元中二病同士の青春ラブコメ?   作:いろはにほへと✍︎

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「You know you’re in love when you can’t fall asleep because reality is finally better than your dreams」

―Dr.Seuss―

『恋に落ちると眠れなくなるでしょう。だって、ようやく現実が夢より素敵になったんだから』



げってぃんぐ・あろんぐ・うぃず・あざー!

 「は?」

 

 思わず口から漏れてしまった。

 好きってあれだよね? 好意ってことだよね? あんたが隙なの、とかじゃないよね……。

 俺の独り相撲などいざ知らず、丹生谷は顔を赤らめてこちらを見ている。

 なに? ニブったらそんなに俺のこと見て、もしかして好きなの?

 一人で考えて、思わず笑いそうになってしまった。しかし無理もないと思う。受け入れられないのだ。つまり、あまりに非現実的すぎて、キャパを超えてしまった。

 

 「で、どうなの?」

 

 そう言われましても……。

 

 「えーっと、その……。丹生谷は俺のことが……、す、す、好きってことでいいんだな?」

 

 「なにつまりながら言ってんの。そうだって言ってるじゃない」

 

 うるせえな……。慣れてない人はこういうこと口にするだけで恥ずかしいの。他には愛してるとかな。ああいうことを軽く言うやつにいいやつはいない。プレイボーイかファッションビッチだと相場が決まっている。

 

 「……俺なんかのどこがいいんだ?」

 

 「正直言って、お前が一緒にいたあの先輩の方がいいだろ」

 

 「あの時の雰囲気も良かったし……」

 

 照れ隠し、というか恥ずかしさ隠しで、つい早口でいい連ねてしまった。

 

 「比企谷……。嫉妬……?」

 

 丹生谷が可愛らしく小首をかしげる。

 

 「んなわけねえだろ……。客観的事実だ」

 

 「まあ……、確かにねー」

 

 言いながら丹生谷は空を見上げる。

 いつからここにいたのかは、覚えていない。太陽は徐々に西へと傾き、夜闇が近づいていた。ぽつぽつと街灯がつき始め、はっきりと見えていた海も、近づくのさえ躊躇われるような雰囲気を出し始めた。

 

 「でも私は比企谷が好きなの」

 

 言葉の続きは単純で、それでも響くものだった。

 気づけば、隣に座っていた丹生谷は立ち上がっていた。

 後ろで手を組みながら少し歩くと、変わらず座っている俺の方にぴょんぴょんとリズムよく近づいてくる。

 俺の顔をまじまじと覗くと、またも可愛らしく小首をかしげた。

 

 「それだけじゃだめ?」

 

 「いやだめじゃないけど……」

 

 可愛すぎてつい狼狽えてしまった。ほんと、可愛いやつってこういう時卑怯だよな……。まあ、これを凸守に言われたら、狼狽えなかったけど。

 ラブコメ的な展開に入ってきているこの空気を俺は自ら破壊する。

 

 「悪いけど、俺は丹生谷とつり合うとは思わない」

 

 「え?」

 

 「確かに、丹生谷の気持ちは嬉しい。それでもやっぱ、大事なことってあるだろ」

 

 周りの評価とか、評判とかな。

 別に俺は卑屈で言ってるわけではない。自分が他人に影響を与えているということは去年、さんざん知らされたことだし、口では否定してても俺の大好きな客観性の中では否定することはできなかったし……。

 それに、評判だけとかではない。

 俺は本心から丹生谷につり合わないと思っているのだ。目の前のこいつは本当にいいやつだと思う。例えば、目の前にお腹が空いてる人がいたら、食事を買い与えた上、お金も渡し、仕事先も見つけてあげそうだ。

 対して俺は陰湿な性格で、誰かの栄光を認めることはできないし、でもそれを誰にも知られたくない、そんな人間だ。

 

 「分かんない」

 

 震えた声が聞こえた。見上げれば瞳を潤ませている丹生谷がいた。

 なんで泣きそうになっているのか、それこそ全然分からなかった。

 

 「私は必死に伝えたのに、どうして逃げようとするの?」

 

 「……」

 

 逃げようとなどしていない。それだけは自信を持って言える。

 

 「何のことだ」

 

 俺も声を振り絞って返す。

 

 「……私が答えてほしいのは、比企谷が私のことをどう思ってるのかってことだけなの!」

 

 今度は声に全ての感情が含まれているような気がした。

 見れば丹生谷はかなり近距離まで来ている。あと少しで唇さえ触れそうだ。

 一旦冷静になろうと顔を逸らして、遠くを見る。同時に、得心がいった。

 そうか、丹生谷が欲しかったのは結果からどうなるかという回答ではなかったのか。俺はまた勘違いをしていたってことか……。

 

 × × ×

 

 「正直、俺も丹生谷が好きだ」

 

 「それがいつからだったかなんてよく覚えていないな」

 

 「お前と再会してからかもしれないし、もしかしたら中学からかもしれない」

 

 「まあ、今ひとつだけ言えることは俺も丹生谷が好きだ」

 

 言い連ねた比企谷はどこか吹っ切れたようだった。

 同時に好きと言われた嬉しさが押し寄せる。

 

 「比企谷は私のこと好きなんだ……。えへっ、あはは……。思った以上に嬉しいね」

 

 さっきまで泣いていたのに、緩みきった頬が戻らない。

 次の言葉を繋ごうと、口を開こうとするとそれは比企谷に遮られてしまった。

 

 「ああ、そういう事だから。じゃあもう今日は帰ろうぜ。明日からはいつも通りでな」

 

 「……明日からはいつも通り?」

 

 「そりゃそうだろ」

 

 「私たち今付き合い始めたんだよね?」

 

 「……は? いや、え?」

 

 「え……?」

 

 互いに言っていることが噛み合わない。まあ、この場合、悪いのは百パーセント比企谷だが。

 

 「え? 付き合ってくれないの……?」

 

 私はどこかの生徒会長のように、あざとく詰め寄る。

 

 「そりゃそうだろ」

 

 「そっか……」

 

 「ああ、悪いな」

 

 「……」

 

 私は一つため息をつくと、座っている比企谷を、眠らせるようにベンチに押し倒す。

 「えっ? はっ?」と困惑する比企谷を尻目に、私は天を仰いだ。

 そしてまた一つ息を吸い込むと大きく口を開く。

 

 「だーめっ! 比企谷! 私を好きって言ったでしょ!」

 

 私は、反論する間も与えず、そのまま唇を重ねた。

 

 見開いた比企谷の目が面白い。

 

 正々堂々卑屈なこいつ。

 

 どうして好きになったのか、未だに分からない。

 

 さんざん言ってきた好きなタイプは、クールで尊敬できる人。

 

 比企谷とはまるで正反対。

 

 それでも、私は比企谷を好きになった。

 

 論理や、難しいことで語れないのが「恋」だと私は思う。

 

 そしてその「恋」を今、私はしている。

 

 新たな価値観ができて、いつも頭に浮かんで。

 

 少女漫画で一顧だにしてこなかった「恋」がこんなに素敵なものだとは。

 

 私は目の前の初恋の相手を深く見つめると、「恋」による今の幸せを離さないように思い切り抱きしめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、完結。
今まで応援ありがとうございました!

まさか、今回完結するとは……。
自分でも予想外(笑)

書き始めてからどれくらい? この作品。
かなり好きなのでアフターストーリーとかも書くと思います。
文化祭? 体育祭? 大学……?
さすがにまだ未定ですけど……(笑)

とりあえず、ありがとうございました!

アマガミが好きなので俺ガイル×アマガミ書くかも……。需要があるかどうか…(笑)
みんな、アマガミ見てくれよな!
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