ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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第三十七話 VSタマムシジム 苧環

 ポケモンセンターでのその夜。ヤマブキジム攻略のためタマムシシティを跡にしたソウタを見送った後、リーリエはタマムシジム戦に向けての特訓を始めていた。

 

リーリエ「シロン!【こおりのつぶて】‼︎」

 

シロン「コン‼︎」

 

リーリエ「ヒノアラシは【ニトロチャージ】‼︎ムクバードは【はがねのつばさ】‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒノッ‼︎」

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 シロンから放たれた無数の氷の弾丸をヒノアラシは全身に炎を纏わせて防御を張り、ムクバードは硬化させた翼で次々に弾き返していく。攻防を同時に鍛えていくトレーニングに熱が入るリーリエ達をマオ達は遠くから見守っていた。

 

マオ「気合入ってるねリーリエ!」

 

スイレン「なんだって、リーリエの再スタートなんだからね!」

 

 練習が一段落終えたシロン達を呼び寄せたとの同時にマオ達もリーリエの方へと歩いて行った。すると、カキは何処となくリーリエの釣れない表情が気になった。

 

カキ「どうした?」

 

 その問いにリーリエは少し雲が掛かった表情で応えた。

 

リーリエ「えぇ…久しぶりのジム戦って事もあって…変に緊張してきただけなのかも…しれません」

 

 少しだけ身震いを立てるリーリエにサトシは静かに歩み寄った。

 

サトシ「不安がってるとシロン達にもその不安が伝わっちまうぞリーリエ」

 

 そっとリーリエの肩に手を置くとサトシは優しく笑いかけた。

 

サトシ「過去は過去だリーリエ!リーリエはこれまでシロン達と多くの戦いを積んできたんだ。その経験は絶対にリーリエ達の力になっているはずだ!いつも通り楽しんでいけば大丈夫さ!」

 

ピカチュウ「ピカチュウ‼︎」

 

 サトシとピカチュウの励ましてくれたおかげで気持ちが楽になったリーリエにシロン達も静かに歩み寄った。明日のジム戦に向けてやる気の表情を見せると、その様子を見たリーリエに笑みが零れた。

 

リーリエ「ありがとうございます!明日のジム戦。このメンバーと一緒に生まれ変わったわたくし達をお見せします!皆さん!明日は頑張りましょう!」

 

 リーリエの掛け声と共にシロン達も口を揃えて声を上げた。その気合の入った声はポケモンセンター内にいる多くの人達の耳にも入ったであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 ポケモンセンターを出たリーリエ達は通算で四番目となるタマムシジムの前に着いた。タマムシジムの内装は全面ガラス張りで中の様子はあらゆる種類の植物で溢れかえっていた。

 

マオ「うわぁ!凄い!」

 

ロトム『まるで植物園だロト‼︎』

 

マーマネ「そのジムのエキスパートによって造りは他のジムとは全然違うんだね」

 

 クチバジムとは明らかに違うジムにマオ達も驚きの声を上げていた。扉の前に立つと、薄っすらと花の良い香りが漂ってきた。その香りに惹きつけられるかのようにリーリエ達はタマムシジムへと入っていくと、それに気づいた和服を着た一人の女性がリーリエ達の元へと向かった。

 

エリカ「挑戦者の方ですか?」

 

スイレン「あっ!エリカさん!」

 

エリカ「あら!貴方は昨日の!」

 

マオ「知ってるの?スイレン」

 

スイレン「うん!昨日の別行動の時に会ったんだ!」

 

サトシ「お久しぶりです。エリカさん」

 

エリカ「まぁサトシ君。お久しぶりございます。ピカチュウも元気そうでなによりです」

 

ピカチュウ「チャァ〜♪」

 

 久しぶりにサトシとピカチュウに会ったエリカはピカチュウの顎を摩りながら挨拶を交わした。するとエリカの後ろに見えた影に目が止まったサトシは嬉しそうに声をかけた。

 

サトシ「おーい!クサイハナ!」

 

クサイハナ「クサァ‼︎」

 

 このクサイハナはタマムシジムでサトシと仲良くなったポケモンだ。クサイハナは主に臭い匂いを撒き散らすと言われているが、それは身を守るための行為であって、心を許した人には悪臭を振り撒いたりはしないのだ。

 

リーリエ「ジム戦の申しをいただきたく存じます。アローラ地方から参りました。リーリエと申します。」

 

 深々と頭を下げたリーリエを見てエリカはゆっくりと歩み寄った。リーリエの手を優しく取ると、頭を上げたリーリエと目が合うと和かに笑顔を交わした。

 

エリカ「アローラ地方のトレーナーの方が訪れてくれるなんて嬉しく思います。こちらこそ本日は宜しくお願い致します」

 

リーリエ「あっ…はぃ///よ…宜しくお願い致します!」

 

 気品で華麗な立ち振る舞いと対応に女性であるリーリエもそれの姿に見惚れてしまった。お互いに挨拶を交わした後、エリカはリーリエ達を連れてバトルフィールドへと案内した。その道中では色んな植物と色んな草ポケモン達が気持ち良さそうにしている様子が目に入るためか、自然の中にいるみたいで一瞬ここが建物の中であることを忘れてしまいそうであった。

 そして、生い茂る木々の洞窟を抜けたその先に一面の花畑に囲まれたバトルフィールドがリーリエ達の前に姿を現した。対戦するエリカとリーリエを除いて、サトシ達は観戦席の方へと移動した。

 

審判「ただいまより、ジムリーダーのエリカとチャレンジャーのリーリエによるタマムシジム、ジム戦を始めさせて頂きます。使用されるポケモンは三体。双方何方かのポケモンがすべて戦闘不能になりますとバトル終了となります。なお、ポケモンの交代はチャレンジャーの方のみ認められます。」

 

 ジムリーダーであるエリカの手から先にモンスターボールが離れた。太陽の光に反射された事によりさらに輝きを放つモンスターボールの中からは大量の綿毛と一緒に一体のポケモンが飛び出した。

 

エリカ「参いります!ワタッコ!」

 

ワタッコ「ワッタァ‼︎」

 

 白い絨毯から姿を現したのは大きく広げた三つの綿毛が特徴的なポケモン。ワタッコだ。

 

サトシ「エリカさんの一番手はワタッコだ」

 

マオ「可愛い!!!」

 

 初めて見る草タイプのポケモンにマオは有頂天になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ワタッコ わたくさポケモン

 草・飛行タイプ

一度風に乗ってしまうと綿帽子を巧みに操って世界一周だってしてしまう。どんな風に煽られても綿毛を自由自在に操る事が出来る』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロトムから基本情報を貰ったリーリエはそのワタッコに対抗できそうなポケモンを一体選んだ

 

リーリエ「先鋒は任せました!お願いします!ムクバード!」

 

ムクバード「ムックバー‼︎」

 

 勢いよく飛び出したムクバードは自慢のスピードでワタッコの周りを滑空した。一周し終えると、ワタッコの真正面に立ち止まると翼を大きく広げた。

 

カキ「リーリエはムクバードか!」

 

マーマネ「頑張れリーリエ!」

 

 どちらも空中を得意とするポケモン。

風に身を任せ、ムクバードもワタッコも静かに精神を研ぎ澄ませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  いよいよ始まる。タマムシジム戦。

 

 

 

 

 

 

 審判の手が上がると同時に、森が騒めき、花々の香りがリーリエの鼻を突き刺さした。大自然が広がる森の中にいるような清涼感がリーリエの緊張の種を朗らかしてくれた。それは相棒のシロンにもバトルフィールドに立っているムクバードも同じ気持ちになっていた。両者ともに戦闘体勢へと切り替えると同時に吹き荒れる風によって木の葉がバトルフィールドへと一気に舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

審判「試合開始!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ➖リーリエVSエリカ➖

 

 

 

 

 

リーリエ「ムクバード!上昇して下さい!」

 

ムクバード「ムックバー‼︎」

 

 先制を取ったムクバードはワタッコとの距離を離すため一気に上昇し始めた。同じ飛行タイプのポケモンであるが空を自由に飛び回るムクバードと違って、季節風に乗って空中での浮遊を保っているワタッコではムクバードがいる所までは飛んで向かう事も出来ない。ワタッコの生態を知ったリーリエの安全対策を装った指示ではあるが、焦る事なくエリカはワタッコに指示を送った。

 

エリカ「まずは天気を味方につけましょう。【にほんばれ】ですわ‼︎」

 

ワタッコ「ワッタァ‼︎」

 

 華麗に踊り始めたワタッコは眩い光が灯ったエネルギーを作り出すと、それを太陽に向かって解き放った。するとエネルギーを吸い込んだ太陽はさらに強い日差しをバトルフィールドに向かって照らし出した。

 

リーリエ「ムクバード!【でんこうせっか】‼︎」

 

ムクバード「ムックバー‼︎」

 

 リーリエもすぐにムクバードに攻撃の指示を送った。目にも止まらぬ速さでワタッコに向かっていくムクバードであったが、攻撃が決まりそうになったその瞬間、ワタッコは煙のようにムクバードの前で消えてしまった。

 

ムクバード「ムック⁉︎」

 

 突然として姿を消した事に驚いたムクバードはその場で急停止すると辺りを見渡し始めた。すると自分の真上でフワフワと浮かぶワタッコに気づいた。すぐに体の向きを変えたムクバードであったが、ワタッコはそのまま風に乗ってはムクバードの周りを高速移動し始めた。

 

リーリエ「速い!!!」

 

 そのスピードは鳥ポケモンの目でも追いつくのも難しい程の速さになっていた。高速移動で周りを飛び回るワタッコにムクバードはまんまと翻弄されてしまった。

 

ロトム『あのワタッコの特性は《ようりょくそう》ロト!日差しが強い時は素早さがいつもよりも倍になるロト!』

 

リーリエ「落ち着いて!ムクバード!」

 

シロン「コン‼︎」

 

 ふわふわと浮かぶイメージとはかけ離れたスピードをしたワタッコに戸惑い続けるムクバードにリーリエは必死に呼びかけた。そんな二人にエリカの容赦のない指示がワタッコに送られた。

 

エリカ「素早くなっただけでは御座いませんわ。お次はこの技です!【ソーラービーム】‼︎」

 

ワタッコ「ワッタァ‼︎」

 

 ムクバードの背後を取ったワタッコは太陽の光を集めると、それをエネルギーに変えた太陽光線をムクバードへと放った。通常は溜めるのに時間がかかる技であるが、日差しが強いこの天気の中ではその打点を改善する事が出来る。

 

リーリエ「上昇して!!!」

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 何処から攻撃されているか分からないムクバードであったが、リーリエの機転によりすぐに飛び上がる事で、その場を回避し【ソーラービーム】を躱す事に成功した。さらに飛び上がったムクバードはバトルフィールドを広く俯瞰する事が出来たお陰でワタッコの姿を捕らえる事が出来た。

 

 

リーリエ「ムクバード!【つばめがえし】‼︎」

 

 一気に急降下し始めたムクバードはワタッコへとそのまま突進して行く。いくらスピードをあげたワタッコであっても百発百中の攻撃を前では意味が為さない。しかし、気迫の表情で向かってくるムクバードに対しエリカは慌てることなく常に冷静でいた。

 

エリカ「【コットンガード】‼︎」

 

ワタッコ「ワッタァ‼︎」

 

 ワタッコは三つの綿を小刻みに振り始めると、辺りに綿毛が散りばみ始めた。みるみる内に一つに凝縮されていく綿毛はそのままワタッコの身体全体を包み込こんで行った。

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 風を切りながら進み続けていくムクバードの力強い攻撃は綿毛に覆われたワタッコへと決まった。しかし衝撃により吹き飛んだ綿毛の中からはその攻撃に対し全く動じていないワタッコの姿があった。

 桁外れの防御力を手にしたワタッコを前にムクバードは悔しそうに見つめる。リーリエは次のプランへと移った。

 

リーリエ「【かげぶんしん】です‼︎」

 

 大量の分身を作り出したムクバードはワタッコを周りを取り囲んだ。

 

リーリエ「そのまま【でんこうせっか】‼︎」

 

エリカ「もう一度【コットンガード】‼︎」

 

 四方からの一斉攻撃を仕掛けたムクバードであったが、再び体に纏わり付かした綿帽子によってワタッコはダメージを軽減させた。

 

エリカ「【アクロバット】ですわ‼︎」

 

ムクバード「ムクク!!!」

 

 さらに辺りに散らばる綿帽子の中、風に乗ったワタッコによる軽やかな連続攻撃がムクバードに襲いかかった。

 

リーリエ「頑張って!【つばめがえし】‼︎」

 

ムクバード「ムックバー‼︎」

 

 ワタッコの怒涛の攻撃に耐えながらも、力一杯に翼を広げたムクバードは綿帽子を突き切りながら上空へと逃げる事に成功した。

 そして、そのまま急転回させると嘴にパワーを込めるとワタッコに向かって一気に急降下した。

 

エリカ「焦りは禁物ですわ。【ソーラービーム】‼︎」

 

ワタッコ「ワッタァ‼︎」

 

 だが正面から向かってくるムクバードの姿を捕らえていたワタッコはそのまま【ソーラービーム】をムクバードに向けて放射した。

 

ムクバード「ムックバァ!!!」

 

リーリエ「ムクバード!!!」

 

 草タイプ最強クラスの技を諸に受けてしまったムクバードはそのまま墜落してしまった。タイプの相性が有利な方が押されているこの状況に観戦席にいるマオ達も驚いていた。お淑やかに振る舞う女性の目から燃える熱い眼にリーリエも押されそうになっている。

 

リーリエ「ムクバード…まだ行けますか?」

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 心配するリーリエの声を聞いたムクバードは根性で再び空へと飛び上がった。ひとまず安心したリーリエであっが、ワタッコの【コットンガード】を攻略しなければこの状況を打破する事は出来ない。

 

リーリエ(【コットンガード】…どうすれば…)

 

 ワタッコの様子を暫く観察しながら落ち着いて突破口を探っていると、リーリエに一つの策が浮かんできた。

 

リーリエ「ムクバード!連続で【でんこうせっか】です‼︎」

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 防戦一方に防がれ続けていた【でんこうせっか】をリーリエは再びムクバードへと指示した。最善策も立てずに当てもなく突進していくのはあまり利口ではないと思うが、それでもリーリエを信頼しているムクバードには迷いはなかった。

 そのまま光の速さで再びワタッコに向かって翼を広げた。

 

エリカ「ワタッコ!【コットンガード】ですわ‼︎」

 

 もう一度綿毛を周りに集めたワタッコにムクバードの【でんこうせっか】が決まった。しかし案の定、ワタッコに対してダメージを与えられずにいた。

 

カキ「何やってるんだリーリエ!このままじゃあ、やられるぞ!」

 

スイレン「リーリエは無鉄砲に突っ込んだりしない。きっと何か閃いたんだよ!」

 

アシマリ「アウ‼︎」

 

バクがメス「ガァメス‼︎」

 

 ヤケになったと思うようなムクバードの攻撃に不安が募るサトシ達であったが、リーリエを信じて固唾を飲んで見守っている。

 そんなリーリエとムクバードの攻撃に何かしらの違和感がジワジワと登ってきたエリカの顔にも雲がかかってきた。

 

エリカ(まだ攻撃の手を緩めようとしない…このままでは体力が尽きるのも時間の問題ですわ)

 

 油断せずに自身のパートナーのワタッコに目を向ける。相手の意図が掴められない中、流れを一気に変えようとワタッコに指示を送ろうとしたその時…

 

ワタッコ「ワッタ…」

 

 微かに蹌踉めき始めたワタッコにエリカは驚いた。防御を極限まで高めたのにも関わらず、苦痛を訴えた。何が起きたのか分からないエリカはワタッコを見つめた。そして、ワタッコのある一点の箇所だけにダメージが集められていた事に気付いた。

 

エリカ(一箇所に向けて集中的に攻撃を当て続ける事でその部位にダメージをどんどん蓄積させていたのですね。確かにそれでしたらいくら全体の防御を高めようとも、その一点を崩してしまえば大きなダメージを与えられます)

 

 一点狙いの攻撃。これがリーリエの策であった。限界がきたワタッコはそのままムクバードの強烈な体当たり攻撃を前に後方へと吹き飛ばされた。

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

ワタッコ「ワッタァ!!!」

 

 ワタッコの鉄壁の防御が瓦解された事により流れは一気にリーリエの方へと傾いてきた。逆に追い詰められて来たエリカはすぐにワタッコを立て直させた。

 

エリカ「頑張ってワタッコ!【ソーラービーム】ですわ‼︎」

 

 ムクバードに狙いを定めて太陽光を集めだしたワタッコ。しかし…

 

ワタッコ「ワッタァ…」

 

エリカ「あっ!!!日差しが…」

 

ロトム『日差しがさっきよりも弱まってるロト‼︎』

 

マーマネ「チャンスだ!リーリエ!」

 

トゲデマル「モギュュ‼︎」

 

 【にほんばれ】の効力が切れた事により力を集めにくなってしまった。完全に風向きが変わりテンポが崩されたワタッコはどうする事も出来ず、迫り来るムクバードを前にしても立ち尽くす事しか出来なかった。

 

リーリエ「【でんこうせっか】‼︎」

 

ムクバード「ムクバー‼︎」

 

 一直線に突っ込んできたムクバードの攻撃にワタッコは吹き飛ばされた。さらにムクバードの攻撃はこれだけで終わらず、嘴に力を溜めた状態で迂回すると、再び飛ばされたワタッコに向かって攻撃を仕掛けた。

 

リーリエ「【つばめがえし】でフィニッシュです‼︎」

 

ムクバード「ムックバァ‼︎」

 

ワタッコ「ワッタァ!!!」

 

 ムクバードの渾身の一撃によりワタッコはそのまま勢いよく地面へと叩きつけられてしまった。

 

エリカ「ワタッコ!!!」

 

ワタッコ「ワッタ…」

 

審判「ワタッコ戦闘不能!ムクバードの勝ち!」

 

 勝利の雄叫びを上げながら飛行するムクバードの様子に目をやったエリカは静かにワタッコをモンスターボールへと戻した。

 

エリカ「お疲れ様ですワタッコ。貴方の可憐で高貴なバトルはとても美しかったですわ!」

 

 まずは無事に先制点を取れたリーリエはそっと胸を撫で下ろした。

 

リーリエ「やりましたね!ムクバード!」

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 リーリエの声にムクバードも元気よく返した。二人の友情に微笑ましく感じたエリカは次のポケモンをフィールドへと繰り出した。

 

エリカ「お出でなさい!モジャンボ!!!」

 

モジャンボ「モンジャ‼︎」

 

 エリカの二体目はモジャンボだ。モンスターボールから飛び出したその巨体はフィールドへと着陸したと同時に大きな地響きが起こった。ワタッコと違ってパワー溢れるモジャンボの登場に場の空気はまた一気に緊張感に包まれた。

 

マオ「大きい!!!」

 

アマージョ「アジョ‼︎」

 

サトシ「俺たちが戦ったあのモンジャラが進化したのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

『モジャンボ ツルじょうポケモン

草タイプ

モンジャラの進化系。植物のツルで出来た腕を伸ばして獲物を絡め取る。再生能力が高く切っても切ってもすぐに生えてくる』

 

 

 

 

 

 

 

 あのパワーに一撃でも当たれば一溜まりないだろう。疲れが出てるムクバードを続投させる事に危険を感じたリーリエはモンスターボールを取り出した。

 

リーリエ「ムクバード!休んでください!」

 

 ムクバードを戻したリーリエは次のモンスターボールへと手にかけた。

 

リーリエ「ヒノアラシ!お願いします!」

 

ヒノアラシ「ヒノォ‼︎」

 

エリカ「今度は炎タイプですわね!」

 

 交代して出てきたヒノアラシは背中から炎立たせるとすぐに身構えた。苦手なタイプが相手であってもモジャンボは恐れる事なく、すぐに攻撃を仕掛けた。

 

エリカ「モジャンボ!【げんしのちから】‼︎」

 

モジャンボ「モジャア‼︎」

 

 タイプの相性で狼狽えない凛としたエリカの立ち振る舞い。それを真似るかのようにモジャンボも気迫を込めた【げんしのちから】をヒノアラシへと放った。

 

リーリエ「躱して!【かえんほうしゃ】‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒノォ‼︎」

 

 その技を跳んで躱したヒノアラシはそのまま火炎放射をモジャンボに向けて放った。

 

モジャンボ「モジャア!!!」

 

 轟々と畝りを上げた火炎がモジャンボの巨大な体を包み込んだ。絶大なダメージを貰った瞬間を狙ってヒノアラシはダッシュした。

 

リーリエ「【ニトロチャージ】‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒノッ‼︎」

 

 炎を纏ったヒノアラシの攻撃がモジャンボへと向けられた。効果は抜群の炎タイプの技を受けたモジャンボはすぐに立て直すことが出来ないと思っていたが…

 

エリカ「跳ね返しなさい!」

 

モジャンボ「モジャア‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒノォ‼︎」

 

 火の粉が身体の蔓状に燃え移っていながらも、モジャンボは両腕でヒノアラシの攻撃を受け止めると、そのままヒノアラシを後方へと跳ね飛ばした。その力をアピールするかのようにモジャンボは両腕を振り回したりして力強さをリーリエ達に見せつけた。

 

マオ「うっそー!!!」

 

マーマネ「草タイプのモジャンボに炎タイプの技は効果は抜群のはずなのに!!!」

 

 炎技を受けていながらも怯むどころか平気な様子のモジャンボを前に警戒心が高くなったヒノアラシはその場で立ち止まってしまった。

 

リーリエ「ヒノアラシ!【スピードスター】です‼︎」

 

 攻め焦ているヒノアラシの背中を押してあげるようにリーリエはすぐに指示を送った。

 

リーリエ(ダメージが入っていないなんて事はない。何かカラクリがあるはずです。)

 

 平気そうなモジャンボであるが、ダメージを与えていない訳ではない。攻撃を続けるヒノアラシのためにもその謎を探るべくリーリエはモジャンボへと注意を傾けた。

 

エリカ「捕まえなさい!!!」

 

モジャンボ「モジャ‼︎」

 

 攻撃を受けながらも大きく伸ばしたモジャンボの腕はヒノアラシへと走り出した。枝分かれする複数の触手を前にヒノアラシは攻撃を止めると、【ニトロチャージ】で上げた素早さを生かして躱していくが、その勢いを押し殺すように迫るモジャンボの触手を前に遂に捕まってしまった。

 

エリカ「モジャンボ!【しびれごな】‼︎」

 

モジャンボ「モジャ‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒ…ヒノォ…」

 

 ヒノアラシを捕まえたモジャンボは自分の元へと引き寄せると、黄色い粉を全身にヒノアラシに浴びさせた。

 

ロトム『【しびれごな】は相手を麻痺状態にさせる技‼︎これでは折角上げた素早さも意味がないロト‼︎』

 

 硬直状態になったヒノアラシに向けてモジャンボは畳み掛けるように攻撃を仕掛けてきた。

 

エリカ「【げんしのちから】‼︎」

 

リーリエ「ヒノアラシ!【えんまく】です‼︎」

 

 ヒノアラシを捕縛している以外の触手でモジャンボはエネルギーを溜め始めた。その瞬間を狙ってヒノアラシは自由が利く口を大きく空けると、痺れる身体に堪えながらもモジャンボの顔に目掛けて煙幕を張った。

 突然に目の前が真っ暗になった事に驚くモジャンボは捕らえてる触手を思わず緩めてしまった。その隙にヒノアラシは脱出するとモジャンボからすぐに離れた。命中率も下げる事にも成功し、流れを掴んだと思いきやそんな様子に、やはりエリカは表情を崩さず、決して狼狽える様子はなかった。

 

エリカ「残念ですが目眩しにもなりません。モジャンボ!【パワーウイップ】‼︎」

 

モジャンボ「モジャア‼︎」

 

 エリカの指示に我に返ったモジャンボは地面を掘り起こすと、地響きと一緒に巨大な植物の蔓を出現させた。

 

ヒノアラシ「ヒノ‼︎ヒノ‼︎ヒノ‼︎」

 

 地中から現れたその蔓に大きく空へと打ち上げられたヒノアラシは身動きが取れない空中でジタバタし始めた。

 

リーリエ「落ち着いてヒノアラシ!そのまま【かえんほうしゃ】‼︎」

 

エリカ「モジャンボ【パワーウィップ】ですわ‼︎」

 

 同じくリーリの声に落ち着きを取り戻したヒノアラシはそのまま火炎放射を放った。迫る火炎放射をモジャンボは大きく腕を振り回しては、いとも簡単に打ち消してしまった。苦手なタイプの技を躱す事なく力で押し返したモジャンボを観察したリーリエはある事に気付いた。

 

リーリエ(そういえば…モジャンボは躱そうともしないどころか、あの場から一歩も動こうともしていませんよね…)

 

 躱すだけでなくモジャンボはヒノアラシの技を同じく技で相殺させ、距離を取られても自分から向かおうともしない。一見にして複数の触手があれば近づく必要はないと思えるが、これに違和感を覚えたリーリエはすぐに行動に移した。

 

リーリエ「ヒノアラシ!モジャンボの足元に向かって【かえんほうしゃ】です‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒノォ‼︎」

 

 再び放たれた火炎放射は今度はモジャンボの両足へと命中した。

 

エリカ「お見事」

 

 焼け野原となったモジャンボの足元を見てみるとある事が起こっていた。それは観戦席にいるサトシ達からでもはっきりと見えていた。

 

マオ「モジャンボの足元に根が生い茂ってる!!!」

 

カキ「モジャンボが倒れない理由はあれみたいだな!!!」

 

 モジャンボの足元で黄緑色に光る複数の根。それはまるでモジャンボに不思議な力を与えているように見えた。

 

ロトム『あの技は【ねをはる】‼︎根から吸い上げた養分を使って少しずつ体力回復させる技ロト‼︎』

 

 つまりその技でモジャンボは少しずつ体力を回復していたという真相に辿り着つけた。倒れないモジャンボのカラクリを見破ったリーリエにエリカは賞賛した。

 

エリカ「素晴らしい観察力です!リーリエさん!ですが、タネがお分かりになった所でわたくしのモジャンボを攻略なされたとは限りませんわ!」

 

モジャンボ「モジャ‼︎」

 

 身体を大きく広げたモジャンボはヒノアラシを威嚇するが、負けじとヒノアラシも背中の炎を燃した。

 

エリカ「【げんしのちから】です‼︎」

 

リーリエ「【かえんほうしゃ】‼︎」

 

 ほぼ同時に攻撃の指示が送られた二体の攻撃は大きな爆発と共に相殺された。

 

ヒノアラシ「ヒノォ…」

 

モジャンボ「モジャア…」

 

 勢いよく吹き荒れる爆風に二体は飛ばされないように地面に這い蹲るように踏ん張っている。

 

リーリエ「今です!【えんまく】‼︎」

 

 少し蹌踉めいたモジャンボのその隙を見逃さなかったリーリエは爆風が止んだ瞬間を見計らってヒノアラシに指示した。指示を聞いたヒノアラシもモジャンボが動き出す前に再び煙幕でモジャンボを包み込ませた。

 辺り一面が真っ暗になったモジャンボはヒノアラシを直ぐに見失ったという焦りからさらに慌ただしくなってしまった。

 

エリカ「払いなさい!」

 

 そんな喝を入れたような鋭い指示が動揺したモジャンボを落ち着かせた。冷静になったモジャンボは腕を大きく振り上げると、一瞬にして煙幕を振り払った。

 

エリカ「【パワーウィップ】‼︎」

 

リーリエ「【スピードスター】‼︎」

 

  その勢いのままモジャンボはヒノアラシに向かって【パワーウィップ】を仕掛けたのだが、広範囲に降り注ぐ星屑を前に思わず攻撃の手を止めてしまった。

 

リーリエ「そこです!【かえんほうしゃ】‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒノッ‼︎」

 

モジャンボ「モジャア!!!」

 

 防御体勢を取ったモジャンボに今度は火炎放射が襲いかかる。

 

エリカ「モジャンボ!【げんしのちから】‼︎」

 

 しかし渾身の力で身体に燃え移った炎を振り払うと、すぐに溜め込んだ原子エネルギーをヒノアラシに向かって放った。

 

リーリエ「躱して!【ニトロチャージ】‼︎」

 

 次の攻撃を仕掛けて一気に決めに行こうとしたリーリエであったが…

 

ヒノアラシ「ヒ…ノォ」

 

 運が悪く。【しびれごな】によって身体の痺れに襲われてしまったヒノアラシに【げんしのちから】が決まってしまった。爆発音と共にヒノアラシは気力を失ったかのように空中へと吹き飛ばされてしまった。

 

リーリエ「頑張って!ヒノアラシ!!!」

 

ヒノアラシ「ヒノォ‼︎」

 

 だが、リーリエの声によって目が覚めたヒノアラシは空中で受け身を取ると、そのまま【ニトロチャージ】を発動させてモジャンボに向かって突進した。

 

モジャンボ「モジャア⁉︎」

 

 ヒノアラシのまさかの行動に判断が遅れたモジャンボはヒノアラシの攻撃を真正面から受けてしまった。

 

モジャンボ「モ…ジャア…」

 

エリカ「モジャンボ!!!」

 

 爆炎に包まれたモジャンボは何とか持ち堪えようと試みたが、そのままゆっくりと背中から地面へと倒れ込んだ。

 

審判「モジャンボ戦闘不能!ヒノアラシの勝ち!」

 

エリカ「御免なさいモジャンボ。判断が遅れたわたくしのミスですわ。後はゆっくり休んで下さい」

 

 詫びながらエリカはゆっくりと取り出したモンスターボールにモジャンボを戻した。モンスターボールに戻した後、エリカは勝利を喜び合うリーリエとヒノアラシの姿を見た。

 指示が遅れてしまったこともあるが、何よりも勝敗が別れたのは土壇場でのヒノアラシの起死回生の一撃であるとエリカは思った。そしてそのヒノアラシを動かしたのはリーリエの根気強さとパートナーを信じる気持ちにあったのだと感じた。

 華奢な少女から溢れ出るリーリエの力強さにエリカはすっかりと惹かれてしまった。そしてそんな挑戦者との邂逅に感謝を込め、エリカは最後のポケモンを繰り出した。

 

エリカ「我がタマムシジムの守護神!参ります!!!」

 

 

 エリカの最後に繰り出したのは洋紅色に染まった大きな花が特徴的なポケモンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ラフレシア フラワーポケモン

 草・毒タイプ

クサイハナの進化系。世界一大きな花びらで獲物を引き寄せてから毒の花粉を浴びさせる。花粉を振りまいている時は物凄い音も響き渡る』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 強敵を倒した後での更なる強敵を前にリーリエは無闇な連戦は避けた。

 

リーリエ「お疲れ様ですヒノアラシ!休んでください!」

 

ヒノアラシ「ヒノッ‼︎」

 

リーリエ「ムクバード!もう一度お願いします!」

 

ムクバード「ムックバー‼︎」

 

 再びバトルフィールドに現れたムクバードは上空へと舞い上がると両翼を広げてはラフレシアを【いかく】し始めた。ワタッコとのバトルでの疲れを感じさせない力強いその姿を見たエリカはよく育て上げられていると感心した。

 

エリカ「ラフレシア!【にほんばれ】‼︎」

 

ラフレシア「ラッフゥ‼︎」

 

 強い日差しが再びバトルフィールドへと照らされた。同じ特性の《ようそうりょく》を持つラフレシアは軽やかにステップをし始めた。

 

リーリエ「【かげぶんしん】‼︎」

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 《ようそうりょく》のスピードに対抗するべくリーリエはムクバードの回避率を上げてきた。無数の分身でラフレシアの周りを取り囲見始めたのだが、それを待っていたかのようにエリカは笑みを浮かべた。

 

エリカ「【はなふぶき】ですわ‼︎」

 

 ラフレシアは不思議なパワーを解放させると、自分の周りに強い突風を巻き起こした。その突風に吹かれながら流々と舞う花びらが一斉に全てのムクバードを飲み込んだ。

 

ムクバード「ムック!!!」

 

 吹き飛ばされたムクバードはおもわずリーリエの方へと後退した。

 

リーリエ「大丈夫ですか⁉︎」

 

ムクバード「ムック‼︎」

 

 少し苦しそうな様子を見せたムクバードだが、リーリエは慌ててモンスターボールを取り出した。

 

リーリエ「戻ってください!」

 

 ムクバードを戻すと、そのまま別のモンスターボールへと手にかけた。

 

リーリエ「!ヒノアラシ!もう一度お願い!」

 

ヒノアラシ「ヒノッ‼︎」

 

リーリエ「【かえんほうしゃ】‼︎」

 

エリカ「【はなふぶき】‼︎」

 

 ヒノアラシを投入してからすぐに火炎放射が放たれた。迫る火炎放射を前にしてもラフレシアは再度、花吹雪を巻き起こした。モジャンボ戦でのダメージを引きずっていたヒノアラシの【かえんほうしゃ】は日差しが強い中でも思った以上のパワーを出すことが出来なったためか、ラフレシアの【はなふぶき】はそのまま炎を消し飛ばすとそのままヒノアラシを後方へと吹き飛ばした。

 

ヒノアラシ「ヒノッ…」

 

リーリエ「戻って!」

 

 ダメージを溜め込んでしまっているヒノアラシをモンスターボールへと戻したリーリエはシロンへと目をやった。

 

リーリエ「お願いします!シロン!」

 

シロン「コン‼︎」

 

 やる気に満ちたシロンは元気よくバトルフィールドへと飛び出した。

 

リーリエ「シロン!【こごえるかぜ】‼︎」

 

シロン「コーン‼︎」

 

 バトルへと降り立ったシロンはすぐに冷気をラフレシアに向かって放った。ヒノアラシの炎技とは逆に【にほんばれ】の効果でいつもより威力は下がっているはずだが、それに負けじと取らないパワーがラフレシアへと向けられた。

 

エリカ「【かげぶんしん】ですわ‼︎」

 

 シロンの技が命中する前にラフレシアは複数の分身を作り出した。【こごえるかぜ】受け流したラフレシアはそのままムクバードと同様にシロンを取り囲むかのようにして対峙した。

 

リーリエ「跳んで!」

 

 複数のラフレシアを前に強張るシロンはすぐにリーリエの指示通りにその場で思いっきり飛び跳ねた。

 

リーリエ「真下へ!【こごえるかぜ】‼︎」

 

シロン「コーン‼︎」

 

 ラフレシアの頭上を捕らえたシロンは真下に向かって思いっきり冷気を流し込んだ。大きく広がる冷気はそのまま分身共々飲み込むと、分身を打ち消しながらラフレシアにダメージを与える事が出来た。

 

リーリエ「【こおりのつぶて】‼︎」

 

ラフレシア「ラッフゥ!!!」

 

 本体だけを残す事が出来たリーリエはさらに先制攻撃を畳み掛けた。

 

リーリエ「【れいとうビーム】です‼︎」

 

シロン「コォォン‼︎」

 

エリカ「【はなふぶき】ですわ‼︎」

 

 さらに【れいとうビーム】を仕掛けていくが、やられてばかりではいる訳がない。直ぐに体勢を立て直したラフレシアは【はなふぶき】でシロンの技を相殺させた。

 その後ヒートアップしていくシロンとラフレシアの戦いを見ていたサトシ達の応援にも熱が入ってきた。

 

サトシ「頑張れ!リーリエ!!!負けるな!シロン!!!」

 

ピカチュウ「ピッカァチュウ‼︎」

 

 冷たい冷気と花びらの風に包まれたバトルフィールドの中でのバトルであるが、混戦攻防を繰り広げる暑いバトルは終盤に差しかかろうとしていた。

 

リーリエ「【ムーンフォース】‼︎」

 

エリカ「【ヘドロばくだん】‼︎」

 

 双方の技がぶつかった衝撃を気に二体の動きが止まった。

 

シロン「コォ…コォ…」

 

リーリエ「シロン…」

 

 シロンの体力が限界に差し掛かってきたのを見てリーリエはその場で固まってしまった。見つめる先はボロボロになりながらも必死に相手の姿を喰らい付こうとするシロン。何とかしてシロンを救い出す方法を絞り取ろうとするも極度の激しい鼓動により焦りが出始めた。

 

エリカ「ラフレシア。少しの間だけ待ってあげて下さい」

 

ラフレシア「ラッフゥ‼︎」

 

 静止した相手を前に攻撃を止めたエリカの指示にラフレシアは素直に従った。トラウマのスイッチが入ったかのように冷静さが欠けてきたリーリエをエリカは静かに見守った。

 

リーリエ(もう一度、ムクバードかヒノアラシに交代するべきでしょうか…ですが交代したところで突破口を見つけられていないのであれば二の舞です。ムクバード達の体力も限界に達している状態でそんな無責任な判断はできない。だけど、このままだとシロンの体力が… )

 

 考えれば考えるほどクチバジム戦での記憶が蘇ってきた。その度に頭を過る敗北の二文字の言葉を振り払いながらもリーリエは頭を働かせるが、乗り越えたと思った壁が背後から迫ろうとする恐怖が邪魔をする。

 絶対に勝たなければならないというプレッシャーに押し潰されるリーリエに声が届いた。

 

 

シロン「コォン!!!」

 

 そんな事を考えているリーリエに向けてシロンは叱責した。その声に我に返ったリーリエの目にシロンの姿が入った。凛々しく立つその姿にリーリエは一呼吸を入れた。

 

リーリエ「ありがとう…シロン」

 

 ポケモン達を勝利に導くために適切な指示を送ろうとしていたリーリエ。しかし、自分の思考ばかりに気に取られて、シロン達の気合と根性に応えてあげようとしなかった事を恥じいた。モジャンボ戦で勝つ事が出来たのも最後までヒノアラシの事を信じていたからこそ勝ち星を上げられたのではないか。

 ポケモンバトルは頭で考えるものではない。ポケモン達と心を一つにして目の前の勝利に向かって一緒に走り続ける事が大切なのだ。初心へと逆戻りしていた自分に言い聞かせた。

 

リーリエ「余計な事はもう考えません!参ります!!!」

 

シロン「コン‼︎」

 

目に光が戻ってきたリーリエは気合を入れ直した。固く決意したリーリエとシロンを見てエリカとラフレシアも動き出した。

 

エリカ「ラフレシア!わたくし達も最後まで気を引き締めていきましょう!」

 

ラフレシア「ラッフゥ‼︎」

 

 その言葉と同時にラフレシアは体を横方向へと高速回転させ始めた。攻撃の準備に入ったラフレシアは再び花吹雪を巻き起こした。

 

エリカ「ラフレシア!【はなふぶき】‼︎」

 

 花吹雪がシロンの方へと吹き飛ばされるのと同時にシロンも勢いよくジャンプをすると、空中で縦方向に高速回転をし始めた。次第に冷んやりした体毛により冷やされた空気がシロン包み込ませた。

 

リーリエ「シロン!【こおりのつぶて】‼︎」

 

シロン「コォン‼︎」

 

 指示を聞いたシロンは攻撃を仕掛けた。その時、シロンのある行動がこの場にいる者達を驚かせた。

 冷気に包まれたシロンはそのまま突進を仕掛けて行くと、シロンを包んでいた冷気が次第に凍り始めりと、シロンを閉じ込めたまま巨大な氷の球を作り上げたのだ。

 氷の球の中にいるシロンはそのまま花びらが舞う風の中を突っ走って行くとそのままラフレシアに向かって強烈な体当たりを叩き込んだ。氷の体当たり攻撃を受けたラフレシアにダメージが入った。衝撃で砕けた氷の球の中から飛び出したシロンは思いっきり空気を取り込んだ。

 

リーリエ「シロン!【れいとうビーム】‼︎」

 

シロン「コォォン‼︎」

 

ラフレシア「ラァフ!!!」

 

 強烈な冷凍光線を受けたラフレシアはかなりのダメージが入ったものの何とか立ち上がろうと踏ん張った。

 

エリカ「ラフレシア!しっかり!」

 

ラフレシア「ラァ…フ…」

 

 しかしシロンの怒涛の攻撃にダメージが溜まってきたラフレシアは返事をするだけで精一杯みたいだ。蹌踉めくラフレシアを見てリーリエは留めの一撃を指示した。

 

リーリエ「【こおりのつぶて】‼︎」

 

シロン「コン‼︎」

 

 猛スピードで放たれた氷の弾丸はラフレシアの急所に当たった。氷の破片が舞い散り、爆煙が晴れた頃にはラフレシアはゆっくり後ろへと倒れていた。

 

ラフレシア「ラァフ…」

 

 明らかに目を回しているラフレシアを確認した審判はリーリエ達に向けてコールした。

 

審判「ラフレシア戦闘不能!ロコンの勝ち!よって勝者はチャレンジャー、リーリエ!」

 

 勝利を得たリーリエの足はシロンの方へと走り出した。喜びの涙と笑顔を浮かべながらシロンの名を呼んだ。

 

リーリエ「シロン!!!」

 

シロン「コーン‼︎」

 

 リーリエの方へと走り出したシロンもそのまま勢いよくリーリエの胸へと飛び込んだ。

 

マオ・スイレン「「やった!!!勝った!!!」」

 

マーマネ「しかもリーリエのポケモンは一体も倒されてないよ!」

 

カキ「あぁ!文句なしの完全勝利だ!」

 

サトシ「凄かったな!ピカチュウ!」

 

ピカチュウ「ピカチュウ‼︎」

 

 サトシ達もリーリエの勝利に喜んでいた。健闘してくれたラフレシアをモンスターボールへと戻したエリカはリーリエの方へと向かった。

 

リーリエ「ありがとうございました!」

 

エリカ「諦めない力強さ。そしてポケモン達との信頼。とても良いものを見させて頂きました」

 

 そう言うと、エリカはリーリエにジムバッジを授けた。

 

エリカ「これからの貴方とポケモン達の未来への健闘を祈ってこれを授与します。タマムシジムを降した証。レインボーバッジです!」

 

 レインボーバッジを受け取ったリーリエはバッジを持っている右手をを空へと突き上げた

 

リーリエ「レインボーバッジ!ゲットです!」

 

シロン「コォン‼︎」

 

ムクバード「ムックバー‼︎」

 

ヒノアラシ「ヒノッ‼︎」

 

 こうして三つ目のジムバッジを獲得したリーリエはさらに喜びの声を上げた。そんなリーリエ達の後ろから関係者の一人が慌ててジムへと入ってきた。

 

弟子「先生!ただいま参られました!」

 

エリカ「分かりました!こちらに通して下さい」

 

 エリカがそう言うと一人のトレーナーがジムへと入ってきた。その人物と目が合ったリーリエはその者の名前を挙げた。

 

ノゾミ「あれ?久しぶりだね!みんな!」

 

リーリエ「ノゾミ⁉︎」





 サトシ優勝おめでとう!!!
無印の時代からずっと観てきた身としては自分の事のように嬉しかったです!一人でテレビ越しに向かって思わず「おぉ!!!」って声を出してしまいました(笑)
 しかし彼の夢はあくまでポケモンマスターになる事。その夢が叶う瞬間前までアニポケ視聴辞めるつもりはありませんよ!ポケモン剣盾も発売される一ヶ月後のアニポケ最新作も楽しみです!
 それでは!
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