オウガテイルになったんだが 作:腹ペコ
ヴァジュラを倒した時に死んだ仲間。
それを自分は埋めようと言い彼らは食べようと言った。
人間とアラガミの違い、まぁ仕方のない事だ。結局どうしたかと言うと彼らが食べることになった。自分も食べれない訳ではないが何となく忌避感を感じた。
「テメェよくも!」
仲間の叫びで意識を戻す。コンゴウの背後に1人のオウガテイルが噛み付いていた。自分に気を取られていたのだろう。背後からの接近に気付かなかったようだ。
腕を伸ばしたが届かないことが分かると体を振り回し引き離そうとする。
一旦下がらなくては。今は感傷に浸る時間はない。これ以上犠牲は出させるものか。素早く立ち上がりA班に合流する。
「ボス!!」
「大丈夫ッスか!?」
「お怪我は!?」
問題ないと答え次の行動を指示する。まだ噛み付いている彼に気を取られているコンゴウ、やるなら今だ。
針による援護をさせ自分は2、3人を連れコンゴウに突撃する。今度は無策ではない。
B班!左右一体ずつ突撃、他はその援護だ!
未だ離れないオウガテイル、程なく吹っ飛ぶと思ったが中々ガッツがあるようだ。そのオウガテイルに指示を出す。
すぐに離れろ!
吹っ飛ばされないように集中していただろうオウガテイル。こちらの指示が聞こえるか不安だったがちゃんと指示は届いていたようだ。一瞬こちらに視線を向けるとそのままコンゴウの背中を噛みちぎり大きく背後に飛び上がった。
離れるだけでも隙は出来ると踏んでいたが、噛みちぎるとは...
《パーフェクトだウォルター》
痛みに唸り声を上げ蹲る。そこに容赦なく噛み付く。
腕に
尾に
胴に
噛み付き、噛み付き、噛み付く。
もはや噛むというより捕食に近かった。噛めば噛むほど力は増していき(バーストに似たような状態だろうか)気付けばコンゴウはすっかり動かなくなっていた。
所々欠損があり無意識にガッツリ食べてしまったようだ。
全ては終わった。
犠牲は3体で群れの総数に比べれば少しと言えるくらいである。
予め犠牲が出ることは考えていた。しかし実際にその心構えが出来ていなかったことが更なる犠牲に繋がった。
以後は気を付けたい。完全になくせるとは言い切れないのが情けない限りではあるが....
「ボス!早速食べましょうぜ!!」
「もう食べちゃってるみたいッスけど」
「うまうま」
そういえばコイツらどうしてあまり凹んだ様子がないのだろうか。犠牲を責める声くらいあっても良いものだけども.....
「まぁ仕方ないことッスからね」
「死ぬ時は死ぬもんだぜ」
「弱いヤツが死ぬのは当たり前だ」
・・・そうか、コイツらはアラガミなんだ。自分の人間的な在り方とは違う。野生の動物と似たようなものか。
弱肉強食、それがアラガミ。自分が慕われているのはただ勝利しているから....なのか。
「さあさあ!コアをどうぞッス!」
「今日も大活躍だな!」
「やっぱりアンタは頼れるな」
いや今日のMVPは自分じゃない。
そう言って自分は群れから少し離れていたオウガテイルを指す。(指はないが)
「オレ?」
お前がコンゴウに食らいつかなかったら自分は死んでいた。それに自分を庇ってくれたアイツがいなかったら...
だからコイツはお前が食え
「そうですか....」
しずしずとコンゴウに歩み寄る。他のヤツらとは違い何処か寂しさを感じさせながらコアを捕食する。
既に他の部分は捕食され残っているのはコアだけだ。中型種一体では足りないかもしれないな。
狩りをするにも効率が悪い、か。中型種以上を相手するのは自衛以外では辞めた方が良さそうだ。
「コイツらはどうするんだ?」
「誰が食べるっスか?」
「全員で食う訳にはいかないな」
ん?あぁ....仲間の.....か。
・・・自分が食べよう。
「オレに、食わせてください」
さっきの彼だ。他とはどうも雰囲気が違うな、ただ腹が減っているのではなさそうだ。
理由を聞いたところ親友、のような間柄だったようだ。だから他のヤツらとは違い無邪気に喜べなかった、と。
心が生まれ始めたのだろうか。
それが良い変化なのか、悪いものなのか。自分には分からないが止める理由はない。食べさせることにした。
体はバラバラで既に霧散し始めている。食べる姿を見て自分は思い出と共に一口一口噛み締めているように見えた。
「ボス?」
「目から何か出てるッスよ?」
「なんだそりゃ?」
自分の頬を何かが伝っている。
まさか....あるわけない。反射的に拭おうとして手が無いことを思い出す。
さぁ....?自分にも分からないな
どうして出ているのか、アラガミにも出るなど聞いたことがない。
拭うこともできないので自分はすっとぼけるしか出来なかった。
「ちくしょう......」
悔しげな彼の目にも同じものが見えた気がした。
特定の誰かを指すとき名前がないと不便ですね
不便だから名前があるのでそれは当たり前ではあるんですが