【更新停止】今を生きて、明日を歌う為に   作:ゆめうつろ

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ファフナービヨンドまだ時間かかりそうですかね~?


運命

 二度と目覚める事の無い眠り、ただそれを望んでいた。

 

 

 気がつくと、明日歌は暗闇の中に居た。

 

「何故まだ、私はここにいるの?」

 

 犯した罪と罰は死で償い、それで終われたならよかったのに。

 

 友を、仲間を置き去りにして、欺いて、傷つけた罪悪感はあった、皆が自分の帰りを待っていてくれた喜びはあった。

 

 けれど死者は死者らしくあるべき、罪と共に闇の中に沈んでいくべきだったのだ。

 

 意識が段々と覚醒していく中で、暗闇の中の景色が見えてくる。

 今居るのはベッドの上で、知らない部屋、ポスターを始めとしたアニメのグッズなどからそれは弓美の部屋だと想像がついた。

 

 そして、手に握られた何かの感触にアスカは気付いた。

 

「まったく、緊急事態じゃないなら……私に身体は使わせないでくださいって言ったじゃないですか……」

 

 今のアスカに身体はない、何故ならニーベルングの指輪に宿った残留思念の様な、亡霊の様な存在なのだから。

 今、ニーベルングの指輪を持つのは、板場弓美。

 

 親友の身体を奪っているような状態だ。

 

 とにかく、早く指輪を引き抜き、弓美に身体を返そうと、手に握られた「手紙」を開く。

 

 

――おかえりなさい、マッキー。帰って来てくれて本当にありがとう。

――今はまだ叶わないかもしれないけど、また一緒に話をしたり、出掛けたり、色んな事が出来るって、私も皆も信じてるよ。

――だからビッキーの受け売りだけど、生きる事を諦めないで!存在する事を恐れないで!(ここファフ並感)

――追記:もうすぐファフナー劇場版やるらしいから楽しみだね!

 

 

 たったそれだけのメモ、だけれどアスカの心を揺らすには十分だった。

 

 嗚咽と涙がこぼれ、息苦しい。

 

「ユミ、ごめんね、私、ユミにも、皆にも、酷い事、思ってた」

 

 慣れない身体での覚束ない足取りで、机へと向かい、アスカはペンと紙を取る。

 

「本当にごめんね」

 

 涙を零しながら書きしたためるのは「手紙」。

 

「もう、消えたいなんて思わないから」

 

 相変わらずチョロいのか重いのか、どちらかにして欲しいものだけどと自嘲しながら「希望」を「手紙」に綴る。

 

 そして手紙に封をして、ベッドに倒れこむとアスカは微笑む。

 

「これは最後じゃない、いつかきっと」

 

 ニーベルングの指輪を外し、弓美に身体を返す。

 意識が消えていく、それでも。

 

「よかった、帰って来て」

 

 どうしようもなく真琴明日歌は満ち足りた気分だった。

 

◆◆◆◆◆

 

――ユミがこの手紙を読むとき、私はもう居ないだろう(※デスポエム定型だよ!本当に居なくなるわけじゃないよ!)

 

 ユミが書いてくれた手紙のお陰で、私も少し元気が出た。

 本当にありがとうね、ユミ。

 

 でも何が起こるかまだわからないから、やっぱり出来るだけ私に身体を貸したりはしないようにして欲しい。

 

 私はユミや皆が無事で、平和で、元気ならそれで十分救われる、それだけで私が居た意味はあったと思う。

 

 だけどそれで満足しない様にした。

 

 こうやって皆と出会えた奇跡、こんな形だけど帰ってこれた奇跡、だったら、また皆と一緒にいられるかもしれない奇跡が起きるかもしれないと信じる事にした、だから。

 

 またね。

 

追記:皆にもよろしくね。

 

◆◆◆◆◆

 

 板場弓美はどうしようもなく嬉しかった。

 目覚めた時、机の上にあった「手紙」

 その内容から親友に気持ちが伝わった事がどうしようもなく嬉しかった。

 

 ペンダント状態のイカロスに通されたニーベルングの指輪。

 

 突然の再会で困惑して、そして何処か暗く、ネガティブな感情を抱えている様な親友の言葉。

 

 理由はなんとなくわかった、自分を巻き込んだ事や、仲間を傷つけた事なんかだと思った。

 

 だから、それでも皆が「信じて待ってる」事を伝えたかった。

 

 それから三日、必死に悩んで、考えて、そしてようやく書き上げた短いメッセージ。

 

 返事の手紙からはそれが伝わって、アスカが元気になったという事が感じられた。

 

 それが弓美にとって一番嬉しい事だった。

 

 だから早く皆にも見せたかった。

 

 

 それだけだったのに。

 

「どうして……」

 

「さて、その指輪を渡してもらおうか、さもなくば」

「バラバラだゾ~」

 

 無数のアルカノイズ、赤いオートスコアラー「ミカ」

 そして錬金術師「キャロル」

 

 今、板場弓美は絶体絶命の危機に陥っていた。

 

「どうして!」

 

「それが、オレ達の、運命だからだ」

 

 


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