人気投票とかもあったんだしちょっとしたお祭り的な小説を書こうかな
と思い立ち書いたものです
だからしばらくこちらに集中して
五話ほどで終わらせる予定です
ふと見上げた空に黒い羽が舞った
その落ちつた羽の色とは対照的にその翼の持ち主は落ち着かずに飛び回っていた
「…霊夢…どこ?」
結鏡異変後、なんなく恋人に近い関係になれた二人であったが
この日だけは別だった
結鏡異変からちょうど一年の夏
この日は河童が花火大会を開く日であった
が霊夢の姿が博麗神社になく
嫌な悪寒を覚えたお空が今、飛び回っている最中である
しかし霊夢の姿はどこにもなく
一年前に味わっていた喪失感と不安を覚えていた
「どこ…いやだ…」
お空は博麗神社に降り立った
静かで誰かいる気配はない
お空は縁側で丸くなった
(霊夢…)
あれは20年位前
まだお空がさとりに拾われておらず
やさぐれていた時期
何も信用できずいろんなものに当たっていた時期
そんなお空が唯一慕っていた人物がいた
お空が通う場所は今と変わらず博麗神社
「姉御ー!」
慕っていた人物とは12代目博麗の巫女
博麗霊奈だった
「空か、茶でも淹れるから適当に寛いでいてくれ」
霊奈は立ち上がり神社の中に歩いていった
「空はなんで私なんかの所にくるんだ?」
お茶を淹れながらいたずらっぽく笑いながら霊奈が聞いた
「…あたしの大切な人なんですから」
「…そうか…まぁゆっくりしてってくれ」
出されたお茶を飲み風を感じる
それだけならなんら幸せは感じないだろう…
横に霊奈が…いやお空の言葉を借りるなら姉御がいるだけでその何気ない空間が幸せな空間になる
お空はただひたすら霊奈を尊敬し好きだった
「今日は暖かいですね」
「だな…春も近いな…」
そんなある日、彼女は現れた
「姉御ー今日も…」
お空は驚愕して口を半開きにさせた
霊奈が赤ん坊を抱いていたからだ
「あ、あああああ姉御!そ、そそそそその赤ん坊は誰、誰!?ですか!?燃やしてきますから!」
「まてまて落ち着け、こいつは紫が連れてきたんだ…次世代の巫女だそうだ」
「へぇ…名前とかはあるんですか?」
「名前…うーん名前か…霊夢…霊夢なんてどうだろう」
「れいむ…いい名前ですね!」
霊奈が照れ臭そうに笑った
「そ、そうか?空がそういうなら少し自信が出てきたな」
それからはお空と霊奈と霊夢の三人での日常になった
ただ霊奈が人間である限り別れは必ず来る
霊夢の七歳の誕生日の3日前
異変解決の中で霊奈は亡くなった
不意討ちを食らってしまったらしい
日常が音をたてて崩れた
お空はというと姉御の最後に立ち会えず
一人残された虚無感から博麗神社に来なくなっていた
それどころか更に荒れ
人々からも妖怪からも恐れられる存在になっていった
ある日、何気なく博麗神社にふらりとお空が行くと
霊夢(当時7歳)が泣きついてきた
「お姉ちゃん!お母さんが!お母さんが!」
誰にもぶつけられなかった悲しみが
一人で抱え込むしか無かった苦しみが
お空にぶつけられた
「死んじゃって…私一人で…だれもどこにもいなくて…」
「…霊夢…ごめんね…」
お空は頭を撫でた
霊夢はほっとしたように笑った
「不思議だね…あたしの手で笑ってくれるんだ…もう血で汚れて鉄臭いと思うのだけど」
「ううん…お空の手は大きくて暖かいよ」
その時、お空の目から涙が零れた
何故だか知らないが自分でも止められない
「どうしたの?」
「もう一人になんてさせないもう喧嘩もしない…から霊夢は変わらないで…絶対に…変わらないで…」
お空はひしと霊夢を抱き締めた
その目からは涙が止まらなかった
この頃からお空は先代の事を忘れようと鳥頭になった
お空の頭は無意識にそうさせた
だがこの出来事だけは忘れなかった
お空は目を覚ました
「起きた?」
辺りはすっかり暗くなっていた
そして霊夢の膝の上で寝ていた
「霊夢…今までどこにいたの?」
霊夢がクスクスと笑う
「屋台の方に手伝いに行くって言ったじゃない?忘れてた?」
「あれ…そうだっけ…」
お空が立ち上がった
「丁度、起きてよかった…今から花火だよ…間に合って良かったよ」
その時、パーンという破裂音と赤い明かりが二人を照らした
夜空に大きな花が咲いた
「…」
「綺麗ね…」
「…でもすぐに消えちゃう」
お空が俯く
それを見かねてか霊夢が口を開く
「それが良くないかしら…桜だって花火だって散るから綺麗で愛されるんだと思うの…たしかに人間の生は短いわ…だから桜のように短くても健気に花火のように綺麗に生きようと決めたの」
霊夢は夜空に咲く大きな花火を見つめた
「…先代の事?」
「夢で見ちゃってさ…随分忘れちゃってたんだけど…霊夢と出会った時のことと姉御が死んじゃった時は忘れられなくて…」
お空も空を見上げた
「お空の空は…空なんだ…だからあたし、空を見上げるの好きなんだ…こんな時はもっと…ね」
お空が霊夢の方を向いた
「あたしの事、うつほって呼んでくれない?」
「え?」
「あたし…もう誰も忘れたくないの…霊夢が居てくれたら…」
「私は…先代の代わりにはなれないよ…ただ…私がもう少し先代に近付けたら…うつほって呼ぶ事にする」
「わかった」
霊夢が微笑みながら言う
「その頃には私だってお空の彼女って言えるようにするよ」
「まだ…彼女じゃないのか…」
「当たり前よ…さとりを説得しなきゃ」
「あぁ…そうだね…」
冗談を言いながら笑う二人を花火は見つめるように花を咲かせる
そんな日常のような非日常のような日は静かに終わりを告げた
この後もまた日常が始まる
そして霊夢がお空の事をうつほと呼ぶ日が来るのはもう少し後の話
まずはお空と霊夢の馴れ初めですね
これに関してはすべての空霊小説で共通の過去です
大前提ってやつかな…
次回からタグの黒執事を回収していきます