「チート自衛官」の次話が消えてやる気消失中なメガネです。
·········はあ。
ー朝。
心地いい日差しを浴び、馬小屋で目覚めた俺は、大きなあくびをしながら目をこする。
今日は、カズマ達とクエストに行く日だ。
集合は午後0:00。
ちょうど鐘が鳴る時間に、ギルドのクエストボードの前だ。
体感だと今は11:00くらい。
あまり時間は無いので、さっさと準備をする事にした。
俺は自衛隊で使用されていた、戦闘迷彩服2型を生成、着ると、弾帯、ホルスターを吊るす。
防弾チョッキを着て、マガジンをねじこみ、各種軍需品、銃剣等を取り付け、外に出て水筒に水を入れる。
官給品の、深緑の手袋をしてマジックテープで止めると、ホルスターに拳銃を挿し、3点スリングで89式小銃を背負う。
勿論、実弾を装填済みだ。
身分証明書入れのチェーンをベルトに引っかけ、ポケットにねじ込むとテッパチを被る。
「弾帯よし。ホルスター吊り下げよし。銃剣止め確認。顎ひもよし。弾込めよし。安全装置確認。全部良し。」
俺は声に出して装備の確認をする。
こうする事で、忘れ物等をしないようにするのだ。
確認を怠り、何か忘れ物でもしようものなら、分隊長にボコボコにされ、腕立て伏せの餌食だ。
今は分隊長や中隊長は居ないが、どんな世界でも装備の欠けが生命の危機に繋がる可能性は充分にある。
忘れないに越した事は無い。
装備の確認が終わった俺は、ギルドへと向かった。
―――
「おう、おはよう。」
「おはよう。」
「ちょっとー、遅いんですけど!女神を待たせるなんてバチが当たるわよ!」
あーはいはいワロスワロス。
ギルドに着くと、既にカズマとアクアは居た。
カズマは腰に剣を、アクアは杖の様な物を持っている。
「クエストは決めたのか?」
「ああ。もう受注してある。いこうぜ。」
俺達は、ギルドを出て、壁の外へと向かった。
―――
ジャイアントトード。
転生したての俺を襲った、巨大カエルの事らしい。
食用旺盛で、繁殖力も高いモンスターだそうで、そろそろ冬眠を終えて出てくる頃だという。
出てきたトードは、農家のヤギやら農家の人、本人を食ったりするらしい。
···ちなみに、旨いらしい。
今回のクエストは、そんなジャイアントトードを二匹討伐するというものだ。
「うおおおおお!!アクアっ!ミツキ!助けてえええええええええ!」
カエルに追われるカズマが叫ぶ。
勿論助けてやりたいし、充分助けられるのだが、ここは自分の手で倒した方が良い。
この世界で冒険者として生きていく以上、絶対に避けて通れぬ道だ。
つまり、今日、俺はおまけ。
メインは、アクアとカズマに、「戦闘経験」を積ませる事だ。
人間と撃ち合って殺し殺された俺は別として、カズマは元一般人。
アクアは女神らしいし、戦闘なんて経験が無いだろう。
「アクアっ!お願い!助けてえええっ!!」
「うーん。じゃあまず「アクア様」って呼ぶ所から初めましょうか!」
「何が?!てか何でだよ?!」
「ちょっとカズマ、元ヒキニートだからコミュ力低いのは知ってたけど、流石にひどいわよ?人にものを頼む態度位わかりなさいよ!!」
アクアがえらそーに言う。
「分かった!分かったよ!アクア様!助けてくださいっ!」
「ふふん!しょうがないわね!でも、でも、命を助けてあげるんだから対価が欲しいわね!、とりあえずご飯の時にちょうだいって言った物をちょうだい!そしてついでにアクシズ教に····」
「あのー、アクアさん?」
「何よミツキ!うるさいわね!」
「え?だってカエルが」
···しかしもう遅い。
調子に乗っていたアクアの真後ろには、カエルが居た。
カエルは大きく口を開けると、ぱくんっ。カエルは、見事にアクアを丸ごと補食した。
現在確認できるのは、少しだけ出た足のみだ。
「あーあ····食われてやんの。···カズマー!」
「なっ···何?!」
「助けた方がいいか?」
「是非っ!」
「了解。」
俺は背負っていた89式小銃を構えると、しっかり狙いをつけ、引き金を小刻みに引く。FPSで、「タップ撃ち」や「指切り」と呼ばれる撃ち方だ。
弾丸はカエルの腹、胸、首に着弾。···そして一発が頭を撃ち抜いた。
カズマを追いかけていたカエルが仰向けに倒れる。
素早く小銃のマガジンキャッチボタンを押し、マガジンを交換。
「たっ···助かった···」
「まだ一匹居るぞ?止まってるし、そっちはカズマがやってみな。」
「お、おう!」
カズマはアクアを飲み込む為に動きを止めたカエルに襲いかかる。
短剣を抜くと、腹をブスリ。
「口の横だ!筋肉を斬れ!」
カズマは短剣で、口の横を切り裂く。
下顎を支えていた筋肉を切断されたカエルは、支える物が無くなり、口が開く。
中から、例のヌルヌルにまみれたアクアが落ちてきた。
「ジェネレート·スモールアーム。M24。」
俺はレミントン社製のスナイパーライフル、M24を生成し、構えると、ヘアラインをカエルに合わせ、即座に発砲。
この距離なら、威力減衰も、風もゼロインも関係無い。必中距離だ。
ライフルから放たれた7.62mm弾は、正確にカエルの眉間を撃ち抜き、脳を破壊、貫通した。
カエルは仰向けに倒れる。
「ターゲットキル。·····ふう。M24、デリート。」
俺はM24を消すと、小銃を背負い、カズマ達の所へ走る。
···そういえば、結局、俺が倒しちまったな。
―――
カズマと、ヌルヌルまみれで泣いているアクアと一緒にギルドに戻り、報告をする。
トード一匹の討伐報酬は5000エリス。あわせて10000エリス。
そしてこれを三人で分ける。3300エリス程だ。
余った100エリスは、泣いているアクアにあげることにした。
···にしても、危ない目にあったのに、給料が工事のバイトとほぼ同じかよ。
俺はいいけど、割に合わねえ。