死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件 作:くいあらためよ
2隻の霧の艦は、片方は見た感じは駆逐艦のようであった。
しかし、もう片方の艦はなにか、見たことがある艦であった。
「艦種特定できないかしら……………データベース照合……でた!」
霧の駆逐艦のようなものは、軽巡洋艦センダイ型三番艦ナカで、片方の船はデータベースには乗っていなかったが、ただ1つだけヒットしていた。
「片方の艦って……私と同じ?」
データベースには、戦艦ミカサと同型であることが示されていた。
「俺、あれ知ってるぜ。」
「ほんと?」
あとから追い付いた菅野が口を開く。
「敷島型戦艦一番艦『敷島』だ。つまり、お前の姉貴だ。」
「姉貴………」
敷島といわれた艦はナカ相手に苦戦しているように見えた。
「まぁ、あそこで潰しあってくれる方がこちらとしてはうれし…………ミカサ?」
ミカサは、ある可能性についてひたすら考えていた。
もしかしたら、いや、違うかもしれない……
「ミカサ、はやく離れよう。」
「菅野、ここに高射砲かなにか、無いかしら?」
「はぁ?まさか、あいつを助けようって訳では無いよな!?」
「お願い、何か様子が変よ。」
「チッ……………協力してやりたいが、ここには小銃以外の武器がないんだ。」
「クッ……………ん?」
地面に目を落としたときキラキラと輝く砂のようなものが落ちていた。よく見ると辺り一面にも散らばっていた。
「これは……ナノマテリアル!」
「ん、あぁ、以前にここの海域で沈んだ霧の残骸だ。」
「これならいけるわ!」
ミカサは、すぐさまディスプレイを開き武器の構成を始めた。
「この量のマテリアルだと、単装砲が精一杯か………上々ね!」
「すげぇ…霧は何でもできるのか………」
目の前で起きたことに驚きを隠せない菅野をよそに、完成した単装砲の照準をナカに合わせる。
「2発しか撃てないのは痛いわ…………最大出力、充填率良し!ってェ!」
最大出力で放たれたビームはそのまま直進し見事ナカのクラインフィールドを融和、崩壊させ船体を貫いた。
「よしっ!」
「ミカサ、よそ見をしている場合じゃないぞ!あいつこっちに向かってきたぞ!」
今の攻撃で脅威のランクがこちらに変わったのか、ミカサたちの方向へ向かってきた。
「この一撃で沈めてやるわ!第2射装填良し、撃てェ!」
しかし、先程の攻撃で学習したのか、今度はクラインフィールドの集中防御で防がれてしまった。
「嘘…………まずい!」
ナカの主砲がこちらへ飛んできた。
とっさに菅野を伏せさせ、ミカサはクラインフィールドで防いだ。
「クッ、間に合っ………た………」
目の前の光景に絶望を覚えた。
既にナカがミサイルと第2射の準備が完了していた。
ミカサだけなら耐えしのげるが…………
「菅野!後ろに隠れ………!」
『てめぇの相手はこの俺だぁ!』
怒号と共にナカにミサイルとビームが次々と着弾し爆発を起こした。
「え、あ…………」
すっかり忘れていた、もう一隻の存在を……
「助けて正解だったかも知れんな………」
「そうね……」
目の前に、ボロボロではあるが戦艦敷島がいた。
船首に一人の女性がいた。
「何て面してんだ…ほら、乗れよ。お礼にどっかつれてってやる。」