【更新停止】今を生きて、明日を歌う為に   作:青川トーン

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前回の続きです。


番外編/2:罪というのなら、これが罰なのだろう

 ――そこに私の居た証はなかった。

 

 夜明けの空から見下ろす先はかつて自分が生まれ育った街、しかし明らかに違う街並み、地名も、道も、地形すらもまるで違うそれが、ここが違う世界である事を嫌という程分からせてくれる。

 

「はは……結構堪えるものですね……」

 

 自分が信じたものも、共にあったものも、何も無い。

 

 真琴明日歌に対する罰としてはこれ以上なく、相応しいのかもしれない。

 

 どうすれば償えるのだろうか、どうすれば赦されるのか。

 

 答えはまだない。

 

◆◆◆◆

 

 二課とFISの幾度かの戦い、あれから「謎の装者」は姿を現していなかった。

 

 響の融合症例の進行、マリアの精神状態の悪化。

 

 互いの組織の中にそれよりも大きな問題を抱え始め、その存在の優先度は下がっていた。

 

 故に油断があった、そして彼女にも油断があった。

 

「あっ……響さn……」

「えっ誰……?」

 

 融合症例、もとい明日歌といえど働かねば暮らしてはいけない。

 「路上ライブ」で日々の糧を稼いでいた明日歌は一人きりで広場に居た響と偶然にも出会ってしまった。

 

 

「す、すみません人違……」

「あっ……!!!!あなたはライブの時の装者ッ!?」

 

 誤魔化そうとしたが駄目だった。

 

「……だとして……ここでやりあいますか?罪も無い人を巻き込んで貴女は戦えますか?それに今の貴女のその体で私に勝てるとでも?」

「何で知ってるの!?」

 

 響が融合症例だと明日歌は知っている、フロンティアでの決戦においてそれが原因で死にかけていた事も。

 

「あっ……フフフ……私は全部見通せるのですよ、だからそもそも貴女が万全だとして勝てますけど、互いにここは会わなかった事にしませんか?私用事があるのd……」

 

 まさか遭遇するとは思っていなかった明日歌は出来るだけ早く切り上げて、出来るだけ蒼穹に、もとい早急に逃亡しなければなかった。

 

「立花、こんな所で会うとh……貴様は!?」

「おい知り合いk……お前は!」

 

「虚無の申し子!」

 

 そう、こうやって集まられるのである。

 

「その虚無の申し子というのはわすれてください、私のギアは……そう、展開すると変性意識……つまりいつもと違う性格になるので、変な単語が飛び出るのです」

 

 流石に恥ずかしくなったのか適当に演じたものを嘘で上塗りする明日歌。

 

「そんな事はどうでもいい、我々についてきて貰おうか、抵抗するというのなら……」

 

「待ってください翼さん、先にどうしても一つ聞かせてもらいたい事があるんです」

 

 見逃すわけにはいかないとペンダントに手をかける翼、しかしそれを響が押しとめる。

 

「聞きたい事ですか、答えれる範囲でなら答えましょう」

 

「あの日、一番最初にノイズを攻撃したのは……何故ですか?」

 

「そんな事ですか、そんな事決まってます、ノイズはどうあがいても分かり合えない敵、ただの人殺しの機械、心のある相手じゃないからです」

 

「……それって、心のある私達は分かり合えるって事ですよね!」

 

「難しいですけど、分かり合いたいという気持ちが互いにあれば、出来なくはないですね」

 

「それを聞けて、よかったです……私は、私の答えを無くさず持ち続けられそうです」

 

「相手を理解する事を恐れない事は大事です、私だって始めの頃は翼さんと分かり合えなかったり、部屋の散らかし具合に……あ……」

 

 真琴明日歌の致命的弱点は話しすぎる事である、問答になると、強い目的を持っていないときなんかはすぐに情報を吐いてしまう。

 

 風より早く、響が明日歌の手を握った、気づいて振りほどこうとするが馬鹿……もとい馬力が違う。

 

「アスカ……あなたは一体何だ……」

 

 青ざめた顔の翼が震える声で問う。

 

「もしかして私達が忘れているだけで、お前はずっと居たのか?そうでもないと今の感覚は……」

 

 明日歌の表情が曇る。

 

「なぁアンタ……どうして今、さも当然の様にアタシらの心に繋がって来た?こんなの感じさせられたら、アンタを敵とは思えねぇ……」

 

「聞かせてください、アスカさん……!」

 

 明日歌は迷った、ここで真実を話すべきか。

 

 しかしマリア達の事を、月が落ちてくる事を、フロンティアの事を知っている身としては、躊躇った。

 

 だから三つだけ話すことにした。

 

「………いいでしょう、私達は仲間でした、しかしそれは違う世界での話です……あのライブの日、私はこの世界に迷い込みました……そしてこの世界に私が存在しない事を確認して、ある時まではあなた達の戦いに介入も接触しない事を決めています」

 

「その時とは……?」

 

「FIS……マリアね……さん達との決戦の時です、あなた達はもうネフィリムと戦いましたか?」

 

「ああ、ウェルの野郎が操ってた完全聖遺物か、こいつがぶっ潰したがもう戦ったぞ」

 

 クリスが答えたので明日歌が話を続ける。

 

「それをつかっ……えっ」

 

 明日歌の表情が凍る、周囲の空気も凍る。

 

「なんで」

 

「た……立花が腕を食われ、暴走した際に破壊した……」

 

「なんでそんなことするのぉおお!!!!!どうしよう……これじゃ月が落ちてくる……!!!」

 

 明日歌としてはフロンティアが浮上する頃を伺いアメリカにあったFISの本拠地に向かい、月の軌道制御を手伝う予定だった。

 

 ちなみに明日歌は知らない事ではあるが、この世界のFISは本当にアメリカに反逆している、その基地に拠点はない。

 

「あああ!!ウェル博士なんでネフィリム外に持ち出したの!!!ってそうか!!この世界私居ないんだ!どうしようマリア姉さんメンタル大丈夫かな……切歌ちゃんと調ちゃんはいいとしてナスターシャ教授もまた醤油ドバドバ使ってたらどうしよ……それに私じゃなきゃどこにフィーネが……」

 

「……おい立花、さりげなく誘導していくぞ……」

「はい、翼さん」

「その違う世界のアタシらもきっと苦労しただろうな……」

 

 パニック状態になってる明日歌の手をさりげなく引いて誘導していく装者達。

 こうして真琴明日歌は二課に確保された。

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