ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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 お…押忍!
今回は僕。サトルが出題します。今回のポケ問題はこれです。

 ヤマブキジムのエキスパートは何でしょう?

 A エスパー B 悪 C 格闘 D 虫

答えはお話の最後に


第二十三話 ポケモンバトル

➖三年前➖

 

 

 

【マサラタウン ポケモンスクール】

 

 

 

「ヒコザル戦闘不能!クチートの勝ち!」

 

「よっしゃあ!いいぜ!クチート!!!」

 

「クチッ‼︎」

 

「何やってるのよ〜サトル。大丈夫ヒコザル⁉︎」

 

「ヒココ…」

 

「あ…あんな勝ち方ある訳ないだろ。相性的に炎タイプのヒコザルの方が圧倒的に有利のはずなのに…」

 

「それは俺が天才だからだろ。授業の成績はトップだけど、実戦になるとダメだな。サトルは」

 

「なぁ!!!ヒ…ヒコザルの【ひのこ】を食べて防ぐなんてやり方なんて、ソーちゃんは発想が無茶苦茶すぎなんだよ!」

 

「だけど、勝ちは勝ちだぜ!クチートの性質を上手く使った俺の勝利の結果には変わりはないぜ〜♪サ〜トル君♪」

 

「くっ///」

 

 

 こんな戦い方。僕は全く理解できない。

 

 

 

 

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 クチバシティを目指すリーリエ達。

 今日のところはリーリエ達はその途中にある街。ヤマブキシティのポケモンセンターで一泊することにした。

 

「さぁ!ジム戦だ!ジム戦!」

 

「ちょっと待ってよ!ソーちゃん!」

 

 そう。ここヤマブキシティにもポケモンジムがあるのだ。

 ヤマブキシティが見えてきたその直後、急に丘を下って走り出すソウタをリーリエ達は跡を追いかけながらヤマブキシティゲートをくぐって行った。

 

「てか、ソーちゃんはヤマブキジムには挑戦した事があるの?」

 

 道に迷うことなくポケモンジムへと向かっていくソウタを見てサトルは一度ソウタはヤマブキジムに挑戦しに行った事があると思った。サトルの声にソウタは胸を弾ませながら答えた。

 

「おう!今回を入れると八回目だな!」

 

「は…八回目なのですか!」

 

 ここまでの旅を共にして、ソウタのポケモントレーナーとしての実力は新米トレーナーとは思わせないほどの実力である事は分かった。

 ポケモンセンターでの野試合でも幾多のトレーナーを相手に負けなしであったソウタが七度も負けているジムリーダーがいる。リーリエはソウタの発言に驚いていた。

 暫く走っていくとポケモンジムのロゴマークが貼られている建物が見えてきた。その瞬間にソウタの高揚感が次第に強くなってきた。強敵と戦える喜んでいるソウタは本当にサトシと似ている所がある。

 てか、マサラ人はみなそうなのか?

 

「見えた!見えた!ナツメさん!!!もう一度ジム戦お願いしまーす!…ぐほっ!!!」

 

 ジムの扉に向かって飛び出したソウタであったが、自動ドアは迫るソウタに反応せず、そのままソウタはクチートと一緒に扉に正面衝突した。

 

「大丈夫?ソウタ!」

 

「いてて…なんで開かないんだ」

 

『なんか書いてあるロト!』

 

 ロトムが指した先には一枚の張り紙が貼ってあった。そこにはこう書かれていた。

 

 

 

『勝手ながら申し訳ありませんが、暫くジムを休館いたします』

 

 

 

 

 まさかの休館の知らせだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ヤマブキシジムが閉まっていたため、一同はポケモンセンターへ向かうとした。

 

「仕方ないよ。ジムリーダーも忙しいかもしれないんだし」

 

 ジム戦が出来なかったソウタをなだめるようにサトルは声をかける。

 

「それか、修行の旅に出てたりしてね♪」

 

「ジムリーダーだぜ?そんな訳ないだろ」

 

「いや、そうとも言えないよ」

 

 カノンの言葉をソウタは否定すると、ノゾミはそれを指摘した。

 

「私の地方にいるジムリーダーのメリッサさんは武者修行で良くジムを留守にする事はあるんだよ」

 

「ジムリーダーが修行に出向く事があるのですか?」

 

「あぁ、ジムリーダーもただ挑戦者を待っているだけではなくて、挑戦者から学んだことを生かして鍛え直すジムリーダーは結構いるもんだぞ」

 

『タケシも元はジムリーダー。サトシとも旅に出たのもそれが理由ロト』

 

「いや、俺の場合は元々なりたかったポケモンブリーダーを目指して旅に出たんだ。その時はジムは帰ってきた親父に頼んだんだ」

 

「ジムリーダーもいろいろと大変なのですね」

 

 ジムリーダーについては以前ニビジムでもタケシからいろいろと聞いた事もある。ジムリーダーも一人のトレーナー。そうやって挑戦者と真剣に向かい合う事で自身も鍛えている事にジムリーダーの偉大さをもう一度知る事になった。

 

「ねぇ、ソーちゃん。ヤマブキジムのジムリーダーはどんな人なの?」

 

「おう!ジムリーダーのナツメさんはエスパーポケモンの使い手。強すぎて全く歯が立たなかったんだよ」

 

「エスパータイプ。確かに強そうですね」

 

「そうなんだよ!だからいつも一体目に完封されちまうんだ」

 

 その言葉を聞いて一同はまた驚いた。ジムは基本三対三のバトル。つまりジムリーダーは一体だけで三体のポケモンを倒した事になる。その事実に驚かないトレーナーはいないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、この後みんなはどうする?」

 

「わたくしは一度、ジェームズと連絡を取りにいきます」

 

「私も友達と少し話してくるよ」

 

「俺は旅の整備品の買い出しだな。サトル達はどうする?」

 

「そうだな…」

 

ポケモンセンターに着いたリーリエ達はまず先にポケモン達を回復させた後、宿泊する部屋を男女別に取りに行ったのだが、その後、日没まで時間が充分に残ってしまった。

 リーリエとノゾミは連絡。タケシは買い物。ソウタはというとクチート達のモンスターボールをもってはすぐにバトル私設の方へと行ってしまった。特にやることがなければ、ポケモン達の特訓をと考えていたのだが、そんなサトルをカノンは下から覗き込見始めた。

 

「じゃあ、サトル。私とデートでもしよっか♪」

 

 カノンからのデートという発言にサトルは少し顔を赤らめた。

 

「デ///デートって/////ま…まぁいいけど…」

 

「へぇ〜デートって事は否定しないんだ〜」

 

「///!!!!」

 

 からかい上手のカノンさんにギクシャクされたが、特にする事が見つからないのでサトルはカノンと一緒にヤマブキシティを回ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ヤマブキシティはカントー地方の中央に位置する街で東西南北と四つのゲートから入るようになっている。

 最近では最大都市なだけあって隣のジョウト地方からの観光客が来日しやすいようにとコガネシティと繋ぐリニアが設備された。中心部にそびえ立つ【シルフカンパニー】本社を初めてとして、サトルとカノンは幾度なく建っている高層ビルに驚きながら街を観光していた。

 

 

「初めて来たけど流石は大都市だね。」

 

「ねぇ!あそこのクレープ屋さん行こうよ!」

 

 見つけたクレープ屋に向かってサトルの手を取るとカノンは全速力で走り出した。

 

「モモンの実のクレープとオレンの実のクレープお願いします♪」

 

 それぞれのクレープを買うと、二人は公園の噴水広場の前のベンチへと腰掛けた。

 クレープに噛り付くと、物凄い激的な甘さにカノンは身を少し震わせた。

 

「ん///やっぱり激甘すぎる〜」

 

「だ…大丈夫?」

 

「別に甘いのは苦手じゃないけど、甘すぎるのはやっぱり限度があるよ〜」

 

 モモンの実は木の実の中でも甘さが最も際立つ木の実だ。その甘い香りに野生のポケモンが引き寄せられてしまうぐらいに糖が高い。

 

「これ飲む?」

 

「ありが…とう」

 

 その甘さに耐えられないカノンにサトルは少し苦めなブラックコヒーの缶をカノンに手渡した。これを飲んで少しでも甘さが引いたらと思って渡したサトルであったが、渡されたカノンはサトルの顔を見るなり、薄っすらと頬が赤くなっていく。何のことか分からなかったサトルであったが、カノンが放った一言に全てを理解した。

 

「ねぇ…これって飲みかけだよね?」

 

「えっ…てうわぁぁぁ!!!!」

 

 自分が鈍感だったわけではない。慌ててサトルは立ち上がると、手をばたつかせながら必死に訂正しようとする。

 

「ご!ごめん!!!つい昔の癖で!」

 

「ち…違う!別に嫌ってわけじゃくて…」

 

 理解されるとさらに恥ずかしさが上ってきたカノンもサトルと同じように手をばたつかせ始めました。

 気まずくなった二人は暫く互いの顔を合わせようとせず沈黙してしまった。何か別の話題を出そうにも、噛みしめているその口を開くことができないでいる。

 そんな二人に…

 

「押っ忍!!!君たちもしかして旅のトレーナーかい?」

 

「うわぁ!」

 

「きゃあ!」

 

 突然サトルとカノンの前に現れたのは道着を着こなした如何にも厳つそうな男性と同じ道着を着こなした若い男性集団だった。腰に巻いた帯をしっかりと締め直すと、気合が入った声で二人を見つめていた。

 その圧倒的な威圧に二人は反射的に首を立てに振ってしまった。

 

「やはりそうか!ならここ訪れたという事は我がヤマブキジムの挑戦者と見た!」

 

「我がヤマブキジムの」

 

「もしかして…ジムリーダー?」

 

「押忍!!!そうとも!」

 

 自らヤマブキジムのジムリーダーと名乗る男にサトルとカノンはさっきとは違って、互いの顔を思わず見合わせた。

 

「でも、ヤマブキジムは暫く休館するって…」

 

「どうだ挑戦者!受けるのか⁉︎受けないのか⁉︎」

 

「「「押忍!!!!!」」」

 

 

 

 

「「………。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「押忍!私がヤマブキジムのジムリーダーのノブヒコと申す。挑戦者は君ら二人でいいか!」

 

「あ…はい」

 

「押忍!よろしくお願いしまーす!」

 

 二人はノブヒコの導きにより道場へと招き入れられた。その道場の看板にはジム施設を表すロゴマークが貼られていたので本当にジム施設だったのだと思った。

 サトルとカノンは奥の大部屋へと進めらると、その中はシンプルなバトルフィールドが設置されていた。すぐにノブヒコはトレーナーサイドに立つとサトルを指差した。指名されたサトルはすぐにノブヒコと同じくチャレンジャー側のサイドに立った。後にされたカノンは審判台が立ってあるすぐ近くの所で待機するよう言われてそちらの方へと移動した。

 

「押忍!ただいまより、ジムリーダーのノブヒコとチャレンジャーのサトルによるヤマブキジム、ジム戦を開始する。使用ポケモンは三体。どちらかのポケモンが全て戦闘不能となりますとバトル終了となります。なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます!」

 

 審判を任せられた弟子の一人がジムのルールを説明を行なう。その他の者達はバトルフィールドを取り囲むようにして座っていた。

 

「押忍!俺の一番手はこいつだ!気合だ!!!ワンリキー!」

 

「リキ‼︎」

 

「ワンリキーか…」

 

 ノブヒコは力一杯にモンスターボールをバトルフィールドへと放った。中から現れたワンリキーは自慢の力瘤を見せると己の力強さをアピールしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ワンリキー かいりきポケモン

 格闘タイプ

全身が筋肉となっており子供ほどの大きさしかないのに大人百人を投げ飛ばせる。一日中修行しても物足りない。』

 

 

 

 

 ここのジムの雰囲気的に思ってたけど、ここのジムのエキスパートは格闘タイプか。

 

 

 図鑑をしまったサトルは最初の一体を決めると、モンスターボールを取り出した。

 

「よし頼むぞ!ブイゼル!」

 

「ブイ‼︎」

 

 ブイゼルが出てくるなり、ワンリキーはブイゼルに挑発をする。それに対してブイゼルはワンリキーを睨み返した。

 

「試合開始!」

 

➖サトルVSノブヒコ➖

 

 審判のコールが響いた直後、指示を待たずにワンリキーはブイゼルに向かって走り出した。

 

「ワンリキー!【からてチョップ】‼︎」

 

「リキ‼︎」

 

 スタートが出遅れたブイゼルに向かってワンリキーは早くも距離を詰めてきた。サトルはすぐに先制攻撃でブイゼルをワンリキーと真っ向からぶつけた。

 

「ブイゼル!【アクアジェット】だ‼︎」

 

「ブイ‼︎」

 

 両者のぶつかり合いと同時にそれぞれの技のエネルギー波によって後ろへと吹き飛ばされた。

 

「大丈夫ブイゼル⁉︎来るよ!」

 

「ブイ‼︎」

 

 吹き飛ばされたブイゼルは倒れる事なく踏み止まった。サトルからの応答に答えるとすぐに身構えてはワンリキーの出どころを疑った。

 だが、そのワンリキーはブイゼルとの衝突後、吹き飛ばされるとそのまま目を回して倒れていた。

 

「ワンリキー戦闘不能!ブイゼルの勝ち!」

 

「おおお!!!ワンリキー!!!!」

 

「えっ…」

 

「ピカ…」

 

「ブイ?」

 

「えっ…勝っちゃったの?」

 

「ヒココ…」

 

 ノブヒコはバトルに敗れたワンリキーを抱きかかえると、その場で悔し涙を流した。それにつられて他の道場の人達も一緒になって涙を流しながら、ワンリキーの健闘を讃えた。 

 それよりもあっさりとジムリーダーのポケモンの一体を倒してしまった事にサトルもピカチュウもブイゼル。そしてそのバトルを見届けているカノンとヒコザルも思わず唖然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

ポケモンセンターではリーリエはオーキド研究所で母ルザミーネに付き添っているジェームズと連絡を取っていた。ルザミーネの容体は悪化することはなく、ウツロイドの神経毒の血清から解毒薬も改良中である事を伝えられた。

 

「そうなのですね。ジェームズありがとうございます」

 

「コン‼︎」

 

『奥様にも今のお嬢様のお姿をご覧に頂いて欲しい者です。お嬢様も見ない間にこんなに立派になられて、ジムバッジもお二つも獲得なされてジェームズは感激であります!!!』

 

「大袈裟ですわよ。ジェームズ」

 

「アローラ祭が終わったら、一度研究所の方へと戻ろうと思います」

 

『分かりました。その時はご馳走作ってお待ちしております。その時はお友達も連れて』

 

「はい!それではまた連絡いたします!」

 

『はい。良い旅を』

 

 一方ノゾミもホウエン地方で修行している友人と連絡を取っていた。

 

『ちょっと!ポッチャマ!!!私はいまノゾミと話してるんだから邪魔しないでよ!』

 

『ポチャ‼︎ポッチャマ‼︎』

 

「相変わらずだね」

 

 停滞してから暫く連絡を取れていなかったため、久しぶりに会えた事にノゾミも背負っていた重荷が外れたかのように健やかな気分になっていた。

 

『でも良かった。これでも心配してたんだからね』

 

「ごめん。少しの間コンテストは離れるけど、怠らないように鍛錬は積んでいくから」

 

『私もホウエンのポケモンコンテストで必ずグランドフェスティバルで優勝するわ。私の目標はいつでもノゾミだもの。今度は必ず貴方に勝つわ!』

 

「ありがとう!私もこの旅で何か見つかりそうな気がするよ」

 

『ノゾミなら見つかるよ!大丈夫!だいじよーぶ♪』

 

「あんたの大丈夫はあてにならないけどね」

 

『何でよ!ふふっ///じゃあ、私もうすぐコンテストだから切るね。タケシに宜しく言っといて!後、サトシも何処かで会ったら』

 

「うん。それじゃあ」

 

 同じタイミングで通話を終えたノゾミとリーリエはすぐに合流した。

 

「ノゾミ!終わりましたか?」

 

「うん。今丁度ね」

 

 そして、ポケモンセンターのゲートから大量に買い物袋を背負ったタケシと腕を回しながら大らかな気分でいるソウタとも合流した。

 

「こっちも買い出しは終わったぞ」

 

「俺もだ!今日も全勝!全勝!」

 

「クチ‼︎」

 

 残りはサトルとカノン。リーリエはすぐにロトムを通してカノンにメッセージを送った。送ってからものの数分でロトムへとカノンからのメッセージを受け取った。受け取ったメッセージをロトムは読み上げる。

 

『カノンからメッセージが届いたロト!どうやら、別のヤマブキジムにいるらしいロト』

 

 カノンからの返信に一同は驚いた。

 

「別の?ヤマブキジムは二ヶ所あるのですか?」

 

「はぁ?そんなの俺知らないぞ?」

 

「うん…。ジムはここ数年でたくさん建設されるようになったが、同じ街に二ヶ所のジムが建てられるのは聞いたことないぞ」

 

 二人がいるいまのジムをソウタとタケシは違和感を覚えていた。そんなタケシに一人の男が話しかけてきた。

 

「あれ?君はタケシ君では」

 

「貴方はもしかして…」

 

 顔見知りなのかタケシはその男と握手を交わした。タケシから事情を聞いたその男は思い当たる節があったのか。少し頭を掻きながら説明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 サトルが挑戦しているヤマブキジムではノブヒコが二体目のポケモンを投入しようとしていた。

 

「押忍!行けっニョロボン!」

 

「ボン‼︎」

 

「二体目はニョロボンか…」

 

「ブイ‼︎」

 

 同じ水系同士に火がついたのか。ブイゼルは一段と毛を逆だてると、そのまま身構えた。

 

「ブイゼル!【みずてっぽう】だ‼︎」

 

「ブイ‼︎」

 

「こっちも気合の【みずてっぽう】だ‼︎」

 

「ボン‼︎」

 

 同時に放たれた水鉄砲はそのまま押し合いに入る。だが、パワーは二段階進化系のニョロボンに及ばずそのままブイゼルは押し出されてしまう。

 

「回り込むんだ!」

 

 サトルの指示にブイゼルは水鉄砲によって濡れた床を利用して、上手くニョロボンの背後へと滑り込んだ。パワーには敵わないが、スピードに関してはブイゼルの方が一枚上手だ。その素早い動きにニョロボンはブイゼルが自分の後ろに回られた事に気付いていない。

 

「ブイゼル!【かまいたち】‼︎」

 

「ブイ‼︎」

 

 スクリューの働きを持つその尻尾でブイゼルは風を生み出す。風の刃へと形成されていくそのエネルギーをニョロボン向かって放つ。

 

「後ろだ!ニョロボン【しんくうは】‼︎」

 

 ブイゼルの攻撃に気付いたノブヒコはすぐにニョロボンに指示を出した。ノブヒコの声にニョロボンは後ろへと振り返ると同時に、真空波を鎌鼬に打ち込んだ。

 

「打ち消された!」

 

「ブイ‼︎」

 

 技の威力は【かまいたち】の方が大きい。しかし、初級の技で打ち消してしまうニョロボンのパワーに力任せの攻撃は危ないと悟った。

 

「戻ってブイゼル!」

 

 サトルはブイゼルを戻す事に決めた。ブイゼルをモンスターボールを仕舞うと、ピカチュウに目を向けた。

 

「ピカチュウ!ここは君で行く!」

 

「ピカ‼︎」

 

 サトルの声に応答し、ピカチュウはバトルフィールドへと立った。苦手な電気タイプが相手でもニョロボンは恐れる事なく仁王立でピカチュウの出方を見つめた。その自身は主人のノブヒコも一緒だった。

 

「ニョロボン!【しんくうは】‼︎」

 

「ボン‼︎」

 

「【アイアンテール】で打ち消すんだ!」

 

「ピッカァ‼︎」

 

 ピカチュウはニョロボンの方へとダッシュすると、真空波を硬化させた尻尾で打ち消すと、そのままニョロボンの頭上へとジャンプした。

 

「いまだ!【10万ボルト】‼︎」

 

「ピッカァチュウゥゥゥ‼︎」

 

「ニョロボン!【ビルドアップ】だ‼︎」

 

 頭上から放たれた電撃に対して、ニョロボンは躱すどころかそのまま筋肉を膨張させては力を込めた。しかし…

 

「ボーン!!!」

 

 ニョロボンは電撃が浴びてしまうとそのまま後退してしまった。

 

「何故だ!防御を上げたのに!!!」

 

 ノブヒコは防御を上げてピカチュウの電撃を耐え凌がせる作戦に出ていたようだが、その事にサトルは指摘し始めた。

 

「あの…【10万ボルト】は特殊攻撃ですから、防御を上げても意味ないのでは…」

 

「ぬぉぉ!!!そうだったか!」

 

 サトルの訂正を聞いてノブヒコは両手で頭を抱えながら大声をあげた。その様子にサトルとピカチュウは少し調子が崩れてしまったのは言うまでもない。

 

「なんか、ジムリーダーにしてはなんか威厳というのがないよね」

 

「ヒコ…」

 

 それはカノンも一緒だったようだ。

 

「だが、上がったのは防御だけではない!攻撃もだ!ニョロボン!【きあいパンチ】だ‼︎」

 

「ボン‼︎」

 

 ノブヒコは失敗を取り返すようにして、ニョロボンに再度指示を出した。しかし、その技の選択もミスだったようだ。【きあいパンチ】は拳に力を集中させなければいけないが、集中が途切れて仕舞うと、上手く力を貯められなくなってしまう。つまり、攻撃を受けてしまったら失敗してしまう技なのだ。

 それを知っていたサトルはピカチュウに攻撃の指示を出した。

 

「ピカチュウ!【ボルテッカー】‼︎」

 

「ピカピカ‼︎」

 

 電撃を纏ってピカチュウはそのままニョロボンへと突進していく。パワーを貯めている最中はニョロボンは攻撃する事ができない。

 

「ピカピッカァ‼︎」

 

 そのままパワーが貯まる前にピカチュウの【ボルテッカー】がニョロボンに炸裂した。

 

「ニョ…ロ…」

 

「ニョロボン!!!」

 

 電気タイプ最強クラスの技を受けたニョロボンはそのまま目を回してしまった。

 

「ニョロボン戦闘不能!ピカチュウの勝ち!」

 

「やったね!ピカチュウ!」

 

「ピッカァチュ‼︎」

 

 二勝目もサトルとなった。ピカチュウとハイタッチを交わすその様子をノブヒコは楽しげに笑い出した。

 

「なかなかやるぞよ。少年!だが、そう簡単にバッジは渡さんぞ!!!」

 

 気合を入れ直したノブヒコは最後のモンスターボールを取り出した。

 

「押忍!!!全身全霊!気合だぁぁぁ!!!!」

 

 道場内に響き渡る発声量と一緒にノブヒコの最後のポケモンが放たれた。

 

「あのポケモンは…」

 

 そのポケモンは同じく道着を着こなしており、正座をして精神統一をしていた。そして、モンスターボールから解かれたと知ると、黙祷した目を開いては気合の一言を言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ダゲキ からてポケモン

 格闘タイプ

帯を締めると気合が入りパンチの破壊力が増す。修行を邪魔すると怒る 』

 

 

 

 

 

 

 

「ピカチュウ休んでくれ!」

 

「ピカ‼︎」

 

 静かなる気迫。サトルはあのダゲキがこのジムの切り札であると思った。

 反動ダメージもあって多少ダメージを受けているピカチュウをそのまま続投せずに、一旦休ませる事に決めた。

 

「よし!ヒトカゲ!」

 

「カゲ‼︎」

 

 サトルはピカチュウを戻してヒトカゲを出した。尻尾の赤く燃え上がる炎をさらに大きく燃え上がらせたヒトカゲは自身に気合を入れていた。そのヒトカゲの様子にダゲキはその闘志に一礼を加えた。

 

「開始!!!」

 

「ダゲキ【ビルドアップ】だ‼︎」

 

「ダゲキ‼︎」

 

「ヒトカゲ!【ひのこ】だ‼︎」

 

「カゲ‼︎」

 

 ニョロボンと同じようにダゲキはパワーを貯めた。光り輝く膨張する筋肉がその攻撃力を思い知らせてくる。パワーを貯めるその隙にヒトカゲは火の粉を放った。

 

「【からてチョップ】で粉砕だ!」

 

「キッ‼︎」

 

 ヒトカゲの火の粉を振り払ったダゲキはそのままヒトカゲの頭上へとジャンプした。

 

「そのまま【からてチョップ】‼︎」

 

「ヒトカゲ!【メタルクロー】だ‼︎」

 

 頭上から振り下ろされる主刀にヒトカゲを硬化させた爪で対抗した。ダケキの方へと飛び出すと、そのままダゲキの手刀とヒトカゲの硬化した爪が衝突した。

 

「カゲェ!!!」

 

「ヒトカゲ!!!」

 

 だが、攻撃力を上げていたダゲキの攻撃に押されてしまい、ヒトカゲをフィールドへと叩きつけられてしまった。

 

「まずは一体だ!ダゲキ!次は【ローキック】だ‼︎」

 

 次にダゲキは空中で一回転すると今度は踵落としを仕掛けた。ダゲキの接近に気付いたヒトカゲであったが、すぐに体を退かす時間がないほど距離を詰められていた。

 

「ヒトカゲ!【あなをほる】‼︎」

 

 起き上がって躱す時間がないならと、サトルは穴を掘って躱す様にと指示を出した。

 サトルの狙い通り瞬時に下へと潜ったヒトカゲはダゲキの攻撃を躱す事に成功した。

 

「何ぃぃぃ!!!」

 

 攻撃を決められなかったダゲキの背後へとヒトカゲは飛び出した。

 

「今だ!【ひのこ】‼︎」

 

「カゲェ‼︎」

 

「ダァァ!!!」

 

「続けて【りゅうのいかり】だ‼︎」

 

 火の粉によって蹌踉めいたダゲキに今度は青白い炎を放った。竜の形状となった青い炎はダゲキに襲いかかる。

 

「ダゲキ!【からてチョップ】‼︎」

 

 又もやダゲキは手刀でヒトカゲの攻撃を防いだ。押されながらも気合でヒトカゲの青白い炎をたた切った。攻撃技を防御として使うダゲキの攻撃力は並大抵の強さではない事をサトルとヒトカゲは再認識も兼ねては痛感させられた。

 

「ダゲキ!【きあいパンチ】‼︎」

 

 ヒトカゲの攻撃を打ち消したその右手で今度はニョロボンの時と同様に力を蓄え始めた。しかし、【きあいパンチ】の欠点は分かっている。

 

「パワーを貯めている今がチャンスだ!ヒトカゲ!【メタルクロー】‼︎」

 

 ヒトカゲの攻撃はそのままダゲキに命中した。これでなんとか【きあいパンチ】を防ぐ事が出来た。次の一手をと考えようとしたその時、ダゲキの技がヒトカゲを捕らえた。ダゲキの技を防いだサトルは次の一手を考えようとしたその時…

 

「カゲ!!!!」

 

「ヒトカゲ!!!!い…今のって…」

 

 ヒトカゲはダゲキの攻撃を受けてしまった。しかもその技は【きあいパンチ】だった。

 

「押忍!我がダゲキは技だけでなく精神も鍛えておる。何事にも恐れぬその闘志。怯むことなどなーい!!!」

 

 

 

 

 怯むことは…ない

 

 

 

 

 

 

「そうか…あのダゲキの特性は《せいしんりょく》か…!!!!………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、待てよ。【きあいパンチ】と《せいしんりょく》は全く関係ないはずだ。

 

 特性《せいしんりょく》は怯むことがない特性だ。その特性を使えば【きあいパンチ】を発動できるのではと思う人達もいると思うがそれは違う。それに【きあいパンチ】が発動できないのは

 

『集中力が途切れてしまったために』のはずだ。

 

 精神力を持ったポケモンは怯ませる技を受けても攻撃する事が出来るが、技を受けた直後に集中力が途切れるため【きあいパンチ】を出す事は出来ない。そのはずなのに攻撃が決まってしまった。

 それはつまり自身も攻撃されている感覚に気に留めないぐらい精神を研ぎ澄ませていた事で集中力は途切れる事なく【きあいパンチ】を放つ事が出来たみたいだ。

 

 

 

 

 

 そんな事が実際にあるのか。いや、今更何を言っているんだ。とサトルは自分に言い聞かせる。

 この旅の中で理屈では通用しない経験をいくつもしてきた。ポケモン勝負に正解はない。ワザや特性の使い方。その無茶苦茶な発想や根拠がぶつかり合い、調和されて、思いも寄らない事が起きるのがポケモンバトルなんだ。

 

 

 

 

「虫の息だな!ダゲキ【ビルドアップ】だ!」

 

 ヒトカゲの状態を見て、すぐに攻撃をしてこないと分かったノブヒコはヒトカゲを倒した後も考えてダゲキに攻撃と防御をもう一度あげるように指示を出した。

 

「これでとどめだ!少年!【からてチョップ】だ‼︎」

 

 ヒトカゲの頭上にジャンプをしたダゲキは攻撃を振りかざした。体力の消耗が底にきている状態では穴を掘って躱すとしても間に合わない。だけど、ヒトカゲの目は諦める事なくダゲキの方を睨みつけていた。そのヒトカゲの諦めない気持ちはサトルにも伝わっている。

 ヒトカゲに早く指示をと…サトルは自分自身でも思いも寄らない事を口走った。

 

「ヒトカゲ!!!噛み付いて受け止めるんだ!!!」

 

「カァゲ‼︎」

 

 ヒトカゲは自分に振りかざしてくるダゲキの手刀目掛けて噛み付いてダゲキの【からてチョップ】を防いだ。

 

「な…何!!!」

 

「出来た!!!」

 

 攻撃力を上げているのにも、ダゲキの手刀を防いだヒトカゲにさらに予想だにしない事が起こった。

 

「カァゲェェェェェェ!!!!!!!!」

 

 ダゲキの手刀を振り払い、力一杯に吠えたヒトカゲの体が青白い光に包まれた。爪も牙も一段と鋭くなり、一回り大きくなっていくヒトカゲに目が離せない。

 

「ヒ…ヒトカゲ」

 

「リザァァァァァァァ!!!!!!!!」

 

 オレンジ色の炎を靡かせて赤く大きな体になったそのポケモンは姿が変わったと同時に炎を天井に向かって放射した。

 その姿にサトルは喜びと同時にポケモン図鑑を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リザード かえんポケモン

 炎タイプ

ヒトカゲの進化系。燃えたぎるような性格でいつも戦う相手を探している。強敵と立ち向かうと気分が高ぶり尻尾の炎が青白く燃え上がる事もある』

 

 

 

 

 

 

 バトル中の進化も予想に反した事だ。サトルは一つの試合で起こった破茶滅茶な出来事に対して笑みがこぼれた。

 

「進化とは!なかなかの気合と根性だ!さぁ来い!!!」

 

「ダゲキ‼︎」

 

 ノブヒコとダゲキも進化したヒトカゲを前にさらに気分が高揚したのか。今までに聞いた押忍を今日一番に響かせた。その声に負けないようにサトルもリザードに指示を出した。

 

「行くぞリザード!進化した力を見せるんだ!【かえんほうしゃ】だ‼︎」

 

「ザァァ‼︎」

 

 新たに【かえんほうしゃ】を覚えたリザードの炎は一直線にダゲキに向けて放たれた。その火炎放射をダゲキは両腕を前にクロスさせてガードした。

 ヒトカゲの時と比べ物にならない火力にダゲキは少しずつ後ろの方へと押されてしまっていた。

 

「むむ!!!なんという威力!」

 

「ダゲェ!!!」

 

 火炎放射を大きく両腕を広げて弾き飛ばしたダゲキは息を少し荒らしながらも身構えた。しかし、火炎放射が晴れた先にはリザードの姿は無く、代わりに一つの大きな穴が出現していた。

 

「なぁ!!!下だ!ダゲキ!」

 

「ダゲキ!!!」

 

 察したノブヒコはダゲキに注意を促すものの、ダゲキの足元からリザードは【あなをほる】でダゲキをアッパーで空中へと放り出した。

 

「【メタルクロー】だ‼︎」

 

「ザァ‼︎」

 

 リザードはジャンプをして一瞬にして飛ばされたダゲキの上を取ると、下に向かってダゲキを切り裂いては地面へと叩き落とした。

 叩き落とされたダゲキは蹌踉めきながらも立ち上がった。着地したリザードはそのまま両爪を立ててはダゲキを威嚇する。そんなリザードを前にダゲキは拳を前にして身構えた。

 

「全ての力を拳に貯めろ!!!ダゲキ!【きあいパンチ】‼︎」

 

「キィィ!!!」

 

「ザァァァ‼︎」

 

 右拳に再び力を込め出したダゲキをリザードはそのパワーが解放されるのを待つかのようにダゲキを見つめている。

 それは戦いの余裕から出てきたものではない。真正面から互いの力を打つかって行きたい闘志の表れによるものだ。ボロボロになりながらも戦ってくれた二体のポケモン達の意思を尊重しようと、サトルもダイルも自分のポケモンの想いを了承した。

 

「行くぞ!少年!!!」

 

「はい!!!」

 

 ダゲキのパワー貯めが終わった。リザードも大きく息を吸い出した。勢いよくまた燃え出した尻尾の炎が次の攻撃を繰り出す合図に見えた。二体からひりつく緊張感がサトルとダイル。その試合を見届けているカノンにも伝わっていた。

 

「ダゲキ!【きあいパンチ】だ‼︎」

 

「リザード!【かえんほうしゃ】だ‼︎」

 

 ダゲキがリザードに向かって走り出した直後にリザードの火炎放射がダゲキに襲いかかる。ありったけの力で放射された火炎放射をダゲキは拳で応戦する。

 

「ダ…ダゲ…」

 

 火力と周りから吹き荒れる熱風に身体中の体力が奪われるも、ダゲキはリザードの火炎放射を押し出しては前へと進んでいく。

 リザードもそんなダゲキの様子を見て、火力を上げていく。それに応えるようにリザードの尻尾の炎がさらに燃え上がると、リザードの体から赤きオーラが立ち昇った。

 

「ザァァァ!!!」

 

「ダゲェェェ!!!」

 

 リザードの特性《もうか》によりさらに火力が上がっていく。リザードの熱意だけでなく、サトルの闘志も加わった火炎放射にダゲキは太刀打ちするべくが無くなった。

 そのまま火炎放射に包まれたダゲキはその場に倒れた。

 

「ダ…ダゲキ戦闘不能!リザードの勝ち!よって勝者はチャレンジャーサトル!」

 

「やったよ!リザード!」

 

「ザァ‼︎」

 

 バトルが終えた直ぐにリザードはサトルの方へと飛び出した。姿は変わっても中身はヒトカゲの頃の人懐っこさは変わっていなかった。抱きついてきたリザードに倒されたサトルの元へとカノンは急いで向かった。

 

「やったね!サトル!」

 

「うん!」

 

 ダゲキをモンスターボールに戻したノブヒコはサトルの方へと歩み寄る。

 

「サトル殿。君とポケモン達の熱き友情。しかと見させて貰ったぞ!より高みを目指してこれからのポケモン修行を育むが良い」

 

「はい!」

 

「押忍!では!」

 

 清々しいバトルの相手をしてくれたサトルと固い握手を交わすとその場を立ち去ろうと背を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ〜と待ってよ。ジムリーダーさん♪」

 

 背を向けたノブヒコをカノンはその笑顔と裏腹の威圧を向けた。その視線に背筋が凍りついたノブヒコは少しずつ目線をサトルとカノンの方へと向いていく。

 

「な…何かな。お嬢ちゃん」

 

「サトルは勝ったんでしょう?だったら渡す物があるよね」

 

「わ…渡す物。さて、何んだけな〜」

 

「ダ…ダケ〜」

 

 サトルも勝負の余韻のせいで忘れていた事を思い出した。そうだ。ジムバッジだ。だけど、ノブヒコの様子からジムバッジを渡さないよりも渡せないような様子に見える。

 慌てるノブヒコを前に大部屋の扉が勢いよく開いた。そこにはリーリエ達と知らない大人の男の人が立っていた。

 

「それは出来んだろ。そもそもここは公認のポケモンジムではないのだからな」

 

「カノン!サトル!」

 

「リーリエ!それにみんなも!」

 

「ちょっと今のって!どういう意味?」

 

 男の声にノブヒコは核心を突かれてしまったようだ。そして、サトルとカノンも同時に顔を見合わせては驚いた。混乱する二人にもう一度その男は説明を始めた。

 

「言葉通りの意味さ。ここはポケモン協会から公認を貰っていないポケモンジム。ジムでもなければ彼はジムリーダーでもない」

 

「「えぇぇぇぇぇ!!!」」

 

 ここがポケモンジムではない事が分かったサトル達にノブヒコは弟子共々と土下座して謝罪をした。

 話を聞いてみると、どうやら自身のトレーナー修行のためにジムリーダーと偽ってジム巡りをする実力のある猛者とバトルに引っ張ろうとするためだったと言う。

 しかし、そのせいで本来のヤマブキジムと間違われてしまうのも事実。ノブヒコはもうこういうことはせずにちゃんとポケモン協会のジム認定試験を受けるために修行をする事を誓った。

 

「騙してすまなかった。ジムバッジは授けられんが…」

 

 サトルとカノンの前に立つと、一人の弟子が二つのモンスターボールを手にダイルの元へと渡った。その二つのモンスターボールを取ったダイルは開閉ボタンを押した。

 

「エビシェ‼︎」

 

「サワァ‼︎」

 

 中から二体のポケモンの姿が現れた。

 

「パンチの帝王エビワラーとキックの破壊神サワムラーだ。どちらか一体を授けよう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はぁ〜なんだったんだろ」

 

「でも、いい修行にはなったよ」

 

 ヤマブキジム道場からポケモンセンターに帰って来たリーリエ達は夕食の時間までロビーのソファーでぐったりとしていた。

 

「まぁ、ヒトカゲはリザードに進化したし、カノンはエビワラーゲットだし、結果オーライじゃねぇか!」

 

「ザァド‼︎」

 

「エビシェ‼︎」

 

 ポケモンを受け取ったのはカノン。無理に連れてこられた故にバトルも出来なかったためのお詫びの印なのか。サトルから譲渡の権利を譲って貰った事でカノンは四体目に格闘ポケモンエビワラーを入手した。

 

「ナツメが戻るのはまだ先だが、前よりももっと力をつけて戻ってくるらしいから。楽しみにしといてくれ」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「それじゃあ!」

 

「え…消えた」

 

 そう言って、リーリエ達と一緒にいた男は額に手を当てた瞬間にその場から一瞬にして消えてしまった。

 

「ああ、ナツメさんのお父様は正真正銘の超能力者だからね」

 

「へぇ〜そうなんだ〜」

 

 何かと振り回された一日だっためカノンはタケシの一言に途方にもない返事で返した。

 何がともあれ、ヤマブキシティを出ればクチバシティまでもうすぐだ。明日の事を話しながらリーリエ達の夜は更けていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

【小ストーリー】

 

 明日の事で眠れなくなったリーリエとカノンはバトルの特訓をしていた。

 

「ありがとうリーリエ!付き合って貰っちゃって」

 

「ヒコ‼︎」

 

「そんな構いませんよ!」

 

「コーン‼︎」

 

「サトルもどんどん力つけてきてるから私も頑張らなくちゃと思ってね」

 

「へぇ〜♪カノンはそんなにサトル事が好きなんですね〜♪」

 

 サトシの事で散々からかわれ続けたリーリエからの仕返しか。少し悪戯を仕掛けるかのような目でカノンの顔を覗き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「////////」

 

 

 

 

 

「えっ///?」

 

 顔が熱のように赤くなるカノンの顔を見てリーリエは何て声を掛けたらいいか、分からなかった。

 

…To be continue




 

 お楽しみ頂けましたか。ポケ問題の答えは

      C 格闘タイプ!



ではなくて A エスパータイプでした!
 僕たちが訪れたのは正式には かくとう道場 という場所だったんだけど、いつかは公認のジムに任命される事を祈ってます。
 それでは次回も押忍!!!…です。



追伸
 今回のお話を書き上げたことで、自分も 気合パンチと特性の精神力のコンボは成り立たない事を始めて知ることになりました(笑)
 この事に関しては知らなかった人も多いのでは…?
たくさんの応援コメントやお気に入り登録とたくさんの励みをありがとうございます。
 これからも不定期連載ではありますが、よろしくお願いいたします。それでは!
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