G編なので初投稿です。
セレナ(仮)の憂鬱
プロローグ
ルナアタックから三ヶ月、アスカの葬儀を執り行う為にアスカの叔母である『明日葉』とアスカの妹である『花音』が新型潜水母艦である二課仮設本部へとやってきた。
事前に顔を会わせている大人組はともかくとして、装者組や、つい先日までもうアニメを見るだけでアスカを思い出して死にそうだった弓美の顔色は悪い。
なんせ、死んだ友達の家族と顔を合わせるなんて気まずさが爆発だ。
「アスカ、こんなに友達が出来たんだね」
「姉さん騙されてるんじゃないかと疑ってたけど……みんないい人そうだね、おばさん」
「ええ、あの子が命を掛けて守るのもわかるわ」
そのやりとりを聞いた翼が泣き出し、つられて泣き出す少女達。
「皆さん、ただ終わるだけだった筈のあのお馬鹿な姉さんの人生に沢山の色をくれて、本当にありがとうございました」
二人は決して多くは語らなかった、たとえ最後の方だけでもアスカの人生が鮮やかに彩られた良きモノだったという確信を得た二人はそれだけで満足だった。
そして簡素ではあるが、多くの者が並んだ葬儀はしめやかに行われ、遺品の一部(特にポエムノートの類い)を(情けから)引き取り、残りから良さげなモノをアスカの友人達に送り、アスカの家族は静かに去っていった。
「とはいえ何か普通に生きてそうだけどなぁ……」
「わかる……死体を確認するまで安心できないのが姉さんクオリティ、だからちゃんとポエムノートも接収しておいた」
◆戦姫絶唱シンフォギアG◆
アスカの居なくなった隙間を埋める様に翼は前に増して、歌の仕事に打ち込んだ。
奏に次いでアスカまでもいなくなり、精神をひどく痛め付けられた翼は近頃、夢を見る様になった。
それは自分がアスカと並んでステージで歌っている夢だ。
――私は何をやっているんだろうな奏、アスカはもういないのに……
――そうとも限らないぞ翼、遺体も見つかってないし案外生きてたりして。
――確かに……瓦礫に潰されても死んでなかったし再生能力も……あれ……もしかして生きてるかもしれない?
エア奏現象からのアスカ生存妄想へ到るにはさほど掛からず、現在ではアメリカでデビューした話題の二人組ユニットの片方がアスカではないかという妄想に浸るくらいには悪化。
さすがに周囲も見て見ぬふりをする情けがあっても、そろそろヤバいのではと思い始めてきた。
それが翼の近況であった。
――――
一方、彼女は何故かライブを終えたステージの上に居た。
「今日のライブも成功だったわね、セレナ」
「そうだね、ねえさん」
――どうしてこうなった!?どうしてこうなった!?
再生時の影響で髪が白く染まった頭を抱えながらセレナ……もといアスカは考える。
そう、最初は『月の落下予測が出て、『解決手段』であるフロンティア起動の為にフォニックゲインを集める』そういう名目で決まったマリアの歌手デビュー&ライブデビュー。
当然一人より二人のがいいよね!と何故かセレナ(あすか)も参加する事になった。
ユニット名はその名も『Heaven&Earth』
名前の由来は白い空のイメージのセレナと黒い大地のイメージのマリアだ。
――せっかくなら相方は翼さんがよかった!!
「頭を抱えて……調子が悪いの?セレナ……」
滅茶苦茶不安げに寄り添うマリア、真実を黙っているアスカはその分の罪悪感も感じながらちょっと儚げな笑みを浮かべ。
「大丈夫、私達がやるべき事の重さにちょっと怯んだだけだよ」
――さすがに地球の危機だ、なりふり構ってられない、けど出自をバラしたりするのは色々探られたりして最悪、実家の家族なんかが人質にとられかねないし、二課の皆さんの迷惑になりかねない。
そういう訳でアスカは今日も元気にセレナとして活動中だ。
「心配しないでセレナ……私がついているわ……」
そう言いながら代用セレナで自分の弱った心を補強するマリア。
ちなみにアスカはセレナがマリアの死んだ妹の名だとはまだ知らなかった。