失われた欠片   作:ガイアプロローグ

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第30話 冬場で金の無い休息は下手すると凍死することを彼らは知らない。

俺ガイルサイド…

 

夜…チェルシー達は人が少ない広場の隅で休息の時間を過ごしていてチェルシーは一人、空を見上げていた。

 

チェルシー「…(明日からここで自分の能力(ちから)を高めないと…元の世界に戻れない…でももう覚悟はしている!)」

 

チェルシーは胸に両手をあて、明日に向けて改めて覚悟をした。

 

セキザクラ「チェルシー…風邪引くよ?」

 

ラバック「とは言っても毛布の数が二枚しかないんだけどなぁ…こんなに寒いのに」

 

ラバックは毛布をかけていない為、寒さで体が震えていた。因みにもう一枚はマインが使って既に寝ていた。

 

アカメ「毛布使うか?」

 

アカメがチェルシーに毛布を渡してきた。

 

チェルシー「…いいの?」

 

アカメ「私は寒くないからチェルシーに使って欲しい」

 

アカメが毛布をチェルシーに譲って渡そうとするとチェルシーがアカメに寄り添って来た。

 

アカメ「ど、どうしたんだ?」

 

チェルシー「こうやって一緒にくっついていると温かいよ?」

 

アカメ「…じゃあ…一緒に使うか」

 

チェルシー「うん…」

 

チェルシーとアカメの姿を見てセキザクラは心の中で羨ましく思っていた。

 

セキザクラ「(いいなぁ…私も入りたい)」

 

するとチェルシーがセキザクラの方を見る。そしてそれに気がついたアカメが言った。

 

アカメ「セキザクラ、お前も来るか?」

 

セキザクラ「ふんっ!…別に⁉︎…一人で寝れるわ!」

 

アカメ「?」

 

セキザクラは拗ねて少し遠くでねっ転がる。

 

アカメ「…(どうしたんだろうか?)」

 

チェルシー「…」

 

チェルシーはセキザクラの背中を見て寂しそうに見る。その一方、タツミは一人で川の近くに座って夜空を見上げていた。

 

タツミ「雪乃さん…これから先、大丈夫かな?」

 

タツミは雪乃の心配をしていると同時に、自分が雪乃に対して何も出来なかった事を強く後悔していた。

 

タツミ「だから俺も…明日から修行しないと!」

 

するとマヴァールがタツミの所に来た。

 

マヴァール「考え事か?」

 

タツミ「マヴァール…さん?その〜顔どうしたんだ?」

 

タツミはマヴァールの傷だらけの顔を見て少しだけ青ざめた。

 

マヴァール「あ〜…アカメと一緒に寝ようとしたんだけどな…"向こうに行ってくれ"って言われて追い出されたんだ」

 

タツミ「それだけで殴られたのか⁉︎」

 

マヴァール「いやまだ続きがあってな…俺が"そんな照れるなよ〜兄さんが今日はそばで寄り添って寝てやるぜ?"って言って寄ろうとしたらこの有り様さ」

 

タツミ「懲りないっすねーあんた(嫌らしさ全開だな)」

 

マヴァール「でもお陰で眠気も吹っ飛んじまったからさ、悩みがあるなら聞くぜ?」

 

タツミ「…チェルシーの事も心配なんだけどさ…もう一ついいか?」

 

マヴァール「良いぜ」

 

タツミ「雪乃さんって人の事が心配なんだ」

 

マヴァール「名前からするとこの世界にいる女の子か?」

 

タツミ「あぁ…マヴァールさんは直接会ったことないからわからないかもしれないけど…雪乃さん今、追い詰められてるんじゃないかって思うんだ…」

 

マヴァール「…追い詰められてる?何に?」

 

タツミ「倉庫の中に入った時、雪乃さんが硬直してたんだ…多分だけど目の前にいた親子がいて…子供の母親が大臣の息子に殺されたのを目の前で見てショックを受けたんだ」

 

マヴァール「あいつの事か」

 

タツミ「俺はその時…何も出来なかった!何も守れなかった!…それが今…一番悔しい!」

 

タツミは涙目になりながらマヴァールに打ち明けた。そしてマヴァールは…

 

マヴァール「…お前は、何も守れなかったわけじゃないぞ?」

 

タツミ「え?…」

 

マヴァール「その雪乃ちゃんって子の命をお前は守った…俺はそれだけでも凄い事だと思うぜ?だからさ、あまり自分自身を追い込むなよ?」

 

タツミ「マヴァール…」

 

マヴァール「そうだ!俺の提案…聞きたい?」

 

タツミ「覗き見とかか?アカメに半殺しにされそうな気しかしない…」

 

マヴァール「まぁ〜それもあるんだが〜」

 

タツミ「あるのかよ!」

 

マヴァール「でも今回は違うぞ⁉︎明日アカメ達には内緒で俺達二人で雪乃ちゃんの様子見に行くってのはどうだ?様子を見るだけでも少しは気持ちが晴れるんじゃないか?」

 

タツミ「マヴァール…気遣ってくれてありがとな」

 

マヴァール「当然だろ?仲間が悩んでる時に支えるのが先輩の役目だ」

 

タツミ「じゃあマヴァール…明日の朝、約束してくれ」

 

マヴァール「勿論だ!」

 

タツミとマヴァールは互いにに拳を合わせた。

 

 

 

 

ラバック「ヘッキション!(寒ぃぃ…俺凍死しないよな?)」

 

???「ハッキション‼︎」

 

ラバック「うるせぇな息子!」

 

???「その呼び方やめろ!」

 

ラバック「じゃあ誰だよ」

 

???「てめぇらに教えるわけねぇよバーカ」

 

ラバック「こいつ…拘束されても口は達者だな」

 

ラバックは糸を少しきつく締める。

 

???「いででで!腕がぁああ‼︎」

 

ラバック「黙ってろ!死なないだけでも有難いと思え!」

 

 

 

 

 

同時刻、雪乃は病室のベッドの上で寝ていた。

 

雪乃「…(タツミ君…あなたは…)」

 

雪乃はしばらくタツミの事が頭から離れなかった。そんな時、病室の扉が開いた。

 

???「ひゃっはろ〜雪乃ちゃん、体調はいいかな?」

 

雪乃に近づいてきたのは雪ノ下陽乃、雪乃の姉だった。

 

雪乃「姉さん…どうして来たの?」

 

陽乃「…腕の怪我は大丈夫?」

 

雪乃「質問を質問で返さないでくれる?からかってるの?」

 

陽乃「心配だったのよ、精神的に病んでるんじゃないかって…」

 

雪乃「…見ていたの?」

 

陽乃「…偶然ね」

 

雪乃「…一体何がしたいの?…何で葉山君が私の居場所を知ってたの?」

 

陽乃「隼人が雪乃ちゃんの居場所を知ってたのは今初めて知ったよ」

 

雪乃「…嘘つかないで!」

 

陽乃「雪乃ちゃん、病院で大きな声を出しちゃいけないよ?」

 

雪乃「っ!…」

 

陽乃「明日頃に退院?」

 

雪乃「…もう…帰って」

 

雪乃はそう言うと、毛布で顔を隠して陽乃とは反対の方に向いて寝込んだ。

 

陽乃「…そっか…じゃあね」

 

そして陽乃は病室から出て行った。すると入り口で隼人が待っていた。

 

隼人「雪乃ちゃんの様子…いかがでした?」

 

陽乃「明日には退院出来るみたいだよ〜」

 

隼人「それは良かったです!(明日が楽しみだね…雪乃ちゃん)」

 

 

 

 

 

 

翌朝、場面はチェルシー達が休んでいるところに変わる。チェルシーとアカメは二人で一枚の毛布の中で寝ていて、ラバックとセキザクラは体が震えながら寝ていた。マインは一人でもう一枚の毛布をかけて寝ていて、タツミはセキザクラとラバックと同じような体勢で寝ていた。そしてマヴァールは一人早く起きていた。

 

マヴァール「あぁ〜…寒すぎだな今日…」

 

マヴァールはアカメの近くまで来て座り込む。

 

マヴァール「やっぱもう少しだけ寝ようかな〜?」

 

アカメの寝顔を見て頭を撫でようとすると…

 

アカメ「何をしてんだ?」

 

アカメが目を閉じながらそう言うと、マヴァールはびっくりして坂から転がり落ちた。

 

マヴァール「えっ!…起きてる?」

 

マヴァールは這いながらこっそりと音を立てずにアカメに近づいて行く。様子を見るとアカメは目を閉じていた。

 

マヴァール「ふぅ〜(何だ、寝言か?)」

 

マヴァールはそのままアカメの隣で寝ようとするが…

 

アカメ「何見てんだ?近いぞ」

 

冷たい視線でマヴァールに言い放つ。

 

マヴァール「あぁ〜…トイレに行ってもいいかな?(そうだ!この隙にタツミを起こして行こう!)」

 

アカメ「…怪しいな」

 

マヴァール「いや普通にトイレ行きたいだけなんだけど〜」

 

アカメ「…あまり遅くなるなよ」

 

マヴァール「わかった!直ぐに戻る!」

 

そう言うとマヴァールはタツミの方へ直ぐ向かって起こしに行く。

 

マヴァール「タツミ!朝ですよ〜」

 

マヴァールはタツミを揺さぶって無理矢理起こした。

 

タツミ「ん〜…寒ぃ〜」

 

マヴァール「起きたか?そろそろ雪乃ちゃんの所に行った方がいいぜ?」

 

タツミ「…はっ!そうだ!」

 

マヴァール「アカメには出かけてくるって誤魔化したから今の内に行こうぜ!」

 

タツミ「ありがとなマヴァール!」

 

そしてタツミとマヴァールは、タツミの案内を元に雪乃がいる病院へと向かって行った。




次回、病院へ…
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