死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件 作:くいあらためよ
「こういうのは初めてだけど………まぁ、なんとかなるかな!」
さっそく、辺りをスキャンした。
視界が変な感じになる。
「うわ、なんだこれ…」
どうやら、危険度が高い順からマークされていくらしい。
さっそく最優先対象が表示された。
武装ヘリ、アパッチと言われるヘリコプターであった。
「なんとかできないかしら…………そうだ!」
ハルナから教えてもらったの、出来るかな……
ヘリに手をかざし、まるで、自身が操っているラジコンのようにイメージする。
すると、自身の手の動きに合わせヘリが動き始めた。
「おぉ、ハッキングがうまくいくとは………よぉーし!」
硫黄島で、ハルナに教えてもらったハッキングがこんなところで役立つとは……!
システムコントロールを乗っ取ったミカサは、ヘリの武装システムにアクセスし機関銃をあたりに撒き散らす。
「さすがにこれを食らえばただではすまないでしょ!!」
「ひぃ!退避ぃ!退避ィィィ!」
「おいおい、奴等が逃げてったぞ!」
「ふぅ………」
安堵の息と共にヘリのコントールも解放した。
すると、一目散に逃げていった。
「さて、そろそろ……」
しかし、そう安心したのもつかの間、地響きと共に三体のロボットが現れた。
「何、あれ?」
「くそっ!奴等本当に俺を消したいようだな!ヒビキ、あいつは磐蟹っていう遠隔操作タイプの兵器だ!」
「な………」
磐蟹がミカサに照準を合わせ、機関砲を撃ち始めた。
「しまっ……ッ!」
辛うじて、クラインフィールドが間に合い後ろにいる男にも弾が飛んで行かずにすんだ。
しかし、これによって正体が露見してしまった。
「おまえッ、霧!?」
「黙ってて!そーゆのは後!」
ダッ!っと駆け出し、磐蟹の少し先で飛び上がったかと思うとすぐに磐蟹に向けてかかと落としを決めた。
前部装甲が鈍い音をたてへこみ、爆発を起こした。
「近接格闘って本当に難しいわね………」
「ヒビキ、ミサイルが!」
目の前から2発のミサイルが飛んできた。
「この場合は!」
1つ目はクラインフィールドで防ぎ、2つ目はミサイルのシステムにアクセスし、進行方向を逆転させ、跳ね返し
磐蟹に命中した。
「残り1ね!」
最後の磐蟹に飛び付いたミカサは、力の限りに叩きつけた。
「これで終わりッ!」
メインカメラと中心回路が破壊され、動かなくなった。
「すごい…………特殊部隊と磐蟹の襲撃を乗りきるなんて…」
「さて、ちゃんと自己紹介しないといけないわね。」
くるりと、男の方へ体を向けた。
「まさか、バレてたか。」
「えぇ、ちゃんと調べさせてもらったわ。源田実は、護衛艦ひびきの艦長だそうで?」
複雑な顔をしつつ、会釈しながら男は答えた。
「源田とは防大の同期だった。俺の名前は管野、管野直だ。」
「私も、ちゃんと名乗らなきゃ、いけないわね。」
「なに?」
「栗林ヒビキっていうのは偽名なの、ごめんなさいね。」
「なんだ………そうなのか。」
そう告げると、何やら暗い顔をした。
「?」
「いやいや、なんでもないぜ。本当の名前はなんだ?」
「私はミカサ、霧の戦艦ミカサ」
「やはり霧、なんだな。」
「そうよ、騙してごめんなさいね。」
「っていうより、ミカサってあの横須賀で霧の戦艦2隻を沈めたあのミカサか!?」
「私一人じゃないのだけれど、そうよ。」
どうやら、横須賀での事はいろんなところで評判になっているらしい。
ただ、彼の態度が気になる。
しばらくは警戒しといた方がいいかもしれない。