あーあ、二次元行きたい。
―午後1時。
俺たちは、勧誘を受けに来た女の子と、壁外を歩いていた。
今日もカエル狩りだ。
俺の装備は89式とFNX拳銃という、いつもの装備に加え、今回は爆薬も持ってきている。
C4粘土爆薬。
よくドラマで聞く、「プラスチック爆弾」である。
こいつは、正しい手順を踏まないと上手く起爆しない。
そして形も自由自在で便利な為、軍用として広く使われている。
今回持ち込んだのは、しっかりとこねて、雷菅を差し込んだ物だ。
あとは俺が無線機で周波数を合わせてコールすれば、起爆する。
無線での起爆は、誤爆の恐れがあるが、この世界で無線機を使うのなんて俺ぐらいだろう。
可能性は限りなく低い。
量はあまり無いが、この量なら簡単に重機を吹っ飛ばせるレベルだ。
「おっ!さっそく居たわよ!」
アクアが指した方向を見ると、確かにカエルが居る。
「撃つか?」
「ダメよ?あのカエルは私がやるわ!前回私を食べた報いを受けさせてあげるわ!」
そんな事を言うと、アクアが全力でカエルの方へ走って行く。
「見てなさい!女神の力!!『ゴッドブロー!!!』」
アクアの拳が輝きながら、カエルに叩き込まれる。
···なんだ。ただのアホの子だとか思ってたけど、やっぱり神様。強いんだな。
俺とカズマの視線に、少し尊敬の念が加わる。
女神様はそれを敏感に感じとったらしい。
なんかどや顔してる。
·······?
(うーん、なんだろう、なんか引っ掛かるんだよなー?)
俺の心に何かが引っ掛かる。
何か、何かがおかしいのだ。
「ふふん!どうよヒキニートにヘタレ兵士!私の聖なる女神の力は!昨日は油断したけど、こんなカエル、一瞬で消し飛ばせるわ!!」
ゴッドブローを叩き込みながらアクアは得意げに言う。
···ん?
待てよ?
一瞬?
········ここで俺の心に引っ掛かっていた物の正体が分かった。
カエルにダメージが入っていないのである。
派手なエフェクトのせいで凄い技に見えるが、カエルは吹っ飛びもしないで、じーっとアクアを見ている。
しかしアクアは気づかない。
「カズマ、あれ、どうする?」
「···放置でいいんじゃないか?」
先ほどまでの尊敬の眼差しは、いまでは呆れた視線に変わっている。
···俺達は、今日、一つの結論を出した。
「この女神は使えない」と。
ちなみにこのあと、アクアは喰われた。
――――
気を取り直してカエル狩りだ。
色々あって忘れていたが、今回の目的は、来てくれた女の子とのお試しクエストである。
お互いの相性を確認するため、という目的が大きい。
俺達は、カエルを三匹程見つけると、戦闘態勢に入った。
「君の得意な魔法ってある?」
「はい!勿論です!私の必殺、最強の攻撃魔法、「爆裂魔法」です!」
爆裂魔法?
なんだその強そうなの。
最強の攻撃魔法って言う位だし、強いのだろうが。
「ただ、この魔法は準備に時間がかかります。その間は無防備になるので、時間を稼いでくれませんか?」
「おう!じゃあ君が準備してる間、適当に敵と戦ってるよ!」
「お願いします!···あと、なんかふムズムズするので「君」じゃなくて名前で呼んでください!」
「··まあいいけど、名前なんて言うの?」
「おおっと!私としたことが名乗り忘れていました!···我が名はめぐみん!最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし最強の魔法使い!」
·····痛い子だったんかい。
まあその辺は目をつむろう。上級職な上、仲間になってくれると言っているのだ。
········にしても、痛い名乗り以上に気になるのは、
「ねえ?」
「なんです?」
「···本名は?」
「本名ですよ?」
「嘘だろ?」
「何を言っているのです?さっき名乗ったじゃないですか。私はめぐみんです。」
「················」
「?」
「嘘だろ?冗談キツイよ?」
「····おい、私の名前に何か言いたい事があるなら聞こうじゃないか。」
···うっそーん、マジっぽい雰囲気。
てか本当なら、キラキラネームってレベルじゃねーな···
この子の親は、どんな頭してるんだ?
「···おいミツキ、確かに色々考える気持ちもわかるが、今はカエルだ。」
「お、おう。そうだったな。」
俺よりも速く立ち直ったカズマにそう言われ、ようやく意識をこっちに戻した俺は、小銃に着剣して、弾倉を挿した。
「じゃあ、カズマ、めぐみん、行くぞ。」
「「OK。」」
「5、4、3、2、1、···GO!」
掛け声と共に、俺とカズマが駆け出す。
めぐみんは魔法の準備を始めた。
俺は走りながらま右のカエルに、腰だめで適当に発砲。
しっかり狙わずに撃った為、弾はほとんどが外れたが、一部は着弾した。
···が、あまりダメージは無さそうだ。
俺は距離を詰めながら、射撃を継続。
あまりダメージは無くとも、牽制ぐらいにはなるだろう。
そして、ある程度近づくと、空の弾倉を捨て、銃を構え、カエルに突きだす。
銃剣での直突だ。
突きだされた銃剣は、まっすぐにカエルに突き刺さった。
···が。
「うおっ!あぶねえっ!」
短い銃剣を突き刺した程度でカエルが倒されるハズも無い。
しかも突き刺した瞬間に、痛みなのか、カエルが暴れだした。
俺は咄嗟に銃剣を放棄し、回避する。
「ミツキ!大丈夫か!」
「大丈夫だ!よそ見すんな!」
カズマがよそ見をした隙に、もう一匹のカエルがカズマを丸飲みにしようとする。
俺は小銃を撃ち、カエルを怯ませると、カズマを持ち上げる。
「めぐみん!まだか!」
「丁度終わりました!離れてください!」
俺はカズマをかかえたまま全力で逃げる。
「行きます・・・これが、人類最強の攻撃魔法!」
めぐみんが掲げる杖に光が集まってゆく。
「エクスプロージョン!!!」
そして、次の瞬間。
凄まじい爆焔と爆風が、カエルを包み込んだ。
遅れてすみませんでしたm(_ _)m