死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件   作:くいあらためよ

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黒の襲来・3

「あら、一人で向かってくるの?」

 

「ここまではおおむね予測通りね。」

 

「そうね。伊8、貴女はレーダーに感知されないようにいなさい。念のためよ。」

 

「さてミカサ、貴女の実力を見させていただくわッ!」

 

 

「全速前進!当海域より離脱、敵を引き付けるわ!」

 

「撃ってきたぞ!!」

 

ミカサに攻撃が降り注いだ。

ナガトだけではない、シグレ、シラツユも攻撃に加わり猛烈な弾幕を張る。

 

「ミカサッ!アレは撃てんのか!?アレ!」

 

「超重力砲のこと!?無理よ!いまは防御で手一杯!!」

 

「ッ!ミカサ!一番主砲を使わせてくれ!!」

 

「いったでしょ!手一杯で照準するどころの話じゃ………」

 

「俺が合わす!お前はそれに合わせて撃て!!」

 

「わかったわよ!!頼んだわよ!」

 

山口は、射撃指揮所に走っていった。

 

チッ…………目視による射撃なんていつぶりだ…………

 

そんなことを呟きながら、目的の場所へたどり着く。

 

「ミカサ、合図を出したら頼むぞ!」

 

『わかったわ!あ、そこに手伝いを寄越したから。』

 

「手伝い?おわっ!?」

 

足元から小さいなにかが這い出てきた。

ミカサであったデフォルメされてはいるが………

 

「なんだこれ?ま、まぁいいや。」

 

双眼鏡を覗きつつ、座標を操作していく。

 

ナガトはミカサの前方左側、駆逐艦は前方右側から来ていた。

ひとまず、比較的距離が近い駆逐艦に照準を合わすことにした。

 

「目標、シラツユ!主砲………方位右62度………撃てッ!!」

 

ミカサの主砲がシラツユの艦首をかすめた。

 

『やるじゃない!』

 

「まだだッ!次で仕留める!方位修正!」

 

「…………」

 

ポタ……………ポタ……………

 

「次は当てる、方位84度に修正………どうした?」

 

デフォルメミカサは、心配そうに眺めていた。

山口は鼻血を垂らしていたのだ。

測量機、計算機がないミカサの目視による射撃指示はすべて、指示者の頭のなかで行われる。

今まで機械に頼っていた山口にとっては明らかにキャパシティオーバーであった。

それに、時間がない。

着弾から射撃まで、時間は30秒しかなかった。

 

『山口!!もうすぐすれ違うわ!』

 

「反航戦か!大丈夫だ、決めてやる!……撃てぇ!」

 

砲口から放たれたレーザーはまっすぐシラツユの船体の中央を貫く。

そのまま船尾に向かって切断する。

 

凄まじい爆音が響いた。

 

『やったわ!!1隻倒したわよ!』   

 

「次だ!方位95度に旋回………くそッ!間に合わん!」

 

「………」ちょいちょい

 

「なんだ?………おぉ」

 

山口の目の前にディスプレイが現れた。

 

「これは……ミサイルか?俺に操れと?」

 

「……コクコク」

 

デフォルメミカサの指示のもと、ミサイル照準をしていく。

 

「ロックオン完了!侵触弾装填…………てぇ!!」

 

ミカサの右舷のミサイルセルから幾十の飛翔体が飛び出したと思うとまっすぐシグレに向かっていった。

 

次々に着弾するが、全てクラインフィールドに防がれる。

が、

 

「ミカサ!右舷副砲全門斉射!」

 

これもまた、山口の予測内であった。

 

副砲から放たれた砲弾はクラインフィールドに防がれること無くシグレに命中していった。

 

「よし!!」

 

「…………」パタパタ

 

シグレは炎上した。

 

 

  

しかし

 

『多聞!逃げて!!』

 

ミカサの悲痛な叫びと共に山口のいる一番砲塔は吹き飛んだ。

ミカサの処理が追い付かず、山口の指示で副砲に意識がそれてしまい、結果、飛んできたナガトの41cm超重力砲弾を防ぐことはできず、貫通し装填中の炸薬に引火してしまったのだ。

 

「これ以上はやらせないわ。」

 

「反撃といきましょうか。」

 

ナガトの反撃が始まった。


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