失われた欠片   作:赤色のアート

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今回はあの者が少しだけ出てきます。


第22話 爽やかな者の裏は怪しき者と仲が良い…

俺ガイルサイド…

 

アカメ達はチェルシーを抱えて次の病院を探していた。

 

アカメ「他に病院は何処にあるんだ?」

 

セキザクラ「私も今探してるけどこの辺りだとさっき行った病院しかないかも…」

 

チェルシー「はぁ…はぁ…ごめ…ん」

 

チェルシーは辛そうな声でアカメ達に言う。

 

ラバック「いや、こればかりはしょうがない…(なんか背中がさっきよりも熱い気がするんだが…大丈夫か?チェルシー)」

 

 

 

 

その頃、学校をズル休みしていた隼人はドーナツ店である人物とテーブルで話していた。

 

隼人「ここで良かったんですか?」

 

???「ここの他に何処があるの?」

 

隼人「質問を質問で返さないでくださいよ…それにしても相変わらずあなたは暇なんですね」

 

???「まぁ〜この時期はそんなでもないからね、それで隼人…相談ってどんな相談かな?」

 

その人物は微笑みながら隼人に言う。

 

隼人「はは…あなたならわかってる筈だと思いますけどね…今日は…」

 

隼人はその人物に口を動かして今日の相談内容を口にした。するとその人物は微笑みの表情から変わらない。

 

???「やっぱりそう言うことね〜」

 

隼人「そうなんですよ…上手くいかないから、あなたにこの事を話そうと思ったんです…血の繋がりのあるあなたなら知っているのではないかと思って」

 

???「なるほどね〜じゃあ直接電話してみよっかな〜」

 

隼人「いえ、今は授業中だと思うのであまり意味がないと思うのですが…」

 

隼人の意見を無視して、その人物は電話をかけるが…

 

『おかけになった電話番号は現在使われておりません』

 

???「あら…どうやら今は無理みたいね〜(やっぱり電源切ってるね)」

 

隼人「だから言ったじゃないですか…」

 

隼人はその発言を聞くと、店についている時計を見て言う。

 

隼人「でも、もうすぐで授業が終わるからその時にかければ大丈夫だと思いますよ?」

 

???「そうかな〜あの子の事だから、学校が終わるまでは無理じゃないかな〜」

 

隼人「なるほど…確かに言われてみればその通りかもしれませんね…」

 

???「ところで隼人…マラソン大会が近いとか聞いたけど、練習サボってて平気なの?」

 

その人物は微笑を浮かべながら言う。隼人は余裕そうに…

 

隼人「俺なら大丈夫ですよ?一年の頃からずっとトップですから…それよりも俺は今日の内容の方が心配なんです!」

 

???「フフ…あっそうだ…明日学校ないでしょ?私が電話するから隼人も一緒に来てよ?」

 

隼人「え?でも何処に?」

 

???「それは夜にまた電話するから楽しみにしててね?」

 

隼人「なるほど…楽しみはとっておくという事ですね?」

 

???「そう言う事…じゃあ私はそろそろ帰るね〜」

 

その人物は席を立って、隼人に軽く手を振りそのまま店を出て行った。

 

隼人「…」

 

 

 

 

その頃、2年J組では授業が終わって昼食の時間に入るところだった。

 

雪乃「…」

 

雪乃は自分で作った弁当箱を開ける。すると雪乃の前に矢千瑠が来る。

 

矢千瑠「はぁ〜授業疲れた〜」

 

雪乃「その割には元気ね」

 

矢千瑠「いや〜こう見ても今日は体育が無いからかなり退屈なのよ〜どうしたらいいかな?」

 

雪乃「それは私に言われてもどうする事も出来ないわよ?」

 

雪乃がそう言うと、矢千瑠は雪乃の前の席に座って購買で買ったメロンパンを取り出し、雪乃のいる方に向く。

 

矢千瑠「まぁ〜これ食って次に備えますかな」

 

矢千瑠はそう言うとメロンパンを食い始める。雪乃もそれとほぼ同じくらいに自分の弁当を食べる。すると矢千瑠は雪乃の弁当の中身を見て言う。

 

矢千瑠「今思ったんだけど…雪乃ちゃんの弁当箱って結構高級感があるよね?」

 

雪乃「そうかしら?」

 

矢千瑠「うん、なんか見たことない弁当箱だからただそう思っただけ」

 

雪乃「普通の弁当箱よ」

 

矢千瑠「…」

 

矢千瑠が雪乃の弁当をジーッと見始める。

 

雪乃「…」

 

矢千瑠「…」

 

雪乃「…」

 

矢千瑠「…」

 

雪乃「…鳳さん?」

 

矢千瑠「…あの…雪乃ちゃん、メロンパン半分あげるからそのおかず一つだけ欲しい…なぁ〜」

 

矢千瑠がちょっと照れながら言うと…

 

雪乃「それなら別に構わないけれど」

 

矢千瑠「ほんとに⁉︎」

 

雪乃「ええ…」

 

矢千瑠はその言葉を聞くとメロンパンを半分に割って雪乃に渡して雪乃は海老を一本渡した。

 

矢千瑠「ありがとう!ん〜‼︎美味しい!」

 

矢千瑠は雪乃があげた海老を食べる。

 

雪乃「(この子美味しそうに食べるわね…)」

 

雪乃は矢千瑠を見ると、一緒にいたもう一人の部員を見ているような気がしていた。

 

 

放課後、雪乃は部室の鍵を取りに職員室の前にいた。

 

ガララッ!

 

雪乃「失礼します」

 

静「おっ!雪ノ下か?」

 

雪乃「部室の鍵を取りに来ました」

 

静「そうか…」

 

静は鍵を雪乃に渡した後…

 

静「雪ノ下…昨日はタツミ君がいなかったみたいだったが、何かあったか?」

 

雪乃「いいえ、特に何もありません…彼は多分、何か大切な用があったのだと思いますが…」

 

静「なるほど、なら直接電話するしかないな…」

 

雪乃「?…先生、タツミ君の番号知ってるのですか?」

 

静「…」

 

静はそう言われると…

 

静「…そう言えばタツミ君は携帯持っていなかったな…雪ノ下…すまないが直接彼の所に行って聞いてくれないか?今日は部活出れるかどうか…」

 

雪乃「…わかりました(まずは学校内を探してみた方が早いかもしれないわね…)」

 

雪乃は職員室を出て、部室の鍵を開けに行く。すると部室の前には八幡が立ちながら片手にブラックコーヒーを持っていて、もう片方で小説を読んでいた。

 

雪乃「あら?」

 

八幡「…よう」

 

雪乃「今開けるわね」

 

雪乃はそう言うと、部室の鍵を開けて扉を開ける。雪乃は扉の横に立って八幡に先を譲る。

 

雪乃「どうぞ…」

 

八幡「いや、お前が先に入っていいぞ」

 

雪乃「私はタツミ君を探さないといけないから、先に譲るわ」

 

八幡「お、おう…(あの危険な世界から来た奴か…てか何であいつが奉仕部にいるのかすら俺には分からんのだが…昨日はいなかったけどラバック達と会えたのか?)」

 

八幡は先に入ろうとするが…

 

雪乃「待って」

 

八幡「どうした?」

 

雪乃は八幡に部室の鍵を渡して言った。

 

雪乃「遅くなるかもしれないから…預かって欲しいの」

 

八幡「…そうか」

 

雪乃「下校時間が近づいたら帰っても大丈夫よ?」

 

八幡「りょ〜かい」

 

そう言うと、雪乃は部室を出てタツミを探しに行った。学校内を隅々まで探索するが、タツミの姿は見当たらなかった。

 

雪乃「…外かもしれないわね…」

 

雪乃は学校を出てタツミを探しに行く。

 

 

 

 

 

その頃、アカメ達は他の病院が見つからず店で買った冷たい枕をチェルシーの首元にかざしていた。

 

セキザクラ「チェルシー…すごく辛そう…」

 

マイン「なんかさっきよりも熱くなってない?本当に大丈夫なの?」

 

冷たい枕をかざしても、直ぐに熱くなっているのを見て皆は心配する。チェルシーは目を開けるのがやっとだった。

 

チェルシー「はぁ…はぁ…」

 

アカメ「最初の頃よりも酷いな…」

 

セキザクラ「最初?」

 

アカメ「私達の世界でも何度かこの様な現象が発生したんだが…今回は長いな…」

 

アカメ達は何か嫌な予感がしていた。いつもなら知らないうちに普段通り(体調が)に戻る筈のチェルシーが夕方になってもまだ未だに熱が下がらないでいて、寧ろ悪化していることに…するとチェルシーが辛そうに言う。

 

チェルシー「アカメ…私…死ぬの…かな…」

 

アカメ「そんな事言うな…大丈夫だ!死ぬ事なんてない…だから安心しろ」

 

チェルシー「…優しいね」

 

チェルシーはそう言うと、再び目を閉じる。

 

タツミ「チェルシー…俺がいなかった間にこんなに辛い思いをしていたのか…」

 

マヴァール「これ以上ここにいても病院が見つからないから…今日は近くの宿に泊まった方がいいな」

 

アカメとセキザクラは自身が持ってる金を確認する。

 

アカメ「宿に泊まるのもやはり金は必要だが…この金だと…今日が最後みたいだな…」

 

セキザクラ「その間にチェルシーが治る事を祈るしかない…か…」

 

薬を買うと言ってもやはり金がないと買えない…しかしこの中に薬の知識があるものは誰もいない。だからアカメ達は宿に泊まる事を決意した。

 

 

 

 

その頃、学校の先生達は…

 

校長「皆さん!集まってください!今朝のニュースで細かな情報が明かされた様です!」

 

静「っ!」

 

校長の焦った様子を見て…職員室にいた先生達は校長の案内で校長室にあるテレビにあるテレビを見る。

 

静「っ!…これは!」

 

校長「どうやら巻き込まれたのはうちの学校の生徒見たいです‼︎」

 

テレビから聞こえた生徒の名前を聞いて、静はもちろん他の先生達も驚いていた。

 

静「くっ!(比企谷達も早く帰らせた方がいい!このままだと巻き込まれる可能性が高い!)」

 

静はそう決めると、校長室から出て行く。

 

 

その同時刻、八幡は普段よりも廊下が騒がしい事に気がつく。

 

八幡「…(やけに騒がしいな…どうしたんだ?)」

 

八幡は部室の窓を開ける。すると八幡から見て右からいろはが全力疾走で八幡に向かっていた。

 

いろは「八幡さん!」

 

八幡「一色?どうした?そんなに慌てて」

 

いろは「はぁ!…はぁ!…今朝のニュースで被害に遭った人が判明したんですよ!」

 

八幡「今朝のニュース?」

 

いろは「見ていないんですか!昨日の夜に起きた事件の事ですよ!」

 

八幡「(こいつがこんなに焦るところは初めて見た気がするな…だがなんか嫌な予感がするな)」

 

いろはは部室を覗くと…

 

いろは「八幡さん…雪ノ下先輩は?」

 

八幡「…あいつなら、奉仕部の新人を探しに行ってるところだと思うぞ」

 

いろは「え?新人?」

 

八幡といろはが会話している間に、雪乃は学校から数メートル程離れて一人でタツミを探していた。

 

雪乃「タツミ君が行きそうな場所…何処かしら?」

 

雪乃は学校から数メートル程離れると、全く知らない場所に辿り着いてしまう。雪乃がキョロキョロと周りを見ていると、後ろから子供の声が聞こえる。

 

子供「ママー!」

 

雪乃「?」

 

雪乃はその声が聞こえる方向へと振り向くと、大量のお菓子を持った一人の少年は雪乃を通り過ぎて真っ直ぐにある建物へと向かって行った。

 

雪乃「…」

 

雪乃はそのまま少年が入った建物を通り過ぎてタツミを探しに行った。




次回『見知らぬ者』
※次回タイトルではありません。

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