一応、話の大まかな流れは同じです。
おかしい所、気になる所等ございましたら、コメントにてお願いします。
ー2022年。
俺と俺の所属する普通科第5分隊は、アメリカ軍、韓国軍の部隊と、共同で任務に当たっていた。
任務内容は、「駆け付け警護」。
反政府ゲリラの攻撃を受けている民間NGO、及び付近の逃げ遅れた住民を救出、護送、保護するという物だ。
連日のゲリラ活動のせいで、自衛隊で動ける戦闘部隊はこの分隊8名のみ。
その為、同じ目的を持ったアメリカ軍、韓国軍の隊と協力して事に当たっている。
韓国軍も俺たちも、英語が話せる者が多い為、意志疎通は大丈夫だ。むしろ、ゲリラからの攻撃の方がつらい。
アメリカ軍の兵士が四名殉職。韓国軍も三名を失った。俺たちも二名を失い、三名がケガを負ってしまった。
「まだ全員乗れないのか!」
「まだだ!···クソ!速くしやがれ畜生!」
銃声と爆発音が響き渡る。
今の所、なんとか持ちこたえているが、完全に劣勢。しっかり訓練を受けた正規軍とはいえ、たかが三分隊。数が違いすぎる。
ギリギリ包囲されていないで退路が残っているのが唯一の救いだ。
「急げ!···おい三月!隼人!撃ちまくれ!」
「了解!チクショウ!死んでたまるかよ!!」
俺と隣の隊員、それに手の空いていたアメリカ兵、韓国兵の一部がそれぞれ手に持つ銃を撃ち始める。
「クソ!数が多すぎる!」
K2小銃のマガジンを交換している韓国兵が叫ぶ。
その兵士の手元は震え、マガジンを落としてしまった。
兵士が慌ててマガジン拾う。
「バカ野郎!拾うな!体引っ込めろ!·····ああっ!」
マガジンを拾っていた兵士の頭から血が飛び散る。
「クソ!また一人減った!誰か軽機関銃!」
「了解!」
俺は咄嗟に、近くのアメリカ兵の死体からMINIMI軽機関銃を拾い、撃った。
しっかり狙ってなどいない。とにかく広く弾丸をばら蒔く。
すると効果があったのか、敵は下がって行っている様だ。
「敵後退!」
「畳み掛けろ!擲弾を使え!」
「吹き飛びやがれっ!」
「撃てーーーっ!」
近くの友軍兵士が、ライフルに取り付けられたアドオン式グレネードランチャーを放ち、俺たちは銃口に取り付けた06式小銃擲弾を射撃。
弧を描いた擲弾は、後退する敵に追い討ちをかけた。
「今だ!さっさと乗せてずらかれ!」
「手が空いたヤツは撃ちまくれッ!」
―――
「全員、居るか?」
「残りは隊長と俺、岡本だけです。」
「了解。···認識票は?」
「回収しました、米、韓の兵士のも回収したので、渡しておきました。」
「解った。ご苦労。」
あの後、なんとか荷物を積み込み脱出した俺達は、数人の犠牲を出しながら、トラックに揺られ、基地へと向かっていた。
アドレナリンが切れ、冷静になると、死んだ仲間の顔が脳裏に浮かぶ。
···みんな良い奴だった。
も所属していた隊もバラバラ。初めて会ったのは半年前だが、まるで何年も共に戦っている戦友の様な奴らだった。
···そんなあいつらは、金属の板キレだけになった。
ビニールのカバーがかけられ、名前が刻まれ、、チェーンで繋がったそれには、血がこびりついている。
俺はそれを強く握りしめる。
···見てろよ、お前ら。
死んでも保護した人たちは守る。
隊の全員がそう決意した時、トラックの横に砲弾が着弾、炸裂した。
―――
―あれ、ここ何処だ?
―何があったんだっけ?
「ぉ·······ぃ」
―声?···誰だろう?
「ぉ···ぃ···き···ろ」
―起きろ?···なんで?·········ああ、俺、さっきの砲撃を喰らって····
―そうだ!俺は砲撃で荷台から吹っ飛ばされたんだ!
体に感覚が戻り、飛び起きる。
周りを見渡すと、俺が乗っていたトラックの横に、砲弾が炸裂した跡があった。
ギリギリ直撃は避けたらしい。
「状況は?」
「最悪だ。ゲリラに追いかけられてる。もうすぐ追い付かれる。」
「···皆は?」
「大丈夫。無事だ。トラックもな。···だが」
「何か···問題が?」
「このまま逃げても追い付かれちまいそうなんだ。トラックの調子が悪くてな。」
「······どうします?」
「···やるしかねぇだろう?」
隊長は苦笑し、俺に89式小銃を押し付ける。
受け取った俺は、小銃を撫でた。
「頼むぜ。三月。隼人。」
隊長が拳をつき出す。俺と岡本は、隊長の拳に拳を合わせた。
すると、その横から別の拳が伸びてくる。
「俺たちも手伝おう。まだ戦える。」
「我々もだ。損耗は激しいが、足止め位できるだろう。」
アメリカ兵と、韓国兵だった。
「···ありがとう。」
隊長が少し涙ぐむ。
「何泣いてんですか!」
皆が笑う。
「なっ···泣いてねーよ!···ちょっと吐き気がしただけだ!」
「吐くならあのクソ共の顔の上で頼むぜ!」
「ついでに鉛玉のシャワーでも浴びさしてやろうぜ!」
「···よし!トラックは先に行け!俺達は死んでも食い止める!」
アメリカの分隊長が言うと、トラックの窓から兵士が顔を出す。
「バカ行ってんじゃねぇ!てめえら見殺しにしろってのか!」
「ちげえよ!民間人守れっていってんだ!俺らの努力を無駄にする気か!」
「でもそしたらお前らが!」
「うるせえ!俺達を見捨てろってんじゃねぇ!こいつら助けろっていってんだ!聴こえねえのかこの野郎!さっさと行きやがれ!」
「···クソ!てめえら死ぬんじゃねえぞ!」
トラックのエンジンが咆哮を上げ、砂を巻き上げて走り出す。
助手席の兵士が窓から身を乗り出し、敬礼していた。
俺達は無言で敬礼を返すと、銃を握り直す。
···ここには俺達しか居ない。敵はもうすぐそこ。
頼れるのは味方と、一丁のライフル、そして少しの弾薬だ。
おそらく長くは持つまい。相手との戦力差は明確。確実に死ぬだろう。
···だが、不思議と恐怖は感じなかった。
「よし!!我々、自衛隊第5分隊は、米、韓部隊と連携し、命を賭けて撤退の援護を行う!一分、一秒でも良い!時間を稼げ!」
隊長の言葉を聞きながら、慣れた手つきでマガジンを差し込み、ボルトハンドルを引き、初弾を薬室に装填する。
「「「撃てーッ!」」」
3つの国の隊長の号令と共に、俺達は引き金を引いた。
―そしてしばらくたったある日。
自衛官、「藍原 三月陸士長」、「岡本 隼人陸士長」、「川井 俊明二等陸曹」の死亡が、ニュースにより、日本全国に伝えられた。