茶番とも言えない茶番。私はいったい何を書いているのだろう?
「よく似合ってるわよ夢叶っ♪」
「くっ..... 何で俺がこんな辱めを受けなきゃならん.....!」
上目遣いで睨むが、本人はどこ吹く風。こちらの気持ちも考えてほしい。
「ほら、また”俺”に戻ってるわよ。はい、口調も言い直してもう一度っ♪」
「な、何で私がこんな目に......」
そこには紫の着せ替え人形化した夢叶の姿があった。かれこれ1時間はこの調子だ。高々1時間と思うだろうが、着せ替えされる側は永遠と思えるような時間に感じるのだ。紫からすれば妹出来て、好きなお洋服に着せ替えていく感覚なのだろう。こちとらもう散々なのだが.... 早く解放してほしい。
「きゃー、かわいい! 次はこれにしようかしら!」
くっ、殺せっ....!
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前回の話が終わって直ぐの事だった。
「ところで夢叶も女の子なんだから自分のことを俺なんて言うのはやめなさいよ。それと口調も」
むぅ、それもそうだが。何だかねー 前世は男だった訳ですし、人間ならまだしも妖怪ですしおすし。今まで指摘してきたヒトなんて居なかったからね。前世も含めてこれが当たり前だったから別にこれと言って違和感も無い。
「いいよ、別に。気にしてないし。それこそ気にする奴なんているわけないじゃん」
確かにこの世界に来てから女の子になった訳だがだからと言って自分の所持を変えるわけにはいk
「私が気にします。直しなさい」ニッコリ
紫から笑顔の圧力が掛かる。くっ、これが大妖怪の笑顔か...... 正直とても怖い。膝が屈しそうになる。確かにこれからの生活を考えると直すべきだろう。紫さんの計画に支障が出るかもしれない、不審がられないように見た目相応の口調にするべきだろう。が! 俺は屈しない。
「気にするとしたら紫さんだけじゃん。別に俺は気にしません」キッパリ
どうだ! 言い切ってやったぞ。これで奴もあきらm...
「直しなさい」ニッコリ
圧力は弱まるどころか、寧ろさっきよりも圧力が増していた。
いや、俺にも所持という物がある。ここは譲れない。
「いや、でも俺にm....」
「直しなさい」ニッコリ
「でも、ほr.....」
「直しなさい」ニッコリ
「ちょ、はなs....」
「直しなさい」ニッコリ
「疾く直しなさい」ニッコリ
「アッハイ」
俺はこの時悟った。このヒトには一生勝てない―――と。静かに敗北の涙を流した瞬間だった。
「何泣いているのよ..... それと何なのその服は。着るならもっとかわいい物があるでしょ」
と言いながら何か隙間っぽい所に手を突っ込んで何かを探している様だった。
「あった、あった。よいしょっと」
そう言って隙間っぽいところから引き抜かれた手には数枚の洋服や着物があった。
ちょっと待て、何故そんな物を持っている。
自分の着替えとかなら分かる。だけどあれは大きさから言って明らかに紫の物ではないであろう。まさか....
「変態?」
「失礼ね! 違うわよ!」
「じゃあ、何でそんな物を持っているんだ! あれか?! 自分で着るやつですか?!」
「こんなのどう見ても入らないでしょ! これはいつか誰かに着てもらおうと思って作って持ってたのよ!」
「やっぱり変態じゃないか!」
「なんでよ?! ただ私はかわいい子にこれを着せて愛でるのが好きなだけよ!」
やっぱり変態じゃないか!
...........
ふぅー、取りあえず落ち着こう。興奮しすぎた。冷静に行こう。
「この際、紫さんが変態なのは置いといて」
「ちょっと待ちなさい」
ゆっかりん☆は俺じゃどうにもならね。まあ、あれだ。ヒトの趣味はそれぞれだ。
普通に考えて服が貰えるのは嬉しい。今着ている学生服もいつまでもつか分からないし、なんだかんだでこれ前世の物だし。出来ることなら大事に残しておきたい。なんでこれだけ一緒なんだろう? 初期装備か何かですかね?
「これかしら? いやでもこっちの方が.....こっちも捨てがたいわね」
服を片手に時折こちらを見ながら何やらブツブツつぶやいている紫。すると何かの考えに至ったのかスッと立ち上がりこちらに向かってくる。心なしか鼻息が荒いような気がする。いや、気のせいじゃ無い。そしてあの目は獲物を狙う目だ。
「夢~叶ぁ~私さっき言ったわよね。かわいい子にこれを着せて愛でるのが好きって」
「言ってたねそんなこと。まさか....!!」
「ふっふっふ、まさか無料で貰えると思っていたのかしら」
むむ、確かに対価は必要だろう。仕方が無い、ここは紫さんの玩具になるとしよう。
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それから紫の着せ替え人形と化した俺は
「次はこれね♪」
「嫌だぁぁぁ! もう解放してぇぇぇ!!」
心が折れていた。
「ぬぬっ、これはなかなかね....!」
今俺は紺色をベースに蝶や花をあしらった着物を着ている。というか着せられた。黒髪と赤目と相まって落ち着いた雰囲気に仕上がって中々のできらしい(紫談)。
この状況を打開するにはどうすればいいか。その事をひたすら考える。もはや紫は狂化が掛かっているから聞く耳を持たないだろう。
いや、あるにはある。と言うかやりたくないのが本音だ。第一効くかも分からない上、俺の精神衛生上あまりよろしくない。しかし、このままではヤヴァイのでやるしかない。
服をはだけさせ、瞳を潤ませて、上目遣いで、あざとさ抜群でこう言うんだ
「紫お姉ちゃん、怖い....」
「ごばぁ!」
あ、吐血して倒れた。
良かった効き目があって。取りあえず勝ったぜ。