GARO×艦隊これくしょん ~Iron blood Horizon~ 作:ジュンチェ
……また、あの夢か
振り上げた刃が…鉄塊のごとき剣が……名も知らない女を斬りつける…そんな夢。そんな自分は心で悲鳴をあげながら、それを噛み殺しながら振るう…そんな夢。
……そして、最後はいつも自分はこう言う。
「許せ、山城……」
……最後に、トドメの一撃を彼女胸に
『 意 思 』
鬼ヶ島鎮守府 執務室
部屋の主の烈夢の前には舞風、如月が敬礼をして並び立っていた。
「…舞風、報告しなさい。」
烈夢の一言に……胸にこみ上がってくるものを堪えながら彼女は告げる。
「……浦島鎮守府、第二艦隊所属舞風…報告します!3日前未明…座礁した赤城は……未知の深海棲艦の追撃を受け、当艦と如月を庇い……うぐっ…うっ………『轟沈』致しました!!」
「……うっ、ぅぅ…」
火羅と化し轟牙に斬られた赤城は都合上、『轟沈』…要は戦死という扱いになった。狩りにも軍の所有物である艦娘をただ死んだと片付けるわけもいかず、上層部に報告しなくてはならないのである。無論、火羅になったなど伝えられるわけもなく…烈夢の計らいと赤城の艦娘としての名誉のため事実は改竄された。それが皆のため、何よりも赤城のためだろう…
そんな彼女たちをドア越しに察する山城は壁によりかかる轟牙に目を向ける。
「あんた……わざと、私に射たれたわね?それで、化物の代わりになったつもり…?」
「…」
轟牙は答えない。ただ、目を閉じている……
「残念だけど、あの村人が艦娘だろうとあんただろうと化物の括りは変わらないわ。この先もあの村人たちは艦娘を恐れ忌み続ける…それが現実……」
変わらない。あの時の牙狼の怒りは無意味と無情に語る山城。そう……一度、刻まれた負のイメージは中々消えない…また他の艦娘が村に近づけば如月や山城のような目にあい下手をすれば第2、第3の赤城が生まれてしまうかもしれない。だが、変える術は山城にも轟牙にもない……時が解決するのを待つのみだ。
「……でも」
…と、彼女は紡ぐ。
「……艦娘(わたしたち)のために怒ってくれたのは嬉しかった。誰も…今までそんな人いなかったから。」
「…」
そして、足早に彼女は去っていく……
轟牙はそれを見送るとふぅ……とため息をつき、今度は口やかましい魔導輪へ耳を傾ける。
『虚しいな、轟牙。番犬所に寿命を持ってかれた分に対して報酬は女の礼だけとはな。』
「うるせぇ。」
山城に射たれた後、轟牙は人を殺めていないとはいえ鎧を纏い人を襲った……ということで、掟破りの罰として寿命の1年分を剥奪されている。だからと言って反省も後悔もどちらの素振りも見せずザルバは呆れていた。
『良いか、二度とこんなことするな。下手をしたら……』
「ザルバ…俺は魔戒騎士じゃねえ。『復讐の亡者』だ……鎧なんざ、復讐が終わったらどうなったって構わないさ。」
相棒の忠告も意味を為さず。 ならばと、もう何も言うまいと魔導輪も口を閉じる……
…そして、轟牙もその場をあとにし……
「へぇ……あんたが噂の斬馬刀使いか。」
「!」
……ようにも、またも面倒がやってきてしまう。白銀に続き、いい加減にしてもらいたいものだ。
茶をイメージした武人を思わせる和服姿に山城に似た砲身と飛行甲板を纏うボブの艦娘が後ろに立っている…まさかと思うが…
「噂は聴いている…ちと、手合わせを願いたい。」
……嘘だろ。少年漫画のノリだろこれ。
★☆ ★☆ ★☆ ★☆
……その頃、鬼ヶ島鎮守府格納庫付近
「……平和ねぇ。」
相変わらず、サボりの秘書艦こと飛龍は春らしくなってきた陽気にのほほ~んとだらけていた。桜もちょうど蕾が膨らみはじめ、これまた善しと眺めている。こんな日は補佐官(蒼龍)に適当に仕事を押しつけてのんびりするのが吉だろう……
……そんな彼女に天罰が下る。
「どけぇぇ!!」
「へ?」
急に頭に影がかかったかと思うと影がふたつ頭上から落ちてきた…!ひとつは轟牙、もう1つは刀を構える艦娘であった。両者、飛龍の目の前に着地するや、互いの獲物を構え…いきなり決闘の体勢へ入る。
「どうした、斬馬刀使い?遠慮はいらんぞ。」
「ひゅ、日向!?あんた何やってんの!!?」
轟牙と相対する彼女は山城と同じ航空戦艦で伊勢型2番艦『日向』…。落ち着いた雰囲気とは裏腹に鬼ヶ島鎮守府一番のバトルマニアである。そして、艦娘では数少ない近接武器持ちかつ刃を交える決闘を好む。
…そんな彼女に目をつけられた轟牙だったが、斬馬刀は思うように振るえずにいた。
(ふざけんな…下手にこんなもん振り回したらテメェをバラバラにしちまうだろうが!)
火羅相手ならまだ良い…だが、相手は戦闘狂いといえど艦娘だ。大型火羅さえ粉砕するこれを振り回せば日向は確実に無事にすまないし、これ以上は烈夢や番犬所に睨まれるようなことを増やしたくない轟牙。故に隙あらば逃げるが、あの重そうな装備のままでお伽噺の牛若丸のようにひょいひょいと追ってくるので振り切れないでいた…。
「日向、やめてってば!?秘書艦の仕事増えちゃうから!!」
「正確には蒼龍の仕事だろう…問題あるか?」
「あるわ…!?私の仕事も比例して増えるの!始末書なんか書きたくないわよ!!」
(俺の命の心配はしないんだな…)
さりげなく酷い秘書艦の制止は無意味なようで、日向は太刀を構える。ならば、いた仕方ないと轟牙もブンッと斬馬刀を振った…!
「骨の一二本は…覚悟しろよ!!」
「…参るッ!!」
一瞬で狭ばる両者の間合い!轟牙は斬馬刀を……
「……な…」
しゃがみ、腰を落とした日向にかわされあさっての方向へ振り抜けた…。刹那、日向はこの隙に懐へ太刀を当てていた。
「勝負あり……期待していたのだが…」
「…」
黄金騎士、艦娘に敗れたり。轟牙はあまりのショックに固まっていた……まさか、手加減したとはいえ自分が…艦娘に?
「悪くは無かった。だが、いかんせん武器が大きすぎる故の大振りが目立った……いや、まあ確かに速かったが見切れないほどではなかったな。」
「…」
上には上がいる…とはよく言ったものだ。本当の殺しあいだったら、今頃は腹をかっさばかれていただろう。
轟牙はしばし、剣を収めるのも忘れていた……いや、正確には日向の太刀を見据えていた。
「…どうした?」
「いや、ありがとうな…日向だったか。お陰で新しい何かが掴めそうだぜ。」
「ふふ…そうか。ならば、良かった。」
★☆ ★☆ ★☆ ★☆
その頃。
「あ……」
「……何よ。」
鎮守府の港。偶然…ばったり逢ってしまった蒼龍と山城。別に特別に変わったことではない…同じ鎮守府の艦娘なのだから。でも、違う…彼女はそんなことで声を出してしまったのではない。
脳裏で過る轟牙の顔…彼と行動を共にしたのなら彼女も知ってしまったかもしれない…あの火羅について…
「いや、あのさ……」
「あんたも見たんでしょ、火羅?」
「…!」
「全くお互いに不幸ね。提督には言いふらすな…って口止めされたけど。でも、あんた以外にもいるそうよ…見たことがあるの。」
やっぱり。いや、驚きだったのは自分以外にも火羅について知る者が複数いるらしいということだ……
少し、安心感というか山城に対して奇妙な親近感を覚える。
「やれやれ、言いふらしてなんになると思うのかしら?艦娘がいくらそんなこと騒いだって世迷い言よ。本当に救いが無いわ。」
「そ、そうかな……だって、彼が護ってくれるし……」
その時、山城はむむ?と首を傾げた。今の蒼龍の反応は明らかにおかし……いや、なんかノロけていたように見えた。いや、まさか…まさかと思うが…
「蒼龍、あんたまさか……あの男に惚れてるの?」
「ふぇっ!?」
腑抜けた声が飛び出した……あっ、マジか。何てこったいとため息をつく山城。
「悪いこと言わないから止めときなさい、あの男は。不器用だし頭に血がのぼったら手つけられないわよ?今は善くても将来、苦労するタイプよあれ。」
「…べ、別に私は……好きだなんて…」
否定する蒼龍だが、その顔は赤い。口よりも顔が真実を語ってしまっている……これではいくら言葉を重ねても説得力が無い。そんな彼女に『それに…』と付け加える。
「私たちは艦娘……兵器なのよ。そこはどう足掻いても覆せない。兵器が普通の女の子のように恋愛なんて出来ると思う?」
「……そ、それは…」
艦娘、則ち兵器…彼女の言うことは正論だった。命あっても兵器は兵器扱いしかされない…また時に人以上に忌まれることも山城は身をもって体感していた。故にこそ諭す…どれだけ人に近くとも自分たちは兵器なのだと。
「……でも、私は…」
でも、それでもと蒼龍は正論に抗おうと口を開くが……
「こんばんは、お嬢さん方……」
その前にゆらりと水蜘蛛が現れた…
《 G A R O 》
春イベント5月上旬からなんですってね。本日、足柄さんがようやく改二になりましたんですが他の艦娘全然、育成追いついてないんですよね……駆逐艦とか駆逐艦とか……(白眼)
ZERO ドラゴンブラッド完結…いやまさか、あれが出てくるとは思いませんでしたよ。バトルシーンはガロシリーズ屈指の胸アツです。終わりは確かにそうだな…零のはじまりは確かに別れからなんだよなぁって感じました。
さて、 ガロ艦これ感想お待ちしてます!