「すまんかった」
「ごめんなさい」
前回の反省(逃亡)からEXO序盤で封印されていたマークザインみたいな状態でベッドに拘束されていたアスカの前に現れた二人の少女はいきなり頭を下げた。
「何で謝るんですか翼さん……というか弓美も何で……」
「私はお前の事をよくわからないのが嫌で、私は間違った方法でそれを解決しようとしてお前を傷付けてしまった」
「私は……翼さんにちゃんと説明せずにファフナーを見せてマッキーとの関係を改善させようとしちゃって……」
「つまり……どういう事です?それに何故ファフナー……って…あっ……」
『お前は私とお前自身のどっちが大事なんだ』
その時、アスカの中で全てのピースが嵌まった。
「あれは!!そういうセリフじゃねえです!!『私と仕事のどっちが大事なの!?』『お前を養う為の仕事だ』って奴です!!」
突然興奮しだす患者(アスカ)、オタクとはめんどくさいイキモノで間違った用法にはうるさい。
「しかし……そうすれば真壁一騎と皆城総士のスレ違いが解消された様に、私達の相互理解も進むかと思ったんだ……」
「んな訳ありません!好きですけど!私は!あんなに!拗らせていませんし!ませんし!好きですけど!好きですけど!」
人は自分が得意な話題になると早口になるという、しかしアスカも相当拗らせているめんどくさい人である事実は変わりない。
「私はファフナーが好きです!ファフナーのキャラ真似もします!生き方をリスペクトもします!でもそもそも、私は彼らじゃないんです!アニメじゃないんです!」
「ほんとのこーとさー♪」
「弓美、黙って」
「ハイ……」
そう、いくらテクニカルに振る舞おうとアスカはファフナーの登場人物ではないのだ。
「そうだな……私達は今ここに生きる人間だ……」
「わかってくれましたね!」
一通り叫び、疲れたアスカは一呼吸置いて次の話題へと移る。
「……さてまず翼さん達の謝罪は確かに聞き入れました、では次……私からも謝らないといけない事があります」
「アスカも……?」
「まず翼さんとのやりとりでファフナーめいた演技をして接してきた事、ふわふわした言い回しで分かりづらかったですよね」
「……ああ…」
「ごめんなさい翼さん、私はずっと浮かれてました……あなたは私の初めての仲間……いえ……友達、と言っていいんですかね……とにかく『信じ合う』相手だったんです」
「……今も、お前は私を信じてくれているのか?」
「勿論です、一時あの不器用なセリフの使い方で心を折られましたけど……今も翼さんの為になら私は命を使えます、それくらい信じてます」
重さチョロさ据え置きだが、アスカは人との関わりの中で確かに成長していた。
「そう、そこだ……私がわからないのは……どうしてお前は私の為に命を懸けようと思う……?」
翼はここぞと最大の疑問をぶつける。
「忘れましたか?翼さんは私の命の恩人ですよ、あの日……ただ終わりを待つだけだったイカロスに侵食された少女はあなたに救われて、今ここにいるんです」
笑顔でアスカはそう告げる。
「あ……そうか……そうだな……確かに私はあの日、お前からイカロスを切り離した……完全ではなかったが……」
「真の完全なんてモノはないです、実際その不完全で死なずに済んでますし、ほら……私のケガの治りが早いのって天羽々斬とイカロスの欠片が再生させてるそうなんですよ?だから誰が何を言おうと」
そこで一度区切り、拘束を解かれた腕を伸ばして翼の手をとり、アスカはしっかりと目をあわせて笑顔を浮かべて伝える。
「翼さんは命の恩人で、私の大切な人です」
「あ……ああああ……」
そこまで言い切ったアスカに翼は思わず涙した。
片翼(かなで)を失って以来、しばらくぶりに仲間、あるいは友に認められた事か、今までの積み重ねか、ただ少しの間、涙は止まらなかった。
――うう……まるでアニメみたいじゃないっ!
釣られて泣きそうになりながらも空気を読んで耐える弓美。
「もちろん弓美も友達ですよ、響さんとか小日向さんとかも仲間ですし、司令や緒川さん、了子先生にも感謝してます。でも一番は翼さんですから、これまでも、これからも」
「よろしくね」
いい最終回だった(最終回じゃない)
P←(フラグ)