ついでに最新話も更新されているんだ、すまない
私に両親は居ない、けど大事な人はいる。
「アスカ……お前はSONGに保護してもらえ」
「何を寝惚けた事を言ってるんですサン姉さん、残念ルマンにでも改名したんですか」
サンジェルマン、かつて錬金術師だった両親が死んだ後、私を引き取って育ててくれた人。
「……お前には革命の先の世界を生きて欲しい」
「今さらそれですか、本当に頭アダムにでもなりましたか?私の帰る場所も死ぬ場所も、とっくの昔にサン姉さんの側って決めてます」
カリオストロさんも、プレラーティさんも居なくなり、アダムは裏切り、今姉さんの側にいるのは、いられるのは私だけ。
「心配しないで、私は何処へもいかない」
シンフォギア装者達と肩を並べる選択をしても、命を燃やし尽くす選択をしても、それがサン姉さんの我が儘なら私はついていくし、きっと二人も、喜んでついてくる。
こちらへと向かってくる反応兵器だって、姉さんの為になら止められる筈。
「私の心は、ずっと姉さんと一緒にあるから」
完全聖遺物イカロスとラピスのファウストローブ。
イカロスは「あらゆるモノに対する同化能力と模倣」を可能とする哲学兵装、「熱」に弱いという唯一の弱点があるけど……ミサイルの一つや二つ、食べてしまえばいい。
残る「穢れ」もラピスが浄化する、完璧な二段構え。
「アスカ!何をするつもりだ!」
「――信じて」
罪も罰もしった事か、愛がこの世で一番強いんだと……見せつけてやる!
「明日を紡ぐ歌を響かせ、愛する者を守りたまえ、解き放つは我が魂」
受け止めるは私の胸、最も純粋なエネルギーが集まる場所。
「あれは!」
「うおお!?アイツが反応兵器を食っちまってる!」
この悪意に満ちた世界を浄化するのは、愛に決まっているじゃないですか。
イカロスが同化し、ラピスが浄化しイカロスにエネルギーを送り、そのエネルギーでイカロスがまた同化する。
余剰エネルギーは、暖かな光に変えてしまえ。
『あなたは誰?』
『私は……サンジェルマン』
『すごいよね錬金術って!これなら沢山の人を助けられる』
『……そうね』
『沢山の人を犠牲にしてしまったから立ち止まれない……なんて事もないと思います、少し休んでからまた歩けばいい……人間なんてそんなものでいいじゃないですか』
『ありがとう、アスカ……』
走馬灯、最後に浮かんだのはいつも無表情だったりしかめっ面だったサン姉さんがたまに見せてくれた笑顔――
「私は!私はどんな咎でも受けてよかった!どんな罪でも背負えた!なのに……罪を背負わぬあの子を犠牲にして生き残ってしまった!」
降り注ぐ黄金の光の下でサンジェルマンの慟哭が響く。
それは神の力の輝きと、浄化された魂の輝き。
「美しいものじゃないか、姉妹愛も、自己犠牲も、その関係が仮初めだったとしても」
「アダム・ヴァイスハウプト!!貴様だけは……貴様だけはッッ!」
◆◆◆◆
戦いが終わり、生きていた二人の錬金術師と共にサンジェルマン達は姿を消した。
その後の彼女らの行方は定かではないが、最近になって世界中の孤児院への匿名の援助が増えたという。
戦いの跡地に建てられた小さな石碑には、時々花が添えられている。
それを知っているのは装者達を含む一部の人間だけだった。
『世界に愛を、あなたに明日を歌う』