子豚の親友とリスタート   作:紅いきつね

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お久しぶりです。きつねです。
本当にお待たせしました。そして、応援の言葉をくださった皆様、本当にありがとうございます。

久々に書いたので以前と同じように書けてるか不安ですが、良ければお楽しみください。



それと、時はかけません。


変わらないもの

「龍馬!」

 

吉乃をようやく見つけてひとまず安心し、そのままぼーっとしていると、教室を飛び出して行った政宗が戻ってくるなり俺に息を切らしながら話しかけてきた。

 

「政宗か、何があったか知らないがどうしたよ?」

 

「頼む!手伝ってくれ!」

 

「?」

 

よく分からないが俺の協力が必要らしい。

 

 

*****

 

 

「あぁ、あれがお前の復讐相手の安達垣とやらか......っていうかさっき教室に来た奴か。なんというか......いかにもお嬢様って感じだな」

 

取り巻きみたいなのと優雅にお昼......かと思いきやよく見ると安達垣と近くにいる取り巻きの1人は何も食べていない。うん?あの安達垣の近くにいるのって......

 

「......吉乃?」

 

「龍馬どうした?」

 

どうやら声に出ていたらしい。

 

「いや、よく見ると安達垣と取り巻きの1人だけ何も食ってないなと思ってな」

 

「流石龍馬、気づいたのか。どうやら小十郎の情報によると安達垣愛姫は弁当を独りで食べるのが好きらしいんだ」

 

ふむ、あれだけ優雅に取り巻きを侍らせているのに弁当は独りで食べるのが好き、か。余程静かに食べるのが好きなのか、それとも......

 

「何か独りで食べる理由がある、か」

 

「やっぱり龍馬もそう思うよな!飯時だけ独りを選ぶなんて矛盾してる、これは探る必要がある!そうと決まったら安達垣愛姫がぼっち飯の場所に選びそうなとこ見つけて先回りだ!」

 

「お、おう」

 

張り切ってるなぁ......個人的にはどこだか分からないのに探して先回りするより本人つけていけばいいと思うのだが......まぁいいか。俺は親友のやりたい事を手伝うだけだ。

 

 

*****

 

 

うん、やっぱこの結構広い校内で手がかりもなしに場所を探すなんてキツかった。

 

「なぁ龍馬……」

 

「どうした?政宗、やっぱ本人つければ良かったんじゃね?とか思ってるのか?」

 

「分かってたなら言ってくれよ!」

 

いやぁ、楽しそうだったし止めるのも......ねぇ?

 

「悪かった悪かった、で、これからどうする?」

 

「うーん、今日はここで引き上げるかな......いや待て龍馬!あれを見ろ!」

 

突然何かを見つけたらしい政宗が廊下を歩いていた生徒を指さした。

 

あれ吉乃じゃん。

 

「あれは......安達垣の取り巻きの1人か、それがどうかしたか?」

 

「情報によるとあの幸薄そうな奴の名前は小岩井吉乃。さっき取り巻きの中で唯一昼飯を食ってなかった奴だ。もしかしたら安達垣愛姫と一緒に食うのかも!」

 

幸薄そうとか言うな失礼だろうが。たしかに幸薄そうだけどめっちゃ可愛い笑顔見せるんだぞあいつ。

 

おっといかんいかん、今は関係ない話だ。

 

「たしかにその可能性もあるが安達垣の取り巻きもやってるけど昼飯を一緒に食う普通の友達もいるって可能性もあるぞ?」

 

「なるほどたしかに......でもそれじゃあどうすりゃいいんだ?」

 

......もしかしてこれは吉乃との話す口実になるのでは?8年ぶりに話す口実に。

 

 

吉乃が俺のことを忘れていたら一方的に懐かしそうに話しかける残念な奴になるわけだが。だがこの機会を逃すものか。

 

 

「なぁ政宗、いきなりで悪いんだが……隠すつもりは無かったんだが小岩井吉乃、あいつ俺の小さい頃の知り合いなんだよ」

 

「マジで!?じゃあ龍馬って安達垣愛姫と繋がってたのか!?」

 

「それは無い、知り合いと言っても最後に話したのは8年前だ。安達垣も今日初めて見た。ここは俺を信じてくれないか?」

 

「......龍馬そこまで言うなら信じるけどさ、それで?龍馬が突然そんな話するってことは何か考えがあるんだろ?」

 

 

自分で頼んどいて悪いが8年会ってなかったのに凄い信頼だよな......ほんといい奴だよこいつは。

 

 

「あぁ、俺が久々に見かけたついでに挨拶って感じで話しかける。そして何気なくこの学校の有名人らしい安達垣の話を出して昼飯について聞いてみる。どうだ?」

 

「完璧だ!すげえよ龍馬!」

 

「よっしゃ任せろ!」

 

そう言って俺は政宗に背を向け手を振りながら吉乃の方へ歩いていった。

 

 

「おーいよ......小岩井さん、少しお話いいですか?」

 

危うく8年前と同じように名前で呼びそうになったがなんとか我慢し、話しかけた。

 

いやだってほんとに忘れられてたら知らない人に突然名前で呼び止めてる変な人じゃないですか。

忘れられてたら悲しいけど。

 

「なんです......龍......馬......?」

 

「覚えててくれたか、良かった。久しぶりだな、吉乃」

 

「龍馬......龍馬......!」

 

「お、おい!?」

 

俺の名前を口にしながら吉乃は突然抱きついてきた。

 

これは非常にまずい。傍から見れば廊下で女の子を泣かせている男の図である。もしくはなんか廊下で抱き合ってるリア充死んでしまえ、といったところだろうか。

 

引き剥がす?抱きつかせたままにしておく?もうこっちも抱きしめちゃえばいいんじゃね?と絶賛脳内会議中である。

 

というか引き剥がすのはありえない。どんな理由があれ吉乃から抱きついてきたのに俺が離すなんてするはずがない。

女の子が男に抱きついたのに引き剥がされるなんて可哀想だ。その女の子が吉乃なら尚更ダメ。

 

だからこれは俺が吉乃の事を考えて引き剥がさないだけである。

 

決して、女の子に抱きつかれたのとか初めてだなーとか、めっちゃいい匂いするなーとか、おっぱい当たってるよムヒョッス最高だぜ!とか思ってるからではない。

 

 

 

 

 

前言撤回。ないわけでもない。

 

 

「小岩井さん!?こんな場所でどうしたの!?みんな見てますから!?」

 

「......!」

 

俺が声を上ずらせながらなんとか絞り出すと、吉乃は顔を真っ赤にしながら離れた。なんだこの子可愛い。

 

「じゃ、じゃあ私はこれで!!」

 

余程恥ずかしかったのか、吉乃は早口でそう言い、走り去ろうとする。

 

「待って!!」

 

「なななに!?」

 

「この学校で有名人の安達垣さんって昼飯どこで食ってるか知らない?」

 

「し、知らない。じゃあ私はこれ「それと!!」!?」

 

「放課後、落ち着いて話がしたい。良かったらいつもの場所に来てくれ」

 

その言葉には何も返事はせず吉乃は走り去っていった。これ政宗にどう説明しようか。

 

 

「龍馬クン、知り合いっていうか......遠距離でなかなか会えなかった恋人だったりします??」

 

一部始終を見ていた政宗が予想通りからかいにきた。

 

「政宗......グーかチョキかパー、好きなの選べ」

 

「ちょっと待ってそれ殴るか目潰しかビンタされるやつだから!!」

 

「惜しかったな、どれ選んでも全部やるやつだ」

 

「逃げ場は既に無かった!?」

 

「と、まぁ冗談だ。それと、俺とあの子は本当に昔の知り合いってだけで付き合ってたりするわけじゃない。俺だって突然抱きつかれてパニクってたわ」

 

「俺のも流石に冗談だよ。龍馬と付き合える女の子なんて良い意味でも悪い意味でも普通じゃない」

 

「お前それ失礼だからな?」

 

「わ、悪い悪い。で?安達垣愛姫以外と一緒に食ってるっぽいのか?」

 

「いや、恐らく安達垣と食ってる」

 

「マジで!?なんで!?」

 

そりゃもちろん......

 

「勘だ」

 

「え?」

 

「勘」

 

「えぇ......」

 

大口叩いて相手の反応を伺うような余裕なんてなかった、なんて流石に言えない。

 

 

*****

 

 

「......なぁ政宗」

 

「......龍馬、どうしたの?」

 

「俺の勘......凄くないかね」

 

「龍馬の勘......凄いわ」

 

何故、俺達がこんなアホな会話をしているかというと。

ダメ元で吉乃をつけていくと、周りを警戒しながら体育倉庫へと入っていったからである。

そして扉の近くに立ち、聞き耳を立てるとなんと、安達垣の声が聞こえてきたではないか。

 

そして今に至る、というわけである。

 

「さて政宗、これからどうするんだ?」

 

「それなんだよなぁ......あの安達垣愛姫が運動部御用達みたいな弁当をいくつも昼休みに取り巻き1人連れて体育倉庫で食べている、だなんて誰が信じるんだよ......」

 

「取り敢えず今日は今度こそ撤退か?」

 

「そうだね、そうしよ......あ」

 

「どうした?......ん?お前まさか......」

 

「ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

こいつ......めちゃくちゃイケメンになったけど......蜘蛛とか苦手なのは治ってないのね......

 

うーん、ここは。

 

「政宗、ファイト!」

 

「ちょ、おま!?」

 

俺は倒れる政宗に満面の笑みと声援を送り、その場を走り去った。

 

 

*****

 

 

結論だけ言おう、あの後政宗にめちゃくちゃ怒られた。しかし反省はしているが後悔はしていない。

 

政宗は情報収集と言ってどこかへ行ってしまった。

 

そして俺は昼休みに吉乃に言った通り、“いつもの場所“へ向かっている。吉乃は覚えているだろうか。

覚えていようが覚えていまいが夜まではあの場所で待つつもりだ。

 

と言っても親に心配させるわけにもいかないので夜中までは無理だが。

 

「さて、と。着いた」

 

目的の場所へと着いた俺はふと、そう呟いた。

 

そう、“いつもの場所とは“もちろんあの門のことである。吉乃が忘れていなければきっとここに来てくれる。そう、信じている。

 

 

 

そして1時間ほど経った頃だろうか、ついに

 

「龍馬......」

 

吉乃は来てくれた。覚えていてくれたのだ。

唯一違うのは、吉乃も俺と同じ門の外にいることぐらいだろうか。

 

「吉乃、改めて......久しぶり」

 

「......。」

 

ってあれ?無視ですか。というか物凄く不機嫌な顔してるんですけど。自分怒ってますよーって感じでむすっとしている。

 

「えーっと...吉乃?どうかした?」

 

「......かった」

 

「え?......は!?」

 

何か呟いたと思ったら吉乃が抱きついてきた。1日のうちに2回も同じ女の子に抱きつかれる俺は一体。

 

「寂しかった......せっかく信頼できる人ができたのに......何も言わずにいなくなって......やっぱり私みたいな奴からはいなくなっちゃうんだって......ずっと……ずっと......」

 

そうだ、俺は親に急かされるまま、吉乃に何も言えずに8年前ここを去ったのだった。

 

吉乃を見つけることが出来た安心からか頭からいつの間にかその後悔が消えていた、俺は大馬鹿野郎じゃないか。

 

「ごめん、本当にごめん。俺って馬鹿だからさ、こんなことしかできない......」

 

そう言って俺は吉乃を抱きしめ、頭を撫でた。8年前のあの時のように。

 

「なに......してるの?」

 

すると吉乃は8年前と同じように俺に聞いてきた。

 

「頭撫でてるんだよ」

 

「なんで......?」

 

「吉乃が泣いてるからってのと、俺がこれしか思いつかない馬鹿だからかな」

 

「意味、分かんないよ」

 

「俺も分かんねえや」

 

「でも......」

 

「でも?」

 

「やっぱり落ち着くからもう少しこのままで」

 

「お好きなようにどうぞ」

 

 

 

 

背丈は違っても、言葉が少し違っても、変わらない絆がそこにあった。




バンドリの音ゲー周りに合わせて入れてみたけどあまりやる時間も無いし元々音ゲー苦手だから辛いものがある。


追記:この回を投稿した後ログインしたら垢吹っ飛んでました。君は強くてニューゲームのフレンズなんだね!すっごーい!かーなしー!
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