現世で死んでも来世がある   作:瘧草

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今回はグロ?注意です。
戦う描写キツすぎる。これ戦ってんの?っと疑問に思う方、私もそう思います。


第五話 炎を扱う女

待て、待て待て待て待て。

どういうことだ?頭蓋骨?あれはなんだ?頭蓋骨なのか?何かのドッキリアイテムなのか?理科室のあれか?それよりなんでむうはあんなもん抱えて泣いてるんだ?

 

疑問は途切れなく量産されていくが、1つその頭蓋骨に変わった特徴があった。

小さな…小指ぐらいの角が2本生えている。にょきん、といわんばかりに上に少しそっている。

パーティグッズかなー?等と現実から目を背けているとむうが立ち上がった。

 

「む、むう?それ…なんだ?そんなものそこに置いといて帰ろう?」

「……コロス」

「え?」

 

聞き間違えであって欲しい。むうが物騒なことを呟いた。殺す?なんで?

意識を視線に変えるとむうの背中からドス黒いオーラが出てきていた。比喩などではなく本当に目に見えている。そのオーラだけで人を殺せそうな、そんな殺気が伝わってくる。

どうしてこうなった、どこからこんな超展開になった。これからどうする。背を向けたら殺される自信がある。刺激しないように何をすればいい。作戦は?行動は?

……駄目だ。何も思い付かない。

俺はその場で身構える。今さっきのむうの力で襲ってきたら俺にはどうしようもできずに死ぬだろう。というかこの殺意は俺に向けているものなのだろうか。

 

「むう、そ、その殺意は俺に向けてるものか?」

「…ソウダ!!」

 

その叫び声と共に頭蓋骨が宙に浮き光を放ち始める。

それは青い炎だった。

その炎の美しさはどう表現すればいいのだろうか。空の青さより鮮やかで、海の青より深い。俺がこの短い人生の中で見てきたどの青よりも美しい。その炎の中心では周りの炎よりも淡い水色の炎が輝いてる。両方の炎の間には境目がなくグラデーションという言葉がバッチリ合う。

頭蓋骨が宙に浮いたまま、むうの方に進み始める。ゆっくりと…しかし確実に。そして、むうの首と接着した。

着いたと同時にむうの体も青い炎に包まれ始めむうが全く見えなくなる。だが、俺は見ていた。首に着いた瞬間に頭蓋骨から皮膚らしきものが現れた所を。

数秒の後、炎が突然パッと消えむうの全貌が露になった。

そして俺は自分の目を疑う。むうの身長が伸びて、頭もある。

身長は大体俺より少し小さい程度。170前後だろう。服はワンピースから白い和服のようなものに変わっていた。

それよりも頭の方が大事だ。白い肌に天色の目、小指程度の双角。整った顔立ちをしているが今は無表情。だが、その無表情の中に殺意が見てとれる。目を見て俺は凍りつく。狩人の眼だ。

目を見た瞬間に俺は震え始めた。今は夏のはずなのに恐怖で震えが止まらない。

 

それでも俺は足が震えているのに鞭を打ちその場から脱兎の如く離れた。元来た道を猛ダッシュでかける。

 

(なんなんだ!?あの炎はどこから出てきた?むうはなんで俺に切れてる!!それも的確な殺意を持って俺を標的にして!!)

 

疑問がまた量産され始める。が、それを考えれたのもほんの数秒の間だけだった。

何故なら、俺の右側をヒュッという音と共にピンポン玉位の炎が飛んでいったからである。

目では追えた…けど、回避するのは不可能と言えるほどの速さだった。

俺は逃げることを躊躇し始めた。

逃げても後ろから炎が飛ばされいずれは燃やされる、でも逃げなければ確実に殺される。

無理ゲー感が凄まじい。

どうすればいいんだ!!どうすればこの状況を打破できる!?

焦っていると今度は左側を炎が通りすた。

(落ち着け…もうこれしかないに決まってるだろ)

俺は後ろを向きむうと向かい合う。むうとの距離は大体20メートル程。走ったはずなのにむうとの距離はそこまで開いていなかった。

俺とむうは広場の中心で向かい合うような形でお互い見つめあう。

むうは相変わらず無表情…しかし殺意だけはひしひしと伝わってくるようなそんな無表情だった。

俺は覚悟を決め、足を一歩引き、むうの次の行動を待つ。

どちらにせよ殺されるのは確定しているのなら立ち向かって勝つという、ごく僅かな希望に賭けるしかない。

 

目を瞑って深呼吸をする。深呼吸中に右から炎の飛んでいく音が聞こえた。それでも深呼吸をやめない。

精神統一とはどんなときでも大切なものである。深呼吸を5回繰り返し、目をゆっくりと開く。

 

むうは10メートル程まで近づいてきていた。人差し指を前に出しその指先に青い炎を灯らせたままゆっくりとゆっくりと。

そしてその指から炎が射出される。10メートルの距離なら普通外しはしない。しかし、むうは左に指を少し曲げて俺を外した。

それからすぐに炎が射出される。が、また外す。それもわざと外している感じで指を少し曲げながら。

 

(次も外してくるかもしれない。その間に相手の懐に潜り込んで叩けば何とかなるはず)

 

俺は次の射出に備える。

それもまたすぐに射出された。

 

「ここだぁぁぁぁ!!」

 

俺はむうの方に走りタックルをかます。むうはよろけたものの全くと言っていいほどダメージを負っていない様子だった。

 

(全身全霊のタックルでも怯まないとかどうやったら戦えんだよ)

 

そんなことを考えてるとむうは手を結んで振り降ろしてくる。それを俺は回避する。やっぱりどこかわざとらしく手を抜いている。運動音痴の俺でもかわせるのはさすがにおかしい。

むうが手を抜いている理由がわからない。あそこまで殺意を剥き出しにしているのに。

俺はむうから飛び退く。するとむうは片手を地面につきその手を地面にめり込ませた。数秒の沈黙の後地面から2メートル程の火柱が立つ。また青い炎だ。

1本火柱が立つとそれに続くように火柱が次々に立ち始める。

周りに炎の木が生える。皮膚が焼けるような熱気が体を包みこみ、息をするのが苦しい。

そんなとき後ろから誰かが走ってくる音が聞こえそっちを向くと手に炎を纏わせたむうが殴りかかってきていた。

俺は1歩後ずさると何かに躓いて背中から地面にぶつかり肺から息が漏れる。むうも標的が急に倒れたことによって体制を崩して俺に覆い被さるように倒れてくる。

その時不幸にも俺の左手の小指にむうの拳が重なり…俺の小指が潰れた。

 

「あ…?がッ!?ぐあぁぁぁッ!!痛ッ!」

 

痛みのせいで転げ回ろうとしたがそれがさらに事態を悪くする。

むうの拳は燃えていて俺の指はもう焼け焦げていた。動き回ろうとすると指が千切れた。俺は訳がわからずただひたすら泣きわめくことしか出来なかった。千切れたところから血が流れ小さな血溜まりを作り出している。

しかし、それでもむうは追撃をやめようとせず次の行動に移っていた。

俺も痛みで意識が朦朧としているが立ち上がり次の攻撃に備える。その間も絶え間無く血が流れ続ける。

こんなときに攻めたらいくら馬鹿な俺でも分かる。死ぬ。

視界が回る。怖くて動けない。痛くて考えが纏まらない。

 

そんな中むうは無慈悲に近接攻撃を加えてくるが、やはり俺ギリギリの所を狙ってきている。しかしただの威嚇にも見えるその攻撃は当たれば確実に次は死ねるような威力で俺を襲っている。

そんな恐怖に耐えられるはずもなく俺はその場に立つことができず座り込んだままになってしまった。俺は諦め、そして目を瞑りその時を待つ。

小指の付け根から血が流れているのが感覚で分かる。

むうの拳が空を切る音が耳元で聞こえる…。

 

 

何秒…いや何十秒経っただろうか。その時を待ち続けているのに全く訪れない。ずっとむうは空を切り続けている。耳元を風切り音と共に殴ってみたり頭上や肩の横を殴ってみたり。目を開けなくても殴っている所が分かるぐらいの音をたてながらむうは拳を突き出している。

しかし、絶対に俺には触れない。

目を開けると無表情のまま攻撃を加えているむうがいる。その目はしっかりと俺を見ているのだが、何処か悲しげに見える。

俺はこのままでは埒があかないと思いこの場を脱出する方法を考える。

あれやこれやと考えている時ふと思い付く。

目に砂をかければ目潰し程度にはなるんじゃないかと。

考え付いたらやるしかない。俺は自分の手の届く範囲の土を集めようとする。

そして今思い出す。小指がなくなっていることに。

小指がないから全く砂を集められない。何故今の今まで小指が無くなったことを忘れれていたのか。痛みで普通思い出す。

俺はあらためて自分の小指が無いことを実感する。

しかし左手で砂を集めれないと決まった訳じゃない。そう思い左手を動かすと…手のひら大の血溜まりができていた。自分の体からこれほどまでに血が出たと思うと気持ち悪くて仕方がない。

それでも土を集め右手で握れる程度の土が二組集まった。かなり血が混ざってしまって砂ではなく軽く泥になりきているがこの際仕方がない。

俺は隙を突いて泥をむうの顔面に投げつける。

一投目は見事に目に当り、むうは苦痛に声を上げる。

二投目は目には当たらなかったが口に入った。

 

口に入った瞬間むうの足の下に魔方陣的な何かが現れた。

鮮やかな青色…今さっきのむうの炎に似た色をしている。

それは現れるやいなやむうを通過し頭を通りすぎると硝子のような痛快な割れる音と共に崩壊した。

するとむうは糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。

 

俺は目の前で何が起こったのかわからず困惑することしか出来なかった。が、助かったということだけわかった。

安心したせいか左手から焼けるような痛みが走った。

しかし、それとは比べ物にならないほどの痛みが胸を襲った。

まるで何かに鷲掴みにされているような、自分の心が握られてどんどん小さくなっているような感覚がする。

俺は咄嗟に携帯を右ポケットから出し夢に裏山に来るようにメールをする。

しかし、メールを送信するかしないかの所で俺は痛みで気を失った。




第伍話読んでいただき有り難うございました。

これはグロなのか?というレベルのグロ。微グロのレベルまでも行ってなさそう。
これからも描写の練習をせねば。

次回も読んでいただければ幸いであります。
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