人類を救おうとしたセレナ・フィーネ、それを操り人類を滅ぼさんとするイカロス。
その中継を見ていた者達は内部事情を知らずともただ直感的にわかった。
裁定者イカロスこそが真の悪であり、敵であると。
「サンジェルマン、何処へ行こうとしてるの」
「あれは……私が敵とする支配そのものだ」
「早まるな、まだ我々の出番ではないワケダ」
中継を見ていたのはパヴァリア光明結社も同じだった。
「彼女らは……自分達だけで月の落下とそれに等しき敵を抱えて戦っていた……私は……」
「とにかくまだ戦いは続いてるわ、サンジェルマン」
「装者共の戦いぶりを見てからでも遅くはないというワケダ」
アスカの壮大な計画に巻き込まれたのは世界だけではなかったという訳だった。
◆◆◆◆
「アスカさん……」
「そんな……マッキー……」
仮設本部に残った響と未来、弓美もまたその光景を見ていた。
「そんなことなら……私にくらい……話してくれてもよかったじゃない…」
話すも何も全てはアスカのアドリブなのだが、弓美にとっては違った。
イカロスの支配に抗いながら、このフロンティアを起動させ、何かを成そうとした、その先に自分の居ない世界が待とうとも。
親友としてそれに気づけなかった事にただただ悔やんだ。
「私は……行くよ」
そんな中、響は覚悟を決めていた。
「響……行くんだね……」
それを未来は止める事はしない。
「私はやっぱり見てるだけじゃいられないんだ……未来」
「なら絶対に帰って来て、私が響にお願いしたいのはそれだけ」
「大丈夫だよ未来、それは絶対の絶対に守るよ」
ハッチが開き、立花響が行く。
「強いね……ビッキーは」
それを見送る弓美はまだ、踏み出せずにいた。
「私はギアが無いから行けないけれど……板場さんも選べるんじゃないかな……どうする?」
「私は……」
「理想の器、満つらざるとも屈せず。我、後悔と共に死すことなし――だっけかな……何かで聞いた一節だけど、後悔のないように、ね」
板場弓美は立花響とは違う、だから背の押し方がこれで正しいのか、小日向未来は悩んだ上で選んだ。
後悔のない様に。
◆◆◆◆
「なんだか、凄いことになりましたね司令」
「ああ、あのアスカくんがなあ……」
一人の少女が世界を巻き込んでいく、しかし中にはただただ真実に近い位置に立つ者達もいる。
「……はっきり言ってアスカくんのやらかしだと思うんだが、どう思う緒川」
「……9割くらいはきっとアスカちゃんが原因だと思います、でもきっと悪いことには……ならないと思います、アスカちゃんは優しいですからね」
「やり方が間違っていても、優しさが世界を救う、信じてみたいものだな」
世界を巻き込む少女を、信じる者も中にはいる。
――その頃、日本。
「うわ!お姉ちゃんがテレビに出てる!」
「あのバカは何をやってるんだ……」
「ていうかやっぱりお姉ちゃん生きてたし!」
◆◆◆◆
「風鳴翼、あれはアスカでもセレナでもない……!あれはセレナの仇……あれは敵だ!」
もうマリアに戦うだけの力はなかった、linkerの効果は切れ、体は満身創痍、しかし叫ばざるを得なかった。
『我が名は裁定者イカロス、抗う者共よ……全ては無意味と知れ』
――役者は……響ちゃんが居ないけど揃いました、第二幕の開演です!
――とんだ名女優だよお前は……
この演劇の協力者であったフィーネもアスカのあまりもの名演技に呆れかえっていた、ついでに言えば何故か自分まで『裁定者』に抗った『人類の味方』扱いされていてむず痒さを感じていた。
「裁定者イカロス……」
血塗れで倒れている『セレナ』と『イカロス』を見比べて翼は。
「貴様は、貴様だけは許さん」
キレていた。
しかもアスカと対峙する度にキレていた翼だが、今回は静かにキレていた。
『許しは、乞わぬ』
オマケ…実況を見て
アダム「えっ何だ知らないぞ、あれは(古代組)」
キャロル「昔、気まぐれで世話をした娘に似ている気がするんだが……」