【更新停止】今を生きて、明日を歌う為に   作:青川トーン

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アスカちゃんがオートスコアラーだったら。


アダムのキャラ崩壊あり


番外編
if番外編:オートスコアラー「アスカ・トゥルース」の自己完結


 

 

 錬金術師「真琴明日菜」によって作られたオートスコアラー「アスカ・トゥルース」、その役割は「真理」の探究。

 

 この世の何処から何処までが人の心の真実で作られた、偽りで作られているのかを知る為に彼女は生まれた。

 

「ねえアスカ、少しばかり働いて来てちょうだい」

 

「わかりました」

 

 搭載された「読心」機能により、主人である明日菜は元より、他者の考え、感情を読み取り、最適な行動をする。

 

 「真実」を得る為なら、それが残酷な事であろうと「ヒトデナシ」であるアスカは容易く実行する。

 

 そんな彼女の最初の仕事はノイズ災害に巻き込まれた「妊婦」を拉致し、適量の炭素の塵を置いてくる事、対象の意思は無用故に、脳内の電気信号、つまりは精神を破壊して拉致。

 

 そして術式を施し、母体の生命エネルギーを起点として「胎児の魂」を「賢者の石」へと錬成する。

 

 ただ理論こそ正しくとも最適な術式は試行によって実証されるモノ、12度の試行は「不完全なエネルギー結晶」を完成させるだけの結果に終わり、失敗した理由をアスカは分析する。

 

「愛の感情の伝達が必要と、推測」

 

「なるほどね、なら次は壊さずに持って……いや面倒だね、また壊してきて、私が「愛する」から」

 

「了解」

 

 真琴明日菜は「愛する者」の為に「アスカ」を作った、その愛する者とは実の姉である「真琴明日葉」。

 

 イギリスの錬金術師を祖とする真琴の一族は、錬金術の技量を強くする為に「愛への執着の呪い」を背負って生まれる。

 愛こそが全て、愛の為ならあらゆる行為が正当化され、更に「魅了」や「魔性」など更なる呪いを重ね、愛の為に更なる飛躍を目指す。

 

 真琴明日菜もまたその呪いに縛られた者の一人、幼い頃に姉を愛してしまい、そして失ってしまい、狂ってしまった錬金術師だった。

 

「早く会いたいな、姉さん」

 

 そんな狂った錬金術師の為にアスカは任務を成し、明日菜は「賢者の石」の錬成に成功した。

 

「愛の信号パターンを記録、以降賢者の石の錬成の最適化を……」

 

 これによりアスカは更にこの世の真理へと近付いたと認識しようとした、だが。

 

「黙れ人形!私の姉さんへの愛はそんな単純に解析出来るものじゃないッッ!」

 

 愛の解析を始めようとした時、創造主によって「理解できない暴力」を受け「唖然」とした。

 

「愛の定義、不能……」

 

 人間など知り尽くしたと思っていたアスカにとってそれはあまりに「理不尽」で「未知」なるモノだった。

 

 そして「愛」を知る為に、人形の歯車は狂った。

 

「プロトコル――真理の探究」

 

 真琴明日菜の失敗は、あまりにも目的(あい)を重視するばかりに自分への配慮を怠った事だった。

 

 アスカの背部ユニットから放たれた「同化ケーブル」が明日菜に突き刺さり、その命をあっけなく奪った。

 

「解析……不能――更なる情報、情報が……欲しい」

 

 しかし、命を奪った事で「電気信号」は瞬く間に霧散、愛を知るにはまるでデータが足りない。

 

 故にアスカは多くの機能を制限し、「人格」のエミュレートを優先して「人間」として世界に紛れる事を選んだ。

 

◆◆◆◆

 

 アスカ・トゥルースは旅をした。

 「愛」を知るために旅をした。

 そして彼に出会った。

 

 

「アダム、愛、愛ってなんだろうね、愛ってね、アダム」

 

 狂った事で「完全」から遠ざかった事は、アスカに「成長」をもたらした。

 

「興味ないよ、僕はそんなモノに」

 

「完全なのにね、アダムは」

 

「頭にくるよ、その皮肉はさすがに」

 

 そして完全故に最も成長に程遠い「彼」をも「嫉妬」に「狂わせた」。

 

「ここまで違うと興味深いよね、同じ作られたモノなのに」

 

 アスカはアダムの倒置法めいた喋り方を真似するのが好きだ、それは愛から一番遠い彼への興味、愛へ近づく程に絶対に遠ざかる筈の距離への興味。

 

 二人の関係は互いへの興味によって構築されていた、互いを知る事が互いの為になる、ひょっとしたらそれは。

 

 ある種の「」だったのかもしれない。

 

 

 

「取れたんだね、右腕」

 

「取ったんだよ、うるさいな」

 

 神の力が立花響に宿り、それをまた引き剥がさんとする者達を見ながら、アスカとアダムは言葉を交わす。

 

「時にアダム」

 

「なんだい」

 

「アダムには悪いけど、神の力を宿したティキが壊れた時、私は嬉しかったよ」

 

「なんでだい」

 

「恐らくはアダムを愛してたティキへの嫉妬かもしれない」

 

 オートスコアラーであるアスカは狂った不完全な機械だ、狂っている事は体に負荷をかけ続ける。

 

 真実を追い求め続ける為のマシンは、終わりへと近付いていた。

 

「愛していたっていうのかい、この僕を?君が?」

 

「……そうかもしれない、これが……愛なのかもしれないし……ただ単に壊れてきた私の、認識障害かもしれない」

 

 終わりに近づく事は「完成」する事なのかもしれない、全てには終わりがある。

 

「終わるのか君も」

 

「もうすぐね」

 

 神の力、それを得ても、時は戻せない。

 

 かつての創造主にも出来なかったのだ。

 

「寂しく、なるな……それは」

 

 アダムはここに来て初めて、自分が他者への「嫉妬」や「怨恨」以外の「情」を抱いてる事に気づいた。

 

「あ……これこそ真実、なのか」

 

「何だって」

 

「世界に……完全はあっても絶対なんてない……あの自分以外はどうでもいいって、絶対に変わらないと思っていたアダムが、変わった」

 

「―――!」

 

「愛は伝わって、完璧を狂わせて、可能性を生み出す……すごいね、これが真実なん……だ……」

 

 そして「答え」を得た事で、人形は静かに「完結」した。

 

「困るよ、先に一人で勝手に納得して、完成するなんて、ひどいじゃないか」

 

 アダムは、まさに困ったという表情を浮かべた。

 今まで存在した中でも一番わけのわからない感情をどう表現すればいいのかわからなかった。

 

 別に悲しい、という訳ではなく、少しの寂しさと、少しの嬉しさ。

 

「……祝福するよ、君が完成できた事」

 

 しばらく考え、出した答えは「友愛」と「祝福」だった。

 

「僕も、目指してみるよ、完成を、もっとも終わりじゃないけどね、君とは違って」

 

 真逆の道も、地球の丸さに沿えばいつかはぶつかる。

 

 

 

 その後「人でなくとも」得られた「友情」から力を得たアダムは、本来辿るべき末路より少しばかり違う場所へと着地したらしい。

 




アスカ母のキャラ作りも兼ねてるのでこの先本編でも似たような所業をやらかす予定。
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