この素晴らしい世界に転生したら女の子なホムンクルスになった 作:Dekoi
こっちの更新をします。
前話は改稿していますので、見ていない方は見てくださると幸いです。
後、今回は説明しているところが長ったらしくありますので、飛ばしていただいても構いません。
まん丸お月様が沈んで黄色の太陽が昇り出して少し経ったころ、俺は冒険者ギルドの中でめぐみんから聞いたことを紙にまとめていた。
カズマとアクアはまだ昨日の酒が残っているからか、爆睡していたから置いてきた。が、ギルドでもこの時間はもう依頼をこなしに行ったのか、昨日の宴会のせいか分からないが、あまり人を見ていない。
まあ、それがどうしたって話ではあるが。別に俺が書いていることも他人に見られたところで困るようなことを書くわけでも無いしな。
『さて、
基本的には
さらに、作成したものに良い効果を付与することもできる。これはある一定の魔力を消費することでその道具に好きな効果を付与できる。それも、一つだけとかなんてことは無く、魔力と付与する道具の
他にも、その素材や道具の良し悪しを見れるスキルや自動で物を作れるスキルに、作成時間の短縮を行えるものもあったりする。
そして、作成した者の品質も作成者の器用さなどに関わるが、基本的には高品質なものが出来上がるという生産職にとってはすべての職業の良いところをつぎ込んだような職業である。
これだけならとても良い職業に聞こえるのだが、いくつかの問題点がある。という過去の問題点のせいでこの職業のことが知られていないのだと推測される。
最初に上げる点として、この職業になろうとする人がいないことだ。この職業は魔力、知力、器用度の三つが高くないとなれないという厳しい条件の上、魔力と知力があればウィザードなどの魔法職を、知力と器用度が高ければダンジョン攻略で役に立つ盗賊職を選択するからだ。
地味な生産職よりも派手に活躍できる方が選ばれるのは仕方ないともいえる。
次に、この職業のレベルアップの遅さだ。この職業は攻撃するスキルは、はっきり言って無に等しい。ステータスも大概が筋力の少ないモヤシばかりのため、直接の戦闘は不得意だと言える。その場合、モンスターと敵対する場合は仲間か魔道具頼りにならざるを得ない。魔道具だって作成して安く抑えられるとはいえ、それでも一度の冒険で大量に使えるほど安くはないのだ。
そんなわけで、
ただ、プリーストやクリエイターなどの支援職も似たようなことが起きているからこれも仕方ないと言える。
このことに絡むことではあるが、金もひたすら掛かる。物を作る際の道具や素材、設備も
最後にこれが一番の問題点だと言えるものだが、
そんなことを知られてしまった場合、それはもう大量の作成依頼がやってくる。最初は名前や信用がないから楽に稼げても、どんどん作るたびに増えていく仕事、煩わしい商人や貴族の目線も追加される。そんなことになったら最後、ブラック企業も真っ白な仕事ぶりになることは間違いないだろう。もしくは人知れず飼い殺しになるしかない筈だ。
で、そんなことになりかねないからある程度稼いだら他の職業に変えることの多い職業なのだ。正直言って欠陥だらけではあるが、生産能力としてはトップクラスの職業と言える……?それ以上に欠陥だらけしかなさすぎだ』
こんなのを聞いた後には間違いなく転職しようか検討したほどだ。かといって、俺のチートである『錬金術』は基本的に知識や
今更変更しようたって他の職業でやっていける自信がない。他の生産職になるためには筋力や生命力、敏捷性が致命的なまでの不足分のためになることも難しく、なっても続かなさそうな気がしてきてたまらない。
……泣く泣く転職は諦めよう。
その分、厄介なことに巻き込まれないようにはしておきたい。ただでさえ
……というか、何でめぐみんはこんなことまで知っていたんだ。あまり憶えていないとは何だったのか。
――――――――――――――
さて、現在俺が問題点を挙げたところで困ったことを思い出した。
……仲間、どうするべきだ…………?
かといって、そうそうまともなパーティーに組み込んでもらえるとは思えない。生産職であり、冒険中は支援職として活用できるのだろう。が、その生命力と耐久力のもろさで一撃でも喰らったら瀕死になりそうだし、箒があるとはいえ素の敏捷性も低すぎる。
はっきり言ってお荷物にしかならない。それを理由に断られるのはまだ良い方で、最悪なのは魔道具全てを分捕られて奴隷か冒険中の事故で居なくなっていることも考えられる。見てくれだっていいとは思うから、男だらけのとこに居ればセクハラなんてこともあるだろうし。
後、バレたら即刻、裏世界の目玉商品になること間違いなしだ。
そんな状況で知らない奴らと組めるかというと、相手もお断りだろうし俺だっていやだ。
かといってそんな駄々をこねてもスペランカーレベルの貧弱さで冒険はできないだろうし、ソロでやろうとしたらギルドの人とかに怪しまれてしまう。
……まあ、思いついてはいるんだけどな。やりたくないから思考から排除していただけで。
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「というわけでカズマ、俺もお前らのパーティーに入れてくんない?」
「お前、寝起きで頭が働いていない時に何言っているんだよ……」
善は急げでやっと起きてきたカズマに話しかける。
昨日の宴会での会話を眺めていての推測だが、このパーティーの主軸はカズマのはずだ、そいつを納得させればここに潜り込めるだろう。
「まあ、話半分にでも聞いてくれ。俺のステータスは知っているな?あそこまで貧弱過ぎるとな、他のパーティーに参加しようにも入れてくれるかどうか分からないんだよ」
「……それで、なんで俺らのパーティーに入ろうと?」
「その貧弱さを補うためには俺をしっかりと守ってくれる奴がいるのが必須条件なんだが、昨日のキャベツの収穫の時にあのクルセイダー……ダクネスだったか、誰かを守るという事に関しては騎士の鏡だ。そういった奴がいるのがまず一つ目」
性格や性癖が何であれ、あそこまで自身を盾として誰かを守り抜くというのは凄まじいものだ。それも、鎧が剥がれ体のそこら中に傷が出来ても守り抜くほどなのだ、是非とも守ってほしい。
「次に、俺は基本的に魔道具による補助や妨害をメインに行うんだが、カズマ達のパーティーにはそういったことをするやつがいなさそうだから入りやすいんじゃないかってところもある」
アークプリーストも補助はできるんだろうけど、どちらかというと回復や破邪の方に重きを置いているだろうしな。そっちの方が活躍もしやすいし、冒険者をやめた後に稼ぐ際にもそういったのを習得しておけば後々活かせられるだろうからな。
カズマとは器用貧乏的な役割が被りそうではあるが、こっちはリソースが限られているが効果が大きい。カズマは効果こそ小さいが何度でも使用可能と、住み分けはできるだろう。
「そんで最後に、カズマとのことが信用できることだ。カズマはキャベツの分け前を決める時に俺の意見を聞いてから納得してくれたしな。普通分け前を決める時とかは一方的に決めたりするのに、ちゃんと意見を聞いたうえで決めてくれたからな。
俺もこのカバンを預ける程度には信用している。今更他の奴に入れてもらえるように頼み込むよりかは、お前たちの所に頼んで入れさせてもらいたいなって思ったんだ」
「…………うーん、カランコエの言い分は納得できるが、それでもなぁ……」
ふむ、これだけ言っても悩んでいる様子か。まぁ、他のメンツは濃い連中だから警戒されても仕方ないか。それならば、だ
「……あ、そうそう、俺は自分のことを常識知らずだとは自覚しているが性格や思考はまだまともな方だとは思う。だから仲間が暴走した際には、ストッパー側にはなれるとは思う。少なくとも俺が率先して迷惑をかけるようなことは極力しないことだけは誓えるぞ」
「……そうか、それなら俺は賛成するぞ!他の仲間も賛成してくれるだろうし、ちょっくら話してくるな!」
「ああ、これからよろしく頼むぞ」
その後、他の人も賛成してくれて俺の正式加入が決定した。途中、アクアがごねたりもしたが、マスターのくらから持ち出してきた年代物の酒を送って誤魔化した。
―――――――――――――
今回は安宿とはいえまともなところで眠れた。それでもあのガラス瓶の居心地の方がとてもよかったことを考えると、マスターの手の尽くしようには頭が下がる。
さて翌日、キャベツの清算も終わって報酬が支払われる日だ。
俺は箒の操作とキャベツからの逃走でカズマの方をあまり見ていなかったが、少なくとも相当な量は収穫していた筈だろう。
それで冒険者ギルドに来てみたのだ、が……
「なんですってええええええ!?ちょっとあんたどういう事よ!」
そんな叫び声が聞こえてきている時点で帰りたくなってきた。だからと言って、後でカズマから報酬金を分けてもらうのも手間だしなぁ……仕方ない、貰えるもんだけもらっていったん撤退しよう。ほとぼりが冷めてから、またしっかりと話をしよう。
「カズマおはよう……あんまり聞きたくないが、アレ、いったい何しているんだ?」
「ああ、おはよう。どうやらアクアの収穫したのはキャベツじゃなくてレタスみたいだったらしくてな。レタスの換金率は低いから貰える報酬も少なくて、ああやってごねているって訳だ」
なるほど。しかしレタスはキャベツよりも味や何か価値が落ちるようなものでもあったのだろうか。別に食う分にはどっちも栄養が取れると思うし。
「ま、いいや。とりあえず、今回の報酬を分けて―――」
「カーズーマーさん!今回のクエストの報酬、おいくらぐらいだったのかしら?」
……アクアよ、人が会話をしている時にあまり割って入ってこない方がいいぞ?
ほら、カズマの表情を見ろよ。苦虫を噛み潰したような顔をしているじゃねえか。
「……百万ちょい」
「「「ひゃ!?」」」
「へえ、なかなか稼げたみたいじゃないか。というか、箒に乗っていた時はそこまで収穫しているような気はしていなかったはずだが?」
「それがな、とても新鮮な状態を保ったままで傷もまったくなかったからって、報酬金を上乗せしてもらったんだよ。それと、なんか珍しい種のキャベツも混じっていたらしくて、それが相当高かったらしいんだよ」
おや、ラッキーだ。俺とカズマの幸運が高かったからだろうか。まあ、カズマのスキルを見るに俺がいなくてもそれくらいは貰えたかもしれないがな。とはいえそれなりの額だ、ありがたく頂こう。
「……か、カズマさまー?前から思っていたんだけど、あなたってその、そこはかとなくいい感じよね!」
「特に思い浮かぶことがないなら無理すんな!というか、この半分はカランコエの分だし残りの使い道は決めているんだから、分けんぞ」
そこはかとなくって何だ、そこはかとなくって。褒めるにしたって抽象すぎだろ。
せめてこう、しっかりと支えてくれているとか、皆を引っ張っていってくれているとか言えばいいのに。
あと、何で泣きそうになっているんだ?
「か、カズマさああああああん!私、クエスト報酬が相当な額になるって踏んで、この数日で、持ってたお金、全部使っちゃったんですけど!ていうか、大金は行ってくるって見込んで、ここの酒場に十万近いツケまであるんですけど!!」
阿呆か。そんなもん自己責任としか言いようがないだろうが。というか、この様子じゃ普段から使い込んでいるな。
「知るか、そもそも今回の報酬は『それぞれが手に入れた報酬をそのままに』って言いだしたのお前だろうが!」
「だって、私だけ大儲けができるって思ったのよ!」
最低もいいところだろ、これ。
こんな性格じゃ、信用できないというかされないだろ。ダンジョンに置き去りにされたり不幸な事故が起きても仕方のないレベルだろ。
「お願いよ、お金貸して!ツケ払う分だけでもいいから!!」
「うるさい駄女神!というか、いい加減この金で馬小屋生活から脱出するんだよ!装備だって、もっとましなのをそろえておきたいんだよ!」
はた目から見ればとても綺麗な女性が泣いて頼み込んでいるのに、実情を知っていると泣き落としでその日のパチンコ代をせびるヒモのように見えてきて驚きだ。
「そりゃあカズマも男の子だし、馬小屋でたまに夜中ゴソゴソしてるのを知ってるから、早くプライベートな空間が欲しいのはわかるけど―――」
「よし分かった!分かったから黙ろうか!!」
……これってある種の脅迫じゃね?どう考えてもプライバシーの侵害はしているし……。
「あーうん、なあ、カズマよ。俺の方から半分くらいだったら出してやろうか?流石に、これはなあ……」
「……すまん、恩に着る」
「えへへ……パーティーって最高よね!皆で支え合って助け合う!とても素敵なことだと思わない?」
アクアよ、これ以上口を開くとカズマがまた切れるぞ。そうなったらもう知らんからな。……おっとそうだ、一つ言っておかないと。
「そうそう、皆に今のうちに言っておくが、装備に関してだが多少の素材と金をくれれば作ってもやってもいいぞ。物によっては作れないかもしれないが、そこらの店で買うよりかは安く抑えるから任せてくれ。そこらへんは応相談としか言いようがないがな……」
まあ、レベルや道具の質が上がれば作れるかもしれないが、と付け加えておく。
今持っている道具だとあまり良い物は作れない。本格的に作ろうとするなら、一旦家に帰って道具を作り直すことは必要だろう。
まあ、エンチャントくらいならすぐにできはするんだがな。魔力さえあればできはするし。
「ちょ、ちょっと、何言っているのですか!そんな安請負していたら面倒なことになるって、私、ちゃんと言ってましたよね!?」
「ん、これはあくまで仲間限定にしておくから大丈夫だよ。まあ、今はそこまで良い道具を持っていないからそんな良い物を作れるわけでも無いしな」
「……それだったら、いいのですが。ちゃんと気を付けておくのですよ?」
まったく、めぐみんは心配性だ。流石に装備一式作っただけでバレるようなことはない……と信じたい。流石にないとは思うが。
―――――――――――
そんなごたごたも終えて、これから新しい冒険の始まりだ。
カズマの装備も相談に乗りつつ良い鎧とかを選ばせたし、めぐみんの装備にもエンチャントを掛けておいた。ダクネスは……まあ、いいか。『そんなもの、この私にはいらない!』って断言するくらいだし、それだけ自身の頑強さを信じているんだろう。
……流石に性癖的に邪魔とかはないだろうな?命にかかわってくることだから、そんなことで拒絶はしない筈だよな?
とはいえ、新しい冒険だ、しっかりとマスターに俺が一人でも生きていけることを証明していけるよう頑張らねば……!
「カズマ、たくさんの雑魚モンスターがいる奴にしましょう!新調し、強化してもらった杖の威力を試すのです!」
「いいえ、ここはお金になるクエストをやりましょう!ツケを払ったからご飯代も無いのよ!」
「いや、ここは強敵を狙うべきだ!一撃が重くて気持ちいい、すごく強いモンスターを……!」
「あー……カズマ。俺は何でもいいから、依頼は任せるわ」
「……なぜだろう、これが普通なのに涙が出てくる……!」
とはいえ、この人数だとそこまでの強敵は相手にできないだろう。大量の雑魚も無理だろうし、大金がもらえるのもそんな相手ばかりだから難しい筈だ。
「ところでカズマ、俺の見間違えならいいんだが、依頼を貼っているところの紙、少なくないか?」
「……ん?そうだな、いつものこの時間なら、まだ大量に依頼はあるはずなんだが……。それに、なんで高難易度のクエストばっかりしか残っていないんだ?」
絵に描いているのは巨大なクマや死神と思わしき
って、ギルドのお姉さん、そんな申し訳なさそうな顔をしてどうしたんだ?
「申し訳ありません。最近、魔王の幹部らしき者が、街の近くの古城に住み着きまして……。その魔王の幹部の影響か、この近辺の弱いモンスターは隠れてしまい、仕事が激減しておりまして……」
「な、なんでよおおおおおおおおっ!?」
文無しのアクアが悲鳴を上げているが、流石にこの状況ではほんの少し同情してしまう。この後の生活はどうやって過ごすつもりなのだろうか。
……マスターよ、いましばらく待っていてくれや。そしたら、今度こそ立派に歩いて行けることを証明するからな。