ログアウトしようと思ったら退会してしまい、今まで書いていたものが消えてしまう悲劇。
なので初投稿ではないです。文才0です。でも頑張ります。
俺、朝比奈信一の朝は早い。
「おっはよう!お兄ちゃん!!」
愛しの妹、朝比奈
今日も今日とて、俺の寝ているベッドに元気にダイブしてくる。
「ぐふッ!?」
「わたしはドムのほうが好きかな」
いや、グフではなくてね?あと俺はイフリートが好きだよ。ちょっとコアかな?
信夏は今年で中3になる。普通中3の女の子といえば、男兄弟をゴミかクズにしか思わないんだろうけど、信夏は俺にべったりなんだよね。
まぁ、たぶん父さんと母さんが仕事で忙しくて俺と2人で過ごす時間が多かったかもしらないね。俺としては嬉しい限りだよ。
今も俺の胸に顔をくっつけて甘えてきてる。
「えへへ〜、お兄ちゃんの匂い好き…」
「匂いだけ?」
「もちろんお兄ちゃんが大好きだよ!」
「俺も世界一好きだよ」
「わたしは宇宙一だけどね」
「じゃあ銀河一かな」
「「 …………………… 」」
しばしの沈黙。か〜ら〜の、
「信夏ッ!!」
「お兄ちゃんッ!!」
ガシッ!と、お互いを呼びながら火傷してしまうほど熱い抱擁を交わす。
信夏のセミロングの髪からは同じシャンプーを使っているのに、明らかに俺とは違う良い香りがする。
「さ、早く配達行こう?」
今日は月曜日。しかも2週間に1回の配達が2件入ってる月曜日だ。
配達というのは、俺の家が営んでるみかん農園“イーストサン”のサービスの1つ。
4月までに来て欲しい曜日と時間を指定して申し込みをすると、それから1年間、内浦なら俺と信夏が、それ以外の沼津市内なら父さんが配達をすることになっている。
「じゃあ、着替えるから出ててくれるかな?」
「………」
「どうしたの?」
「お兄ちゃんと離れたくない……」
「大丈夫だよ。すぐ終わるから待ってて?」
そう言って信夏の頭を優しく撫でてあげる。信夏は目を細めて気持ち良さそうだ。お兄ちゃん嬉しい。
信夏が部屋を出てから、俺はクローゼットをオープン。
今日はスウェーデンな気分なので、スウェーデン軍の野戦服を取り出す。スウェーデン軍の野戦服は迷彩がお洒落で、その手のマニアには人気が高い。
まずは黒のタンクトップを着て、次に迷彩柄のカーゴパンツ履く。カーゴパンツと同じ迷彩の上衣を着てチャックを上げたら完成。
そんな
俺のこの格好も案外外国人観光客にウケたりする。
俺の
「おまたせ信夏」
「うん、大丈夫!お父さんがダンボール詰めといてくれたよ」
「ありゃ、ちょっと寝坊しちゃったかな?」
「ううん。わたしが頼んどいんたんだ!」
「そっか。ありがとう」
お礼を言って、俺は洗面所に向かおうとする。すると、信夏は俺の前に出てきて頭を差し出してきた。撫でろってことかな?
「それ!」
「うわぁ!?」
でもさっき撫でちゃったしね。だから、今度はコツンとおでこをくっつける。
案の定驚いてくれた。
「もう、いじわる」
「イヤだった?」
「ぜんぜん!!」
またギュっと抱きついてくる愛しの
とりあえず3分ほど2度目の朝のぎゅーを楽しんだあと、洗面所に入る。
そして鏡を見てため息が1つ、自然と口から漏れた。
「ハァ…………」
鏡には絶世の美少女が映っている。
パッチリとした大きな目。肩よりも長いサラサラの髪。細い身体。薄くともぷっくりとした唇は妖艶さすら醸し出していた。
これが俺の容姿。ある人には股間にぶら下がってるもんを切り落とせば人生薔薇色間違いなしと言われたほどだ。
身長も165㎝と男子にしては小さいほう。
去年のクラスの背の順では1番前だった。てか、ウチのクラスにでかい奴が集中してたに違いない。絶対そうだ。そうじゃないと泣いちゃう。
「これでよしっ……と」
髪の毛をポニーテールに結び上げ、アホ毛が出てないかチェック。客商売は印象が大切だからね。
身だしなみも整えて信夏と一緒に玄関に向かうと、重たそうなでかいバックパックが用意してあった。
俺のバックパックにはみかんの詰まったダンボールが2個。信夏のには1個入っている。
「「 よいせっ……と 」」
兄妹仲良く同じかけ声でバックパックを背負うと、みかんの重さを感じる。
俺の背が低いのって、中学の成長期の段階からこんな重いのを背負ってたからじゃないかな?
「じゃあ信夏、車には気を付けてね?すれ違う人とは挨拶を忘れずに」
「うん!お兄ちゃんも気を付けて」
ビシッ!と可愛らしい敬礼を返してくれた。素晴らしい。
ここは静岡県沼津市、港町の内浦。新鮮な海産物と美味しいみかん、見上げれば富士山が見え、山から見下ろせば美しいオーシャンビューが臨める田舎町。
俺は右側に海を見ながらコンバットブーツを鳴らし、配達先に向かって走っている。
信夏に言ったように、俺自身も犬の散歩や朝のジョギングですれ違う人達に挨拶をする。あちらも笑顔で返してくれる。もはや月曜日のこの時間にすれ違う人の顔はお馴染みだね。
ミスが1つでもあれば、その月の給料は1円たりとも入らない。普通の店なら問題ありだが、そもそも家の手伝いをして給料も出るのだからこの条件くらい当たり前と考えなきゃダメだろうね。
そんなこんなで走ること10分。2日に1回の頻度で配達を頼まれている旅館、『
「おはようございますっ!」
旅館ということでうるさくならない程度の声量で裏口から俺が来たことを知らせる。
「は〜い」
すぐに女性の声が帰ってきた。数秒後に扉が開き、優しそうな笑顔が素敵なお姉さんが現れる。
「おはよう、信一くん。今日も可愛いわね」
全然嬉しくない…………。
この今俺の頭を優しく撫でてくれているお姉さんの名前は
『十千万』は、俺の第二の家みたいな場所でもある。小学校に上がる前は、仕事の邪魔ということで、同い年の子供もいたことからここに預けられてた。
この『十千万』、普段は高海家の長女である志満さん、次女の美渡さん、三女の千歌と他従業員の方々で切り盛りされている。三女の千歌は俺と同い年。
んでんで、そんなわけだから俺にとってこの高海志満さんは姉代わりの人でもある。今でも油断すると“
まぁ、今は恥ずかしいから“お姉さん”って呼んでる。
ちなみに次女の美渡さんは“姐御”と呼ばせてもらってる。雰囲気的にこっちのほうが合ってるしね。
「千歌、まだ寝てます?」
普段はお姉さんにタメ口だけど、今は仕事中ということで敬語を使っている。もう5年もそうしてるけど、未だに俺が敬語で話すと寂しそうな顔をするのは姉心からかな?
「えぇ。あ、そういえば千歌ちゃんが重大発表あるから今日は早く来て欲しいって言ってたわ」
「えぇ……絶対しょうもないことですよね?」
「でも、来てあげてくれる?信一くん来ないと千歌ちゃんへそ曲げちゃうから」
「わかりました。じゃあ、いつもより10分くらい早く来ますね」
「うん、お願い」
お姉さんから頼まれちゃ俺も断れないな。
「はい、明細書です」
「えぇ、いつもありがとう」
また撫でてくるし……。いや、俺も撫でてくれるのが嫌なわけじゃない。むしろ嬉しいって気持ちもある。ただ、あんまり男扱いしてくれてないのが悔しいってだけ。
だって、普通高校生の男の頭なんて撫でないでしょ?
「それじゃあ、また後で」
「うん、気を付けてね」
これ以上考えると男とは何かとゲシュタルト崩壊を起こしそうになるので、思考を切り替えて次の配達先に向かうとします。
次の配達先は内浦に昔からある古いお寺。ここは毎週月曜日に配達を頼まれている場所だ。
本堂とは別の、住職の家族が住んでいる別棟のインターホンを押す。
「おはようございますッ!!
「あぁ〜、おはよう。今日も可愛いな」
全然嬉しくない…………。
もはや俺の配達先の人達はこれを言わないといけないルールを密かに課されているのではないか、と疑っちゃうレベルだよ。
インターホンに答えながら出て来た袈裟姿のお坊さん、自称禿丸さんは今日も気怠気だね。
父さんが子供の頃から住職をやっていて、今も昔も容姿がまったく変わらないらしい。巷では妖怪なのではないかという噂すらある。
「花丸は起きてます?」
「たぶんもう起きてると思うぞ。縁側で待ってな」
ちなみにこの住職らしからぬ言葉遣いと禿丸という名前がマッチして、意外にも子供たちから人気がある。もちろん禿丸は本名ではない。
ただ、本名を聞こうとすると『クレーム入れんぞ?』と脅されるので聞かないことにしている。気になるには気になるけど、給料に比べればどうでもいいよね。
「明細書です」
「おう、サンキュー」
相変わらずしゃべり方が若々しい。見かけは噂に恥じぬ妖怪っぷりだけど。
みかんの詰まったダンボールがなくなり、すっかり軽くなったバックパックを背負って縁側に向かい、腰を下ろして本を取り出す。
突然だけど、俺は昔から読書が趣味だった。
父さんも母さんも仕事で忙しく、俺に構ってくれる時間が取れなかった為、大量に買い与えてもらったのが原因だ。絵本、漫画、小説。ジャンルに関係なく、俺や信夏が欲しいと言えば何でも買ってくれた。
2人も子供に構ってあげられない後ろめたさがあったのかもしれないね。
そんなわけで、俺は昔から本を読んで育ってきた。
本はすごいと思う。ちょっとした話の種になる雑学や緊急事態の対処法、心の動きや名言。それらが物語の中に、みかんの果肉に負けないくらい詰まっている。
中学の社会の先生は、“本は知識の宝箱”と評していた。
ある人は、“本には人1人の人生が詰まっている”と言った。
インクの染みた紙の塊。そう言ってしまえばそれまでだけど、俺はその紙の塊から学校では学ばないことをたくさん学んだ。学校の勉強よりも楽しくたくさん学んだ。
そんな本をたくさん読める環境に生まれたのは、きっと幸運だったんだろうね。つまり何が言いたいかというと、
「読書楽しいイィィィィィーーーッ!!」
「そうやって叫ぶのは信一くんだけずら」
「痛い」
俺の魂からの叫びは、後ろから女の子の呆れた声と共に下されたお盆によって中断された。しかもお盆の底ではない。縁で叩かれたのだ。
「おはよう、花丸」
「おはようずら」
後ろを振り向いて、女の子に挨拶する。あの
「あれ?制服が違う」
栗色の俺と同じくらいの長さの髪。蜂蜜色の瞳。かぶりつきたくなるくらい柔らかそうなほっぺたはいつも通りだけど、今日は見慣れた黒いセーラー服ではなかった。
灰色のセーラー服に黄色いカーディガンを着ている。胸元の黄色いリボンが可愛らしい。
「今日入学式だからね。似合うかな?」
そう言って、その場でお盆を持ったままクルッと回り……コケる。運動神経良くないんだから無理しなきゃいいのに。
まぁ、コケた拍子に見えてしまったスカートの奥のストッキングにカバーされた逆三角形の布には触れないようにしておこう。
セクハラされた、とクレームを入れられたら目も当てられない。
「うぅ……痛いずら」
「ハァ……大丈夫?」
「うん。転んだだけだから……」
「いや、花丸じゃなくてお茶のほう」
「ずらっ!?」
何を驚いているんだろう?勝手に回って勝手にコケた奴の心配をしてやる必要なんてないだろうに。
それよりも、お盆を持っているってことはお茶があるってことだよね?それを倒してないかが心配だよ。
「お茶なら信一くんの横に置いてあるよ」
花丸が指差す方、俺の左側には“信”という字をびにょーんと一の形にした独特の文字が描かれた湯飲みが置いてあった。隣には“花”を丸で囲った花丸用のもある。わざわざお茶を置いてまで俺を叩く必要あったかな?お盆の縁って結構痛いんだけど。
「…………うん、美味しい」
さっそくいただく。この熱いお茶、花丸が淹れてるんだけど不思議と美味い。走って喉が渇いてたってのもあるだろうけど、このお茶を飲んだ後なら水の中でも息ができそうだよ。
「信一くんは今日も人の心を持たないずらね」
随分と失礼なことを言いながら花丸は俺の右側に腰を下ろし、持っていた文庫本を開く。ちなみに花丸のすぐ右側には柱がある。もちろんこのポジションは理由があってのことだ。
初めて花丸に会ったのは5年前、俺が中1のじめじめとした梅雨の季節だった。
今日みたいにこの寺の配達を終え、さて帰るかと思った矢先に雨が降ってきたのだ。別段梅雨だから珍しいことでもないし、東の空が明るかったからこの縁側を借りて雨宿りさせてもらってた。
本を開き、雨が止むのを待っていると後ろから、
『ずらっ!?』
と随分クセのある鳴き声を聞いたのはよく覚えている。
普通驚くよね。朝起きたら知らない年の近い野戦服を着た男が自分の家の縁側で本を読んでいたんだから。まぁ、男かどうかはわからなかったみたいだけど、そんな不名誉なことは忘れてしまおう。
その鳴き声を聞いて振り返ると、当時小学6年生の花丸がいたわけだ。とりあえず配達先の家族だから愛想良く挨拶をして、本に視線を戻した。でも、ずっと後ろから花丸は動かずに俺を見つめていた。
正確には俺が読んでいた本が気になっていたらしい。花丸も俺と同じくらい本が好きだったのだ。
その日から、毎週俺と花丸は一緒に並んで本を読むという奇妙な関係が続いている。
最初は俺が縁側に上がって背中合わせで本を読んでたんだけど、小学生の花丸には、早朝の読書が辛かったらしく寝落ちして縁の下にゴロンと転がり落ちていた。普段の知り合いならそのままほっとくんだけど、何よりお客さんの家族が俺と読書をしている時に怪我をしたなんて父さんに知れたら、その月の給料がなくなっちゃうからね。
結局俺と柱で花丸を挟んで、寝落ちしても転がり落ちないようにこのポジションになったわけだ。
閑話休題
「ひどいこと言うね。俺だって人の心はあるよ」
「じゃあ、好みの女の子のタイプは?」
何が『じゃあ』なのだろうか?女の子のタイプと俺に人の心があるかって関係あるのかな?まぁ、ここで断ると負けた気分になるので答えておこう。
「明日にでも死にそうなお金持ちの後期高齢者かな♪」
「それを笑顔で言える信一くんは、人類史上類を見ないカスずら」
一瞬、花丸が俺に好意を抱いていてこんな質問をしたのかもと思ったが、それは一時の気の迷いみたいだ。
会ったばかりの頃はもうちょっと可愛げがあったんだけどなぁ……今は外見は可愛くなったけど、それに反比例して俺に対する言葉から優しさが消えている気がする。
言われっぱなしは悔しいけど、情けないことに口では勝ち目がないので話題を逸らしておこう。
「“真実は美徳だと買い被られやすい”とはよく言ったものだね」
「誰の言葉?」
「フィリップ・K・ディック」
俺は今読んでいる本の表紙をポンポンと軽く叩いて答える。
あの言葉は確か『流れよ我が涙、と警官は言った』の地の文にあった気がする。今読んでるのは同じ作者の短編集、『変数人間』だけど。
「好きだね、その人」
「まぁね」
よし、なんとか逸らせた。
俺は基本ライトノベルか外国文学を読んでいる。対して花丸は日本文学を好む。
昔、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を貸してみたけど、ちょっと理解するのが難しかったらしい。
花丸にとって、外国文学の翻訳は読みにくいものがあるのかもしれないね。
ディックはわりと最近のアメリカ人であり、アメリカの映画でもよくあるアメリカンジョークを作品の中でも取り入れているので、慣れればスラスラと内容が入ってくる。
「ディックの良いところはバッドエンドではないけど、だからといってハッピーエンドでもないところだよね」
「別に聞いてないずら」
「冷たっ!?」
ディックが言うに、人間が人間である由縁は他の生き物に感情移入ができるかどうからしい。
「人は所詮、どこまでいっても1人ぼっちずら。特に人間の心がない信一くんには、物理的にも精神的にも寄り添ってくれる人はいないと思う」
「いや、俺にも友達はいるよ?」
「嘘はダメだよ?信一くんが人間に好かれるわけないずら」
「花丸って俺のことどんな人間だと思ってるの?」
ここまで花丸が断言する根拠をお聞かせ願おうか。
「人間性の腐り落ちたシスコン」
「ひどい…………」
終いには泣くぞ?いや、ガチで。
「どうしたの?今日、随分と機嫌悪いじゃん?」
きっとそうだよね?機嫌が悪いから俺に八つ当たりしてるだけだと信じたい。
“信じること一番”
俺の名前の由来だ。
「……でないずら」
「うん?」
「マルがあげた栞、今日挟んでないずらっ!!」
……あぁ、なるほど。そういうことか。
俺は栞を花丸が押し花で作ってくれたものと、信夏がプレゼントしてくれたもので使い分けている。
花丸のは文学作品に。信夏のはライトノベルに。
そしてディックの作品は言うまでもなく文学に分類される。それなのに、花丸は自分が作ってあけだものを俺が使ってなかったのがお気に召さなかったようだ。
「あぁ……ごめん。花丸がくれた栞、前読んだのに挟みっぱなしだ」
別に俺が何を使おうと勝手だと思うけど、このまま不機嫌なのは正直面倒くさい。
こういう考えが浮かんじゃうから人の心がないとか言われちゃうのかな?
「別にいいずら。信一くんが何使おうと勝手だもんね!」
よく分かってんじゃん。
まぁ、理解してても怒るっていうのはまだまだ子供な証拠だね。
確かに、プレゼントしたものを使ってくれてないのは悲しいかもしれない。俺が信夏にプレゼントしたものを使ってくれてなかったら悲しくて柱に頭をガンガンやっちゃうのと同じかも。
「悪かったって。でも、そう言う花丸は俺があげた栞使ってくれてるんだね」
「もう捨てちゃうずら……」
「構わないよ?花丸にあげた時点でどう扱ってくれてもね」
そう答えると、花丸は既に膨らんでたほっぺたをさらに膨らませた。
「信一くんのそういうところ……嫌い」
「俺はそう言いつつも大事に使ってくれる花丸が好きだけどね」
「ずら……っ!?」
つんつん、と膨らんだ見かけ通り柔らかいほっぺたを突くと今度は赤くなっちゃった。
顔真っ赤。オンラインゲームで言うところのブチギレてる状態だ。やべぇ……。
もう一度お盆で叩かれると思って身構えるが、花丸は顔真っ赤なまま俯いてしまった。
「花丸?」
どうしたんだろう?あれか、心配して近付いたところを思いっきりぶっ叩くつもりかな?
「……そずら」
「うん?」
「さっきの嘘ずら……本当はマルも…き……」
「ごめん、声が小さい」
俺が顔を覗き込むと、キッ‼︎と赤い顔で睨まれた。怖い。
「本当はマルも好きって言ったのっ!!」
おぉ……まさかの告白。花丸は俺のことが好きだった……と。
そっか、花丸も俺と同じ気持ちだったんだ。
「花丸。俺もだよ」
「それって……」
「うん。俺も花丸と同じ。俺も……
俺が大好きだよ」
「えっ……?」
あんなに可愛い妹の兄として生きていけるんだもん。
こんなラッキーな自分を好きでいられないわけない。
俺はそれを笑顔で伝える。良かった。花丸も同じ気持ちだったんだね。
「…………………………………………信一くん」
「なに?」
めちゃくちゃ長い間の後、さっき睨んでいたとは思えないほど魅力的な笑顔を見せてくれる。
うん、やっぱり花丸は笑ってたほうが可愛いね。
「もう少し人の心を学ぶずらァァァーーーっ!!」
「痛いっ!?」
素早くお盆を拾い上げ、思いっきり振り上げて、可愛い笑顔でまったく可愛くない
解せぬ……
どうでしたか?最初に花丸ちゃんを出したのは作者の推しキャラだからです。
住職に関しては完全にオリキャラとさせていただきました。
次回のあとがきからオリキャラの紹介を載せていきます。
最初はもちろん主人公の朝比奈信一。趣味や好物、特技などできるだけ詳しく書いていくことを考えています。