俺ガイルサイド…
チェルシー達が比企谷家を出た同時刻、雪乃は昨日いた子猫達がいる場所に向かっていた。
雪乃「あの子達、まだいるのかしら?」
雪乃は小言でそう言う。そして子猫達を心配しながら歩いているとその場所に着くがそこにはダンボールすら無かった。
雪乃「…(誰かが拾ってしまったのかしら?…少し寂しくなってしまったわね…)」
雪乃はやや落ち込むが、そのまま先の道を歩いていく。そして暫く歩くと雪乃は図書館の中に入って行く。
雪乃「(…人は少ないみたいね…私からしたらその方が落ち着くからいいのだけど)」
だがそこには雪乃がよく知っている人物が雪乃を待っていたかの様に椅子に座っていた。
隼人「待っていたよ…雪乃ちゃん」
雪乃「…」
雪乃は何も言わずに図書館から出て行こうとするが、隼人は言う。
隼人「今日は君の姉さん、陽乃さんが君と一緒に話したいことがあるらしんだ…」
雪乃「…話すことなんて何も無いわ…あなたともね」
雪乃はそう言って図書館から出て行く。
隼人「やっぱり…君は僕のことを見てくれないのか…」
雪乃は歩きながら考えていた。
雪乃「(どうして隼人君が図書館にいたの?今日は家に…いいえ、あの話が事実だとしたら姉さんは私の自宅の前に待ち伏せをしているかもしれない…)」
雪乃は心の中でそんな風に予測して、家とは真逆の方向へと向かって行った。そして歩くこと数分後、雪乃はコンビニの中に入って商品を見ていると、偶々誰もレジに店員がいないのを確認した小さい少年がレジの中に侵入した。
少年「早く金を取らないとっ!」
少年は無理矢理レジの箱を開ける。すると…
店員「っ!このガキ!何してやがる!」
少年「っ!しまった!」
店員「レジの箱を返せ!」
少年「や…嫌だ!」
雪乃「?」
雪乃は二人の会話を聞いてそちらを振り向く。
店員「コンノヤロッ!」
店員は少年からレジの箱を取り返そうとするが、少年はすばしっこく逃げ回る。
少年「これが無いと!…ママが!」
店員「あ?泥棒しといて何言ってんだ!」
少年「ママが危険なんだ!だからっ!」
店員は少年の襟元を掴む。
店員「その前に早く返せ!警察呼ぶぞ!」
その様子を見ていた雪乃が二人のいるレジに向かった。
雪乃「揉め事なら外に出てくれないかしら?」
店員「あ?…アンタには関係ないだろ?」
雪乃「ええ…関係はないわ、けれどそんなくだらない揉め事やるなら外に出てくれないかしら?客の人達に迷惑よ」
店員「…」
少年は雪乃と店員の隙を突いてレジの箱を抱えて店を出ようと試みるが…
雪乃「そのまま外に出たら、ろくな人間になれないわよ?」
少年「な、何だよ!お前には関係ないだろ⁉︎」
雪乃「ええ…あなたから見たら私は他人ね」
少年「じゃあいいだろ!俺には時間が無いんだよ!話しかけてくるなよ!」
雪乃「…時間が無いとはどう言う事かしら?」
少年「…何だよ!こっちに来るな!」
雪乃「…何をそんなに怯えているの?何故そこまでして盗みをするの?」
少年「…」
少年は雪乃にそう言われると急に涙ながらに話した。
少年「…うっ…ママが…これが無いと…うっ…これが無いとママが…殺されるから…だから!…今日だけは!…見逃して…うっ…」
少年は精神的に限界が来て本当の事を話した。少年の必死な言葉が、雪乃は何となくわかったような気がした。そして雪乃は少年に言った。
雪乃「…あなたのお母さんがいる場所、知ってるかしら?」
少年「え?」
少年は雪乃が発した意外な言葉に驚いた。
雪乃「どうなの?」
少年「…うん!」
雪乃「その前に、その箱は店の人に返しなさい」
少年「でも!」
雪乃「いいから…」
少年は店員にレジの箱を返すと、雪乃は少年の手を引いてコンビニから出て行った。
店員「何だったんだ…?」
少年「姉ちゃん!金が無いと!」
雪乃「…平気よ、お金が無くても助ける方法はあるから、それよりも早く案内してくれないかしら?」
少年「う、うん…」
雪乃は少年の案内で数分歩いて少年の母親がいる倉庫にたどり着いた。
雪乃「酷い有り様ね…」
少年の母親は床に寝そべるように倒れていた。
少年「ママー!」
母親「…っ!(まさか!)」
母親は少年の声を聞いて起き上がる。
母親「悠斗!」
悠斗「ママー!」
悠斗(少年)は母親の元に走って抱きついて来た。そして母親はそんな悠斗を抱いた。
悠斗「ママー!…うっ…」
母親「良かった…無事で良かった!」
雪乃「…(私らしく無い事をしてしまったわね…)」
その様子を見て、雪乃は立ち去ろうとするが悠斗の母親が気付いた。
母親「あ、あのっ!」
雪乃「…?」
母親「悠斗を守ってくれてありがとうございます!」
雪乃「…私は大したことしていませんよ?」
雪乃はそう言って倉庫から立ち去っていく…と思った次の瞬間だった。
???「悪い子だなぁ〜…約束を破るなんてよぉ〜お?」
突然、雪乃と悠斗達の間の床に紋章の様な模様が浮かび上がるとその中から一人の男が出て来た。
雪乃「…え?」
母親「っ!あなたは!」
???「昨日振りだなぁ…」
悠斗「な…何でお前が!何で床から⁉︎」
???「小僧、俺はただの貧民とは全然違うんだよ…俺はな」
悠斗「まだ約束の時間じゃ無いはずだろ!何しに来たんだ!」
???「…俺はずぅ〜っと観察していたんだぜ?お前らの死角からな」
雪乃はその男を見て思い出す。あの子猫達の所で一度だけ接触していた事を…
雪乃「(この人…何者なの⁉︎人間のようで人間では…ない?)」
すると男は拳銃を取り出した。
母親「っ!」
悠斗「じゅ…銃…」
???「ウロウロしてた警備隊から取ってきたんだぁ〜」
雪乃「っ!(何をする気⁉︎)」
???「先ずは…お前からな」
そして…男は銃を発泡した。銃弾は悠斗の母親の顳顬(こめかみ)に命中した。
雪乃「っ!」
そして悠斗の母親はその場で倒れこみ、即死してしまった。雪乃達にはあまりにも衝撃的なものだった。
悠斗「あ…ああ…あぁぁぁぁ!」
悠斗は精神が崩壊した様に叫んでしまい、雪乃はその場から動けなかった。
???「撃たないと思っただろ?なぁ?」
悠斗「あぁぁぁぁああ‼︎」
???「…言葉にならないくらい崩壊してんなぁ〜…だったら今すぐ母親に合わせてやるぞ?」
男が銃を悠斗に向けた時だった。動けずにいた雪乃は男が銃を握っている手を両手で抑えた。
雪乃「くっ!(やらせない!)」
???「平民が俺に勝れる訳ねぇだろ!」
男は雪乃の襟元を掴むと、そのまま突き飛ばした。
雪乃「ぐっ!」
そして男は雪乃の右腕に銃弾を放った。
バンッ!
雪乃「うっ!」
???「よくあの光景を見て動けたな…そこは褒めてやる…だが…その勇気も一瞬にして儚く消えるのさ…今ここでな⁉︎」
雪乃「はぁ…はぁ…(このままだと…この距離では確実に殺される!)」
???「じゃあな」
雪乃「(もう…ここまでなの?…私は…)」
雪乃はそのまま目を閉じて助けを祈る事しか出来なかった。
カンッ!っと銃弾が金属に弾かれる音が倉庫中に鳴り響いた。
???「っ!何!」
雪乃「⁉︎」
男は倉庫の天井を見上げると、そこに居たのはチェルシー達と一緒にいたアカメが柱の上に立っていた。
???「まさか…もう追いついて来やがったか!ナイトレイド‼︎」
アカメ「次は逃がさないぞ…覚悟しろ」
そしてアカメは柱から地上に降りて、村雨を手に取って構えた。
次回はどうしてアカメがこの場所を突き止めたかを最初に入れます。