル!【かわらわり】‼︎」

 

「ピカチュウ!【アイアンテール】‼︎」

 

 それに対抗すべく、ピカチュウとグレッグルは同時にズルズキンの手刀を自分たちの技で受け止めた。だが、ズルズキンのパワーによって二体はそのまま地面へと叩きつけられてしまった。叩きつけられた二体は立ち上がると、ゆらゆらとふらつき始めた。ズルズキンの攻撃に相当なダメージが入ってしまったからと思ったが、ピカチュウとグレッグルは千鳥足になっている様子からこれはダメージによるものではないと分かった。そう、二体は混乱状態に堕ちていたのだ。

 

「混乱してる!」

 

「【いばる】でも使ってきたのか⁉︎」

 

 【いばる】ズルズキンが相手を混乱状態にさせる技があるならこの技があがるだろう。だが、この技は相手を混乱状態にするだけでなく、相手をイラつかせ闘争心露わにし、攻撃力までも上げてしまうというリスクもある技。だが見た所、二体の攻撃力は上がっている様子はない。【いばる】による技ではないのか。そんな事を考えている間に二体に向かってズルズキンは再度攻撃を仕掛けた。黒いオーラを纏わせた一撃を決めて来た。

 

「ピカチュウ!!!」

 

「グレッグル!!!」

 

「なんだあの技は!!!」

 

「ロトム!あのズルズキン、なんて技使ってるの?」

 

 次々に繰り出す意図のわからないズルズキンの攻撃。リーリエの指示にロトムはズルズキンのデータからそれに該当する技を調べ始めた。だが…

 

『からない…』

 

「えっ?」

 

 予想だにしない答えが返って来た。

 

『分からないロト!こんな事がありえるロトか!あのズルズキンが使っている技、どれもデータにないロト!!!』

 

「それって…一体」

 

 そんな事にサトルとカノンも自身のポケモン図鑑でズルズキンを調べ始めた。確かにロトムと同様、二人のポケモン図鑑でもあのズルズキンが使ってきた技が一つも当てはまらないでいる。ありもしない事に理解が追いつかないでいる。そんなリーリエ達にズルズキンは容赦なく技を繰り出して行く。

 

「ム…ムックル!お願いします!」

 

「クルッ‼︎」

 

 咄嗟に向かってくるズルズキンに格闘タイプと相性のいい飛行タイプのムックルをリーリエは空かさずモンスターボールから出した。

 

「シロン!【ムーンフォース】‼︎」

 

「ムックル!【つつく】‼︎」

 

 二体の効果は抜群の技がズルズキンに向かって放たれる。ズルズキンはダメージを受けながらもムックルに向かって飛びかかる。

 

「危ない!ムックルが!」

 

「【かげぶんしん】で躱して下さい!」

 

 いくつもの自分の分身がズルズキンの周りを包囲したが、ズルズキンは思いっきり回転して、分身ごと拳でムックルを薙ぎ払った。

 

「ムックル!!!」

 

 地面へと追撃したムックルをリーリエは急いで抱きかかえる。さらにズルズキンの指示の元、ズルッグ達の頭突きの嵐が巻き起こる。

 

『絶体絶命ロト!!!』

 

 怒涛の攻撃を繰り返すズルッグに予想だにしない技を繰り出すズルズキンにリーリエ達は苦戦を申し立てられる。勝利を確信したズルズキンはリーリエ達を見下すようにして見ていた。だけど、負けるわけにはいかない。残りポケモン達も場に出そうとモンスターボールをかがげると…

 

「ズキィィィィィ!!!」

 

「えっ?なになに?」

 

 突然吹っ飛ばされたズルッグ達。その光景にズルズキンも目を丸くした。背後から何かの気配に気づいたリーリエ達は同時に振り返た。

 

「ピィにピッピ!」

 

「それにピクシーも!」

 

 現れたのはズルッグ達の数に負けないぐらいのピィとピッピ。そしてピクシーだ。その中にはオツキミ山に行くまでに会ったピィとピッピもいた。

 どうやら、先ほどのピィとピッピが仲間を引き連れてリーリエ達に加戦しにきたのだ。自分たちの生まれ育ったここオツキミ山を護ろうと戦ってくれているリーリエ達の姿に自分たちも勇気を貰ったのであろうか。リーダーであるピクシーの合図に一斉に魅惑的な鳴き声をズルズキン達に向かって発した。

 

「これは…」

 

『【チャームボイス】ロト!!!』

 

 フェアリータイプの技【チャームボイス】その技にズルッグ達は次々と吹き飛ばされて行く。中には、ピクシー達に向かって頭突きを仕掛けようとするが、声の壁に阻まれてしまい、届く前に再度吹き飛ばされてしまっていた。

 それに効果は抜群の技だ。ズルッグ達には相当なダメージが入る。倒れて行く仲間たちを見ながら、どうする事も出来ないとズルッグ達は一目散に逃げ出して行った。

 

「やったぁ!!!」

 

「いやまだだ!」

 

 喜ぶのはまだ早い。タケシの言った通りまだ一体のポケモンがまだリーリエ達の前に立ちはだかっていた。

 

「ズルズキンがまだ…」

 

「ズーキィィィィィィィン!!!」

 

「リーリエ!危ない!!!」

 

 仲間を失ったズルズキンは自分のいま目の前にいるリーリエに向かって攻撃を仕掛けた。その攻撃を防ごうとムックルはズルズキンに体当たりした。

 

「ムックル!!!」

 

 ムックルは天井へと高く舞い上がるのと同時に

 

「クルゥゥゥゥゥ!!!」

 

 ムックルは洞窟内に響き渡るほどの鳴き声をあげた。そして!

 

「あっ!!!」

 

 眩い光に包まれると、ムックルは新たな姿。そして力を授かろうとしていた。一回り大きくなったそのポケモンは再び鳴き声を洞窟内に響き渡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ムクバード むくどりポケモン

 ノーマル・飛行タイプ

ムックルの進化系。大きなグループを作って行動する習性がある。森や草原を飛び回る』

 

 

 

 

「進化…ムクバード!!!」

 

 進化と同時にムクバードは両翼を前に出し、威嚇し始めた。突然の進化にズルズキンも少しばかりか戸惑い、焦り始めているように見えた。その感情を振り払おうと、ズルズキンはムクバードに向かって飛びかかった。

 ムクバードへと向かってくるズルズキンを前にリーリエは冷静にムクバードに指示を出す。その意図を察したムクバードもじっとズルズキンの方を見ながらリーリエの指示を待っていた。

 

「ムクバード!【つばめがえし】です‼︎」

 

 ここに来るまでずっと練習していた技。ムクバードは目にも止まらね速さで急降下すると、一気に嘴に風のエネルギーを貯め込みながらズルズキンの方へと攻撃を仕掛けた。ムクバードが煙のように消えたように見えたズルズキンは体勢を崩し、もう相手を見下す余裕などもすっかり無くなっていた。

 

「ムックバァァァァ!!!」

 

「ズキィィィィィ!!!」

 

 ムクバードの【つばめがえし】がズルズキンの腹部辺りに決まった。

 

「決まった!!!」

 

『効果は抜群ロト!!!』

 

 そのままズルズキンは後ろに聳え立つ岩山に思いっきり叩きつけられた。

 

「ズッ…ズ…キン…」

 

 流石に蓄積されたダメージが悲鳴を上げてきたようだ。一度は立ち上がるが、そのままふらつき始めると岩山を背にそのまま座り込んでしまった。ズルズキンからもう戦う力が残っていないと分かったリーリエはすぐに空のモンスターボールをバックから取り出した。

 

「お願いいたします。モンスターボール!」

 

 開閉スイッチが開き、ズルズキンはモンスターボールの中へと吸い込まれていった。完全にモンスターボールが閉まるまでのカウントダウンが始まる。ここまでの受けたダメージは大きい。出てこられたら真面に戦える体力がまだ残っているか難しい。そのまま収まってくれるか祈るしかない。そして…

 

 

      カッチ‼︎

 

 祈りが通じた。完全に閉まった音が洞窟内に響いた。ズルズキンの捕獲に成功したのだ。

 

「や…やりました〜」

 

「やった〜」

 

 無事にズルズキンをモンスターボールに収めたることが出来た。緊張が解け、脱力感が一気に出てきたリーリエ達はその場に崩れ落ちてしまった。

 そして、ポケモン達を早くポケモンセンターへと連れて行くべく、リーリエ達は下山した。

 

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「ご協力ありがとうございました!これで本来オツキミ山に生息しているポケモン達もこれで元の日常に戻れたはずです」

 

「いえ…」

 

 ズルズキンの捕獲の成功をジュンサーに伝えた後、回復を終えたポケモン達を受け取りにジョーイの元へと向かった。ズルズキンに結構なダメージを負わされたピカチュウとグレッグルもすぐに元気になるほど、シロン達は元気になっていた。

 

「みんな大した怪我を負っていなくてよかったです」

 

「うん!」

 

「ピッ!!!」

 

 足元から聞こえた声に反応してリーリエとカノンはふと足元に視線を向けると、オツキミ山付近で出会ったあの時のピィとピッピがいた。

 

「あれ?この子達って…」

 

「あの時のピィだな」

 

 それに気づいたサトルとタケシもリーリエとカノンの元へと駆け寄った。すると、ピィはリーリエのスカートの裾を軽く引っ張ると今度はピッピが手をこちらに招く動作を行なった。その後、二体はポケモンセンターの入り口付近で足を止めると、もう一度リーリエ達の方へと振り向いた。

 

「ついてきてと言ってるのでしょうか?」

 

 リーリエ達はピィとピッピの跡を追うことにした。ピィとピッピに連れられてオツキミ山の中へと入って行く。暫くして、中を歩いて行くと一つの大きな空間へと辿り着いた。

 

「これって…」

 

 その中心に人一倍に大きな岩石が添えられていた。過去にここを訪れたことがあるタケシはその岩石が何なのかはすぐに分かった。

 

「これは月の石だ」

 

「月の石⁉︎」

 

「それじゃあ、ここがおつきみ広場って言われる所なのか」

 

「あぁ!ここでピッピ達はこの月の石の周りを輪になって神様を祈る踊りを始めるんだ」

 

 タケシの説明通りピッピ達は月の石の周りで踊り始めた。満月の光がスポットライトのようにピッピ達と月の石を照らし始めると、その光に反応して月の石もより光輝き始めてきた。神秘的なダンスと月の光の神々しさにリーリエ達は見惚れてしまった。

 

「綺麗!!!」

 

『データアップロードロト!』

 

「こんな光景に出会えるなんて!わたくし、とても感動しています」

 

「僕たちにお礼をしているのかな…」

 

「きっと、そうだろうな」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 ピッピ達の神秘的なオツキミ山での夜が明け、リーリエ達はポケモンセンターで出発の準備を整えていた。

 

「ズルズキンはばっちり回復していますよ」

 

「ありがとうございます!ジョーイさん!」

 

 治療のほかにいくつかの生体検査を行なったズルズキンはシロン達よりも一足遅くにジョーイから受け取った。

 

「それで、そのズルズキンはどうするの?」

 

「預けようにもジュンサーさんもいないよね」

 

 受け取ったのはいいが、すでにジュンサーはポケモンセンターを跡にしていた。てっきり保護施設へと預けられると思っていたのだがこの場合、ズルズキンをゲットしたのはリーリエとなるため、ズルズキンの主人はリーリエとなる。よって

 

「ゲットして貰いたかったから、このまま連れて行くのもありじゃないか?」

 

 タケシの一言により決まった。ズルズキンは正式にリーリエの手持ちに加えることにしたのだ。

 

「そうですね!出て来てください!」

 

「ズキィ…」

 

 モンスターボールから出たズルズキンは受けた傷も癒えてすっかり体力も回復していた。だが出てきたのはいいが、主人となるリーリエに背を向けてはうっすらとこちらを睨みつけいるだけで、無愛想だ。

 

「あの…ズルズキン!今日から貴方はわたくし達の仲間です。これから宜しくお願いしますね!」

 

「コ…ン」

 

「ムクバー‼︎」

 

「キャモ…」

 

「ココッ‼︎」

 

 戸惑いながらも返事をするシロンとキモリ。逆に新たな仲間が増えて喜んでいるムクバードとコイキング。反応はそれぞれ違うが皆はズルズキンを歓迎しているようだ。リーリエもズルズキンと握手しようと手を差し伸べる。

 

「ズキィ!」

 

「あれ?」

 

 たが、ズルズキンはその手を握ろうともせずに再びリーリエに背を向けてしまった。その態度にシロンは困り、キモリは苛立ちを立てていた。ムクバードとコイキングも唖然とした表情を浮かべていた。そんな四匹にリーリエも苦笑いで返した。ズルズキンの様子を見たタケシは優しくリーリエに語りかける。

 

「旅を通してこれから仲良くなって行けばいいさぁ」

 

「そうですね!みんな戻ってください!」

 

 リーリエはシロンを残してキモリ達をモンスターボールに戻すと、ポケモンセンターを出て行った。このまま行けば、今日の昼時には着くであろう。次のジム戦のことを考えながらリーリエ達はハナダシティに向かっていく。

 

「「「ピッ!!!!!」」」

 

 すると突然、ピィの鳴き声に気づいたリーリエ達はオツキミ山の方へと目を向けた。そこにはピィとピッピ、ピクシー達がリーリエ達に手を振っていた。

 

「「「ズルー!!!!!」」」

 

 さらにはあれほど暴れていたズルッグ達も穏やかなそうにリーリエ達に手を振っていた。どうやら、ズルッグ達はそのままオツキミ山に居座るつもりでいるようだ。だが、笑顔を向けて手を振っているその表情からはもう昨日みたいな闘争心を先立っていなかった。これからはピッピ達と仲良く暮らしていくのであろう。

 

「さようなら!」

 

「ズルッグ達もみんなと仲良くするのよ!」

 

 オツキミ山のポケモン達と別れを告げたリーリエ達は次の街ハナダシティに向かって出発した。二個目のバッジがリーリエ達を待っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、リーリエ?」

 

「はい?」

 

「ズルズキンと対峙した時、リーリエなんか言いかけてたことあったよね?あの時、何があったの?」

 

「それが……。今朝はもう見えてなかったのですが、昨日のズルズキンからは少し靄のような物が見えたのです」

 

「靄?」

 

「あれ…みなさんは気づきませんでしたか?」

 

「いや…僕たちには何も」

 

「何が見えたんだ?」

 

「それが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒い…オーラのようなものなんです」




 早くもリーリエの手持ちが五体となりました。
実は手持ちは六体だけと考えてはなく、無印とBWのサトシみたいに手持ちはもっと増やしていく予定であります。
 次回はハナダシティに到着。新ポケモンならぬ、新キャラ投入回です。
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