【更新停止】今を生きて、明日を歌う為に   作:青川トーン

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最近オルガとサーバルちゃんスレ見てますけど控え目に言って地獄(さいこう)ですね。

それはそれとしてアスカちゃんクソ重さ発揮回です、初夜です。


夕暮れに願う

 ノイズとの遭遇率は人が一生の内に通り魔と出会うより低い。

 

 この広い世界の何処かの人知れぬ場所に現れ、人知れぬ内に消えていく分を含めたとしてもノイズ発生率そのものも相当低い。

 

 それがこうも続けて発生していては何者かの作為を感じずには居られないのが人間である。

 

 朝焼けに照らされて、戦闘を終えた翼とアスカが公園のベンチで迎えを待つ。

 

「これ誰かがノイズを操ってるんじゃないですかね?」

 

 徹夜明けのテンションでいつにもましておかしくなっているアスカが切り出す。

 

「そんな馬鹿なと言いたいが……こうも続けて、狙った様に現れればそうも思いたくなるな……」

 

「そもそもですよ、ノイズの発生率と照らし合わせてみたりしても……言っては何ですが……あのライブの惨劇にしても出来すぎてます」

 

「……奏の死も……あの犠牲も誰かの仕業だと……」

 

「そうです、ノイズを操れる力を持った何者かがノイズに対する戦力となる私達を消耗させる為にこうやって連日ノイズを出してるのでしょう」

 

「何の為……いやそうか……!そういう事か……」

 

「完全聖遺物とか響さんとかを狙ってるんでしょうね、いくら司令や緒川さんといえどさすがにノイズ相手にはまともに戦えませんから私達を先に潰すつもりなんでしょう」

 

 まるで流れるように陰謀論を語るアスカ、その目は誰がどうみても疲れていた。

 が、残念ながら全て真実であった。

 

「……ノイズを操れるなんてさすがに考えすぎじゃないかしらアスカちゃん?」

 

「あ、おはようございます櫻井先生」

 

「おはようございます」

 

 

 今のやりとりを聞いて『もうやだこいつ』といった表情でアスカを見るのは出勤ついでに迎えに来たフィーネもとい櫻井了子である。

 

「朝早くからすみませんね、でも私としてはノイズを操る聖遺物はあると思いますよ?杖でノイズを呼び出して操ったりとか」

 

 ぐるぐる目で熱く脳内設定(せかいのしんじつ)を語るアスカ。

 

「きっと聖遺物が現役だった時代の存在がですねみゃっ」

「アスカちゃんあなたつかれてるのよ、今日は休みなさい」

 

 古代文明人のフレンズことフィーネはハイライトの消えた瞳でやさしく微笑みながらしめやかに降り下ろした手刀で彼女を気絶させた。

 

――お前は!ラーの鏡か!!このイカれ娘が!

 

 最近になって流石にアスカの口から出るのが戯れ言だと気付いたフィーネであるが、同時にその口で世界の真実を暴くので胃が痛くて仕方がなかった。

 

 今日も今日とて周囲に与える痛みこそが祝福な真琴アスカ、振り向けばほら胃ズーン。

 

◆◆◆◆

 

 

 フィーネに気絶させられた後、翼に米俵の如く自室に運搬されて(ギアを纏った状態でないと運べなかった)ベッドに投擲されたアスカが目覚めた時には既に日は傾いていた。

 

「知ってる天井ですね」

 

「おはよ、マッキー!見舞いに来たわよ!」

 

「えっユミなんで私の部屋を知ってるの」

 

「マッキーが休んだから、気になって司令に聞いたわ」

 

「あっ……ああ……ありがと……ありがとうっユミ……!」

 

「えっ……なっちょっと何でいきなり泣くの!?」

 

 人生殆どを病室や自宅で過ごし、家族の見舞いこそあれど友からの見舞いなど初めてなアスカ。

 当然の如くクソ重ガール泣かぬ訳無し。

 

「私、はじめて……だから……こうして友達が見舞いに来てくれるなんて……友達がいるなんて……はじめてだから」

 

―えっと…そう!慌てるな弓美!こういうときはそう!

 

「……ずっと一人で頑張ってきたのね……偉いわマッキー」

 

 一人孤独に未来で戦い続けてきた者に対するようにアスカの優しく頭を撫でる弓美。

 

「う……うああああああん!」

 

 板場弓美がアスカの『(命に代えても)守るよ』リストに登録された瞬間だった。

 

 

 そして、その光景を扉の隙間から見守る影が三つ、緒川慎二と立花響と風鳴翼であった。

 

――凄まじく入り辛いッッ!

 

 ここ最近の多忙から散らかり放題のリビングを片付け中にアスカの泣き声を聞きつけ何事かと駆けつけたのだが、とても部屋に入れる状況ではなかった。

 

 状況がよくわからない響、アスカに溜め込んでいた何かを吐き出せる友が出来たのだと気付いた緒川。

 

 そして、自分には弱音を吐いてくれないのかと一人ダメージを受ける翼。

 

 それぞれを想いを胸に子供らしく泣く重い少女を覗き見ていた。

 

 

 

 その後、しばらくしてアスカが泣き止んだタイミングで改めてやってくる三人。

 

 一般人たる弓美を含めて話をするのはこれからの事であり、今朝アスカが思い浮かんだ可能性――暗躍する何者に対する事。

 本来ならここに小日向未来も参加する予定だったのが何の因果か、心労から季節外れのインフルエンザの発症で隔離されていた為、そちらの方はインフルエンザ菌が死滅しそうな風鳴司令が説明に向かっていた。

 

「警備の関係上、これから暫くは立花さんと翼さん、アスカさん、板場さん、小日向さんには出来るだけ近くに居て貰います」

 

「……しかし緒川さん、板場と小日向は一般人です、近い方が狙われ易いと思うのですが……」

 

 嫉妬の念などなく純粋な気持ちで翼は一般人二人を遠ざけようと提案する。

 

「逆ですよ翼さん、戦う力が無い以上人質にされる可能性が高いって事ですよ」

 

 それに対して珍しくまともな事を言うアスカに翼はああそうかと納得する。

 翼は周りの人間の自衛力がやたら高いせいで、ついうっかり一般学生にまで自衛力を求めていたのだ。

 

「アスカさんの言う通り流石に板場さんと小日向さんは戦えませんからね」

 

「自衛の為にギアを持たせてくれてもいいのよ?」

 

「板場」

 

「じょ……冗談です翼さん……」

 

 弓美に対して翼の当たりが強いのは決して嫉妬からではなく、戦士としての覚悟からである。

 その横に居る「カッコいいから」とか「ロマン」とか「放って置いても死ぬしどうせなら」で装者となったチョロいテクニカルバカに凄まじい勢いで刺さるが、軽い気持ちで戦場に立って欲しくはない、年相応に平和に生きて欲しいといった翼の戦士としての想いがキツく出ただけであった。

 

「まあそれはそれとして、ここ最近はノイズがよく出ますし私としてはユミを近くで守れるのは少し安心します」

 

「私も、未来を巻き込みたくはありませんけど……それよりも守りたいです」

 

 

――無くしたくない、守りたい、今はこの手に力があるのだから。

 

 喪失を知った人間は喪失を恐れる、かつての日々を失った立花響は今ある日溜まりを奪われたくないと願い、目の前で何も奪われたくないと願う。

 

――未来を守るだけじゃない、ほんの少しでもアスカさんや翼さんの助けにもなりたい……その為には私も強くなりたい……力が欲しい。

 

 先日のはぐれノイズ達との戦いでも、間に合わなかった命があった、目の前で犠牲になった者達が居た。

 

「自分の身も、周りも守れるくらいには……私も強くなりたいです……それが私の今の気持ちです!」

 

 その事から響は強くなりたいと願った。

 

 そしてその夜、それは一人の少女との出会いによって、強くなりたいという『願い』は『決意』へと変わる。

 

 自分自身の無力を知る事によって……。

 

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