オウガテイルになったんだが 作:腹ペコ
ヴァジュラから逃げるのに全力で走ったが完全に撒くことは出来なかった。それに全力で走ったせいでさらに疲れてしまった。何でもいいから食べたい。
食いたい....食いたい食いたい食いたいクイタイクイタイ
バクっと近くの壁にかじりつく。
無味だ。何か味があるわけでもなくただバリバリとした食感だけがある。
というかなんで自分は壁食べたんだ!?腹が減りすぎたら食べることにはしたが別に食べようなんて.....
もしかしたら今のはアラガミの本能なのか?腹が減りすぎると理性がなくなる?それはマズイ!
早く安定してちゃんとした食べものを得なくては!
「グラァッ!!」
《グラッ☆》
なんて言っている場合ではない。今の咆哮はヴァジュラだ。近くまでヴァジュラが迫って。とにかく隠れなくては。また針飛ばしなどでエネルギー...オラクルを使えばまたさっきの状態になりかねん。それは避けなくては。
あくまで自分は人間だという...だったという認識は持っていなくては。ただのバケモノに成り下がる。
近くの教会跡に駆け込む。通路が一方向からしかない...つまりもしここに捕食にでも来られたら一巻の終わりというわけだ。ステンドガラスの位置は高過ぎてオウガテイルでは逃げられない。やはり出た方が良いだろうか?
「グラァァァッ!」
「ガウッ!」
「ガウガウッ!」
壁一枚挟んだ向こうから叫び声やら何やらが聞こえる。ヴァジュラだけではなくどうやらオウガテイルも複数いるようだ。これはもしやいけるか?
最初のムービーで確かオウガテイルが何匹かヴァジュラの死骸を食べていた。これはもしかしてワンチャン....?
思い切って教会跡から飛び出し仲間(仮)が戦っているだろう現場を覗きみる。
すると案の定さっき目潰ししたヴァジュラと5匹程のオウガテイルの群れが戦っていた。辺りに何匹かオウガテイルが倒れているので本当はもう少し多かったのだろう。
2匹ほどでヴァジュラを引き付けて残りが針を飛ばしチマチマと削っているようだ。そんなので倒せるのかと思ったがさっきの電撃無駄遣いのせいか動きがどことなく鈍いように見えた。それに電気の出力も少なそうだ。
いける!いけるぞ!
ここは加勢に入ろう。上手く行けばお零れを貰えるかもしれないしそのまま群れの仲間入りも出来るかもしれない。
針を飛ばすのはオラクルがヤバいので出来ないが引きつけることくらいは出来る。ドスドスと叫びながらヴァジュラに突っ込む。
「ガルァ!!」
針を飛ばしていたオウガテイルはギョッとしてこちらを見たが同族の姿で安心したのかまた針飛ばしを再開した。
ヴァジュラが前足を払うそれだけで引き付けていた1匹は吹っ飛んだ。壁に激突する。原型は留めているが動く様子はない。1匹減ったが自分が入ったのでプラマイゼロだろう。・・・アイツ大丈夫だろうか。
ヴァジュラは目が見えていないのでこちらが声を挙げるとそちらに向かってくる。たまに針が来た方向に向かおうしたりもするがそういう時は突撃してでも止める。前足のなぎ払いだけで吹っ飛び命を落としかねないのだが何故だかそうすることに迷いも恐怖もなかった。
「グラァァァッ!」
バチバチとヴァジュラの体に僅かに電気が迸る。
「ガルァッ!」
もう1匹の囮に思わず下がれ!という意味合いで吠えるとそれを理解したのかバックステップを行う。すると予想通り周囲に電気を発生させた。攻撃の予備動作などもゲームと同じようで助かった。
「グラァ...!」
ヴァジュラがバランスを取れずよろめき始めた。あと一押しか?
するとそこで不意に姿勢を低くし、
「ガルァ!」
今度は来るぞという意味で針飛ばしチームに叫ぶ。またも自分の意思が伝わったのか飛び込んできたヴァジュラを見事に避けて見せた。
何かしか意味を込めて吠えれば伝わるのか。細かい意思疎通は出来ないのかもしれないが今はそれだけ分かれば十分だ。
予備動作を見極め攻撃に注意を促しそのままジワジワと削り続ける。
「グラァ......」
そしてついにその巨体が倒れた。
「ガルァァァァッ!!」
思わず咆哮を上げてしまった。するとそれに呼応したのか他のオウガテイルも
『ガルァァァァッ!!』
と叫んでくれた。なんと言うか....すごい達成感だ。本当にオウガテイルで(色々弱体化していたとは言え)ヴァジュラを倒せるとは。まぁヴァジュラテイルなんてのもいるくらいだから倒せない訳では無いのかもと思っていたが....
とにかくようやくちゃんとした(?)飯が食べられる。まずは他のオウガテイルが食べ始めるのを待つとしよう