失われた欠片   作:赤色のアート

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第31話 最強とは負担の大きい修行をしなくては会得は容易ではない。

俺ガイルサイド…

 

タツミとマヴァールが広場からいなくなった数分後、チェルシー達は全員起きていた。

 

アカメ「…兄さん…まだか?」

 

チェルシー「…タツミ達何処に行ったのかな?」

 

アカメ「…トイレに行ってくるとは言ってはいたが…それにしては遅いな」

 

ラバック「…嫌な予感がするな…ここは探すか?」

 

アカメ「…ラバック、セキザクラ…お前達はここで待っててくれ」

 

セキザクラ「随分上から目線ね…まぁチェルシーと一緒なら私はいいんだけど」

 

ラバック「確かに今俺は大臣の息子を拘束してるからな…じゃあアカメちゃんとマイン頼むぜ!」

 

マイン「何であんたが命令するのよ⁉︎」

 

マインはラバックの耳を引っ張る。

 

ラバック「痛い痛い!暴力反対!」

 

するとチェルシーが心配そうに言う。

 

チェルシー「アカメ…私もその間に修行頑張るから…死なないで!」

 

アカメ「大丈夫だ…ここは帝都と比べて治安が良いから…出来るだけ早く戻る」

 

マイン「だからあんたは修行に専念してなさいよ!チェルシー」

 

そう言うとアカメとマインは広場から離れてタツミとマヴァールを探しに行った。

 

チェルシー「…私も…もっと強くならないと!」

 

チェルシーはそう言うと完全否定の能力を使いこなす為の修行を始める。そしてチェルシーは神雑が異界のゲートを開く時のをイメージしながらやってみた。

 

チェルシー「はっ!」

 

だがゲートは簡単には開かない。

 

ラバック「あいつの動きを真似しているみたいだな…」

 

セキザクラ「…私も出来る事をしようかな、体がこれ以上鈍ったら帰って直ぐ死にそうだから…」

 

セキザクラは腰に付いている双剣を取り出し、最適な場所を探す。

 

ラバック「セキザクラ…迷子になるなよ?」

 

セキザクラ「ば、馬鹿‼︎なる訳無いわよ!この狭さで!」

 

ラバック「…ならいいけど…(いや、世界レベルの方向音痴だから嫌な予感しかないけどな…)」

 

セキザクラはチェルシー達から少し離れて一人で修行をする事にした。その頃チェルシーはイメージをしながらゲートを開こうとするが…

 

チェルシー「はぁ!はぁ!」

 

ラバック「ん?」

 

チェルシーは予想以上に体力を消耗していた。

 

ラバック「おい大丈夫か⁉︎」

 

チェルシー「…うん…大丈夫…まだ出来る…」

 

ラバック「あまり無茶はすんなよ?」

 

ラバックがそう言うと、チェルシーは体勢を立て直して再び始めた。

 

チェルシー「はぁ!…くっ!(駄目だ…同じようにやっても全く開く気配がない!)」

 

チェルシーはイメージを変えてみる。今度は両手を前に出して力を掌に込める。

 

チェルシー「はぁああっ!」

 

力を入れると同時に黒いオーラが自然と体に纏われる。しかしゲートが開く事は無かった。

 

チェルシー「うぐっ!」

 

チェルシーは膝を地面に着ける。

 

ラバック「大丈夫か!」

 

チェルシー「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」

 

チェルシーは胸を抑える。心臓に大きな負荷がかかった。だがチェルシーは諦めずに続ける。

 

チェルシー「はぁ…はぁ…(こんな所で立ち止まる訳にはいかない!みんなを…今度は私が救わないと!)」

 

そしてチェルシーはその後もしばらく完全否定をコントロールする為、ゲートを開こうと必死に修行を続ける。

 

 

 

 

一方、雪乃は退院出来る状態になっていた。そして雪乃は医師に悠斗の状態を聞いていた。

 

雪乃「あの子は…どうなったんですか?」

 

医師「…暫くはこちらで入院させます、ケアもしっかりしていますので心配はしないで下さい」

 

雪乃「…」

 

医師「何処で君はあの子のお姉さん?」

 

雪乃「いえ…違います…目の前で母親を失って…精神的な傷が残っている様な気がして、少し心配になってるだけです」

 

医師「…気持ちはわかる、でもここからは私達があの子に全力を尽くして治療を専念します、ですので君は早く自宅に帰ってください」

 

雪乃「…」

 

そして雪乃は病院を出て行く。暫く歩くと一人の男とすれ違う。そして声をかけられた。

 

隼人「一人で大丈夫かな?」

 

雪乃「…」

 

雪乃は無視して行くが…

 

隼人「悠斗君…君が助けたみたいだね」

 

悠斗の名前が出て足を止める。

 

隼人「どうして君は比企谷みたいな奴のやり方をし始めた?」

 

雪乃「…それ以上詮索するとストーカーで訴えるわよ?」

 

隼人「違う!俺は君が心配なだけでー」

 

雪乃「さよなら」

 

雪乃は走って隼人から離れて走った。雪乃の精神状態は正直不安定だった。そして雪乃は暫く走っていると一人の女子高生にぶつかった。

 

ドッ!

 

雪乃「痛っ!」

 

そして互いに尻餅をつく。

 

雪乃「ごめんなさ…え?」

 

雪乃はその人物を見て固まる。その人物は…

 

結衣「痛たたー…ん?…はっ!ごめんなさい!」

 

結衣だった。雪乃はその姿を見て声をかけようとするがどう言えばいいのかがわからない。その時、結衣が話しかけてくる。

 

結衣「あの〜大丈夫…ですか?」

 

雪乃「え?…えぇ…(どうしてここに由比ヶ浜さんが…)」

 

雪乃は結衣の言動が元に戻っていないことに少し寂しさを覚える。

 

結衣「よかった〜怪我してたらどうしようかな〜って思っちゃったんだ…あっそう言えばー…何処かであたし達会ったかな?」

 

結衣の言葉に雪乃は優しく答えた。

 

雪乃「…私は雪ノ下雪乃、奉仕部ってのは…知ってるかしら?私達はその部活動で会ったこと…あるのよ?」

 

雪乃はそう言うが結衣は首を傾げてる。

 

結衣「奉仕部?(確かタツミ君にも同じようなこと言われたっけ…)」

 

雪乃「それに…あなたはその奉仕部の一人だったの…覚えている?」

 

結衣「…ごめん…わからない…」

 

雪乃「…明日の放課後、いつでも待ってるわ…それじゃ今日はここで…」

 

雪乃はそんな言葉を残して結衣を横切って帰ろうとした時だった。後ろから知ってる声が聞こえた。

 

 

 

隼人「もうそろそろ逃げるのはやめようか?」

 

雪乃「っ!」

 

雪乃は振り返ると、そこには結衣の背後から出て来た隼人がいた。ここまで来ると最早気持ち悪いとしか言えない。隼人の声を聞いて結衣も振り向く。

 

結衣「葉山君⁉︎急にどうしたの⁉︎」

 

隼人「ごめんね?驚かせるつもりは無かったんだ…今は雪乃ちゃんと話があるから来ただけなんだ」

 

雪乃は結衣と隼人が二人で話している間、携帯を取り出して隼人に聞こえないくらいの声量で通報しようとしていたが…

 

隼人「…おや?どうしたんだい?」

 

雪乃「…(誤魔化しても駄目なのね)」

 

雪乃は親がらみでの電話だと言おうとするが、隼人も色々と関わっていた為通用しないと判断した。

 

雪乃「何でもないわ…」

 

結衣「?」

 

隼人「ちょっと場所を変えて話そう?」

 

隼人は雪乃の手を取ろうとするが、雪乃は手で払う。

 

バチンッ!

 

隼人「…」

 

雪乃「どこまでも、どこまでも…何故ついてくるの?正直…うざいわよ」

 

雪乃は声を低くして言う。

 

隼人「…どうして君はー」

 

雪乃「もう来ないで!」

 

雪乃は珍しく怒りや悲しみがこもった様な声で隼人に言った。だが隼人はそれでも下がらなかった。

 

隼人「…僕は…ただ心配なだけなんだ…このままじゃ比企谷みたいな奴の二の舞になるんじゃないかって…だから俺と一緒にっ!」

 

雪乃「どうしてあなたは平気で人を見下すことが出来るの?」

 

隼人「いや俺はそんなことっ!」

 

雪乃「だったら何故今、比企谷君の名前が出て来たの?何も知らないのに勝手な事を言わないで!…それに二の舞だなんて、なった覚えはないわ!」

 

隼人「…」

 

二人の会話を聞いていた結衣は仲裁に入る。

 

結衣「二人共…ちょっと落ち着こう?…ね?」

 

すると隼人が睨んで来た。

 

隼人「結衣…止めちゃ駄目だよ?今取り込み中なんだから」

 

結衣「っ!…ごめん…」

 

雪乃「…」

 

隼人「結衣はさ…どうしてそんなに仲裁に入りたがるんだ?」

 

結衣「え?」

 

隼人「この際だから言わせてもらうけど…邪魔者だよ?」

 

結衣「っ!」

 

隼人が結衣に手を掛けようとした時…

 

ガッ!

 

全員「っ!」

 

 

 

 

隼人の腕を、マヴァールが握っていた。

 

マヴァール「そこまでだ…」

 

雪乃「え?…(一体何処から現れたの⁉︎)」

 

隼人「…な…誰だ?…お前は?」

 

余りの速さに雪乃達は状況が掴めなかった。




次回、葉山隼人の考え方。

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