死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件   作:くいあらためよ

25 / 39
その男、不審

「ハァ、ハァ…ここまで来たら大丈夫だろ。」

 

走り出してからかなりの時間がたった。

気づくと、草むらの中に小さな穴があるのに気づいた。

 

「一体……何?」

 

「ここは俺のもう1つの隠れ家だ。」

 

「ちがう!あんたは一体誰なの!?」

 

「声をあらげるなって、とりあえず中にはいれ。」

 

男に諭され、しぶしぶ中にはいっていった。

中は、驚くほど広く空調も涼しかった。

 

「すごい………」

 

「あんた、なんか飲むか?」

 

「え、えぇ………」

 

地下にこんな空間があるとは……

まるで秘密基地みたいでとても気持ちが昂る。

 

「ここに座れよ。ほら、お茶だ。」

 

設計図やらいろんな書類をどかしつつ、座るように誘う。

 

「そーいや、 俺の名前を聞いていたな?」 

 

「ええ、あなたは誰?」

 

「俺はな、………源田って言うんだ。源田実、佐世保で対霧用兵器の研究を最近までしていた。」

 

「していた?今はしてないの?」

 

「あぁ、横須賀のある科学者が対霧用兵器を完成させたんだとよ。そんで俺はお役ごめんさ。」

 

「じゃあ、追われていたのはどう言うこと?」

 

「あー、話せばちと長くなるんだが………」

 

こっそりと佐世保のデータベースにハッキングをして、この源田実と言う男を調べてみた。

 

「……!」

 

「どうした?」

 

「い、いえ!続けて……」

 

佐世保データベースでは、源田実という男は実在はしていたが、先の大海戦で戦死していた。

しかも科学者ではなく、護衛艦ひびきの艦長であった。

 

「一体…………何を隠しているのかしら…」

 

「?……あ!お前の名前を聞いてなかったな!」

 

「え!」

 

「あんたの名前は何て言うんだ?」

 

「私の名前は………えーと、」

 

まずい、ミカサだなんていったらすぐに私が霧ってバレる!

ただえさえ怪しいのに…

ふと、頭に浮かんだ名前を言った。

 

「栗林!栗林………ヒビキよ!」

 

「栗…………林…か」

 

ふと、男が動揺を示した。

 

「どうかした?」

 

「い、いや、ヒビキか………懐かしいな。」

 

「何か聞き覚えがあるの?」

 

「知り合いが、同じ名前の船に乗ってたんだ………」  

 

おそらく、本物の源田実ね……

一体この男は何者……?

 

「もうひとつ聞きたいことがあるんだが……いいか?」

 

「え、えぇ、良いわよ。」

 

「お前は何でこんなところにいるんだ?軍以外は立ち入れないところなはずだが?」

 

「あ、ええと、それには訳がありまして………」

 

何てごまかそうか………

船に乗っていたら霧に襲われた、これだ! 

 

「実は船に乗って湾から出ていたら霧に襲われて遭難しちゃって……」

 

「船で湾をでたぁ!?なんでこんなにご時世に船で?」  

「ええと、そのぅ……」

 

墓穴を掘ってしまった!

 

ミカサは深く後悔することになったのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。