GARO×艦隊これくしょん ~Iron blood Horizon~ 作:ジュンチェ
咆哮 ー前編ー
…………海
遥か古より、命を育んできた存在であり地球という惑星(ほし)に生きる者たちの母。時に静寂で美しく、荒々しく猛々しく…優しくて無慈悲な海。その底は…光が届かないけど暖かくて暗い……ふと気を抜けば、そのまま融けてしまいそうにになるくらい…
その海底から現れる人に仇なす異形たち『深海棲艦』。
それから、力無き人々を守る戦船の記憶を宿した少女たち『艦娘』。
……その戦いは双方譲らず、やがて泥沼化しつつあった。
だが、忘れてはならない。どんなに時代がうつろいで変化しようと人々から邪心・業…即ち『陰我』が消えることはない。世の闇に潜むホラーとの戦いは終わらないのだ……!
今宵、新たなる魔戒騎士の物語を語ろう。混乱の世に産まれ落ち、憤怒に身を焦がしたある男の生き様を…
………そこに、ふわりと浮いていたのはドクロの指輪。不気味だが造りこまれ…紅い眼がこちらを無機質に見据える。
『今宵………新たなる魔戒騎士の物語を語ろう。呪われし烙印を受けた黄金騎士の物語を………』
☆★ ☆★
この時代、表だって怪異・魑魅魍魎と呼ばれる存在は人々の文明による光によって淘汰され…その輪郭と意義を失っていったものが多い。確か、妖は人の畏れが見せる刹那の幻と誰かが言っていたような気がする…まあ、どうでも良い。
………問題は遥か古の時代においてからも、人々の営みの闇に潜み…『人を喰らう者』がいるということ。
「…ココまでくれば良いか。」
この廃墟の並びの何処かに確かにいる。足元が海水で浸かるのも気にせず、無骨な鋼色に鈍く輝く大剣…俗にいう斬馬刀に部類されるやも知れぬそれをブンッと振るい水面を裂く男。
黒のアンダースーツは所々避け、かつてはコートであったろう白いボロきれがマントのように首からなびいている……。猛禽の毛並みのような黒の頭髪にまた準ずる鋭い眼………
男は来るべき来客を待ちわびていた。
『囲まれたな…。』
「いつものことだ。」
…夜独特の澄んだ空気は徐々に淀んでいく
左手の指輪がカチカチと口を動かして警告すると同時に物陰の合間から……朽ちた屋根の上から……次々と『シュゥゥ…』と醜悪な獣の吐息が聞こえてくる……
『気をつけろ。深海の奴等もいるようだ。』
「構わねえ。纏めて叩き斬る…!」
『お前の場合は斬り潰すと言ったほうが正しいかもな。』
大小、幾つもの禍々しい異形のシルエットが囲んでも男は怯まない…。無骨な鎚ごとき刃を左手の甲にあてがうように構えると月光に照らされた左頬の傷痕が怪しく光る。
……時はきた。
「…さあ、来いよ。」
『『『『『シャァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!』』』』』
その夜、廃墟の海辺では激しい獣の唸りと咆哮に断末魔……血肉が迸り、裂かれる音が夜があける近くまでしたという。
牙狼<GARO>×艦隊これくしょん
~鉄血ノ水平線<Iron blood Horizon>~
第 一 章
『憤怒』
☆★ ☆★ ☆★
「…不幸だわ。」
…あんなに空は青いのに。そして、今日は非番だったはずなのに。
白い巫女を想わせるような彼女は空を見上げる。ただ、腰には戦艦そのものを切り出したような砲台が2門のそれが4基…頭には髪飾りのような艦橋がある。絵に描いたような大和撫子な彼女だが、表情は浮かない。
「山城、嘆いてても任務は終わらないよ?」
近くでは同じく砲台こそないが、戦艦の部位を背負うような少女がひとり。軍服のスカートなのだろうが、それを女子高生の制服のように着こなしている…。彼女、『鈴谷』はいつまでも憂鬱そうにぼやく同僚『山城』に声をかける。
今、辺りは潮が引きつつあるがまだぬかるむ砂地の廃墟…ここの調査を任じられて彼女たちはここに来たのである。どうやら、昨晩にかなりの騒ぎがあったらしく物騒なのでということで山城の休日は消え失せたのだ。
「なんで私なの?別に軽巡とか駆逐でも事足りるでしょ?」
「深海棲艦もいる可能性あるし、調査なんてうちの駆逐の子らじゃ朝潮抜けば心もとないじゃん。それに、能代は遠征で夜戦バカは寝てるし、自称アイドルは何処か行ったし……あと、もうそれなりにフットワーク良くて艦載機使えるのなんてうちらくらいだし?いざとなったら、火力が頼りになりますから山城さんは。」
「なら、伊勢は?」
「特別な瑞雲を捜しに行ったわ。日向と…」
「逃げたのね。」
絶対に許すまじ。心の中で同僚への怨念と運の悪さを嘆きながら渋々、廃墟を進んでいくと…明らかに自然災害のそれとは違う家屋の破壊がチラホラと見えてくる。これらを鈴谷は顔を近づけて観察していく……
「…確かにこの柱の折れたやつとかまだ新しいやつだね。でも、深海の奴等が暴れたにしては妙かな?何かどデカイ刃物で叩き斬ったような……」
「砲撃の跡も少ない。更に派手に壊されてるけど、何か変だわ。」
「取り敢えず、蒼龍に報告しますか!熊野の様子も気になるし!」
そして、パシャパシャッとカメラのシャッターをきるとラジコンの水上機らしきものを左腕のグローブへ。これは、カタパルトそのものになっており水上機もこれにおさまるとカメラから外されたフィルムが取り付けられる。これで準備完了…左腕カタパルトを青空の彼方へ掲げると………
「さあ、いってらっしゃい!!」
バシュッ!と弾けるような音と共にそれは舞い上がっていった…。
プロペラが音をたて、小さなエンジンが音を鳴らして目的地へと飛翔する………
………やがて、眼下は廃墟から砂浜…海辺の瓦屋根並ぶ旧き風貌の町並みへと変わっていき………ある所で旋回して円を描く。
それに、気がついたのは団子屋の長椅子に座る鈴谷と同じ制服を纏うポニーテールの少女。和風な景色に不似合いな紅茶が仄かに香るTカップを手に『あら?』と首からを傾げるやいなや、団子の皿の隣にそれを置き…足元へと立て掛けていた鈴谷の纏っていたのと同じ軍艦を模した装備を身につけた。
「流石、鈴谷……仕事が早いですわ!着艦を認めます。さあ、こちらへ!」
左腕のカタパルトを突き出して、指示をだせば機影は機種を反転させて滑らかに下り坂を描きながらゆっくりと描きながらこちらへ向かってくる…。そして、ガチャンッ!!と金属の衝突音をあげて着艦し、展開されたシャッター部の中へと消えていく。
さあ、これで任務完了。
「蒼龍、鈴谷たちは終わりました!」
「へぇ、思ったより早かったじゃない?ま、良いけど……」
後ろで優雅に団子を食していた着物姿のツインテールをした少女に声をかける。すると、彼女…『蒼龍』は立ち上がると矢筒に弓…そして、熊野のものより大型で盾のような飛行甲板を左肩に背負う。
「収穫は…?」
「目立ったものは無し。行方不明になった白露型の痕跡は取り敢えずは……」
「……そう。心配ね…ここ、最近は大規模作戦こそ無いものの何かと物騒だから。」
「無事を祈るしかありませんわ。」
彼女たちは自分たちの仲間を捜ししにきていたのだ。山城や鈴谷は海側へ…熊野と蒼龍は街中で聞き込みを任されていたのだが………
「成果は結局、0……か。あとは艦載機が戻ってき次第……」
諦めてこの場を後にしようとした。どうせ、獲られるものなんてまず無いだろうし……
「だ、誰か助けて~~~~!!!!!!!」
「「!」」
と、思った矢先に悲鳴。何事かと思っているうちにまだ年端もいかぬであろう黒いセーラー服の少女たちがこちらに駆けてくる……。黒髪と金髪がそれぞれ戸惑う蒼龍と熊野の後ろへ逃げ込み、泣きじゃくりながら震える…。すると、熊野はあることに気がつく。
「蒼龍、この娘たち!?」
「!…行方不明の白露型!?確か、時雨と夕立…!」
そう、彼女たち…黒髪おさげは時雨、長い金髪をサラサラとさせているのは夕立……文字通り、蒼龍らの『捜しもの』 である。見つかったのはまず良いとして、明らかに彼女らは逃げて…怯えていた。
「お、お願い!た、助けてほしいっぽい!!」
「落ち着いて!何があったの…!?」
涙目で今にも、崩れそうな夕立を宥めながら状況の確認を急ぐ蒼龍。しかし……
「……おい、邪魔だ。アンタら。」
「「!」」
ズシッとした足音と唸る獣のような声で全て察した。ああ、そうか……追われていたのだ…この悪鬼のようなこの男に。元はコートだったらしい白いボロキレのようなマントに筋肉質な肉体を浮き上がらせるバイクスーツ……そして、道行く人々すら視界に入るや逃げ出す何よりも禍々しく威圧的に主の肩に乗る『斬馬刀』。
これを見るや、時雨と夕立は『ひっ!?』と一層に身震いを強くする……。間違いない、原因は奴だ。
「止まりなさい!なんですの、貴方!?」
「退けと言ったはずだぞ…?死にたいのか…?」
熊野が警告するも、男はゆらりと斬馬刀を構える…。無骨で刃こぼれも見えるが身の丈もあるやも知れぬ鉄塊は振るうだけで鎚と同じであろう。されど、蒼龍も恐れずに弓を構える。
「その剣をおさめなさい!私たちは『艦娘』よ!!手を出せばただじゃ済まないわ!」
「…ッ!!」
男は苛ついた。用があるのは後ろの奴等なのだ……ここで取り逃がすわけにもいかない。
一方、これを好機と一目散に振り返らず逃げ出す時雨と夕立。『ちょ、ちょっと!?』と、蒼龍たちがあわてるよりも早く男は素早く行動を起こす!
「逃がさねぇ。」
力強く、アスファルトが砕けて舞い上がるほど地を蹴った。重厚な肉体を立ち塞がっていた少女たちの頭上を踊らせ……隕石のように逃げる時雨・夕立の前にズンッと着地。退路を塞ぐとそのまま、滑るように走って勢いを乗せ斬馬刀を胴体真っ二つルートで振り抜……ッ
ーーバシュッ!!
「!」
刹那、それを妨害したのは蒼龍の矢。男の頬をかすめた一矢はバランスを崩させ、斬撃をあらぬ方向に。そのまま、矢は光を発してプロペラ戦闘機に変身すると反転から一気に容赦なく弾の嵐を見舞う。男は慌て、避け斬馬刀の刀身を盾代わりにこれを凌ぐ。
そして、これが『蒼龍の致命的な隙』となったのを時雨は見逃さない。
ズドンッ!!
「…え?」
撃たれた…と理解した時には夕立が首を羽交い締めにしていた。いや、何故だ…?何故、自分は助けようとした彼女たちに攻撃された?
「動くな、ぽい。」
「「!」」
「残念だったね、魔戒騎士……少しでも動けばコイツの頭をふっとばすよ?」
時雨は自分の腕に装着された黒の砲を蒼龍の頭に突きつける。こうなれば、男も動けない……その様子を確認するやニタリと笑い……獲物を巣に持ち帰る獣のように蒼龍を連れて少女たちは跳躍して去っていく。
逃げられた……男は歯軋りし、熊野はわけが解らずあたふたするばかり…
「……くそが!火羅(ホラー)!!」
だからといって、八つ当たりに走ってはいられないと理解している男。彼は斬馬刀を模様が入った黒帯で素早く巻き、背中に引っ提げるとすぐに後を追う。
……さて、間に合うかどうか。
<< G A R O >>
→後編へつづく
艦 こ れ ロ グ イ ン で き な い ん じ ゃ が ……
そのうっぷんと勢いで書いてしまった。後悔はしていない。
はい、今作は艦娘だろうと情け無用スタイルで行きます…ええ、つまりあの姉妹の運命は牙狼的に考えるともう御察しですのじゃ。
……あ、斬馬刀じゃなくて魔戒剣じゃね?って絶対くると思いますので最初に言っておきますが理由はちゃんとあります。物語が進むにつれそれについては追々。
感想おまちしてます。