「いきなりドリルで殺るなんてレベルが高いねえクリス、でもそれで仕損ねるのは減点だよ」
「アタシは……評価されたいが為に戦ってるわけじゃねえ」
装者の戦いから三日経ち、別々のルートを通って合流したアリーとクリス。
「だがアレで死なないとは、やはり真琴明日歌……いや……融合症例は私の想像を上回るようだ」
そして二人のギアの記録映像から分析を行うフィーネ。
作戦こそ失敗だが、新しいデータの採取に成功したが為にトータルで見ればプラス、もとよりフィーネもアリーもクリスが初陣で相手(あすか)を殺せるとは思っていなかったので想定内の失敗。
「まあそれはそれとしてクリス、後で仕置きね」
「クライアントの趣味にあまり口出しはしないけど、程々にね」
フィーネ組は、何だかんだ今日も平和であった。
―――――
クリスが仕置きを食らう一方、明日歌は謹慎を食らっていた。
「解せません、再生能力があるなら何処まで無茶が出来るか確認すべきでしょうに」
「ふざけるな馬鹿者」
たわけ、ボケる。
OTONA、怒る。
こうなった経緯としては凄まじい再生能力により無事生還し、精密なメディカルチェックの結果、完全健康体と断定されたアスカ。
しかしあまりもの健康っぷりに調子に乗ったアスカは、外傷に始まり服毒、窒息までのあらゆる「耐久実験」を提案。
それを隣で聞いていた響がドン引き、先日の戦いでやらかした翼は立ったまま失神、アニメちゃんこと弓美は「東郷さんムーブやめなよ!」とツッコミ、未来さんは「ドンビッキー(引き)」というクソ寒いギャグを思い付いて自己嫌悪、結果アスカは無事に学習室送りとなった。
「まあ正直、きちんと反省はしてますので……外出禁止解いてくださいませんか司令」
「ダメだ」
「なんで!?」
そもそも襲撃があったばかりで外出以前の問題、それに加えて「ガバガバな危機意識の歩く全方不注意」などと密かに二課で評されてきているアスカの謹慎が解かれる事は当然無く、既に10日謹慎は確定していた。
ちなみにアスカの謹慎の理由はそれだけではない、融合症例という新しい事例、何が起こるか全くわからないが故の経過観察の必要性といった点でも必然であった。
――なにせ健康でこそあるが今のアスカの体の中には腸(わた)も背骨の髄も無いのだから
ネフシュタンによる致命の一撃を受けて不自然に生きている事、自らが生物の枠から外れている事を彼女自身はまだ、知らなかった。
「(今の君は内臓が無いぞなどとは言えんか、内臓だけに……いかんいかん……俺も疲れているな……)」
人である以上、やはり疲労は蓄積する。
「ん……?どうしたアスカくん……ってオイ!」
疲れればその分、隙が出来る、そして暫く閉じ込められていて体力をもて余していたアスカがその隙をついて逃亡するのは必然であった。
「二課全員に通達、見つけ次第あのバカを連れ戻せ!」
この後、エージェント達の働きによりアスカは無事確保された。