死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件 作:くいあらためよ
「ハァ、ハァ…ここまで来たら大丈夫だろ。」
走り出してからかなりの時間がたった。
気づくと、草むらの中に小さな穴があるのに気づいた。
「一体……何?」
「ここは俺のもう1つの隠れ家だ。」
「ちがう!あんたは一体誰なの!?」
「声をあらげるなって、とりあえず中にはいれ。」
男に諭され、しぶしぶ中にはいっていった。
中は、驚くほど広く空調も涼しかった。
「すごい………」
「あんた、なんか飲むか?」
「え、えぇ………」
地下にこんな空間があるとは……
まるで秘密基地みたいでとても気持ちが昂る。
「ここに座れよ。ほら、お茶だ。」
設計図やらいろんな書類をどかしつつ、座るように誘う。
「そーいや、 俺の名前を聞いていたな?」
「ええ、あなたは誰?」
「俺はな、………源田って言うんだ。源田実、佐世保で対霧用兵器の研究を最近までしていた。」
「していた?今はしてないの?」
「あぁ、横須賀のある科学者が対霧用兵器を完成させたんだとよ。そんで俺はお役ごめんさ。」
「じゃあ、追われていたのはどう言うこと?」
「あー、話せばちと長くなるんだが………」
こっそりと佐世保のデータベースにハッキングをして、この源田実と言う男を調べてみた。
「……!」
「どうした?」
「い、いえ!続けて……」
佐世保データベースでは、源田実という男は実在はしていたが、先の大海戦で戦死していた。
しかも科学者ではなく、護衛艦ひびきの艦長であった。
「一体…………何を隠しているのかしら…」
「?……あ!お前の名前を聞いてなかったな!」
「え!」
「あんたの名前は何て言うんだ?」
「私の名前は………えーと、」
まずい、ミカサだなんていったらすぐに私が霧ってバレる!
ただえさえ怪しいのに…
ふと、頭に浮かんだ名前を言った。
「栗林!栗林………ヒビキよ!」
「栗…………林…か」
ふと、男が動揺を示した。
「どうかした?」
「い、いや、ヒビキか………懐かしいな。」
「何か聞き覚えがあるの?」
「知り合いが、同じ名前の船に乗ってたんだ………」
おそらく、本物の源田実ね……
一体この男は何者……?
「もうひとつ聞きたいことがあるんだが……いいか?」
「え、えぇ、良いわよ。」
「お前は何でこんなところにいるんだ?軍以外は立ち入れないところなはずだが?」
「あ、ええと、それには訳がありまして………」
何てごまかそうか………
船に乗っていたら霧に襲われた、これだ!
「実は船に乗って湾から出ていたら霧に襲われて遭難しちゃって……」
「船で湾をでたぁ!?なんでこんなにご時世に船で?」
「ええと、そのぅ……」
墓穴を掘ってしまった!
ミカサは深く後悔することになったのだった。