GARO×艦隊これくしょん ~Iron blood Horizon~ 作:ジュンチェ
提督のミナサーン、資材溶かしてますかぁ!?(イベント的に)
イメージop『月華』
「不幸だわ…」
山城は水面に沈みかけながら呟いた……。
ー 不 幸 ー
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」
『グゥゥ…!?』
吹き荒れ狂う魔導火!闇夜を喰らわんとするごとき業火にガシャスケルトン……木曾は斬り刻まれていく。そして、全てが終わった時…彼女は静かに砂浜に倒れ、姉の膝に抱かれていた。
「……ごほっ、げほッ!すまねぇ、北上姉さん…最後の最後でカッコ悪いとこ……ぐっ…見せちまった。」
「木曾…」
察する。彼女の存在は今、消えようとしている…。轟牙は鎧を解除し、せめてもの慈悲と姉との最後の時間を…火羅ではなく艦娘としての最期を見届けることにした。その隣を村雨が駆け抜けていく。
「木曾さん!!駄目です、死んだら…!」
「村雨…。無理言うな…」
「だって…!だって…、私は…白露型(わたしたち)は貴女に何一つ、報いてない!!あの地獄のような日々から庇ってくれた貴女に…」
泣きじゃくって、セーラー服をゆするも木曾は静かに微笑むだけだった。もう、覚悟しているのだろう…自分の『死』を。なればこそ、潔くある。それでも泣く村雨に彼女は額に指先を当てた…
「…なら、俺が守るはずだったものを守ってくれ。命を……俺達の大切な場所を…」
「うぅぅ……うっ!!」
「泣くなよ?頼んだ……村雨。」
やがて、彼女の肉体は塵になりはじめた…。風に吹かれ、やがて鉄でも魔でも無くなり世界へ還っていく……
完全にその輪郭も、彼女であった全ても無くなると…村雨は大声をあげ涙を流し…北上はそれを抱き締めていた。
☆★ ☆★ ☆★
……それが、ほんの数日前
「北上さん、あそぼ~~!」
「遊んで!遊んで!」
「雪風は沈みません!!」
「あ~~もう、無理無理!やっぱ駆逐艦うざい!大井っち、助けて!!もうギブギブ!!」
「駄目ですよ、北上さん。木曾の代わりに駆逐艦の世話するって言ったの北上さんじゃないですか。(駆逐艦に振り回される北上さんも可愛い~~)」
鎮守府の庭で北上は元気いっぱいのチビッ子たちに囲まれており、慣れない世話係を大井が笑っている。すると、見かねた村雨が駆けつけて『はい、は~~い!』と手を叩いた。
「それじゃ、チビッ子さんたち!今度は村雨お姉ちゃんとかけっこよ~~!よ~~い、ドンッ!!」
「「わ~~い!」」
「かけっこでも雪風は沈みません!」
「あ……ちょっと、待って……流石にきつい…ぐえっ」
とうとう北上はダウン。仕方ない…と彼女をお姫様抱っこする轟牙。取り敢えず、そこらのベンチでこのグロッキーを休ませるか……
…さて、
「大井だったな?恨み言ひとつやふたつ……無いのか?木曾はお前の妹でもあるしな…」
轟牙が木曾を斬ったことは彼女も知っているはず。そして、木曾は彼女の妹でもある……恨みを持たれてもおかしくはない。だから、この際に彼女の気持ちを確認しようと思ったのだ。
「……恨むなんてしませんよ。いいえ、寧ろこれが一番の結末だった。毎夜、荒ぶるあの娘を抑えてなんてもう限界だったし、この大切な場所を自分の手で壊すなんて絶対に望まなかったでしょうから。」
「だが……」
「私達は艦娘。姉妹や仲間といつ別れると知れぬ……だから、私達は今を悔い無いよう生きる。誰かを悲しませないために、生きるために戦う。そう覚悟を持って生きてるんですよ、私達は。」
……解る。強がりだ。
妹を失って悲しみを持たない姉などいない。されど、力強い瞳は落涙を許さない。強がりであっても強いのだ……彼女の心は…
「失言だった、忘れてくれ。」
これ以上、ウダウダするのは男らしくない。背を向ける轟牙……と、その時……
「みぃぃぃ…つぅうう、けぇぇぇぇぇたぁぁぁ!!!!!!!!」
「げ…」
「あら、山城さん?」
さながらドロドロと怪談に出てくる幽霊さながらに現れたのは山城……見据えているのは轟牙…明らかに尋常ならざる形相。あ、何か想う節ありだと大井は悟る。『殺す。』ただその一言を皮切りに砲を背負い、襲いかかっていく!反射的に轟牙は彼女を避け、一目散に逃げ出した。その姿に大井は『はぁぁ……』と溜め息をつきながら見送っていた。
「意外と仲いいのね…。で、何があったかは……」
「よせ、ありゃ事故だ!?知らなかったんだ、つーか…文句なら烈夢の奴に言えよ!アイツが風呂場に誰もいないつったんだからな!」
「うるさい!黙れ、そして死ね!!」
「提督が山城の修理中を忘れて、お風呂に連れてった…ってところかしら。そこらの下手なラブコメみたいね……」
ま、放っておこう。関わる道理も庇う義理も無い……その後、動けない北上を膝枕して至福の一時を満喫する大井であった。
☆★ ☆★ ☆★
「……で?鎮守府の奴等と大本営にはどう報告するつもりだ?」
緑の軍服を着た男…憲兵が執務机に腰かける烈夢に問う。すると、烈夢は手を組んだまま深刻な顔で答える。
「木曾は独自で夜間巡回中、深海棲艦と遭遇。奮闘するも援軍、間に合わず大破炎上…撃退に成功するも治療も虚しく轟沈。そういう創作(シナリオ)になるわ。」
「まあ……それが、一番に良い終わり方か。」
憲兵は無精髭を撫で納得する。木曾はこの鬼ヶ島鎮守府で面倒見の良さから人気が高く、提督である烈夢も大きく信頼を寄せていた。そんな彼女が火羅としてではなく、艦娘として生き抜いたと記せばせめてもの彼女の魂の報いになるだろう。そして、鎮守府で艦娘がバケモノになったと混乱が起こることもない。一件落着……
「いいえ、まだ何も終わってないわ。」
…などしていないと烈夢。机の上に出したのは木曾の眼帯だった。彼女の火羅の気配を隠し、堕ちた自覚を誤魔化していたもの。
「この魔導具を作った奴…もしくは木曾に与えた奴がいる。それが、白露型を含め今回の発端にいるのは間違いない。つまり、解るでしょ?」
「黒幕がいるとしたら…俺達と同じ『魔戒法師』か?」
そう、こんなものを造れるのは烈夢らと同じ魔戒法師のみ。恐らく、道を外れた外道の者。
烈夢は静かに怒りに震えていた…。魔戒法師として…愛する艦娘を奪われた提督として……
「絶対に………許さない……」
☆★ ☆★ ☆★
「たく、山城の奴…」
やっとの思いで山城を振り切った轟牙。散々走り回って今は港エリア……見れば次々と艦娘たちが発進し、果てない水平線へ向け波の狭間を滑るように駆けていく。恐らく、遠征か何かだろう…先頭には熊野と鈴谷がいる。自分より小さな艦娘、確か駆逐艦娘と部類される少女たちを率いる様子は快活ながらも勇ましい。
そんな様子を見届ける見覚えがある人影が港の先端に…
「……蒼龍?」
緑の着物にツインテール…うん、彼女だ。
「蒼龍!」
「ひゃっ!?……ご、轟牙さん……脅かさないでください。」
「さんはいらねぇ。見送りか…?」
「え?……えぇまあ…」
どうも挙動不審な態度だ。大方、察しはつくが……
「…」
「……」
あえて、口にはしない轟牙。多分、木曾のことだ…白露型に続き今度は自分に親い者まで火羅になったのだ。仕方あるまい……
無理して不安を掻き出してやる必要も無い。すでに、怯えを秘める横顔にかけてやる言葉は……
「安心しろとは言わねぇ。だが、守ってやるさ…俺が届くところまでならな。」
「!」
ぶっきらぼうだが、彼なりの優しさ。この手は例え魔戒騎士であっても万能には程遠い……されど、剣が…手が…届くものがあるならこの身を火羅と戦えない彼女たちの盾・抗うための牙である。そんな意味合いを込めていた。数秒後、自分で言っておいて気恥ずかしくなり顔を背けるのだが、蒼龍はそんな彼の顔を覗きこみ伺うとクスッと笑う。
「…優しいんですね?」
「…」
「うふふ…ありがとう。なら、海の平和は…私に任せて。二航船の名に賭けて絶対に守ってみせますから!」
「ああ。」
少しは気が楽になっただろう。彼女の笑顔に轟牙も無意識に口元を緩ませた……
『コイツは驚いたぜ。轟牙…お前さん、笑ったのはいつ以来だ?』
「…っ、ザルバ!?」
「ふふふ…あはははははは!!おかしい!」
ついでに魔導輪にまでおちょくられてしまう始末だったが不思議とそこまで気分は悪くない。そう、こんな時間がいつまでも続いたら幸せだろう…
…続くわけもないが
「楽しそうだな、黄金騎士?」
「!」
不意にかけられた声、振り向けばそこには黒づくめのローブを纏う16歳ほどらしき少年がいた……。
< G A R O >
→後編につづく。
☆独眼牙狼
轟牙の纏う牙狼。左目を失っている。
口元をマントで隠し、顎はアニメ版動揺に吼えるギミックもあるが特撮設定の魔導刻もあり。手首などのギミックからワイヤーを出せる。
☆鬼ヶ島鎮守府
魔戒法師・烈夢が提督として指揮する鎮守府。艦娘たちは魔戒法師の存在を知らないが、のびのびと日常を過ごしている。激戦区から少し離れているため着任している艦娘は少ない。
感想お待ちしてます。