死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件 作:くいあらためよ
報告してくださった方々ありがとうございます。
「タカオが霧を抜けたか…」
コンゴウは一人、思考にふけっていた。
「ミカサも連絡がつかない。一体どうしたものか……マヤ」
『なぁに?コンゴウ。』
「ハルナ達はどうしている。」
『これから横須賀に攻めてくーって言ってたよ。』
「そうか…」
コンゴウは一人笑っていた。
横須賀基地
「まさか、こんなことが…」
「まったく信じれません。」
政府上層部は頭を抱えた。
霧が、自らの意思で敵である人類を助けた前例がなかったからだ。
「どうも、居心地が悪いなぁ…」
あの戦闘の後、事情を説明し仲直り?した彼らは401護衛のもと横須賀に向かった。そして横須賀基地に到着したミカサは、地下ドックには入らず401と別れたあと、救助した人達を海上で返還していた。
「何処からか狙われてるな…調べてみるか。」
そう言うとディスプレイを開き、調べてみた。
ビンゴだった。
ここからは見えないように上手く、偽装されたイージス艦がこちらを向いていた。
「めんどくさいなぁ……来なければ良かったかな。」
そう、愚痴っていると後ろから声が聞こえた。
「ここの連中は霧が怖いのさ。」
振り向くと、山口が飲み物とホットドッグを二人分持ってこちらに歩いてきていた。
「食事はするだろ?それとも、嫌いかな?」
と、聞いてきた。
ホットドッグは、人であった時も度々食べていたから嫌いではない。むしろ好きな方だ。
「ありがとう」
と、受け取り一口かじった。
口一杯にトマトソースの酸味が広がる。
この世界に来てから初めての食事で、嬉しさの余り泣きそうになった。
元々、霧は食事を必要としないが人であった私には少し苦痛であった。
嬉しそうに食べる私を見て、満足したか山口も食べ始めた。
「こう見ると、霧も人もそんなに大差ないのに。」
そう、悲しそうに呟く。
それに反応し、私は
「なんで貴方たちと戦うことになったのか、私にはわからないわ。」
と、答える。
「ただ1つ、言えることは霧の中にも私みたいなものがいるってことよ。私は、ただ別の目的だけれど。」
そう、私が人であったことを忘れないために。
「別の目的…か。確かに、君のような霧がいればきっとわかり合えると思う。」
山口もそれに反応する。
ふと、私のレーダーに反応があった。
小さいボートが近づいてきていた。
海面を見ると、何人かの男たちがこちらに向かってきているのが確認できる。
私は彼らを迎え入れるべく準備した。
「初めまして、私は、北良寛と申します。」
目の前にいる男はそう名乗った。
「私は、ミカサ。見たところ、政府のお偉いさんね。何か用?」
すると、バレたかと大袈裟なリアクションをして
「別に、貴女方と争うつもりはありませんよ。ただ、一つだけ協力していただきたい事が。」
その目は、決して引くことの無い強い意思を感じられた。
「……わかったわ。でも、ここで話すのもあれだから、会議室にいきましょ?」
「えぇ、勿論ですとも。ゆっくりと、話し合いましょう。」
ミカサを利用しようとする、日本政府の重鎮との極秘会議が開かれた。
「あんなところで密談か…」
一人の男がこの一部始終を見ていた。
「これから忙しくなりそうだ。」
そう、笑って物陰に消えていった。