詳しくは後書きにて。
それにしても相変わらずサブタイのセンスねえな......
「あ、ありがと、もう落ち着いたから」
抱き締めてしばらくすると、泣き止んだ吉乃が離れてそう言った。
凄いいい匂いしてたし俺としては最高の時間でした。少し残念。
違う、そうじゃなくて。
「それはよかった。それより吉乃、話がある」
「なに?」
これは吉乃にとって辛い話になる。出来るなら吉乃に辛い思いはさせたくない。
それでも。
「単刀直入に言う、真壁政宗と安達垣愛姫に謝ろう」
「え......」
何故それを突然言い出すのか、理解できないといった表情をする吉乃。
ごめん吉乃、この問題はこれ以上先送りにしちゃいけないと思うんだ。
「気づいてるんだろ?昼休み、倉庫に転がり込んできためちゃくちゃイケメンな男子が真壁政宗だってこと」
「......うん、イケメンかどうかは別としてかなり痩せてた」
え、今の政宗がイケメンじゃないとか吉乃のハードル、かなり高いのでは?
いや、今はそうじゃなくて。
「えーっと、そんでその政宗なんだけど、あのポッチャリがあんな引き締まった体型、いかにもイケメンって感じの仕草とかするようになったかというとな」
「まだ諦めてなかった、とか?」
「違う、“安達垣愛姫に復讐するため“なんだよ。まあ復讐といっても、何をするのかは知らないけどさ」
「復讐?」
「復讐だ。8年前、突然豚足と罵り、自分を見捨てたあの女にってな」
「そんな......愛姫様は何もしてないのに」
「だからだ、8年前から狂ってしまったあの2人の関係を、責任をもってなんとかしよう。力になれるかは分からないけど、俺も手伝うからさ」
「龍馬が手伝ってくれるなら......頑張れる気がする」
そう言った吉乃の顔は普段のおっとりした表情ではなく、決意を固めた表情をしていた。
「ありがとう吉乃。政宗はさ、俺の大切な親友なんだ。だから政宗が自分を見捨てた女に復讐するって言った時は全力で力になろうと思った。でも真実を知った今、そんなことは出来ない。きっとあいつは安達垣が好きだったはずだ。好きだった女の子に間違いで復讐なんて、そんなこと、絶対あっちゃいけないんだよ」
それに、今でも分かんないけど、これ以上真実を知るのが後になれば、復讐で今まで生きてきた政宗がどうなっちまうことか。
だからさ、政宗。
お前の復讐、全力で阻止させてもらうぜ。
*****
次の日、俺は政宗に謝ると言うことで昨日から決めていた吉乃を、大切な話があるとだけ連絡して政宗を人気のない公園へ呼んだ。
ちなみに吉乃の連絡先は昨日別れる前に交換しておいた。
先に吉乃が来たがすぐ政宗も到着した。
「どうしたんだよ龍馬、大切な話って?あれ?小岩井さんも?」
政宗にそう言われた吉乃は小さく会釈をする。
「突然呼び出してすまないな、安達垣愛姫への復讐についてなんだ」
「それがどうかしたのか?」
「安達垣愛姫の事、8年前は好きだっただろ?」
「な、突然なんだよ?そりゃ、たしかにそうだったけど、昔の話だよ」
「お前を豚足と罵り、見捨てたのが本当は安達垣愛姫ではなかったとしたら、どうする?」
「は、は!?何を言い出すんだよ、流石にタチが悪いぞ?」
「私が......私が言ったの。愛姫様のフリをして貴方を見捨てたのは、私」
それから吉乃は辛そうに、何度も言葉を詰まらせながらも、自分安達垣家のメイドであること、政宗に嫉妬したこと、当時の全てを語った。
吉乃は俯き、政宗は呆然としている。
よくやったよ吉乃、あとは俺に任せろ。
そう心で呟き、俺が政宗に声をかける。
「政宗、お前が安達垣と遊んでいた頃、俺は俺でこの小岩井吉乃と仲良くなっていたんだ」
「じゃあ龍馬は元々この事を知ってたってのか!?知らないフリして笑ってたってのかよ!?」
「違うッ!!そんなことするはずないだろッ!!」
掴みかかってきた政宗に思わず俺は怒鳴ってしまった。
「すまん、でも吉乃が仕えてるとこが安達垣家だったなんて知らなかったんだ。気づいたのはつい最近、吉乃と安達垣が一緒にいるのを見て、もしかしたらってな。信じてくれ、頼む、この通りだ!!」
そう言って俺は頭を土につけ、謝った。所謂土下座だ。
いくら元々知って馬鹿にしていた訳ではないとはいえ、すぐに話さなかったのも事実だ。それに、親友が今まで目標にして必死に頑張ってきたものを、それは勘違いだと、へし折るような事を突然言ってるんだ。土下座ぐらいいくらしても足りやしないだろう。
「りょ、龍馬!?顔上げろって!!分かったよ、信じるから!!親友に土下座なんてして欲しくないんだよ!!」
慌てて必死に俺に声をかけてくる政宗。お前って奴はどれだけいい奴なんだよ、それでも親友って言ってくれるなんてさ。
「そ、それで?俺もまだ整理できてはいないんだけど、どうすればいいんだ?正直今までの目標が一気に崩れ去って今にも倒れそうなんだけど、龍馬と小岩井さんが目の前にいるからなんとかなってるレベル」
土で汚れたを俺を立たせようと手を貸してくれた政宗が言う。
「それについてだ、提案がある」
*****
あれから俺、真壁政宗はいつの間にか家に辿り着いてベッドに寝転んでいた。
そしてあの衝撃的な事実を告げられた公園での会話を思い出す。
「それについてだ、提案がある」
「提案って?」
真剣な眼差しでこちらを見る龍馬に俺は思わず聞き返した。
「安達垣愛姫との関係を戻す、いや、それ以上の関係を目指す。というのはどうだ?」
「は、は!?つまり、それって」
「あぁ、安達垣愛姫を、惚れさせる」
安達垣愛姫......愛姫ちゃんは俺のことを嫌ってなんていなくて、犯人は小岩井さんで、次の目標は愛姫ちゃんを惚れさせる......もう何がなんだか。
それでも、小岩井さんは全てを話してくれた。
それに、龍馬は土下座までして必死に謝ってくれた。
正直、他の人に言われたなら信じなかったと思う。でも、イジメられてた時から仲良くしてくれてた親友が、自分の問題でもないのに頭下げて手伝ってくれるとまで言ってる。
「こんなの、信じるしかないよな」
そう考えてるうちに段々と整理ができてきた気がした。
そうして思い浮かぶのは思わぬ再会を果たした、かつて好きだった女の子の顔。
「愛姫ちゃん、めちゃくちゃ可愛くなってたなぁ......しかも腹ペコ属性付きって......なんだそれなんだそれ!?可愛すぎるだろうがぁぁぁぁぁ!!!!」
もう無理、そう思うと余計に愛姫ちゃん可愛くて仕方ない。こうなったら政宗頑張るよ、頑張っちゃうからね。
「おにーちゃんうるさい!!」
バタン!!
妹に一言叫ばれ、勢いよくドアを閉められました。
ごめんなさい。
*****
ひとまず公園では解散となったが、俺と吉乃は2人でファミレスに来ていた。
「さて吉乃、取り敢えずはお疲れ様。辛かったよな」
「うん、でも、龍馬がいたから頑張れた」
嬉しいこと言ってくれるな、それなら何よりだ。
「ただし、まだ1つ解決しておきたい問題が残ってる」
「愛姫様、だね」
「その通り、安達垣はたしか男嫌いでヤケ食いするようになったんだっけか?男嫌いは学校で見かけたけど、ヤケ食いはどうなった?」
「私、いつも愛姫様に購買の惣菜パンいっぱい買いにいかされてる......」
まずい、吉乃が虚ろな目に。購買の惣菜パン人気だもんな......あの集団に紛れて頑張ってパンを買おうとする吉乃、あれ?可愛いな??
「あ、あぁ、大体察した。それで、安達垣にも謝らないといけないわけだが」
「私が1人で謝る」
また一緒に謝ろうかと提案しようとすると、それを遮るようにして吉乃が言った。
「愛姫様には、ちゃんと私が、1人で話さなきゃ」
「分かったよ、何かあったら連絡してくれ」
そうして今度こそ解散となった。
*****
その夜、吉乃から電話がかかってきた。1コールで出た。気になりすぎてずっとスマホを肌身離さず持って待ってたからな。
「もしもし、吉乃か、どうだった?」
「うん、ちゃんと全部話した」
「それで?」
「あの時は政宗とばかり遊んでたから、私もごめんって。それですぐ部屋から出された」
「そっか、よく頑張ったな。それに、安達垣ともひとまず関係が崩れたわけでもなさそうだし、他にはなんかあったか?」
「私が部屋を出る直前、後ろから愛姫様の独り言が聞こえた。政宗に嫌われたわけじゃなかったって、なんだか嬉しそうだった」
おや?それって脈アリなのでは......?
「でも、その政宗が学校にいるってこと話しそびれた」
あら、安達垣の政宗像が8年前で止まってることに。まあいいか?
「まあそれはなんとかなるだろ、あとは俺達があの2人の恋を全力でサポートするだけだ」
「うん、本当にありがとう!龍馬!」
あ、切れた。
てか最後のやばい、そんなキャラじゃない分、破壊力抜群だった。
「あーもう、心臓バクバクいってるんだけど、今日寝れるかね......」
ちなみに、全く寝れませんでした。
リアルに追われたり遊んだりして完全に執筆が後回しになってしまいました。申し訳ございません。
ですが、政宗くんのリベンジ9巻が発売ということで、いい加減に書かなくてはと思い、更新させていただきました。
ちなみに、もちろんフルカラーイラスト集付きの特装版買いました。
いやー、内容といい、イラスト集といい、やばいしか言えませんねこれ。
ネタバレしてしまいそうなのでこの辺で黙っておきます。
それでは!