この素晴らしい世界に転生したら女の子なホムンクルスになった   作:Dekoi

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※この作品はリハビリ目的で書いた駄文です。
説明不足であったり、色々ご都合主義だったりしますのでご注意ください。
また、盛大に何も始まっていません。


この素晴らしい世界に転生したら女の子なホムンクルスになった

 俺は死んだ。いつものように親友とゲームのことで話し合って、帰ったら一緒にやる約束をして、車に轢かれて死んだ。17年という年月は、オレンジの空を見上げながら消えていった。

 

 

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 ふと目が覚めると、ここは真っ白であり、暗さこそあるが酷く神々しさを感じさせる矛盾しつつも、表現する以上成り立ってしまっている空間にいた。そこにいたのは水色の長い髪を持った女性であった。その女性曰く、俺は死んだ。だから、次の行く場所を決めなければならないのだが、記憶を消して転生するのも、何もない天国で過ごすものを憂い、別の選択肢を差し出した。それこそが、異世界に転移するというものであった。

 

 

 異世界。今昨今の小説界で溢れかえっているものの、それでも根強い人気を誇る話だ。かくいう俺も、その響きに憧れたものだった。故に、その選択肢をすぐに掴んだ。

 

 

 さて、これもよくある話ではあるのだが異世界に向かう場合、魔王を討伐して欲しいというのが女神の見解である。かと言って、何の能力も持っていない人間を送り込んだところで魔物の食糧が良いところだろう。そのためか、異世界に向かう者には、何らかの神器や異能を授けるといったものであった。

 

 そういったことを説明した女神は俺に分厚い冊子を渡した。その中にはいくつもの神器や異能の名前に説明が載せられていた。が、いまいちピンとこない。そもそも俺は、戦闘で活躍するよりも、裏方に回って行う作業の方が、浪漫があって好きだった。だからこそ、女神に求めた異能は『錬金術』だった。説明を聞く限り、異世界はファンタジー溢れる世界と聞いた。別に文句はないだろう。

 

「もっといいものを選べばいいのに……ま、私は楽でいいんだけどね!」なんてふざけた事を抜かす女神を無視し、魔法陣の上に立つ。ここから、異世界に送還されるのだろう。いったいどんな世界なのか楽しみだ。それにこの錬金術、いったいどういったものになるかが楽しみで仕方ない。

 

「さあ、行きなさい勇者よ!願わくば、数多の冒険者の中から、あなたが魔王を打ち倒すことを祈っています。……さあ、旅立ちなさい!」

 

 ああ、本当に、楽しみだ!

 

 

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 そこは酷く歪んだ世界だった。正確に言うなら、歪んで見える世界だった。より正確に言うならば、ガラスに覆われた世界であった。

 

「お、おお、おおおおおおおおおっ!!ようやく、ようやくだ!ようやく、生まれてくれたんだ!」

 

 ガラスの先に40代と思われる髭を蓄えた巨人がいた。……巨人?ガラスだからてっきり見世物かと思ったが、男の反応から違うだろう。というか、生まれただと?転移した瞬間が生まれたと勘違いしたのだろうか?

 

 ふと、気になったところがある。ここはどこなんだ?ガラスによって見えるものは歪んで見えるものの、何かの机の上らしく羽ペンや羊皮紙、何かの原石に天秤秤……そんなものがあるものの、巨人用の為か、全て俺の目線と同じかそれ以上に巨大になっている……?

 

 ……自分の中で、何か嫌な仮説が出現してしまったような気がする。この巨人と思った男は、ただの人間で、むしろ、俺が縮んでしまったのではないだろうか?いや、あんななりでもあれは立派な女神然としていたはずだ。少なくとも、俺が人間をやめるようなミスなんぞしない筈―――――

 

 

 

 

 

 

「よく生まれてきてくれた、伝説のガラスの少女(ホムンクルス)よ!」

 

 聞き間違えじゃなかったようだった。ちくしょう。あの女神、今度会ったら思いっきりぶん殴ってやる。

 

 

 ~~~~ 

 

 

 あれから幾数十年、男はすっかり老け込んで、もはや生きているのが不思議なくらいになっているほどであった。それでも、この男が生きていたのは、全て俺のせいなのだろう。

 

 ガラス瓶の中の環境調節、俺専用の餌の投与、すぐに死んでしまわないようにと身体を強化する術の付与、すべて手探りで行ってくれていたのだ。

 

 ガラスの少女(ホムンクルス)は伝説と言っていた通り、文献でも名前と生態に軽く触れられていた程度の伝説の生物なのだ。その生態もガラス瓶の中で世話を焼かれないと生きられないほど貧弱な生物なのだ。その希少さゆえ、かつては探し求め造られようとしたが、それもほとんどが駄目。生まれても1年と持った記録がなかったのだ。

 

 そんな生物を追い求めるだなんてこの男はよほど阿呆なのだろう。聞いてみたら「浪漫」という答えしか返ってこなくて呆れたものだった。

 だが、その浪漫のおかげで俺は生きられたのだ。毎日、毎日、気が遠くなるほど俺の世話に焼いてくれたのだ。多少感ずることくらいあってもおかしくないだろう?

 

 だから、俺は女神から貰った『錬金術』のこと、転移者であること、元男であることすべてを明かし、それを洗いざらいすべて男に教え込んだ。その結果、見事ガラスの小人(ホムンクルス)の育成に、無事に大成功してくれた。『錬金術』にはそういった知識も含まれていたのだろうか。それに気づいた男が、流用する形となってくれた。転移者と、元男であることも驚かれはしたが、それでも受け入れてくれた。もしかしたら、他のガラスの少女(ホムンクルス)も、俺と同じように転移者だったのかもしてないという貴重なデータになったと笑っていたからいいだろうが、むしろ元男の方が滾るとはどういった意味なのだろうか。軽く引いたが、今はそれを笑えなくなってきている。

 

 そんなことがあったおかげで俺は小人から大人になれたのだ。ガラス瓶も成長に合わせて変わっていった。ガラス瓶が変わるたびにあの男はとても喜んでいた。それを見て呆れる俺も、少し嬉しかった。

 

 

 

 だが、それも今日で終わりだ。もう男の寿命はほんの僅か、それも体のほとんどがアンデットになっていても、必死に人間として生きていてくれたのだ。

 

 それもすべて、俺のためにだ。

 

 

 

 だから、今日ですべての恩を返そうと思った。

 

 天井ほどもある、酷く薄く、透明になったガラス瓶に手を触れる。そして、

 

 

 

 

 思いっきりガラスを殴り破った。蹴り破った。

 

 

 俺の行動に男は口を開けて呆然としていた。そんな表情、今まで見たことがなくて笑いがこみあげてくる。服はすでに男から渡されガラス瓶ではずっと着ていた。靴だって同じだ。だからガラス片を踏んで傷つく心配はない。

 

 ゆっくり、ゆっくり、男の傍に近づき、正面に立つ。もう男の腰は曲がりきって、目線を合わせようとすると俺が屈まなければいけないくらいだ。それほどまでに、この男は、俺を――――

 

 男が儚く散ってしまわぬように、優しく抱き締める。

 

「……全く、お前(マスター)は心配のしすぎなんだよ。いつまで俺に構っているんだ?そんな様じゃ、女神さまに怒られちまうぞ?」

 

 もう、十分なんだ。

 

「俺は、こうしてガラスの中だけで生きられないほど貧弱じゃないんだ。嫁さんだって、見つけずにどうするつもりだったんだ?」

 

 もう、無理しようとしなくていいんだ。

 

お前(マスター)はな、俺に十分すぎるほどのものをくれたんだぜ?それなのに、俺のせいで不幸になるなんて駄目だ。自己満足はあったとしても、それ以上不死の道を歩んではいけないことくらい俺にでもわかる」

 

 もう、己の将来に絶望しなくていいんだ。もう、俺の未来を悲観しなくてもいいんだ。

 

「だからな、もういい加減眠ってくれよ。今だって禁術を使っているんだろう?そう思ってくれているのは嬉しいよ。でもな、でもな、でもな……」

 

 ああくそ、肝心な時なのに、言葉が出てこない。今見えている視界だって、なぜか水に覆われて見づらいし、声も震えてうまく出せない。

 

「……でもな、俺は、悲しいんだよ。俺だけのために、全てを捧げた、お前(マスター)を見ているとな。だから、もう苦しまないでくれ。俺はもう、一人でも、歩けるんだ」

 

 もう少しなんだ、あと少し、聞いていてくれ。

 

「だから、お休みだマスター。本当に、俺は生まれてきてよかったよ。マスターがいてくれたから、俺はこうして生きていられたんだよ」

 

 …………マスター、

 

「ありがとうなマスター。ありが、とう、マスター」

 

 ……いやだ、まだ『錬金術』の事を教えきっていない。

 

 もっと、馬鹿げた話で笑い合いたい。

 

 もっともっと、触れあいたい。

 

 もっともっと、もっとずっと一緒にいたい。

 

 自分でも整理のついていない思考と感情で、声が紡げない。話すのは今しかないのに、今しかないんだ。

 

「だ、から、もう、眠ってくれ、よ……」

 

 ああ、自分でも、もっと素直になれたらいいのに、こんなことしか言えないのに、苛立つ。

 

「……マ、スター?聞いているのか、マスター?なあ、聞いているなら返事してくれよ、マスター……」

 

 どんな時でも笑顔でいてくれたマスター。

 

 何らかの異常で体調が悪くなった時に、心配して夜も寝ずに傍にいてくれたマスター。

 

 成長する度に小躍りしていたマスター。

 

 ずっと一緒にいてくれると言ってくれたマスター。

 

 他の研究者からの襲撃でも俺を守ってくれたマスター。

 

 俺の銀髪を褒めてくれたマスター。

 

 馬鹿で、お調子者で、俺だけを見てくれて、優しくて、笑顔でいてくれたマスター。

 

「……大好きなマスター。愛しているマスター。ずっと、ずっと愛しているマスター」

 

 

 

 そう言ってこらえきれなかった涙が落ちていった時に、マスターの腕が俺の腰に回そうとしていたのは気のせいじゃないと信じたい。

 

 

 ~~~~ 

 

 

「さて、荷物はこれくらいでいいか……本当、この体になってからいろいろと便利なことが出来るようになっていて驚きだ」

 

 荷物を、『錬金術』で作り上げたカバンの中にどんどん突っ込んでいく。このカバンは容量こそ決まっているが、それまでは質量などを無視して入れられるようにしたものになっている。本来、『錬金術』はそういったものを作るものではない筈なんだが、ファンタジー補正でも入っているのか、道具にエンチャントみたいなこともできるようになっていた。

 

 マスターの遺体は丁寧に燃やし、大部分はガラス瓶の中に入れておいた。俺がいた場所に入れるんだ、マスターの変態性なら喜ぶかもしれない。残ったものは、『錬金術』に使用する材料になった。あんななりでも、自分が研究対象になるならいいと考えるかもしれない。それで怒られたら謝ればいいだけかもしれない。少なくとも、俺がマスターのを自由に使ったところで怒られるどころか、喜んでいるだろうし、うん。

 

 ……さて、この家からもお別れだ。俺一人でも歩けることをマスターに見せつけないと、いつまでたっても不安で枕元に立っていそうだしな。だから、しばらくは帰るつもりはない。泥棒とか他業者に入られないように、マスターの魔法と俺の『錬金術』で大量の罠を仕掛けておいた。これでしばらく家に入られる心配はしなくてもいいだろう。

 

「…………よし、いざいかん。異世界へ!」

 

 そうしてやっと、俺は一度も開けたことのない扉を押し開けて、異世界に旅立った。

 

「……え、何でキャベツが空を飛んでいるんだ?」

 

 ……マスター、やっぱり一人で歩くのは難しそうだから、背後にでもいいからついてきてくれないだろうか?

 

 

 




続く可能性は…………あんまりないです
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