子豚の親友とリスタート   作:紅いきつね

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思った以上に読んでくれた人がいたようで驚きました。


追記:プロローグの幼少期政宗の一人称を『俺』に修正、その他誤字などを修正しました。


再会

「では、私が呼んだら2人とも入ってきなさい」

 

「「分かりました」」

 

今日から転入ということで俺は先生から軽く説明を受けていた。

 

いや、俺はではなく俺達と言った方が正しいか。

 

同じタイミングで転入ということで例の俺以外にもう1人いた編入試験満点を取った奴と一緒に説明を受けていたのだ。

 

見た目はいわゆる爽やか系のイケメン。さて、性格はどんなものか。

 

「いや、まさかもう1人編入試験満点がいたなんてね。しかもそんな奴と同じタイミングで同じクラスだなんて転入早々面白い展開としか言いようがないよまったく」

 

取り敢えず共通の話題である編入試験満点について話しかけてみる。

 

「ほんとね、俺も驚いたよ。満点だって聞いてその場でドヤ顔してたらもう1人いるって言われたんだからさ。いやもうほんと恥ずかしかったよ」

 

苦笑いしながらそいつはそう答えた。

 

ふむ、話しかけんな的なタイプではないのか。ファーストコンタクトとしてはまずまずといったところだろうか。

 

「2人とも入ってきなさい」

 

そうしているうちに先生から呼ばれてしまった。ひとまず思考を切り替えて無難な自己紹介を考える。

 

教室に入ると小さな黄色い歓声があがった。俺はともかくもう1人が典型的なイケメンだから予想通りと言えば予想通りではあるが。

 

「平龍馬です。今日からお世話になるのでよろしくお願いします」

 

俺はその場で考えたまるで面白味のない自己紹介をした。まぁ下手にウケを狙って教室の気温を下げる必要もないだろう。

自己紹介を終えて一礼すると拍手と小さめの黄色い歓声。女子達からの歓声には自分としてはあまりいい思い出がないので複雑な気分ではあるが、拒絶されるよりはマシだろうということで自分を納得させ、隣のもう1人の自己紹介を聞くことにした。

 

隣を見てみると、何故か驚いた様子でこちらを見ていた。

 

なんだ?俺今おかしな事口走ってたか?いや、後で聞けばいいか。

 

「え、えーと、真壁政宗です。これからよろしくお願いします」

 

俺に何か思うところでもあったのか、若干戸惑った様子でもう1人、真壁も自己紹介を済ませた。こちらは拍手と俺より少し多めの黄色い歓声があがった。

 

政宗......?政宗......いや、あいつの苗字は早瀬だったし......それも後で聞けばいいか。

 

「よし、それでは平、真壁、2人ともそこの空いている席に座りなさい」

 

すると先生は空いている隣合った2つの席がある所を指さした。

 

いやなんで教室の真ん中寄りの中途半端な場所に2席作ったんだよ。普通は1番後ろとかじゃないのか。

 

それからHRが終わり、早速真壁に気になる事をいくつか質問してみようとすると、

 

「ねえねえ平くんどこから来たの?」

 

「好きな食べ物は?」

 

「好きなタイプは?」

 

「放課後ファミレス行こうぜ!」

 

「いや、俺とラーメン屋に!」

 

「血祭りにあげてやる」

 

見事なまでに質問攻めを食らってしまった。というか最後の奴おかしいだろ。もうダメだ、おしまいだぁ......

 

というか、

 

「いや待って、俺は先に真壁に話がっ、て......」

 

 

「真壁くんスポーツとかやってた?」

 

「部活入る気とかない?」

 

「委員会は決めた?」

 

「あ、いやその〜あはは......」

 

同じ状況じゃねえか。

 

 

*****

 

 

結局放課後になり、みんなそれぞれ部活に行くなりでやっと俺達は開放された。

 

さて、やっと待ち望んだ質問タイムだ。

 

「真壁、同じ転校生同士で話がしたいんだがいいか?」

 

「うん、俺も話したかったんだ。なかなか開放してくれなかったけど」

 

どうやら向こうも同意見らしい。思い当たるとするなら自己紹介の時のあの表情だろうか。

ひとまず俺達は学校から出て近くにあるファミレスに行く事にした。

 

 

さて、取り敢えず向こうの話から聞いてみるとしよう。

 

「じゃあ先にそっちからどうぞ?」

 

「分かった。じゃあ......」

 

俺がそう促すと真壁は一呼吸置き、

 

「早瀬政宗って名前に聞き覚えはないかな?」

 

予想外の言葉を口にした。

 

早瀬政宗......だと。もしかしてこいつ......

 

「なぁ真壁、悪いんだが俺の聞きたかった事も今言っていいか?」

 

「お、おう?いいけど......」

 

「ありがとう。じゃあ聞くけど、お前の小学校の友達に俺と同姓同名の平龍馬って奴はいなかったか?」

 

「え......ってことは......」

 

「お前もしかして......」

 

「政宗!?」

 

「龍馬くん!?」

 

俺達の声は見事に重なった。周りの客の視線をまとめて浴びる程度には。

 

「......取り敢えず外で話すか」

 

「......そうだね」

 

ご迷惑をおかけしました。

 

 

 

「にしてもまさか同じタイミングで同じ学校に転校して同じクラスだとはなぁ......」

 

「いやほんと驚いたよ......」

 

近くの公園に場所を移し、ベンチで話すことにした俺達。

 

「それにしてもあの政宗がこんなイケメンになっちまうとはなぁ......本当に頑張ったんだな、政宗」

 

「龍馬くん......うん、俺頑張ったよ。あの時から必死に頑張った。あの女を見返してやる為に、龍馬くんに迷惑かけずに済むようにね」

 

「別に迷惑ではなかったんだけどなぁ......それで?その女にはリベンジ出来たのか?」

 

「いや、まだなんだ。本当に最近戻ってきたばっかだからさ。それと見返す為にってのもあるんだけど、俺が昔デブだったって事は言わないで欲しいんだ」

 

政宗は特に最後の方を強調して言った。とても真剣な眼差しに少し辛そうな表情を浮かべながら。

 

「おう、分かった。やっぱりあれだもんな、それをネタに絡んでくるアホもいるかもしれないし」

 

「うん......もうあの時の俺とは違うとは思うんだけど......やっぱり少し怖いからさ」

 

「了解、任せろ。じゃ、その見た目に合わねえしくん付けもやめとけよ」

 

「龍馬くん......いや、龍馬、本当にありがとう!」

 

そうお礼を言ってきた政宗の顔にはもう悲しそうな表情はなかった。

 

「さて、と。時間も時間だし今日はここまでにしとくか?」

 

「そうだね、まぁ時間はこれからいくらでもあるしね」

 

「そうだな。そうだ、俺とお前がガキの頃遊んでたってのも隠すのか?」

 

「いや、それは隠さなくていいと思うし隠したくもないね。学校で気使って龍馬と他人行儀とか嫌だし」

 

「嬉しいこと言ってくれるなぁまったく......分かったよ。じゃ、また明日な!」

 

「また明日!」

 

そう言って俺達は手を振り、解散した。

 

 

*****

 

 

政宗と別れた後、俺は当初の予定通り思い出深いあの屋敷を記憶を頼りに訪れていた。

 

「お、あったあった。うーん、流石にもう暗くなってきてるしうろちょろするのは辞めとくか。不審者扱いされても困るし」

 

豪邸の門の前でぶつぶつ独り言を呟いてる時点で充分不審者なのだが。

 

「取り敢えず豪邸は相変わらずだったってことだけでも収穫っちゃ収穫だし帰るとしますか」

 

そうしてまた不審者のようにぶつぶつ呟き、俺は帰ることにした。

 

 

 

「......龍馬......?」

 

 

門の奥の木から顔を覗かせている人影に気づかないまま。

 

 

*****

 

 

俺と政宗が昔の仲を取り戻してから何日か経ったある日、唐突にそいつは訪れた。

 

 

 

「わっ!」

 

昼休みになり、居眠りしていた政宗が突然妙な声を上げて起きた。しかもヨダレを垂らしながら。

 

「真壁、もう昼だぞー」

 

「可愛い!」

 

案の定クラスの奴らにからかわれている。というか凄いなイケメンって。ヨダレ垂らして居眠りも許されるのか。

 

「真壁くんきゃわいい!」

 

「やめてくれ気持ち悪い......」

 

俺も乗っかって裏声でおちょくるとマジな声で怒られました。解せぬ。

 

「で、どんな夢見てたんだ?......まぁいい夢ではなさそうだが」

 

「あぁ、昔の夢を少しね」

 

おちょくるのをやめて小声で聞くと政宗も小声でそう答えてくれた。

 

なるほどね、そりゃ妙な声も出るわけだ。こいつにとっては消したい過去みたいなもんだからなぁ......

 

「なるほど、まぁ安心しろよ。頼りになるかは微妙だが俺もいる。もし危なそうな時な全力でフォローしてやるからさ」

 

「龍馬......ほんと、ありがとな」

 

「いいっていいって気にすんな。さて、昼飯でも買いに行くか?俺もまだ食ってなくてさ」

 

「そうだな、でも購買まだ残ってるかなぁ......」

 

「真壁くん、起きたんだ。はいこれ、平くんもどーぞ」

 

そう話しながら立ち上がると、同じクラスのいわゆる男の娘の朱里くんが気を利かせてパンを買ってきてくれたようだ。

女子力あるな......そのパンがコロッケパンとかそういう惣菜パン系というところが残念だが......

あ、政宗の顔が引き攣ってる。

 

「しゅ、朱里くん、ありがと、ね」

 

「おー、朱里くんどーもー」

 

「いえいえ、それと2人とも小十郎でいいよ」

 

俺達が礼を言うと、更ににこやかに名前で呼んでときた。何故こいつが男なのだろうか。

 

それから何気ない雑談をしながら3人で昼食をとっていると、

 

 

「タナベアキオはいる?」

 

 

唐突に教室のドアが開かれ、その声が響き渡った。

 

そこには髪を2つに縛った整った顔立ちの女子が立っていた。

 

「あなたでもいいわ、答えて。タナベアキオはいるのかいないのか。どうなの?」

 

クラスのみんなが呆然としているとその女子はこちらに近づいてきて、政宗のネクタイを引っ張りながら聞いてきた。これがいかつい男子生徒だったならちょっとした恐喝現場のような絵面だったのだろうが、美少女にイケメンが尋問されている珍妙な光景と化している。

 

「ぼ、僕です!」

 

その空気を破り、1人のメガネをかけた男子が手を挙げた。

 

うーん......あんな子いたっけか。まだクラス全員は把握しきれてないから名前を言われてもピンとこなかったな。

 

「今日からあなたを『むっちん王子(プリンス)』と呼ぶわ」

 

そんな事をぼんやり考えているといつの間にか目に入ってきたのはボロクソ言われたのか青ざめたタナベくんとラブレターらしきものを例の美少女が破り捨てる光景だった。

 

よく分からないけど残念、タナベくん。

 

「ほら、彼女がこの学校で有名な安達垣愛姫さんだよ」

 

誰だこいつ?といった表情を浮かべる俺と政宗に小声で小十郎くんが教えてくれた。

 

「あだ......がき?」

 

その名前を聞いた瞬間、政宗の様子がおかしくなった。その名前に聞き覚えでもあるのだろうか。

 

「吉乃、早く行くわよ!」

 

その安達垣さんとやらは教室の外に待機していたらしい女の子に声をかけ、去っていった。

 

うん?待て、吉乃?それにあの髪型......間違いない......!!

 

「なーんだ、この学校にいたのか......よかった」

 

「どうしたの平くん?って真壁くんどこいくの!?」

 

何を思ったか政宗はあの子達を追いかけ教室を飛び出していったようだ。小十郎くんがおろおろしているがあの屋敷に行っても会えずアテが無かった俺にはあの子の、吉乃の姿を見れた事による安心感でそんな事はまったく気にならなかった。




プロローグより短めですがこの辺で区切れそうだと思ったんですごめんなさい。

自分なりに書きやすくする為、原作の会話の順番を少しいじったりしています。作風ということでご勘弁を。

ちなみに主人公である龍馬くんは作者的にはCLANNADの岡崎朋也を少し意識して書いていたり。
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