GARO×艦隊これくしょん ~Iron blood Horizon~ 作:ジュンチェ
~《Iron blood horizon》~
「痛い!痛い!やめて…!!」
ひとり取り残された山城を異常な事態が襲っていた。網を突然、かけられたかと思うとぞろぞろと現れた人間たちに囲まれ棒やら農機具で袋だたきにされていたのだ。
「艦娘!くたばれ!!」
「うちの息子を返せ…!」
「化物!化物!!海に帰れ…!!!」
「ここは人間の住みかだ!死ね!死ねぇ!!!!!!」
理由はわからないし身に覚えの無い罵詈雑言の嵐。共に、降り下ろされる凶器が山城の身体を傷つける……
そこへ、駆けつけた轟牙…
「何してんだテメェらァァ!!!!!!」
咆哮のような怒号が響き、彼は村人たちを蹴散らし…一緒にいた白銀が魔戒剣で網を切って彼女を救出した。何故、この村の住人たちは山城にこんな真似をしたのか…このリンチに轟牙の膓の奥からふつふつと怒りがこみ上げる。その時、ザルバは声をだす。
『落ち着け轟牙。ここに、火羅はいない。』
「…なに?」
なら、この村人の行いの理由が全く説明できない。すると、彼等へ口を開く白銀。
「俺達は鬼ヶ島鎮守府の者だ!その艦娘に傷つけてただで済むと思ってんのか!?」
「うるさい!!化物にはちゃんと首輪くらいつけとけ!!」
「お前らなんか、深海の奴等と同じよ!」
「…んだとぉ!?」
だが、相変わらず罵詈雑言で話にすらならない。すると、山城が立ち上がり……
「良いのよ。」
「…山城?」
「早くここを離れましょう。ああ、不幸だわ……」
村人たちを糾弾することなく背を向け歩いていく。続けて村人たちは石を投げだしたが、轟牙の獅子ごとき睨みですぐに彼等はたじろぎ引っ込んでいった。
暫くして、村の入り口で追いついた轟牙は彼女に問う。
「おい、山城……」
「は?なに?同情なんてなんの得にもならないからやめてくれる…?」
「山城!!」
「きやすく呼ばないで!」
理解出来なかった。このような仕打ちを不幸の一言で済ますなど普通は考えられない……仮にも人間を守っている艦娘であるなら尚更、守られる存在に傷つけるなどもってのほかだ。そんな彼を振りほどき、彼女は距離をとる。これを見かねた人物が木の影から現れる。
「鎮守府の……方たちですね。」
「「「!」」」
それは、汚く汚れた白と緑のセーラー服を着たまだ小学生~中学生くらいの少女だった。花の髪留めをつけた黒髪は傷んで幼さある姿にはあまりにも痛々しい。いや、それよりも…艦船を模した装備は…
(艦娘……行方不明の駆逐艦か……?)
「…帝都第壱鎮守府の如月です。」
「帝都の艦娘!!意外と早かったわね…鬼ヶ島鎮守府の山城よ。貴女をさがしてたわ…!」
轟牙が予測したとおり。お捜しの艦娘だ…確か、深海棲艦との戦いで座礁したらしいとか。山城が駆け寄ろうとするが、轟牙が一旦止め…魔導火ライターで瞳をチェック。反応は無し…火羅ではない。すると、バランスを崩しかけた如月を白銀が支える。
「良かった、無事のようだな。こんなとこ長居は無用だ…!とっととズラかろうぜ。」
「待って。まだ、舞風と赤城さんが…!」
この場をあとにしようとはやるが、如月によればまだ艦娘がいるらしい…指さしたのは村はずれまで続く林。ならばと、轟牙は歩を出した。
「その娘を頼んだぞ、白銀…山城……!俺は艦娘を捜す!!」
そして、暫く走るとザルバを辺りにかざして気配を追う……微かだが臭いを感じる。近い…
……火羅の気配が
意識を集中させると女性が弱り、倒れかけているにも関わらず村人が石を投げ……そこに水蜘蛛の影が窺えた。直後、彼女を邪気が包み異形へと姿を変える。
『間違いない、ここで魔界のゲートが開いたようだな轟牙。』
「奴か……」
この件…水蜘蛛が糸を引いているのは間違いない…蜘蛛だけに面倒なことを。なら、ただの火羅とはわけが違う…シラツユツヴァイの時のような知略的な行動をとるはず。また、艦娘の特性をあるといったことを考えれば……
『まずいぞ、もうじき夜だ…』
「ああ……」
……火羅の時間が近い。急がねば
★☆ ★☆ ★☆
「この地域は一時は大変な激戦区でした…」
一方、取り残された一行は如月から現状の説明を受けていた……
「時にはあまりにも激化した戦闘は時に人里すら省みないほど大規模に……あの村はその災禍に巻き込まれたんです。当時の艦娘たちも戦うのに精一杯で村を守る余裕なんてとても…」
「結果があの村人の態度か……。全く救われないぜ。」
「…っ」
白銀が吐き捨てた台詞は如月の胸を締めつける……守る存在が守った者から憎まれるなど甲斐が無い程度の意味合いだったが、彼女…否、艦娘にとってはその事実はもっと重い。
「私はこの激戦区応援のため浦島鎮守府の連合艦隊に合流していたのですが…大破した赤城さんを舞風さんと護送中に敵からの急襲を受け…そのまま3人とも座礁。あとは救難信号を出すのが精一杯で……」
確かに今の彼女の様子から徒歩で助けを呼ぶのは難しそうだった。それに、あの村人たちの村があるとすれば尚難しいだろう。すると、山城が懐からあるものを取り出した…
「……これ、食べなさい。ろくに食べてないんでしょ?」
それは、乾パンだった。メモの紙切れくらいしかないそれを見るや如月は慌てそれをとり口にほうばった。余程、腹が空いていたのだろう…その勢いは白銀もちょっと退いた。
「食べたなら立ちなさい。同情はしないわ…貴女たちの不始末で結果は私たちは損害を被ってることには変わりない。なら、貴女のすべきことは解ってるわよね?」
「はい……すぐに、赤城と舞風の元に案内します。」
「おい待てよ、流石に怪我人に酷ってもんだろ!?」
直後、如月に案内をさせようとする山城。まだよろよろとする如月に鞭打つものと白銀は反対するが如月は従うように立ち上がる。
「私たち艦娘は…皆が運命共同体、ひとりの不始末が全ての艦娘の存在に関わる…!私たちは……人を守ることでしか…生きられないの!!」
「…!」
まだか弱そうで自分よりも齡がいかぬであろう少女の言葉とは白銀は思えなかった。自分たちと人を守るのは同じだと考えていたが…それは違う。人を守るために産み出された艦娘たちは戦いこそが存在意義であり生なのだ。それぞれ個々個人があれど大衆からは全体で『艦娘』という括りでしか認識されない……駆逐艦だろうと空母だろうと……。故に彼女たちは生きるために戦うのだと思い知る。
ならば……自分の出来ることは何か?
「…っ。わかったよ、なら背中ぐらい貸してやる。」
「……え」
「別に、それくらいならバチ当たらねぇだろ。ほら、乗れよ。」
これくらいだろう。戸惑う少女を背に乗せ、よっこらせと前を見据える白銀。これに、山城は感心した。
「意外ね。つっかかるしか能が無いかと思ったけど、存外優しいのね。」
「…うるせぇ。」
ーードオオォォン!!!!!!
「「「!」」」
その時、村の方向で火柱が立つ…!
同時に一行の進行方向は村へと変わった。
★☆ ★☆ ★☆
ーーひゅるるる~~……ドオオォォン!!!!!!!
悪魔の笛と炸裂音に人々の阿鼻叫喚が聴覚を叩き、釜の中のような熱さが肌を引っ掻く……その中を轟牙は走る。爆発に巻き込まれた人間たちは血肉に還元され一ヵ所に吸い込まれていくのを頼りに炎の中を掻き分け進む。
「!……いた!!」
…そして、見つけた。弓から矢を放ち…艦載機、否、魔の使い魔と化したそれを飛ばしながらあちこちで絶命した命を喰らう赤城と…彼女と対峙する如月と変わらないくらいの金髪の少女、恐らくは艦娘だろう。その背には逃げ遅れた村人たちがいるではないか…!
「舞風さん…あなたを食べるつもりはありません。退いて下さい。」
「やめてください赤城さん!貴女が、何故…艦娘の存在意義を私達に説いてきた貴女が何故!?」
「私は……もう艦娘じゃありませんから…」
すると、少女の頭上から爆弾が落ちてくる…!咄嗟に少女は自らの身を盾にして村人を庇う…!!
「よせぇ!!!!」
轟牙の叫び虚しく…
ダダダダダダダダダ…!!ドォォォォォォン!!!!!!
「!」
…少女たちを爆風が喰らう直前に何処からともなく飛来した水上機により破壊された。振り向けば、そこには山城と白銀たちがいる…彼女の機転だろう。
「浦島鎮守府の赤城ね…。説明はいらないわよ。」
「待て!コイツはもう艦娘に手が負える存在じゃねえ!!」
赤城の追撃に入ろうとした山城…同時に赤城は笑いながらその身を烏帽子に和の甲冑のような異形『アーチャーヴルム』へと変貌し、弓を構える。対する轟牙も斬馬剣を抜き放ち、斬りつけるがかわされてしまう。
『待っていたゾ……鬼武者!!』
「やはり、水蜘蛛の手下に成り下がってやがったのか!」
予感は的中…鬼武者と轟牙を嗤い、矢を放つアーチャーヴルム。剣を盾にする彼だが、矢は寸前で使い魔へと変身しあちこちから弾を浴びせ轟牙に襲いかかる!
斬馬剣を振り回すも、バッドで蝿を落とすのは難しいように隙だらけになった背後や肩に弾が当たりブシュッと鮮血が飛び散った。コンマ数秒で振りが追いつかず、ついには血塗れで膝をついてしまう……
『轟牙、しっかりしろ!!』
「うるせぇぞ、ザルバ!!」
唸ってみせるが、分が悪い。額が切れた血で視界も霞む……アーチャーヴルムは目の前だというのに。この身体は思うように動かない。
『つまらんな、鬼武者。それでは、話にならん。』
…すると、アーチャーヴルムは山城たちへと狙いを向ける。
『あの時と同じように……また護れないな…?』
「!」
その時…轟牙の中で…プツンと……
「……んな…」
何かが……
「ふざけんなぁぁぁぁ!!!!!!!」
キレた。
【99.9……】
鎧を纏い、独眼牙狼となり憤怒の咆哮をあげると黒い火花が飛び散り…燃えたぎる感情のままアーチャーヴルムへと飛びかかった。そのまま弓を腕ごと引きちぎり奪いとると、めった斬り。
ーー斬!!ーー斬!!ーー斬!!
「……ォオ!!…ォオ!!」
荒れ狂うまま、鋼のボディが抉れるまで牙狼剣で斬りつけ続ける…
脳裏には忌まわしいドス黒い記憶が揺らめく…
「この…腐れ火羅ごときがァ!!!!!!!」
ついに、砕けた鎧に向け…牙狼剣を振り上げその胸に真っ直ぐ剣を突き立てた。同時に、火羅の姿が弾け…元の姿に戻る赤城。彼女から剣を引き抜き…ようやく我にかえった牙狼は彼女を抱き留める。
「…あり……がとう…ございます…。」
「…」
もうそこに、火羅はいなかった。駆け寄る舞風と如月に…彼女はかすれ始めた瞳を向ける。
「ごめんなさい。また私が…不甲斐ないばかりに…」
「赤城さん、もう大丈夫です!だから、気をしっかり!!」
「そうです、私たちは無事です。鬼ヶ島鎮守府からの助けも来ました!そこでなら、補給も修理も充分に……!」
必死に呼び掛けるふたり…だが、彼女は首を振る。もう何も叶わないと…自分の最期を悟っているのだ。火羅に堕ちれば助かる術は無い…既に魔の者となり朽ち果てていくのを感じながら、せめてと微笑み泣きじゃくる少女たちに微笑む。 そして……
「貴女たちは……お腹いっぱい食べて下さいね。」
……彼女は轟牙に抱かれたまま塵となった。
舞風と如月は泣き崩れ、山城と白銀は目を閉じ黙祷していた…。せめて今は弔おう…飢餓の火羅ではなく、仲間を想い果てた艦娘として
「……これで、満足か?水蜘蛛…?」
……背後に立つ水蜘蛛(ひきょうもの)を斬ったあとで
「ククク…。いいやまだだ。まだお前たちが見定めるのは同胞の死ではない。その死と命の価値だ。見るがいい…」
その時、ビュンと空を何かが斬り…痛いっ!?と舞風が悲鳴をあげた。それは礫だった…礫に礫が続き自分たちに投げられる。ヒュンヒュンと霰のようなそれに罵倒の声が続く。
「失せろ、化物!」
「私達の村をかえせ…!!」
「死ね、海へ帰れ…!!」
それは村人たちだった。舞風が必死に守り、赤城が守るべきと説いた人間であった…。
「見るがいい、これが人のあさましさよ!!どれだけ身を盾にしようと何一つ理解しようとしない!自分だけ自分のためにしか生きない者に何の価値がある!?」
「…」
「守りし者よ、艦娘よ、これが世界の答だ!今一度、考えるが良い!!」
……黙れ。
「何?」
ゆらりと立ち上がる轟牙…見据えるのは水蜘蛛と村人たち。彼の眼は…背は…憤怒で揺らめいていた…。
「水蜘蛛(おまえ)も村人(おまえら)も…いい加減に……しやがれ!」
ーーギュオオンッ!!!!!
【47.3…】
再び牙狼となった轟牙は水蜘蛛を斬りつけ、勢いこのままになんと、村人へと襲いかかる!まさに、鬼と相違ない勢いで牙狼剣を振り回し…怯えまどう村人へ容赦なく牙を剥く!!
『よせ、轟牙!!なにしてやがる!?』
ザルバの制止も聴かず暴れまわる独眼牙狼。『やめろ!』と白銀も止めに入るが凪ぎ払い、たぎる感情のまま咆哮をあげ山城にも刃を向ける!
「うおおおお…!!」
「!」
…一瞬だが、苦渋の決断だった。山城は砲身を牙狼に向け
ーードオオォォン!!!!!!!
「がはっ!?」
一発…その胸目掛け放つ。この衝撃で牙狼は弾きとばされ林の闇へと消えた…。
【GARO Iron blood horizon】
化物 ー完ー
★次回予告!
ザルバ『おっとコイツは驚きだ……異世界の黄金騎士に人の歴史を救うとはコイツはまた凄い。さて、どうする?次回【時空!】…その剣は何を救うためにある、轟牙!?』
次回、響く黒雲さんの『GARO Grand order』とコラボ編!!ジュンチェ作品からのオリジナル魔戒騎士も登場!金色の交錯を見逃すな!!!!!!
黒髭「取り敢えず、艦これときたらわし出番不可避。もしかしたら黒髭危機一髪再開!?」
謎の使用人「ナイナイ。」
黒髭「でしょーね!!(半ギレ」
謎の仮面オルタ「ところで……」
謎のベルトさん「私達の出番はあるかね?」
轟牙「仮にもガロ艦これなんだからすっこんでろ。」