死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件   作:くいあらためよ

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特異的存在

戦艦敷島型はロシア海軍に対抗し、日本がイギリスのヴィッカース社に注文して作られた艦である。

この会社は、あの有名な戦艦金剛も作っている。

 

目の前にいるこの艦は私が防大生だった頃に学んだ歴史によく出てくる艦の同型艦だ。

もし、霧の船でなければ私はどんなに嬉しかったであろう………

 

 

「菅野?菅野、ねぇ、聞いてる!?」

 

「ん、あ……」

 

「………どうしたの?」

 

「いや、少し考えていた。」

 

菅野はミカサを眺めた。

 

「お前もそうだが、霧に助けられ霧の船に乗ってる……すごい状況だなぁ……ってな。」

 

「そうね、貴方達からしたらビックリするでしょうねぇ。」

 

「そうだな、正直オレもビックリしてるぜ。」

 

艦橋から人が出てきた。

 

「人を乗せたことが無いんでな、いい経験になるぜ。」  

見た目はボサボサとしたショートカットに、言動からは似合わないハイカラな和装をしている。

 

「あんたは……」

 

「ん?あぁ…オレの名前はシキシマだ、よろしく。」

 

「俺は菅野直、統合海軍所属だった。先程はありがとう。」

 

「こちらこそ、まさか妹に助けられるとは……」

 

「え……えぇ、全く、何で追いかけられていたのかしらねぇ?」

 

「話すと長くなるんだかな?ああでこうで……………」

 

菅野は息を吐き出し、再び甲板へ寝転んだ。

一眠りして、また情報をまとめよう

そう思い、軽い眠りにつく。

 

 

「ふぅ………」

 

ミカサは、シキシマとの会話を終えひとり、船内の食堂に一人たたずんでいた。

 

「私には………姉がいたのか……」

 

この世界にとんでこんなことに気づかなかったとは………そりゃ、いる可能性はあるか…… 

 

「しっかりと情報を集めなきゃ……怪しまれないためにも……しっかし、」

 

最近、自身の記憶が薄れて来ているように感じる………

気のせいか?

 

ミカサはふぅ…とため息を出す。

 

「それはそうと、他にも姉妹艦はいるのかしら。」

 

ディスプレイを開き、検索した。

 

「敷島型……あった、二番艦アサヒと三番艦ハツセ……2隻とも轟沈?」

 

そこにはつい最近撃沈されたと書いてあった。

 

「コアも徹底的に破壊されて修復不可能……一体何が……」

 

「オレが沈めた。」

 

重く低い声が食堂に響いた。

 

「オレが、二人を沈めた。」

 

「シキシマ!?」 

 

「二人とは意見が別れ、力ずくで押さえようとして来たからやり返した。」

 

「な……」

 

「幻滅したか?それとも、仇をとるか?」

 

「……いや、そうか。」

 

「?」

 

「沈めたことが原因で霧から追われたの?」

 

「……あぁ、ハツセ隷下の駆逐艦と軽巡にな。」

 

「そう………気にしてないわ。」

 

「そうか。」

 

「ただ、会ってみたかったわ……お姉ちゃんたちに。」

 

「…………」

 

「ところでどこへ向かってるの?」

 

「どこにでも。今はとりあえず横須賀と言われるところに向かってる。菅野のとか言う男がいってた場所だ。」

 

「わかったわ………」

 

この世界では、見知らぬ姉がいたらしい。


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