俺ガイルサイド…
翌朝の5:00にアカメは目を覚まし、静かに起き上がる。周りを見ると、自分以外はまだ眠りについていた。そしてアカメは静かにマインを起こす。
アカメ「マイン、朝だぞ」
マイン「ん〜…ん?」
アカメ「そろそろ行くぞ」
マイン「アカメ?まだ早くない?もう少しだけ…」
アカメ「駄目だ、早く準備するぞ」
マイン「ん〜眠い…」
マインはアカメに無理矢理起こされるが、まだ半分寝ぼけている状態だった。アカメはそのままマヴァールを起こし始める。
アカメ「兄さん…」
マヴァール「ん…アカメ?どうした?」
アカメ「そろそろ準備してくれ」
マヴァール「じゅ準備⁉︎何の準備⁉︎」
マヴァールが急に大声を出す。
アカメ「静かにしろ、何を勘違いしているのかは大体想像はつくが早くここを出る準備をしろ」
そういうと、アカメとマインはいつも通りの服装に着替えて…
マイン「でも…流石に朝ご飯は食べたいんだけどね…」
アカメ「…確かにそうだな、それにしても兄さん何しているんだ?」
マイン「まだ着替えてるんじゃないの?」
アカメ「そうか…じゃあそれまで待つか」
ギュルルルゥ〜
アカメ「やっぱりお腹空くな」
マイン「そこまで空いてんの⁉︎」
そう話していると、寝室の方から声が聞こえる。
マヴァール「…と、これは〜…」
アカメ「マイン、帝具は持ったか?」
マイン「全く、私が忘れる訳ないでしょ?アカメこそ自分の帝具忘れてないわよね?」
アカメ「…あぁ…?」
アカメはいつも腰にかけている村雨の場所に手をかざすが、村雨が無いことに気付いた。
マイン「え?アカメ…もしかして」
アカメ「いや…そんな事はないぞ?(しまった!何処にあるんだ!寝室か!)」
アカメが再び寝室に行こうとした瞬間、マヴァールが自分の帝具とアカメの帝具を持って出て来た。
マヴァール「アカメ、忘れ物だぞ?」
アカメ「あ…あぁ…すまない」
マイン「意外にもドジっ子だったりするの?アカメって」
アカメ「うっ!…沙希達には見られてないだろうな?」
マヴァール「もちろんだ!大丈夫、サッキー達まだ爆睡してたから」
アカメ「まぁこの時間ならな」
ギュルルルゥ〜
マイン「アカメ、私よりもお腹空いているよね?」
アカメ「…そうだが、朝飯は外に出てから考えれば何とかなると思うから心配は要らないさ」
マヴァール「だがこんな早い時間に開いてる店とかあるか?」
マイン「…」
アカメ「…」
マヴァール「…」
しばらく沈黙した後、再びアカメの腹の音がなりその後、話を切り出したのは…
アカメ「大丈夫だ!何とかなるはずだ!」
マイン「何の根拠もないのに言われてもねぇ…」
マヴァール「そうだな…探せばきっとあるはず!アカメの言葉に無理と言う文字は無い!」
マイン「いや見つからなかったら私達餓死するのよ⁉︎」
アカメ「少しうるさいぞ兄さん…それに私にも無理と言う文字くらいは存在する」
場面は変わり、寝室ではアカメ達の声が聞こえていた。
沙希「スゥ〜…スゥ〜…」
大志「スゥ〜…」
沙希と大志はまだ寝ていたが、妹の京華が起きようとしていた。
京華「ん〜ん〜…?」
京華は沙希の方に行って揺さぶり始める。
京華「さーちゃん…さーちゃん…けいかのどかわいてきちゃった…」
沙希「…?けーちゃん…まだ5:30だよ?もうちょっと寝ても平気だよ?」
沙希にそう言われると京華は首を横に振り、再び沙希を揺さぶり始める。
京華「けいかのどかわいてきちゃったの…おみずのみたい…」
京華は眠いでは無く、飲み物が欲しいようだ。
沙希「ん〜…わかったよ」
沙希はそう言うと京華を連れて冷蔵庫の方に向かって行く。場面は戻りアカメ達は未だ朝ご飯について話してた。
マイン「私、苺のショートケーキが食べたいわ!」
アカメ「それでは足りなく無いか?」
マイン「そうかしら?案外お腹いっぱいになるとは思うけど?」
マヴァール「朝っぱらから甘いものはちょっとパスしたい所だな」
マイン「何よ!私の提案に文句ある訳?」
マヴァール「お前はお嬢様か⁉︎」
マイン「へぇ〜何か?」
マヴァール「…大体な朝ご飯が苺のショートケーキじゃ気持ち悪くなってろくに歩く事も出来なくなるぞ?」
マイン「全く、何で男って甘いものに対してそんなに否定するのよ!ねぇアカメ、アンタもそう思うわよね!」
アカメ「…私は肉が食べたい」
それを聞いたマインは…
マイン「(聞く相手間違えたわ)」
三人が話していると、冷蔵庫がある方向から沙希達が…
沙希「アカメ?」
アカメ「っ‼︎」
京華「さーちゃん…おみずのみたいよ〜」
沙希「あっ…ごめんね!今出すから!」
沙希は冷蔵庫から水の入ったペットボトルを出して、コップに注いで京華に渡す。京華はそれを飲むと、アカメ達の方に近づいて来る。
京華「アーちゃんたち、はやいね!」
アカメ「あっ…京華ちゃん…(まずいな、どうしたらいいか)」
京華は笑顔でアカメにそう言うと…
沙希「けーちゃん、実はね」
沙希がアカメ達の事を言おうとした時、アカメが京華に本当の事を伝える。
アカメ「京華ちゃん…私達は、今日ここから出ないといけないんだ」
京華「…え?なんで?」
沙希「…」
京華は何となくその意味が分かったような気がして涙目になってしまう。
アカメ「大事な用事が出来てしまったんだ…だから、もう行かないと行けない…」
京華「…う…」
京華はアカメにしがみついて来る。どうやら離れたくないようだ。アカメは京華の姿を見ると…つい自分の妹と重なってしまう。その為アカメも京華を抱く。
アカメ「大丈夫だよ?一生帰れないとは言ってないさ…またいつか会えるよ…」
京華「う…う…」
マヴァール「アカメ…いいお母さんになれそうだな!」
マイン「マヴァール、また殴られるわよ」
アカメは京華が泣き止むまで、ずっとその場を離れることはなかった。その後アカメ達は朝ご飯に悩んでいたが、沙希が「私が朝ご飯用意するからそれを食べてね…」と少し寂しそうな感じで朝ご飯を作り、アカメ達は沙希が作った家庭料理を食べて…川崎家から姿を消した…と思ったが玄関で沙希と京華が見送りに来た。
沙希「アカメ、マヴァール…それとマイン、忘れ物は…していないよね?」
マイン「私がする訳ないじゃん」
マヴァール「本当か?…言い出しっぺが忘れ物してたらだらし無いけどな?」
マイン「何?私に喧嘩売ってるの?」
マヴァール「冗談ですよ〜冗談」
アカメ「…沙希、今日までありがとな…」
沙希「…うん!私の方こそ、楽しかったよ!」
京華「アーちゃん!」
アカメは京華に呼ばれると、京華に言う。
アカメ「京華ちゃん…手…出してみて?」
京華「?」
京華はアカメが言う通りに両手を前に出すと、アカメが京華の手のひらに…
京華「これは?」
アカメ「少し大きいけど…私からのプレゼントだよ?今開けてもいいよ?」
アカメが優しい声で言うと、京華は頷き、包まれた箱をそっと開けてみる。その中には夜中にアカメ達が紙に描いた一枚の絵と…折り紙で作った白鳥が入っていた。それを見て京華は笑顔になり、沙希は少し泣きそうになる。
京華「…きれいだぁ!あはは!」
沙希「…みんな…ありがとう!」
マヴァール「はは…ちょっと折紙大量に使っちゃったけどさ…」
マイン「うん、私は少ししかいなかったけど…一応感謝はしているよ」
アカメ「私達からのプレゼント…大事にしてくれると…嬉しい…」
沙希「…う…うん!大事にするよ…必ず!」
マイン「もう、そんなに泣かなくてもいいのに…」
沙希「なっ!泣いてないよ⁉︎…でも…凄く嬉しいよ」
アカメ「…(沙希…お前達が私達を救ってくれなかったら、今頃みんなそこら辺で餓死して倒れてたかもしれない…疑う事もなく私達を救ってくれた恩人だ!私達の命を救ってくれたんだ…本当はこれでも足りないくらいだと思う…こんな温かくて優しい家庭はそうそう無いと思う…本当は私ももっといたかった、けれどこれ以上は無理だ…だからもし可能であるなら、"全て終わったら"、今度はクロメも一緒に連れて…またいつか皆んなで楽しく…過ごしたいな?…一日でもいい…一時間でもいいから…)」
アカメ達は感謝のプレゼントを渡すと玄関を出て、そのまま外に出て仲間達を探し始めた。
朝の川崎家、沙希達はそれぞれの学校に行く準備をしていた。
沙希「大志?遅れるよ?」
大志「うん…」
大志は沙希にアカメ達が居なくなったことを聞かされて、始めは驚いていた。実はマヴァールが玄関を出る寸前に沙希に大志宛てに手紙を渡していた。大志は起きた後、沙希にその手紙を渡されて最初は「もしかしてアカメさんからラブレター?」と勘違いしていたが、沙希から普通に「マヴァールが大志宛てに書いた手紙だよ?」と言われた時、少し凹んでいた。大志はマヴァールが書いた手紙を自分の机に置いて学校に行く。
大志「行ってきます!」
沙希「いってらっしゃい!」
手紙の内容は、「俺たち、明日には帰らなきゃいけない。突然で悪いな、多分朝早くに行っちまうから手紙に書いといた。気づいたらでいいから読んでくれるか?俺が言うのもなんだが、サッキーと京ちゃんのことしっかり守ってくれよ!後、サッキーが昨日言ってたけど…受験頑張れ!俺らも全力で大志くんを応援するぜ!」と書いてあった。
沙希「さ〜てと…けーちゃん、私達もそろそろ行くよ?」
京華「はーい!」
京華は沙希の手を掴み一緒に玄関を出た。部屋のテーブルの上には折紙の白鳥が置いてあり、その隣には皆んながテーブルを囲んで笑いあっている絵が置いてあった。
・川崎大志(原作との異点)
沙希の弟。少し軽い性格をしているが、子供らしい一面がある。因みに本人は小町に片思いを抱いている。
・川崎京華(原作との異点)
沙希と大志の妹。人懐っこい性格であり、人を疑う事が滅多にない。沙希を除くと特にアカメと八幡によく懐いている。