死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件 作:くいあらためよ
この海域の異変についてまっさきに気付いたのは菅野であった。
元船乗りの性質というのだろうか、それとも軍人としての勘だろうか
どちらにせよ、誰よりも早くソレに気付いた。
「…………何が近づいてきてるんだ?」
腰につけてあった双眼鏡を覗く。
もう辺りは暗いが、しっかりと見てとれた。
「敵艦接近!霧だ!」
「なんですって!?」
「なんだと!?」
ミカサとシキシマは同時にディスプレイを覗くと今度ははっきりと確認できた。
小規模ではあるが霧の艦隊であった。
「これは………ナガラ型3隻と巡洋艦イスズ、それと……」
「アカシ………工作艦だ。」
「工作艦がなぜこんなところに……」
「俺たちが沈めた霧を回収しに来たんじゃないか?」
「それはない、回収だけだったら基本的にアカシは単艦で動く。」
「なら……狙いは……」
「そうなる………ぐっぅ!?」
突然、シキシマが倒れこんだ。
「お、おい!」
「くっ……そぉおぉ!奴…め、俺にハッキングを……」
「この艦を無力化するきか!?」
「くっそ………ミカサ!この艦のセキュリティを貴艦に委譲するッ!」
「了解、シキシマ各統制サーバーに接続開始、完了。」
それを見届けるとシキシマは意識を失った。
「さてと…………ゲッ、ほとんど満身創痍じゃない、逃げ切れないわよ………これ。」
「どうするんだ?降参でもするか?」
「うむ…………ちょっと聞いてみるわ。アカシ、貴女と話がしたいわ。」
気付くと概念空間にいた。
ここは……座敷を模した空間のようだ。
「はいよ……話ってなんだ?」
机を挟んだ向こう側に、小学生ぐらいの少女が座っていた。
「って、ん?お前、ミカサか!てっきりシキシマだとおもってビックリしたよ。ジャミングは成功したはずなのにまだ動けるかって心配したよ。」
「シキシマからセキュリティ権限を委譲させてもらった。」
「あっそう。で、話って?早くあんたらを連れて帰りたいんだけど。ナカのサルベージも終わってるし。」
「連れて帰るって………どこに?」
「決まってるでしょ、ハシラジマよ。そこで、あんたらを色々尋問しなきゃならないし………壊れた艦の修理しなきゃならんしね。あ、そうそう」
「何かしら?」
「あんたの船、再建造できたよ。」
「……ッ!それはほんと!?」
「確かめなきゃ、ついてきな。それに、あんたには会わせたい人物がいるんだ。」
「え?」
「まぁ、お楽しみだ。とりあえずついてこい。」
「ミカサ、どうするんだ?」
「彼らについていくわ、敵対心は無かったし。」
「いいのかよ、罠かもしれないぞ?」
「良いのよ、ここで反抗しても勝てないしね。」
それに、今いかないと後悔する気がするのよ。
ミカサはひとり、思った。
ハシラジマ・第三建造所展望デッキ
ミカサの船体が建造されているところに一人たたずんでいた。
「もうすぐ来るわよ。」
後ろで女性が呟く。
ナガトと言ったかな。
二人いるからよくわからんなぁ
一人そう思った。
「はやく、もう一度手合わせをしたいわ。人間の力を知りたいわ。」
「守りたいものがあるからこそ強くなれる、俺はそう信じてる。人も、霧も。」
「あなたって本当に不思議ね。千早群像みたい………」
「彼とは違うさ………まぁ、目指している方向は一緒かもな………ミカサ。」
「………私は戻るわ、貴方も早く戻りなさい。人は脆弱だからね。」
「心配どうも、ナガト。」
「じゃあね、山口多聞。」
山口はナガトを見送り再びミカサの船体へ目線を戻した。
「生きてるってわかったらあいつ、喜ぶかな……怒るかな………まぁ、気長に待つかな。」
そういってデッキから立ち去った。