【更新停止】今を生きて、明日を歌う為に   作:青川トーン

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初投稿です。

―これが、最初の勘違いの始まりだった。




序章-3

 

私達の日常は酷く不安定な世界の上に成り立つ。

 

砕け散って初めて、私達はその日常の尊さを知るのだろう。

 

◆―◆

 

一夜明ければ、どうやら昨日のあれは夢じゃなかったようで、リビングに出れば早くも散らかし始めている風鳴翼さんがいました。

 

今日は仕事のようで、マネージャーさんが迎えに来てましたのでちゃんと挨拶しておきました。

 

 

そして今日の検査の為に櫻井先生が迎えに来たので。

何故、翼さんと同じマンションの部屋を借りる事になったのかを問う事にした。

「何故、あの風鳴翼さんと同じ部屋なんですか」

 

なんでそんな大事な事を黙っていた!言え!なんでだ!

 

「……その……翼ちゃん、友達がいないから……」

 

 

「……嘘ですよね?」

 

驚きのあまり思わず真顔になってしまった、そんな訳あるま。

 

「……いえ、本当よ……」

 

ちょっと残酷な上に衝撃の真実すぎた。

 

 

あんなに綺麗な人が!あんなに部屋を散らかせる面白い人が!ボッチだというのか!?

 

「……それに今はまだ言えないけど、あなたの為でもあるのよ?」

 

なんだ!?私のテクニカル対人不器用ボッチまで改善しようというのか!?そこはいいから!自分でなんとかするから!

 

「……何を考えてるかは知りませんけど、今はその思惑に乗りましょうか」

 

思わずテクニカル発言をしてしまい、櫻井先生が戸惑いの表情をみせるよ……。

 

まあ人の親切は素直に受け取りますか、1人というのも寂しいですし、翼さん面白いし……いいでしょう。

 

「そういえばもう一つ気になるんですけど、翼さんとはどういう関係なんですか?」

 

「……上司の姪っ子よ」

 

ああ~なるほどなるほど、所属してる研究機関のですね!

 

「ということは翼さんは歌でオーパーツを動かしたりするんですね」

 

ついついジョークが飛び出る、いや歌で動くオーパーツって何だよ!マクロスか!って!

 

「……ねえ」

 

えっなんで櫻井先生真顔?

 

そんなに今のジョークダメだった?

 

「どこで、それを知ったのかしら」

 

 

えっ……えっ?

 

マジで?

 

僕らの委員長で指揮官な『近藤剣司』先輩みたいに真実とか結果だけわかっちゃった系!?

 

というか漏洩したら不味いって昨日言われたばかり……ヤバいヤバい……。

 

「私は自分が触れた情報から答えを得てしまう、時々そういう所があるんです……まあ合ってる方が珍しいんですけど……」

 

あ……あかん怖くて目をあわせられない!営業スマイルが儚げな笑みにしかならない!

だ……大丈夫か!?

 

「……ふふ、脅かしてごめんなさいね?仕事柄スパイとか気をつけなきゃいけなくてね、でもよく考えてみればスパイが関係者の前で情報喋ったりするわけないし、そもそも私達からコンタクト取ったのにねえ」

 

せ……セーフ!

 

どうやら逮捕されたり拷問されたりはなさそうだ!

 

まさかテクニカル発言で社会的に死にかけるとは……極めて物騒だ!

 

「でも知ってしまった以上、あなたには特異災害対策機動部二課に所属してもらいたいの」

 

えっ

 

「まあ、時期が来たらどのみち勧誘するつもりだったけどね」

 

ええええーっ!?

 

「ちなみにさっき貴方が言った通り翼ちゃんも二課所属よ」

 

ぐ……ぐええ……都会になんて……出てこなければよかったぁ……妹者ぁ……!

 

◆―◇

 

『嘘ですよね?』

 

調査対象の少しばかりズレた性格に隠された一面の発露。

 

少しばかりセンスの残念なジョークを垂れ流しながらも時折、まるで世界を外側から見ているかのような言動でアレは突然に秘匿される真実を吐き出す。

 

『何を考えてるかは知りませんけど……今は……』

 

検査の間に回収した監視カメラの映像を確認する。

 

『ところでこれ何処かにカメラありませんか?』

 

その目が映像越しに合う。

完全なイレギュラーだ、計画に歪みを生むかもしれない。

 

『私は自分が触れた情報から答えを得てしまう、時々そういう所があるんです……』

 

だが寂しそうに、悲しそうに呟いたその姿は諦め、絶望して現実と向き合うことから逃げた人間の姿だった。

 

脅威になりうるか?ただの研究対象でしかないか?

 

『ちょっと憧れるんですよね』

 

だが結局、検査が終わるまでにアレの処遇は決めきれなかった。

 

暫定として、フィーネとしての活動の発覚を遅らせる為にアレを利用する、と云うのもアリか。

 

……だとしても、まだ判断材料が足りない。

 

そもそもアレが停止状態で腹に抱く『聖遺物』が何なのかもまだ判ってはいないのだから……。

 

『……私みたいに、いなくなってから悔やむのは苦しいですから』

 

カメラに映る調査対象は水鏡の様に映る姿をまた変える。

 

「はあ、掴み所が無いわね……」

 

◆おまけ◆

 

「私の乳とかけまして、空気と解きます、その心はどちらも掴み所が無いでしょう」

 

「な……なあ……了子くん……どう思う?」

 

「私に聞かれてもちょっと困るわ、というか挨拶代わりに超次元センスな謎掛けを飛ばしてくるのは私もちょっと理解できない」

 

「貴女のサイズで掴めないなら私も掴み所が無いと言う事になるのだけど」

 

「翼ちゃん……真面目に乗らなくていいのよ」

 

機動部二課に、真琴明日歌の極めてテクニカルな挨拶が炸裂し、それにマジレスをする風鳴翼にフィーネこと櫻井了子は頭が痛くなった。

 

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