死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件   作:くいあらためよ

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迫り来る黒・2

「ね…ねぇ、ヒュウガ?彼女はなにするつもりなの?」

 

「うふ……あの男からイオナ姉さまを取り戻すの。」

 

意味がわからんのですが………

 

それはさておき、空気は緊張していた。

 

「あの、あ、わた」

 

「?」

 

(さぁ、言うのよタカオ!!千早群像を渡せと!)

 

「わた、くっ……!」

 

(さぁ!言え!)

 

「渡してもらおうか!振動弾頭とそのデータを!…………ハッ!?」

 

「てめぇ、やはりか!」

 

「タカオ!お前に振動弾頭とデータは渡すわ………」

 

「ばっかじゃねぇの!?予定と違うじゃん!」

 

「え…その……ねぇ?」

 

「あ、はい、なるほど。」

 

ミカサは何となく理解した。

 

 

ミカサは一人海岸沿いを歩いていた。

あの、ヒュウガとタカオの乱戦から逃げたかったのかも知れない。

気付けば、1つの石碑の前にたっていた。

 

「栗林……………調べるもの………」

 

チッ…チッ……チッ………

 

『栗林忠道 旧日本陸軍硫黄島方面の指揮官。』

 

「ふーん、何で気になったのかしら…………」

 

にしても、この世界に来てからいろんな事があったなぁ。

 

「ん?」

 

何で私、この世界に来たんだっけ?

……そもそも、私って誰だっけ?

 

「んん?おかしいな……名前は覚えているのに……」

 

「ミカサ!」

 

後ろから声をかけられた。

 

そこには山口がいた。

 

「何をしてたんだ?」

 

「いえ、少し散歩をね…………」

 

「………その人が気になるのか?」

 

「ん?いいえ、目に留まっただけよ。」

 

「ふぅーん。なぁ……ミカサ。」

 

「なに?」

 

「君たち………霧はどこから来たんだい?」

 

「……………知らないわ。」

 

「知らない?」

 

知るわけがない。だって、気づいたらここにいたんだから。

 

「気付いたらこの世界にいた。それだけよ。」

 

「……不思議なもんだな。」

 

「全くよ。」

 

「この広い海はまだまだわからないことばかりだ。不思議なことが一つ二つあってもさして問題じゃない。」

 

「………変な人。」

 

「お、おい。待てよミカサ!」

 

スタスタと、海岸を歩いていった。

 

 

ミカサは山口とわかれ、一人ドックに戻った。

 

そこには、タカオとヒュウガがいた。

ヒュウガは401の整備をしているらしい。

 

「にしても、不思議なものよねぇ。」

 

「なにが?」

 

「イオナ姉さまってね、凄く特別な存在なのよ。」

 

あぁ、まぁ、確かにそんな感じはする。

邪魔にならないように戦艦ミカサにいこうとする。

 

「それと同じぐらい、ミカサもとても気になるのよねぇ……」

 

「…!」

 

思わず歩みを止めた。

 

「なんで?別に普通じゃないかしら?」

 

「彼女はね、なぜかは知らないけれどあの艦だけモデルが古いのよ。それだけじゃない、『あの時』も大和同様現れなかったわ。」

 

「………何者なのかしら。」

 

「わからないわ。でも、彼女も特別な存在よ。」

 

「ふーん、特別な存在ねぇ……彼女が…ん?」

 

「あ……」

 

見つかってしまった…………

 

「ミカサ!なんでこんなところに………」

 

「いやぁ、すこし、艦に戻ろうと思って……アハハ」

 

私が特別な存在って…………ばれたのかなぁ?


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