XD未プレイです(全ギレ)
0次元、存在と無の間に黒く溶けた塊が浮かぶ。
それはかつて真琴明日歌と呼ばれたモノで、ネフィリムと2つのシンフォギアシステムの溶け合った消し炭であった。
内包していた膨大なエネルギーも霧散し、その存在もやがて無へと還っていくのを待つだけ、そのハズだった。
――生きていた証拠は遺せた、だから先に逝くだけ。
消えかけた自我で幸福な思い出を反芻していた彼女を、光が包む。
当然世界に満ちた『命の歌』、それに反応してネフィリムの欠片が『最後』のエネルギー同化能力で残骸であった体を再び形と成して砕け散る。
ロスタイム、これは頑張りへの報酬の物語。
魔法少女事変から数週間、夏を満喫していた装者達が海岸で発見したのは。
青き剣を纏った少女だった。
「シンフォギア……天羽々斬……だと!?」
初めに彼女を見つけたのは風鳴翼だった、浜辺に倒れた人影を見て駆け付けた所、それは何の見間違えようもなく、自分と同じ天羽々斬を纏った装者であった。
「これって奏さんの時と同じ……!?」
「つまり別世界の装者ってコトか……!」
ギャラルホルン、世界を繋ぐ聖遺物によって引き寄せられて来たであろう少女は二課によって回収された翌日、目を覚ました。
「あ……知らない天井です、ね……夢……でもなさそうですね」
眠っている間に行われた検査で融合症例と判明した少女が目が覚めた、そう聞いてやって来たのは風鳴弦十郎、少女はその姿を見て驚いた。
「あっ……司令……私、生きて…る……?翼さんは……皆さんは……マリアねえさんは……」
少女の言葉で弦十郎は彼女が違う世界から来たという確信を得た。
「落ち着いて聞いて欲しい」
「まさか……そんな……私だけ生き残っ……」
「ここは君が居た世界ではない」
「えっ……」
「俺達は、君を知らない」
弦十郎の言葉に一瞬戸惑いの表情を見せるが、次に寂しさと嬉しさのまじった安堵の表情を見せた。
「……よかった、仕損じた訳ではなかった様です……じゃあ改めて自己紹介を、私の名は真琴明日歌、『向こう』では二課の装者であり、ある都合でFISの装者で、マリアさんの妹をやってたりしてました、それで……まあ色々あって多分死にました」
「マリアくんの妹、だと……!?」
少女、アスカの爆弾発言に病室前でそれを聞いていた装者達に衝撃が走る。
「マリア、説明するデス!」
「切ちゃん、別世界のマリアだから、こっちの世界のマリアは違うから」
「私だって聞きたいわよ」
馬鹿は死んでも治らないというか、相も変わらず混乱の元である少女、アスカは続ける。
「それとまあ、うん一つだけ聞きたいのですが、翼さんはこの世界でも元気ですか?」
「ああ、だが何故翼なんだ?」
「……いえ、頭ではわかってるんですよ、向こうの翼さんとは……私が愛してる翼さんとは別人だって……でも好きな人が別の世界とはいえ居なかったりしたら、と思うと」
「待て、愛してるって言うのはそういう……」
「はい、命を救われ、共に戦い、共に過ごし、最後にはこの命を捧げる位には…………ああ……でも向こうの翼さんったらヒドイんですよ!?私の『好き』に何て返したと思いますか?『私も好きだぞ、いざという時は介錯を任せるくらいに』ですよ!?まったく!!だからこの命で庇ってやりましたけどね!」
このチョロインならぬ重イン、聞かれる心配がない異世界だからと随分と強気である。
「おい先輩なにやってんだよ」
「翼さん、いくら何でもそれはちょっと」
「私じゃない!こっちの私じゃないぞ!というかどんな関係だ!」
「翼、あなた……私も気をつけなきゃね……」
「待てマリア、何を言っている!?」
珍しく慌てる翼の姿を見れて満足する装者達、そしてそろそろ良いかと病室へと入る。
そして装者達を見て唖然とするアスカ。
「あの、こっちの私は初めましてかな、立花響です、向こうにも私は居ました?」
「雪音クリスだ、向こうのアタシはどうだった?」
「月読調、どうして二課からFISに行ったのか気になる……」
「暁切歌デース、こっちの私達とも仲良くしてくれると嬉しいデス」
「マリア・カデンツァヴナ・イヴよ、まあ……その、向こうの私との関係はまだわからないけど……『姉さん』と呼んでくれても……構わないわよ?」
「風鳴翼……だ、その向こうの私が大変失礼な事をしてその申し訳ない……」
そしてもう一人。
「おっ遅れました、僕はエルフナイン……えっと装者じゃないけど向こうにも僕は居ました?」
勢揃いした面子に思わず泣き出しそうな顔をするアスカ、しかしそれを抑えて笑顔を作り。
「エルフナインちゃん以外は『こっちでは』はじめましてですね、私は真琴明日歌……向こうの『皆』との違いを知る為にも、もっと皆さんの事を知りたいな」